銀行大統合 小説みずほFG (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748797

作品紹介・あらすじ

“その後”の軌跡も活写した完全版!!

三行統合なら生き残れる! 第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の各トップは世界でも例のない大再編に向け猛スピードで走り出した。困難な調整や会談の内幕など、最後の決断までの日々を圧倒的な情報量とリアリティで描いた実名企業小説。その後の迷走と再生のドラマも収録した完全版でついに文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 二十年も前のことになるのか。みずほフィナンシャルグループが立ち上がった舞台裏を描いた実名ノンフィクション小説。
    著者の思い入れを少し感じるが、日本興業銀行の頭取の即断即決がこの大統合の引き金を引いた。わずか数か月で実を結んだのは、優柔不断な自分から見れば驚きである。
    また世の中が大混乱に陥った、2002年4月のあの有名なシステム大障害の舞台裏も描かれる。当事者の立場を考えると血の気が引く。今読んでも十二分に勉強になる。

  • 銀行大統合 小説みずほFG

    日本興銀、第一勧銀、富士銀の世紀の大統合の話。ちょうど20年前の1999年のGW、興銀の西村頭取が文字通り音頭を取り、一勧の杉川頭取、富士の山本頭取を巻き込んで、強力なリーダーシップで統合までこぎつけたという話。あくまで小説ではあるが、システムトラブルの原因について、実名で一勧の副頭取・西之原氏を挙げているのは興味深い。大規模システムトラブルは20年経った今も、未だに尾を引く問題となっているが、これまた第一と勧銀の出身行意識の中で、情報提供や試験を徹底していこなっていなかったヒューマンエラーであったと断罪している。いずれにせよ、旧行意識や、システムの中心をどの銀行に置くか等々の人間臭い話もあり、世界一の総合金融サービスという崇高な理念を掲げる中で、みずほFGがいかに人間がハンドメイドで作っているのかというのがひしひしと伝わってくる。ちなみに、冒頭出てくる第一勧銀の近藤克彦・前頭取は私の大学バレー部の先輩でもあり、何度かお話ししたことがある。とてもやさしい笑顔が印象的な方であると以前より感じていたが、総会屋事件等、非常に荒苦しい世界で身心を削られた方であることが、今回の小説を読んでわかった。

  • 実際の銀行の合併劇を丹念に追った小説。よくぞここまで取材できたと感服。

  • 3行統合という空前スケールの再編劇で誕生したみずほファイナンシャルグループ。統合当初に発生したシステム障害は当時テレビや新聞のニュース等で観て覚えていますが、本書では3行統合という大再編劇の舞台で繰り広げられた当事者たちの苦闘や苦悩がノンフィクションということでリアルに描かれています。当時駆け出しの20代社会人だった私は改革に対して気概あふれる小泉政権やその政策を応援していました。本書ではみずほFG国有化の危機が日本の国益を損ねるという立場で作者の思いや視点も加味しつつ描かれていますが、大統合の頃から15年経った2014年現在で考えてみると当時の竹中・木村金融チームが日本の金融機関が外資に喰い物にされることに加担していることに他ならないという見方も間違いではなかったかと思います。DKB(第一勧業銀行)が合併銀行であるがゆえに3行統合の足を引っ張ったというのは皮肉ではありますが、未曽有の事態にすごい決断と根回し・迅速な実行をした当時の統合3行の頭取はすごいと思います。

  • 第一勧銀、富士、日本興業銀行の三行統合を
    実名で記したノンフィクション小説。

    高杉良の特長である綿密な取材を通しての
    トップの決断から根回し、マスコミの裏で
    動いている人々の心情などの描写は流石。

    ただ、各章の繫がりが薄く、どんどん読み進めて
    いけるようなものではなかったのが残念。

  • ■みずほ銀行誕生の経緯について、3人の頭取を中心に実名で描写。
    ■ノンフィクションではなく小説仕立てなので、ひとつ前に読んだ本より大分安心して読めた。
    ■統合の時のドロドロしたことは雑誌に任せ、綺麗な部分が描かれているので、統合時の本来の夢であり、目標を知ることができる。

  • みずほの発表に至る3人の頭取と幹部たちの忙しい活動。そしてそれをかぎつけたNHKなどのマスコミとの駆け引き。安田信託救済、山一破綻、総会屋事件、尾上縫事件・・・それぞれ脛に傷をもった3行の頭取の合併への熱い想いが伝わり、成功を願ってしまう、高杉のいつもながらの青春を感じさせる本でした。ややお目出度いのもいつもの通りですが、当社の合併とも重ね合わせ楽しく読みました。それにしても、著者の近作は「広報室沈黙す」のような、華(ヒロイン)が登場しなくなってきたのは残念です。

  • よくぞここまで言うような徹底的な取材力に圧倒された。銀行の歴史を知らない自分にとって教科書ともいえる本当にためになる内容だった。経済小説というのはあまり読まないジャンルだがとにかくその当時に情景がリアルに描かれていて、当時の苦労を考えるだけで興奮した。

  • ある支店長が頭取に宛てたレポートが印象的。教訓になるなあ。

  • 実話に基づく話はいつもある種の迫力を持つ。三銀行の統合がいかに困難であるか、そんなことは考えたことも無かったが、この本を読んで統合に必要な作業・調整が良くイメージでき、非常に引き込まれた、というか、自分だったらと考えながら読むと、仕事をした気分になり非常に疲れた。一般社員から見ると雲の上の社長達がどういうことをしているのかが良く分かった。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。専門誌記者や編集長を務める傍ら小説を書き、75年『虚構の城』でデビュー。83年、退職し作家に専念。緻密な取材に基づく企業・経済小説の問題作を次々に発表する。代表作は『小説日本興業銀行』『小説ザ・外資』の他『金融腐蝕列島』シリーズ全5部作など。

「2023年 『転職』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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