- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062748940
感想・レビュー・書評
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4冊のうちこのお話が1番面白かった!シリーズ読んでみて、今まで全く知らなかった中国の歴史に興味を持ちました。架空の人物も多いけど、実際にいた人たちもいて調べてみると面白い。
特にタンストンと玲玲のとこは泣けた。でも玲玲って文秀のこと好きなのかと思う描写もあって、タンストンなんだか可哀想だった。だけどそれでも最後まで愛し抜いたタンストンはかっこよかった。男の中の男だ!
あと文秀達の脱出劇も面白かった。作戦が素晴らしいけど、バレるんじゃないかとどきどきした!
毛沢東が出てきたり、ついに春児が偉くなったり、歴史が大きく動いたりとこれからまた面白くなりそうな予感。義母からシリーズたくさんお借りしてるのでゆっくり読んでいこう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
風前の灯の清王朝クライマックス!
登場人物達の運命に驚いたり怒ったり悲しんだりと感情がジェットコースターだった。
続編の[珍妃の井戸]へ! -
4巻のみ、ではなく全4巻としてのレビュー。
登場人物がどの人も魅力的。
中でも西太后。
本当の人物像がどうだったかは別として、この物語に出てくる西太后は驚くくらいいろんな顔を見せる。
皇帝、母親、少女・・・
そしてそのどれもが報われずに切ない。
あまりにも切ないので「んもー、おじいちゃんのせいだ!」なんて心の中でチャチャをいれてみたり。
ラストでは号泣。
あまりにも切ないので「名前、ながっ」とチャチャをいれてみたけど、涙止まらず(笑)
他の人のエピソードでは譚嗣同&玲玲。
不器用で優しい譚嗣同の玲玲に対する想いと最期が悲しい。
浅田次郎は映像化されたものをいくつか観たけれど、どれもいまひとつ合わず読みたいと思えなかった。
これもドラマが先だったけれど、初めておもしろいと思い原作も読みたいと思った。
地の文というか世界(時代)感と会話文が違いすぎて多少気になったものの、この長さを一気に読ます読みやすさの一助になっているのかな。
「珍妃の井戸」は続けて読了。
「中原の虹」の存在は最近まで知らず。そのうち読みたい。 -
最終巻は、浅田ワールドの本領発揮!
3巻までももちろん素晴らしい内容だったけれども、4巻はより一層泣ける内容になっている。
清代の衰退期にありながらも、権力闘争に明け暮れる為政者たち。
国家を変えるべくして立ち上がった、春児と文秀の運命は果たして如何に・・・?
浅田先生の書く世界は、将来に希望を持てるようなものになっており、そういった意味で爽やかな気持ちになれる。
最終巻であることは残念だが、今後に続く伏線も張られているので、その点もとても喜ばしい。 -
大作だなあ。めっちゃ面白かった。鳥肌たった。
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それぞれの結末。散った仲間もいれば、未来へ命を繋いだ者たちも…
4巻通して大変面白くわかかりやすかった。政治的な話も、日本の記者を視点に話が展開したため読みやすい。最後の春児、玲玲、文秀の迎えるエンディングは感動的。一見無関係と思われる郎世寧がそう関わるかあ、と素晴らしい構成にうなされっぱなし。 -
蒼穹の昴
個人的には「赤猫異聞」以来の浅田次郎さんの歴史小説。文庫本4巻の大長編小説ですが、とても面白く読めました。
舞台は清朝末期。貧家の子、糞拾いによって生計を立てていた李春児は宦官となって西太后の下に出仕します。一方、春児の義兄で同郷の梁文秀(史了)は、光緒12年の科挙を首席で合格し九品官人法の官僚となります。本作は、この2人を主人公に、政治の実権を握っている西太后を戴く后党(保守派)と、西太后を引退させて皇帝(光緒帝)の親政を実現しようとする帝党(革新派=変法派)の激しい対立を描きます。
この小説の読みどころは
1)魅力ある登場人物
主人公の2人はもちろん、魅力的な人物が登場します。
筆頭は西太后。悪女というイメージを残しつつ、国を守るという責務に苦しむ女性の姿が描かれています。実在した他の人物では、李鴻章、光緒帝、栄禄、李蓮英、康有為、譚嗣同、柴五郎、郎世寧などが筆者独自の解釈で描かれていますが、それぞれの人物像がストーリー展開にすっぽりとはまり、彼らの歴史の中での役割が生きてきます。
架空の人物では新聞記者の岡とバートン、星占い師の白太太、刀子匠の畢五、春児の妹の玲玲、かっての京劇の名優である黒牡丹などなど。清末の中で生きている人々を代表して描かれ、どういう人物が歴史を動かしてきたのかが俯瞰できたと思いました。
2)清末時の中国の描写
印象的だったのは科挙の過酷さ、宦官という人生の壮絶さ。北京の胡同の様子。保守派と変法派の対立を見守る各国のジャーナリストの奮闘。まさに「見てきたような嘘」が展開され、その場に居合わせた人物によるノンフィクションを読んでいるような気分にもなります。
3)先の読めないストーリー展開
本書は歴史小説であり、結末は事実として、われわれは既に知っています。それでも、実在した人物でさえ、この小説の中では史実のギリギリの中で躍動しています。
小説はクリフハンガー的なところで終わります。これは続編「珍妃の井戸」を読まざるをえません。 -
浅田次郎さんの小説はこれが初めて。
文庫本全4巻
清朝末期の混沌とした世の中で、人物の葛藤と醜さを美しく描いているように感じた。
このシリーズの中で印象に残るのは
「難しく考えるな、史了。知恵も力もいらない。やさしさだけがあればいいんだ。大地も空も時間も、すべてを被い尽くすほどのやさしささえあればー」
という文。この混沌したなかだからこそ出てきた言葉なのか。はたまた…
このシリーズの続刊があるようなので、読み進めたい。
浅田次郎にハマったかもしれない。
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改革派の康有為、文秀、譚醋同等は光緒帝の政権の元改革が一時叶いそうになるが、李鴻章の後を継いだ英禄、袁世凱らの保守派が西太后を担ぎ政戦に負け譚は殺された康は早々に亡命、残された文秀は、死を覚悟するも伊東博文と共に縄を逃れ日本に亡命する。王免は袁世凱に追われて逃げた先に子供の毛沢東に出会う。
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2回目
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本年最高の小説!
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私も大好きなシリーズです。
レビューを見て、感動がよみがえりコメントさせていただきました。
また、お邪魔させていただきます。私も大好きなシリーズです。
レビューを見て、感動がよみがえりコメントさせていただきました。
また、お邪魔させていただきます。2014/11/08
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ついに終わりました。
というより、終わってしまいました。
読み応えがあり、勉強にもなり、本当に出会えてよかったと思える作品でした。
「死ぬは易し、生きるは難し。」
心にささる一言です。
ただ、個人的には、最後に伊藤博文が柴少佐を尊敬していると言っている場面に最もジーンときてしまいました。
出自で出世を諦めながらも、清廉かつ実直であり続ける柴に対して、その能力を少なからず認めている伊藤の関係は、春児と西太后に似ているんかなー、と勝手に思っていました。
今後、梁文秀がどうなっていくのか、続編が気になって仕方ありません。
ただ、梁文秀のモデルになった人の逸話を読む限りでは、いい予感はせんけど・・・
それと、様々な人たちが様々な思惑を持って、中国と言う莫大な大地を持った国を動かそうとしているわけやけど、最終的にはたった一人の人間の個人的な憎悪や恨みが、社会を動かす大きな影響を与えるというのは、古来から変わらない人の世の摂理なのかなー、と感じました。 -
浅田次郎が描く、近代中国ロマンモノ。
続編(「珍妃の井戸」「中原の虹」)があるので、早く続きが読みたい!という気持ちで一杯です 笑
変法運動、というと
「焦りすぎて失敗した明治維新失敗版」
というイメージしかない自分には非常に新鮮でした。
(もちろん小説なので、主人公は実際には存在しない人物など、フィクションが多分に入ってはいますが)
浅田次郎さんの達者な文章で、
一気にグイグイ読ませてくれます。
大変おもしろかったのですが、
終わるタイミングが「ここで!?」と思えてしまうところで 笑
もし読まれるのなら、続編の「珍妃の井戸」「中原の虹」もあわせて買っておいたほうがやきもきせずに住みます 笑 -
最終巻。改革派と保守派の権力闘争は日本も巻き込んで激化し、その中で登場人物の生き様も最終章を迎える。
最後は春児と文秀の個人的な心情に戻っていくのだが、浅田次郎のメッセージは以下なのだろうか。
「難しく考えるな、史了。知恵も力も何もいらない。やはしさだけがあればいいんだ。大地も空も時間も、すべてを被い尽くすほどのやさしささえあれば-----」
以下引用~
「お告げなんてそんなもんだ。運命なんて、頑張りゃいくらだって変えられるんだ。なあ、少爺、だから生きてくれよ。おいらがやってみてえに、白太太のお告げを、変えてみてくれよ」 -
難しかったけど、読んで良かった。と思えるシリーズです。
この人スゴイ‼と改めて感じました。 -
文秀の天命の意、春雲の努力。心に学ぶものがあった。
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1〜4まで、同じテンションで読めたかというとそうでもないです。
正直、1は読むの大変だった。が、しかし!2〜4のテンションの上がりっぷりがすごい!
ビジネス本と違って備忘録とかレビューで残さないけど、これは名作だった。
春児、文秀、玲々、切ないよなぁ。
たかだか100年前とは思えない時代背景がなおの事切なさを倍増させる。 -
終盤の春雲と妹の別れのシーンと文秀の手紙が印象的。
読んでいてそれまでの物語が頭をめぐってきて、心にじんわりと沁み入った。
読後感が良い。 -
中国はあまり好きではないけれど、、いつかは読みたかった作品。
貧しい生まれから、自ら男性の象徴を切り落とし宦官になって運命を切り開いた春雲。
彼の家の地主の息子、幼い頃から出来のいい兄と比べて辛い思いをしながらも科挙に一等の成績で合格した文秀。
文秀とともに科挙に合格するも、文秀とはまた違った人生を選んだ王逸。
西太后と若い皇帝に振り回されながらも、自分の信念を貫いた若い彼らの行く末に、ページを進める手が止まりませんでした。
春雲が宦官になるあたり、文秀が科挙に挑戦するあたり、
春雲が、西太后の怒りに触れて宮廷を追放された宦官たちに芸を仕込まれるあたり、あと、李鴻章が列強と交渉するあたり、どれをとっても面白かったです。
袖の下、、が当たり前だと思っていた中国で、
科挙制度での不正防止策が念入りにされていたのが驚き。 -
物語は臨界点へ。しかしそれを超えた後は、驚くほど静かに時間が流れる第四巻。歴史が創られる時は意外にそういうものかな…。
中華四千年の末期を飾る大悪女西太后、というイメージは良くも悪くも崩れ去った。他の作品でも垣間見られる浅田氏の母性愛を強く感じる。 -
友達にすすめられて読んでみました。
中国語の読みに慣れるまでが大変でしたが、素晴らしい作品です。
壮大な話の中で実は小さな家族愛が軸となった感動大作で、
一番気をひかれたのは、中国人の感情の深さと意志の強さ。
こうと決めたら絶対にやり抜く強靭な心とその実行力には感服です。
もう一度読みたいと思わせる内容でした。 -
おすすめ度:90点
一気に読んでしまった。皇帝派による戊戌の変はあまりにも急進的であったため、わずか100日間で終結する。
その終結の仕方はあまりにも悲劇的だ。
明治維新を範とした志士たちの末路。それはあまりにも過酷な運命の末路であった。 -
国を動かすもの。国を守るもの。そして国を変えようとするもの。
それぞれが自らの命と人生をかけて運命に挑む物語。
前半、中国の地方都市の情景と暮らしが語られる。
中でも科挙のインパクトがすごい。
この過酷な試験の内容、膨大な知識と知恵を駆使して決められた形式に従いながら回答を作成する。このスタイルはいまでも中国という国の様々な部分に根付いている気がします。
そして後半。
若き改革派が国を変えようと動き出す。
国の将来を憂う西太后を含む現勢力の少数が改革派の最終的な思い、つまり国を存続させることにおいて一致しているところに政治の皮肉を感じてします。
目的はひとつでもその手段、手法、思想に微妙なズレがある。
小さな世界に目を向ければこれは国だけの話ではない。
国を会社という単語に置き換えればきっと同じことになるのだと思います。
本気で国または会社の将来を考えることのできる人間だけが、それにふさわしい地位に就くべきなのでしょう。
本音と建前、真実と嘘、多くの悲しみと苦しみが織りなすドラマに国を動かす、歴史を作ることがどれほど過酷なことかを知ることができる。
フィクションではあるものの、中国という国の本質が描かれている本書は最高のエンターテイメントでありながら中国と付き合う上で核となるものを教えてくれる教科書でさえあると思えます。 -
終わっちゃったなぁ。。続きが気になっていっきに読んでしまいました。
文秀と春児が、お互い想い合っているのに、立場上対立してしまうのがすごく悲しかったけど、やっぱり2人の絆は強いんだって思ったラストでした。
どの登場人物も魅力的で、本当に素敵なお話でした。 -
薦めてもらい読み始めました。
清朝を中心を担った官僚、皇帝、皇后たちのお話。
4分冊ということでなかなかボリュームはありましたが全体を包み込む「緊張感」や「荘厳な感じ」のお蔭で読み切れました。
国の中心を担う人の苦悩、希望、諦念、民との距離。
国だとか組織だとか何かを構成する単位は日常的に意識しなければならないような気がしていますが、やはりそれは「人」以外の何物でもないのだなぁと思います。
話の中に科挙や官位等、想像だけで書いては胡散臭くなってしまうものがあります。
けど、正確に書き切るのも難しいのではないか、と思われる叙述がたくさんあります。
そう思いながら参考文献を見てみると、それらの制度に関するものがびっしり。
相当勉強しながらお書きになったんだなぁと感嘆しました。
今まで何となく歴史を扱う小説は敬遠してきました。
というのも歴史という「試験科目」が苦手、「覚える」のが苦手だからです。
けど、だからと言って小説になってしまえばその苦手がそのままあてはまるでもなく。
というわけで歴史物も今後読んでみたいと思ったのでした。 -
すべてを読み終えて
なんと表せばいいのか…
このとき程自分の文才のなさにもどかしいと感じることはありません。
ですが、是非読んで欲しい作品の中で、一番だというのは確かです。
春児、梁文秀、西太后と…魅力の多い人物ばかりで、濃く残ってます。
特に西太后は、悪女(?)としての印象を持っていたので
浅田次郎さんの西太后の姿にはかなり驚かされました。
まだまだ一読じゃ表現しきれないので
また繰り返し読もうかとおもいます。
【引用】
人間の力をもってしても変えられぬ宿命など、あってたまるものか
―紫禁城に渦巻く権力への野望、憂国の熱き想いはついに臨界点を超えた。
天下を覆さんとする策謀が、春児を、文秀を、そして中華四億の命すべてを翻弄する。
この道の行方を知るものは、天命のみしるし“龍玉”のみ。
感動巨編ここに完結。
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日本で会津人が差別されていたなんて全然知らなかった。
伊藤博文と言う人のことも、さほど知らなかったけれど、魅力的な人だったんだ。
それにしても、中国って複雑だわ・・
春児や秀文が白太太の予言通りに大きくなっていったことは凄い。
しかし、変法を志した若い人たちの命が失われていったことは悲しいことだった。
李将軍も栄禄のところに出てくるならもっと早く、みんなが殺される前に出てきてほしかったわ。
春児が死に行こうとする文秀に抱きついて留めるところは、幼い頃の春児がそこにいて、胸が痛んだ。
さらに、春児は白太太の予言が嘘のものであったことを知っていた。
「お告げなんてそんなもんだ。運命なんて、頑張りゃいくらだって変えられるんだ。なあ、少爺、だから生きてくれよ。おいらがやったみてえに、白太太のお告げを、変えてみてくれよ」
大きくなっても何も変わらない春児の素朴な心がなおさら悲しい・・
日本に渡った秀文はどうなるんだろう・・
載湉はどうなっていくんだろう・・・
春児はどうなるのだろう・・
次が気になるけど・・文庫本にならないかなぁ。 -
中国・清、西太后と皇帝をめぐる戊戌の政変の頃のお話。
科挙とか、宦官とか、政争とか、いろいろと恐ろしい。
時代が近いだけに実感が伴って感じられます。
中国の歴史の小説によく出てくる「天命」というものについても考えさせられました。
一人一人の運命、天命があわさって歴史が作られていくどうしようもない大きさに心動かされるお話でした。
でも、やっぱり
「運命なんて頑張りゃいくらだって変えられるんだ。」
ですよね。
優しい心、自分のことより本当に世の中を良くしたいという心が報われる世界であって欲しいな。