羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 10903
レビュー : 629
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749138

感想・レビュー・書評

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  • この小説の醸し出している不気味さと軽快さと空しさが大好きで、学生時代に何度も繰り返し読んだ。

    ぐいぐいと僕を引っ張っていくガールフレンドの存在感を感じていたし、喪失した僕のやり切れなさが、羊男を通じて伝わってくる。通じさせるのが羊男という、非現実的存在だから良い。読んでいて夢心地だ。

  • 北海道を背景に描かれる「羊」をめぐる物語。

    それは過去の自分からのメッセージのようでもあり

    未来からの挑戦状のようでもあり。



    読み終わった時の脱力感がすごい。

  • 奥が深すぎて、よかった、としか言いようがない。
    この本に関してあれこれ説明をつけるのは、もったいないような気がする。ずっとこの世界に浸っていたい。
    羊男、いいなぁ。

  • ある組織に巻き込まれて彼女とともに“羊”探しの旅に出た“僕”は北海道の奥へ奥へとと進んでいく。

    いるかホテル、羊博士、羊男、そして今まで姿を消していた“鼠”など、僕の行く先で待ち受けている個性豊かな面々とそこに張られている伏線の数々。

    想像を超えたスケールで描かれる著者の果てしなき精神活動の恐ろしさには、畏怖というにふさわしい感情に支配され、戦慄を覚えずにはいられなかった。

  • ラストの僕と鼠の再会のシーン。「僕は僕の弱さが好きなんだよ」という鼠の言葉を見た瞬間涙が出てきた。

  • 野間文芸新人賞受賞作
    北海道に渡ったらしい<鼠>の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。新しい文学の扉をひらいた村上春樹の代表作長編。

  •  村上春樹がまだ手練手管の書き手ではなくて、もしこれから『1Q84』なんかを読むならその前にこれを読んでください。そしてこれが書かれたのが何年だったか考えよう。村上春樹は高橋源一郎の『さようならギャングたち』(群像'81年12月号掲載)を読んで『さようなら~』が看過出来ない小説なのはよくわかっただろうしこの『羊~』(群像’82年8月号掲載)にはしっかり『さようなら~』を読んだことが刻まれている。
     語り部は、育った街を流れる川の河口で最後、泣いた。北海道に行く場面がもちろん重要だが、この物語は終始この(作中でふるさとの街の地名は明記されないが)芦屋川の河口のあたりに立ち尽くして語られているとぼくは感じる。『羊~』が書かれた1981~82年頃、かつての芦屋浜海岸沿いにはまだ谷崎潤一郎記念館も芦屋市図書館・美術館もなくてさみしい場所だったろう。いまはその先に二段階にわたって埋立地に住宅街が造成され、阪神淡路大震災を乗り越え年月を経て、ここで育った子供から同じものを奪いたくないとすればいまさらそれを取り消せとも言えない。村上春樹は現在に至ってもこの源泉を抱えているように見える。

  • 村上作品の中で、初めて主人公が旅に出かけたのではないかと思います。


    歳をとるにつれて色々なものをなくし、シンプルになっていく、、、やはり孤独がテーマ。

    のちの村上作品の原型的な作品だと思います。

    それにしても、冬の北海道、旭川行ってみたくなりました。
    行ったら後悔すると思うけど。

  • 四半世紀ぶりに再読した”青春三部作”の最後。

    『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』の全体を
    包んでいたカラカラに乾いた空気感が、この『羊を
    めぐる冒険』で少し変わってくる。

    耳モデルをやっている彼女、ある政治家の側近と
    思われる男、運転手、そして羊男。

    普通の小説ならかなり奇妙な存在に思えるこれら
    登場人物たちも、この空気感の中では適度な湿気を
    持ち込む存在。だから、何の違和感もなく迎えること
    ができる。

    それにしても、四半世紀前に、こんなに切ない読後感
    を自分は持ったんだろうか。あまり記憶にないのが
    ものすごく残念。あの時の自分と語ってみたい。

  • 何度読んでもラストのジェイとの会話でいつも泣いてしまう。鼠の現れ方。死の確認。青臭くても、たとえスタイルだけだとしても、とにかく大好きだ。当時の日本文学にこんなのなかっただろうな。 20090504

    再読 11111111 19960219 20000502

著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。2019年8月7日発売の『文学界』でロングインタビュー「暗闇の中のランタンのように」掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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