羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 10903
レビュー : 629
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749138

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹独特の個々の表現や感受性、またそのようなレトリックを用いながら綴られる、鼠が「僕」を媒介に悪の組織を壊滅させるという物語はそれら単体で読み応えがある。文章の端々から感じる、60,70年代の近代化に対する「僕」のなんとなく居心地の悪い感傷も興味深い。

    一方で、この小説の主題を読み解くのは難しい。自分の人生が自分の人生でないような、しっくりこない退屈な日々。幾度もの喪失。そんな中で外発的な経緯から始まる「何か」を探す旅。そうして最後にはまた全てを失ってしまう。

    鼠3部作の通奏低音としてあった「直子の死」が、最後の慟哭を通じて遂に終わりを迎える。長い悲しみの末、「僕」は、行き先はわからないとはいえ立ち上がる。

  • 上巻のみ持っていたが古本屋で見つけて手に取った一冊。村上作品を読んだ後いつもこうなる。読み切った感じすっきりしているけど内容はあんまり残らない不思議な感覚。むしろ内容が頭に残らないからすっきりしているのかもしれない。ビールをうまそうに飲む描写や僕のこざっぱりしたやり取りとかどこかレトロで涼しくて、心地がいい。また読みたくなる時があると思う。

  • 1年ぶりに再読。1度目には読み取れていなかったところが見えて来て、2度目の方が衝撃が大きい。
    井戸の底のような暗闇の中で異次元体験をするエピソードは<ねじまき鳥クロニクル>を読んだあとだと一層しっくりくる。
    もう一度読みたくなる!

  • 僕が鼠≒羊男≒羊を探す物語。
    妻に出て行かれた僕が、耳のモデルをしている女の子と出会う。ある日僕の共同経営者のもとに黒服の男が現れ、羊の探索を脅迫的に依頼する。僕は女の子とともに、羊が写った写真の背景にある山と、その写真を送った鼠を探しに、北海道、いるかホテル、そして山奥の十二滝町へ。そこで羊男と出会う僕は、そこに自分が連れてこられたことが黒服の計算、および鼠の願いであったことに気付き憤慨するが、死んだ鼠と僕は再会を果たし、女の子を失った喪失感と鼠の死への悲しみを抱えながら僕は山を下りる。

    100パーセントの耳を持った女の子が印象的。そこでは全てが膨張し凝縮する。そんな感じの記述が村上春樹らしくて良い。
    ストーリーはあるがプロットはないように感じる。言い換えれば、物事の因果関係は不透明で、スピリチュアル。そこが春樹的。
    風の歌、ピンボールに次ぐ青春三部作最終作で、春樹にしては若い。前二作はストーリーの魅力に欠けるように感じてしまってあまり好みではないが、この作品がダンスダンスダンスなどある意味では大衆的なストーリーの魅力を含んだ作品へと進化していく曲がり角であるように感じる。
    僕の感情は記述から多く排除されているように感じるが、エピローグでの旧友鼠と会えた懐かしさ喜びと、彼を失ってしまった哀しみは旧友ジェイとのやりとりから伝わってくる。青春三部作と呼ばれるのも分かる。

  • 本当に、これぞ村上春樹という作品。

    良くできている。
    爆発とか。

    やっぱり去っていくところとか。

    鼠が先生の と考えると、また読み味が変わったものになった。

  • 2回目。
    「僕」と鼠は似た者同士であり、また違っている者同士でもあった。
    両者とも退屈をこよなく愛するが、「僕」は凡庸性、鼠は非凡庸性を持つ。
    非凡庸性を持つものに羊は取り憑き、対象を大きく昇華させていくが、鼠はそれを拒んだ。それは、彼が自分の「弱さ」が好きだったから。

  • どんどんといろんなことを拾い集めていって絡まっていってそれが読み手をどんどんのめり込ませて、だいたいどんなことにも意味はあると気づくとそうだなぁと思えるし、どんなところにも人の一生って転がってるんだなって思えた。
    それからいるかホテルの人には幸せになってほしいです。
    鼠と主人公との対話なのか対話ではないのかの後の訪れる虚無とか考えたら言いようのない何の感情もないような涙が出てきて、終わるっていうこと終わらせるっていうことはただただ人に無を与えるし正直読後疲れたけどなるほどまぁ冒険だしなと思えました。疲れたくせに人にはめちゃくちゃ薦めたい。

  • シンプルかつシュールで村上春樹ワールド全開。
    (良くわからなかったけど)ワールドを楽しんだ。

    主人公の仕草とかなんか真似したくなるんだな。

  • 主人公は孤独だけどなぜかかっこいい
    2017

  • うん、こんな感じで謎は謎のまま終わるよね。
    主人公は今の僕と大体同じ年齢。この時期に読めて良かった。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。2019年8月7日発売の『文学界』でロングインタビュー「暗闇の中のランタンのように」掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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