1973年のピンボール (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 10070
レビュー : 717
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749114

作品紹介・あらすじ

さようなら、3フリッパーのスペースシップ。さようなら、ジェイズ・バー。双子の姉妹との"僕"の日々。女の温もりに沈む"鼠"の渇き。やがて来る一つの季節の終り-デビュー作『風の歌を聴け』で爽やかに80年代の文学を拓いた旗手が、ほろ苦い青春を描く三部作のうち、大いなる予感に満ちた第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 人間が出てこない。
    人間が書かれているはずなのに、人間がいない気がする。稀薄。
    特に女性はいない、軽い、特徴的な双子だって、人間じゃない。
    男女の関係を自然なもののように扱おうとしているけれど、とても薄っぺらく、そもそも人間じゃない。
    人間がいないのに、人間の心を語っているようで違和感。

  • デビュー作『風の歌を聴け』と、二作目の本作はまだ未熟だった頃の作品だから、と海外での刊行が一切されていないそうですが、その理由が分かった気がする。未熟というよりも、書きたいものとか今までの人生で考え続けてきたものがたまりに溜まって、それをなんとか形にして出さなきゃって思って、様々な表現を取りながら溢れ出ている、そんな感じ。物語として成立しているよりも、どっちかっていうと本当に真摯な告白のような、そんな気がする。これからの創作に向けてのパワーみたいなものがひしひしと感じられて、でも途方もない行き場のなさ(それも一種の今後のテーマとなっていくでしょうが)もあって、原点みたいなものを感じてわたしは好きだなあ。それにしても、わたしは女で、なんていうか、まあそれなりに一生懸命生きていて、悩んでいることに突き刺さるようなものが書いてあって、ほんとうになんだかなにが可能なのか分からない悲しさ、ほんとうに悲しくて眩暈がするような切実な悲しさを感じて、胸が痛かった。

  • 鼠の感じてる焦りとか不安とか悲しさとか息苦しさとかわかるようなわかんないような
    彼女に何も言わずにさよならしちゃうような心境なんだろうね

    双子ちゃんがなごみでした
    配電盤のお葬式とかかわいいなー
    僕は相変わらずですね
    朝起きたらベッドに双子の女の子がいたら!いいなぁー

    20140102

  • 雰囲気が、とてつもなく好き。
    この小説の時代に行ってみたい。

    流れていく時代と、
    おいつけない自分。

    まだ捉えきれない、すべて。
    ただ、雰囲気が、凄く良い。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「この小説の時代に行ってみたい」
      ジェネレーションギャップを感じるなぁ~
      「1Q84」読んだので、急に色々読み返したくなってます。。。
      19...
      「この小説の時代に行ってみたい」
      ジェネレーションギャップを感じるなぁ~
      「1Q84」読んだので、急に色々読み返したくなってます。。。
      1973の私は思いっ切り背伸びした半大人で、世間をナメテました。今やっと2/3くらいになったかな(成長してません)
      2012/08/21
  • 再読
    風の歌を聴けと続けて読めたのでよかった。おもしろい、やはり昔読んだときより分かる気がする

  • 作中に多く登場するビール。ビールは喉越しだ。口の中で転がしてゆっくりと舌で味わうものではない。そういう事だろう。

  • 何十回と読んだ本。久しぶりに再読。
    この本の魅力はやっぱり双子。
    そして今の季節にぴったり!
    美味しいコーヒーが飲みたくなる。

    1番好きなシーンは配電盤を取り替える所。

  • 「風の歌を聴け」と一緒に買った一冊。これが鼠シリーズの第二部だけどつながりがあるようなないような、不思議な感じだった。。相変わらずジェイと鼠の会話はおしゃれだし、僕の会話中の返しはいつも軽妙ですごく好きだった。ただやっぱりつかみどころがなくて、おしゃれすぎるファッションショーをみてると何がおしゃれなのかわからなくなってくるような、読み終えてふわふわした感覚が残る。
    物語の展開がどうとか難しいことを考えずに読んで頭の中を通り抜けていくのをもっと楽しめるようになったら、こういう本も面白いんだろうなあと思った。

    ジェイの「どんなに月並みで平凡なことからでも必ず何かを学べる。」、
    僕の「遠くから見れば、大抵のものはきれいに見える。」
    というフレーズはすごく気に入った。

  • 読み心地や、心象風景がいい感じの作品。つづき。といった感じ。芥川賞に関しては前作で駄目なら今作でも駄目だったはずだ。つづきの作品。って感じ。なので、賞を逃しているから面白くないとかはない。これはこれで十分にワールドに浸れる。

  • 文章をただ読むのではなく、味わうことを教えてくれた作品。
    平凡なひとつひとつの出来事が、オリジナリティ溢れる描写で表現されており、これぞ芸術と思わせてくれるような1冊であった。

  • デビュー作「風の歌を聴け」から「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」までの初期三部作は語り手である<僕>と友人の<鼠>の 『三部作』および「ダンス・ダンス・ダンス」を加えて『四部作』と呼ばれている。
    この本では<僕>の話しと友人の<鼠>話しがパラレルに進行している。
    <僕>のガールフレンドの直子は3年前に自殺した。
    『スペースシップ』で<僕>がハイスコアを出して3年。
    『スペースシップ』はなくなり、<僕>は直子の死に捉えられている。

  • 作者を隠して読んでも村上さんの作品と当てられそうなほど濃い世界観のある作品。
    日常には起こらなさそうなことばかりだけど読んでいるとなぜか日常を感じる。
    また読もう。

  • 筆者の言葉を借りれば、この作品は出口のない物語かもしれない。俊逸なテーマ性や出来事が起こるわけではない。静謐でただ少し投げやりな退廃な世界が綴られる。小説としては良作とは言いにくい。

    しかし本作で使われる文章は美しい。小刻みで軽やかだけど深淵で哲学に富んでいる。一番にはならないがふとしたときに読みたくなる作品だ。

  • 内容紹介
    僕たちの終章はピンボールで始まった
    雨の匂い、古いスタン・ゲッツ、そしてピンボール……。青春の彷徨は、いま、終わりの時を迎える

    さようなら、3(スリー)フリッパーのスペースシップ。さようなら、ジェイズ・バー。双子の姉妹との<僕>の日々。女の温もりに沈む<鼠>の渇き。やがて来る1つの季節の終り――デビュー作『風の歌を聴け』で爽やかに80年代の文学を拓いた旗手が、ほろ苦い青春を描く3部作のうち、大いなる予感に満ちた第2弾。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    前作1970年から少し時間のたった世界。
    冒頭で、「僕」は29歳、「鼠」30歳と言うくだりがあるけれど、本文内ではたぶん「僕」24歳で「鼠」は25歳。

    この作品では「鼠」が自分の今後に立ち止まってしまっていて、もう25歳なのに、みたいな思いを巡らせるシーンもあるし。

    それに比べて「僕」は至極順調な生活を送っている。
    得体の知れない双子の女性を飼い(って表現はおかしいけどたぶんそのものだと思う)、翻訳の仕事をし、毎日淡々とながらやるべきことのある日常を送っている。

    双子と彼の会話がまた意味不明...
    まーったくかみ合ってないよね(苦笑
    いやもう、春樹さんじゃなかったら本投げてるわ(笑
    「なんじゃそりゃー」ってw

    メモってないのでどこって聞かないでねw
    読めば分かります、たぶんw

    にしても、前作が村上春樹の中でのご挨拶的作品とすると、今作はそこからいろいろと派生して今後のテーマやメタファーになりうるものがたくさん出て来たように思います。

    ノルウェイの森に出てくる「直子」さんも、ちら見せ。
    いや、この本でもすでにもう亡くなってるようなんです。
    ちゃんと読まないと因果関係がまだちょっと分からないのですが。

    「沼」とか「海」とか「川」とか水のメタファー、
    ピンボールに象徴される旧時代の輝き、
    出会いと別れ...

    この後の村上作品に通じるたくさんのものを見ることができる作品のように思います。

    双子の素性が気になるな~。
    どこかでまた出会うことがあるのでしょうか。

    物語の後半で、やっと?ピンボールの話が出てきます。
    この作品では「僕」と「鼠」の直接の関わりはなく、ピンボールの思い出として少し語られるくらい。

    ピンボールって正直パチンコ様のものしか浮かばないんですけどそれで正解ですかね?不安。

    でもピンボールと言う遊具が、このほんの少し前の時代のキラキラ感を象徴するアイテムだったんだろうな、と。

    そしてやっと求めたピンボールに出会えたとき、
    彼女らは暗く大きな倉庫にしまわれている...

    そのピンボールの行方も、作品に共通する退廃感と混じり合って全体の雰囲気を強調してる気がします。

    さて、次は大作と言われる「羊たちの冒険」。

    ピンボールを見つけた僕、旅に出た鼠。
    彼らがどのようになっているのか、再会を楽しみにしています^^

  • 物語としてはよくわからないけれど、僕も鼠も過去の思い出を失って、また新たな道を歩き始めたのかなと思う。
    こんな意味のわからない話を読ませられるのが、さすが村上春樹、という印象だった。

    僕とか鼠とかジェイに近い歳になれば、もっとわかるかも。

    • yuu1960さん
      「ノルウェイの森」が評判になった頃、作家の小林信彦さんが直子の死はピンボールで既に触れられていると指摘されて、吃驚した覚えがあります。

      ...
      「ノルウェイの森」が評判になった頃、作家の小林信彦さんが直子の死はピンボールで既に触れられていると指摘されて、吃驚した覚えがあります。

      直子の死を知り、僕は遠い駅に出かけ帰っていった。厚いオブラートの底にある深い哀しみと喪失の物語だと思います。
      村上さんは読者のためよりも、なによりご自身が物語を必要しているように思います。

      「羊をめぐる冒険」は村上さんにとっても転機になる作品。楽しんでくださいね。
      2015/02/23
  • 追憶のピンボール1973

    なんとなく本屋さんで時間を潰さなくてはいけなくなり、色々と立ち読みした末に辿りついたのが、1973年のピンボール(文庫版)

    もちろん今までに数え切れないくらい読み返してきた一冊。

    最近久しく読んでなかったので、なんだか新鮮でした。

    ちなみにぼくはハードカバーでしか村上春樹を読んでこなかったので、文庫で立ち読みするというのがまたよかったです。

    ハードカバーのピンボールはまだ印刷も活版でなんだかいい感じです。

    もちろん立ち読みで全て読み切れるわけもなく、もちろん帰宅後本棚からひっぱりだして立ち読みの続きを読みました。

    何度読み返しても新しい感触があってじんわりします。

    初めてこの本を読んだとき、ぼくはまだ会社員でただただ毎日仕事終わりに村上春樹の小説をむさぼるように読むのが楽しくて。

    そんな時代のことも小説の内容とオーバーラップして、二重で心に染み入るものがありました。

    時を越えて、変わるもの。変わらないこと。

    忘れること。思い出すこと。

    そんな感情の揺れを味わいながら。

    • iikazeさん
      本当に、
      大分前に読みましたが、はっとりさんのレビューを読ませて頂き、また読みなおしたいと思いました。
      すんなりと物語の世界に入り込め、...
      本当に、
      大分前に読みましたが、はっとりさんのレビューを読ませて頂き、また読みなおしたいと思いました。
      すんなりと物語の世界に入り込め、新たな感覚に触れさせてくれる一冊です。

      このところの村上春樹さんの作品は、
      読めていませんが!!!
      2014/08/03
    • はっとり ふみたかさん
      iikazeさん
      コメントありがとうございます^^何度読んでもいいんですよね。これ。

      最近の作品も好きですが、初期の作品もまた初期特...
      iikazeさん
      コメントありがとうございます^^何度読んでもいいんですよね。これ。

      最近の作品も好きですが、初期の作品もまた初期特有の“危うさ”みたいなものがなんともいいです。

      いい本は何度でも味わえますね。
      2014/08/03
  •  私の中にある、漠然とした村上春樹のイメージにもっとも近い作品のように感じました。

     何がどうしたというほどのストーリーはないように思うのですが、ついつい引き込まれて読んでしまいます。

     私が思っているよりも深い中身があるのだと思いますが、そういうことを考えなくても、たっぷり楽しめる1冊です。

  • 登場人物同士の関係性がきわめて希薄な物語だった。「僕」と「鼠」とが、ほぼ交互に描かれるが、ほんのわずかな回想シーンで時間を共有するだけで、それ以外には全く交点を持っていない。また、「僕」が一緒に暮らしていた双子には名前がないし、208,209などと記号化してしまっている。「鼠」の相手にもやはり名前はなく、単に「彼女」と呼ばれるだけだ。表題にもとられたピンボールの無機質感や空虚感もあいまって、物語全体を一種のニヒリズムが覆うかのようだ。

  • 立て続けに村上作品読んでたときはだいぶ慣れて大丈夫だったけど…。
    久々に読んだら、読み進めるのが正直苦痛でした(笑)
    短いお話でよかったー。長かったら挫折してたかも。
    そんなわけで、むっちゃ流し読みしたせいか、意味をまったく理解できないで終わってしまった。
    「僕と鼠」シリーズ(?)の1作目なのに最後に読んだのが悪かったのか。
    でも「羊をめぐる~」に続く感じはわかったのでよかったかも。
    「羊を~」は内容覚えてるくらいおもしろかったんだけど、この作品は忘れると思う(-_-;)

  • きょう読了。村上春樹の初期作品?
    カフカがだめだったので、初期ならいけるか?と思っていたのだけど、こちらの方がもっとだめだった…。独り善がりさが、無自覚にさらけ出されていすぎる感じ。鼠の描写が短すぎる気がしたのだけど、これは意図したものかしら?
    私には、ハルキはやっぱりだめなのかなぁ。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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