羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 14867
感想 : 833
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749121

作品紹介・あらすじ

あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている二十一歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。北海道に渡ったらしい"鼠"の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。新しい文学の扉をひらいた村上春樹の代表作長編。

感想・レビュー・書評

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  •  村上春樹さんの小説って何でこんなに読みやすいのだろう。訳わからないのに、まるでマグリットの絵のようなシュールな世界に惹き込まれてしまう。
     妻と離婚した“僕”はある日、耳専門のモデルの女の子の“耳”にどうしようもなく惹かれ、その子と付き合い始める。そんな時、“僕”が友達と共同経営していた小さな広告代理店に不思議な男が訪ねてくる。男がいうには、先だって“僕”の会社で作ったある生命保険会社の広告が問題だと。そこに使われている北海道の羊の群れの写真が問題なのだと。「今すぐにその広告の発行を差し止めなければ、我々は君たちの会社など簡単に握り潰してしまうことが出来る。」と言って、その男は日本社会のほとんどのことを牛耳っている右翼団体に属しているいうことを匂わす。
    なぜ、そんなに羊の写真が問題なのかと、淡々と尋ねる“僕”に、その不思議な男は虫眼鏡を出して、「良く見てみろ。一頭だけ種類の違う羊がいるだろう。」と。よく見ると何十頭いる羊の中に、一頭だけ背中に変なマークの入った羊が。それが、その男のボス(先生と呼ばれている)にとって、大事な意味のある羊なのだ。だからその広告の発行は差し止めろ、それがどうしても出来ないなら、その羊を探し出してもらう。さもなければ、君たちの会社に未来はない。と脅迫する。
    “僕”は脅迫されても「どうせ自分にはこれ以上失うものなんか無い」と思っていたが、どうも“僕”には、その男にも読者にも言っていない、ある友達と羊との関係が気がかりであるらしく、結局、会社を辞めて、件の羊を探しに北海道まで彼女と出かける。ここで上巻は終わり。
     中心になる筋は書いたが、“僕”の過去については秘密めいているし、伏線になりそうな友人や彼女が登場したり、くっついたり、離れたり亡くなったり…なんか真ん中が見えない不思議な話。デ・ジャ・ブのような夢のようなシュールな光景の中に、“裏社会を牛耳る右翼”の影だとか、くっきりと具体的な恐怖みたいなのが影を落としたり、タバコの匂いまでがオシャレであった60年代〜70年代の退廃的な若者の姿を描いていたり、惹き込まれる要素満載。
    下巻につづく。

    • たけさん
      おはようございます。
      村上春樹さんの小説がマグリットの絵のようとの表現、目から鱗です。確かにそうですね!
      おはようございます。
      村上春樹さんの小説がマグリットの絵のようとの表現、目から鱗です。確かにそうですね!
      2022/01/20
    • Macomi55さん
      おはようございます。朝から嬉しいコメントありがとうございます!
      おはようございます。朝から嬉しいコメントありがとうございます!
      2022/01/20
  • 鼠三部作3作目の上巻。
    僕が事件に巻き込まれる。
    不思議な話。
    リアルの中にアンリアルが混ざっている感じ。
    こういう展開好きです。
    とうとう北海道へ。
    運転手好きです。

  • この本を読んだのは人生で2度目です。
    1度目は高校生の時。面白くて著者の本をよく読むキッカケになった本です。
    サスペンスと文学的表現、大衆小説的読みやすさのどれも持っている小説だと思います。

    村上春樹に興味ある人にはオススメの小説です!

  • この本の中にはずっと暗い陰鬱な、それでいてすっきりとした不思議な感じが漂っている。喪失感が離れず、でも心地よい雰囲気が伝わってくる。

  • この本を読んでわたしは村上春樹の長編小説世界はちっとも面白くないと思ってしまったのですが、中学生のわたし、なにをよんでいたの?って疑問になるくらい面白かった。風の歌〜ピンボール〜羊と改めて読んでみて、段々としかし着実に物語の土台ができてきて、どんどんきちんとしたものになっていくかんじ。代替可能性への絶望がほんとうにほんとうに涙が出るくらいにつらい。村上春樹の比喩表現の突拍子もなさがわたしはとてもすきだ。村上春樹の書く女のひともすきだし、そんな女のひとと一緒にいる男のひともすきだ。2人の閉鎖的な会話もすきだし、世界を正確な言葉で概観していくその姿勢もすきだ。なんかもう全部がほんとうに大切で困る。

  • 妻が去っていった僕。
    写真の中の一頭の羊、そして街を出ていった親友を追って札幌から北の奥地に辿り着く。

    猫に関する描写が僕という人物を象徴的に描く。
    個人的にメンタルを削られずに読了できる本作はエンディングが理由かな。
    ファンだが読むには勇気が

  • 相変わらずの描写。面白い。
    数ヶ月前に読んだ2作の続きをやっと読みはじめた、
    日々のどうでもいいこと、無駄なこと、失敗や絶望、そんなこともまぁいいなぁと思ってしまう。

    “職を失ってしまうと気持ちはすっきりした。僕は少しずつシンプルになりつつある。僕は街を失くし、10代を失くし、友達を失くし、妻を失くし、あと3ヶ月ばかりで20代を失くそうとしていた。60になった時僕は一体どうなっているんだろう、としばらく考えてみた。考えるだけ無駄だった。1ヶ月先のことさえわからないのだ。"

  • 村上春樹らしい抽象的な、でもなにか人の本質を突いているのでは…と思うような話だった。
    人が折り目正しく生活をしている描写が好きで、そうすることで困難に抗っているのだ、というのを何かで読んだ。

    後半の急展開はしばらく何が起こっているのか分からず取り残されたのが村上春樹の話だな〜という感じだった。
    弱い人間と強い人間についての語りは興味深く、強い人間がいればいるほど、弱い人間もいるものだよな。でも弱い人間は見えにくく、それも弱さに追い討ちをかけるのかもしれない。

    森の中を彷徨うシーンはどことなく海辺のカフカのようだなと思っていたら、かなり近しいものがあった。

  • (2019.10.8 再読)
    ほぼ4年ぶり。あんまり覚えてないけど初回で読んだときよりもずっと深く物語に入り込めてるような気がする。いとみみず宇宙。

    「もちろん誰とでもいいってわけじゃないのよ。嫌だなって思う時もあるわ。でもね、結局のところ私はいろんな人を知りたいのかもしれない。あるいは、私にとっての世界の成り立ちかたのようなものをね」

    「あなたと寝てみたいわ」と彼女は言った。
    そして我々は寝た。

    たとえ何が起こるにせよ、まだ何も起こってないんだ。そして何かが起こったとすれば、それはもう起こってしまったことなのだ。

    「本当は何も変ってないとしても、そういう風には思えないのよ。思いたくないのね。そう思っちゃうと、もうどこにも行けないのよ。だから自分ではすっかり変っちゃったんだと思うようにしてるの」

    「若いうちに結婚してすぐに離婚するって結構つらいのよ」と彼女は言った。「簡単に言ってしまうと、とても平面的で非現実的なものを求めるようになるのね。でも非現実的なものって、そんなに長くはつづかない。そうじゃないかしら?」


    冬に読むのがおすすめと言われていたけど、どうしてももう読みたくなって読んでしまった。
    僕、大人になったなー。もう30歳か。
    ガールフレンドを高級レストランに連れて行ってワインを飲むシーンの凝縮された食費の味がした。って表現は本当にツボすぎて噴き出した。
    この淡々と真面目に冗談を言う感じがなんとも好みです。
    内容はちょっとミステリチックでとても面白かった。
    ただ会話の中に形而上学的な話やら互換性やら複雑な仮説やら、少し難解だった。
    冒険に出ようと決めてからのガールフレンドとのやりとりがとても印象に残った。
    彼女の行動力と決断力素敵。
    今が今だとはどうしても思えない感じ、わかるなあ。
    私も北海道行きたーい!

  • 青春三部作の完結編。
    だけど前作とちがって、謎解きのようなスリルも味わえて楽しい。
    下巻が楽しみ。

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著者プロフィール

1949年 京都府生まれ。著述業。
『ねじまき鳥クロニクル』新潮社,1994。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』新潮社,1985。『羊をめぐる冒険』講談社,1982。『ノルウェイの森』講談社,1987。ほか海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞、2016年ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞を受賞。

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