羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 11669
レビュー : 680
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749138

作品紹介・あらすじ

美しい耳の彼女と共に、星形の斑紋を背中に持っているという一頭の羊と"鼠"の行方を追って、北海道奥地の牧場にたどりついた僕を、恐ろしい事実が待ち受けていた。一九八二年秋、僕たちの旅は終わる。すべてを失った僕の、ラスト・アドベンチャー。村上春樹の青春三部作完結編。野間文芸新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 台詞に、思想に、ハッとさせられながらも、どこか全てに薄く靄のかかっているようで、私は半分眠っているかのような不思議な感覚のまま物語は進んでいった。

    実は、村上作品を読むのはこれが初めてだ。タイトルはもちろん、ともすればお話のあらすじまで各所で紹介されていしまいそうなほど有名な作品たち、そして作家でありながら、どこか避けていた。なんだか不思議な話を書くのだろう、などというあやふやな見識で自分の理解力の無さを包み隠していたのだと思う。読んで難しい、理解できないと分かるのが怖かったのかもしれない。可哀そうな自尊心だ。

    読み始めると、思いのほかお話は理解できた。(正しい意味の理解かどうかは定かではない)調子よく読み進んではいくが、前述の通り、どこか靄のかかったような、不思議な感覚のまま。

    しかし突然に痛みが走った。

    「そうだよ」と鼠は静かに言った。
    「救われたよ」と鼠は静かに言った。

    一般論の国では王様になれる僕と弱さや夏の光や僕と飲むビールがすきな鼠。

    届いた手紙と写真と小説、ブランデーとチーズ・サンドウィッチ。

    きっと作者の言いたいことは分かっていない。それでもこれは私にとっては悲しい物語なのには違いなかった。最後まで読んだ後、何度も何度もいろいろな部分を読み返している。

    上手く言葉にできない。昨日の夜から喪失感が消えない。
    そういえば、私は今ちょうど鼠と同じ歳だ。

  • 上下巻の感想です。
    最初から最後まで全く飽きることなく楽しめました。
    わたしにとっては、羊シリーズの中で最初に読んだ作品です。
    (お勧めされて、羊→ダンス→風の歌→ピンボールの順で読みました。これが大正解でした!!おかげで4作品全て楽しめました!)

    ストーリーはひと言で言うと題名そのまま、"羊をめぐる冒険"なのですが、都会で孤独に暮らす主人公と、旅の中で出会う人たちがとても魅力的です。
    そしてその出会いはすべて引き合わされたものであり、不思議な世界・謎解き・恐怖・愛情・友情にワクワクドキドキしながら進みます。
    人間を操ることができる羊は夢に出てきそうなくらい恐ろしい存在ですが、耳が素敵なガールフレンドとお互いを想い支え合いながら旅をしたり、ドルフィンホテルのオーナーや羊男など、どこか憎めない可愛らしいキャラクターも出てきます。
    もちろん最後はちゃんと真相に辿り着き、不思議な冒険を終わらせることができます。
    帰りの汽車に乗っていると、さっきまでいた山の方から爆発音が聞こえてきて、窓から煙を見ているラストシーンは、ようやく長旅が終わり、解放されてハッピーとは言えない、旅の終わりの疲労感、旅で失ってしまった数々のものへの哀愁を主人公と一緒に感じました。
    本当に主人公と一緒に冒険をさせてくれる本です。
    そして、こちらを読んだらそのまますぐにダンス・ダンス・ダンスを読むことを強くお勧めします!

  • 奥が深すぎて、よかった、としか言いようがない。
    この本に関してあれこれ説明をつけるのは、もったいないような気がする。ずっとこの世界に浸っていたい。
    羊男、いいなぁ。

  • ノルウェイの森がセックスと死を描いた作品ならば羊をめぐる冒険は友情と死を描いた作品なのだろうか、、。
    鼠は羊と心中して死んでいったわけだが羊がなんのメタファーなのか全くわからなかった。村上作品に挑むには僕の頭脳はいささか鍛錬を欠いているのかもしれないがその描写の美しさだけでも味わう背伸びを許して欲しい。
    北海道の美深町を元にした作品ということで先日北海道に行ったときに高速で横目に見てきたがなんというか空気が尖っていて、人を研ぎ澄ます一方で死に近づける静謐な街という印象を受けた。どことなくただの田舎には思えない、思わせない何かがあったように感じる。

  • 三部作の中で1番物語性があったような感じる。
    そして、なにより最後の涙。

  • 『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』の続編にあたる作品とは知らず、他2作品を読まないまま手を出してしまいました。いまいちストーリーがわからないまま終わっちゃうなあと思ったら、通りで。
    他2作品を通して「僕」と「鼠」の関係を見てきてからのこの作品の流れがあるからこそ、あのラストに漂う物悲しさ、淋しさをより鮮烈に感じられるんじゃないかと思うと、なんて勿体ない読み方をしてしまったんだろう…と後悔しきりです。三部作全部揃えて、今度はちゃんと順番に読みたいです。

  • 多くのなぜ?が残った

    エピローグの会話が心地良かった

  • 十二滝町へ行き、いるかホテルで羊博士に会い、謎の羊つきの 過去に 男からの依頼。

    全てがつながったとき!!!

    そして鼠。なぜ、星の羊は鼠を選んでた。だから鼠はああいう結末で決着をつけた。ううう。辛い。

    再読して覚えていたことはただ1つ。鼠の行末だけだったんだけど。今回はしっかりと頭に刻み込まれた気がする。

    また読むときが来ると思う。

  • 村上春樹は嫌い、と思ってたけど、違った。
    村上春樹作品の、性描写とお手軽すぎる女たちが嫌いだったの。
    ストーリーそのものは読ませるよね。実際、嫌いと言う割に複数作品読んでいるのがその証拠。
    食べ物もすごくおいしそうに書くし、言葉遊びも不思議で魅力的。

  • 僕と鼠の三部作、まさかこんなことになるとは…
    牧歌的な情景描写がとても多く、北海道の雄大な大地と壮大な自然が目に浮かぶようだった。
    まるで何もない牧場での日々で、ひたすら食事とお酒が美味しそうで、いっそそれらが際立つように描かれていた。
    鼠のもつ厭世観、無常感がどうしようもなく悲しかった。

    羊といえばそれこそ愛らしくて、柔らかくて、暖かくて、幸せの象徴かのような動物なのに、この世界におけるメタファーとのギャップがすごくて不思議な気持ちになった。
    本当の弱さにつけこむ羊。
    私も身体のどこかに羊を飼っているような気すらする。
    やるせなくままならないその感情も、羊だと思えばなんとか愛せるかもしれない。

    (2019.10.26 再読)
    朝帰りの電車の中で。
    私に村上春樹を教えてくれた彼は羊をめぐる冒険がいちばん好きだと言っていたなぁ、と思い出しながら読んだ。北海道十二滝町、行ってみたい。積もる雪と積もらない雪があるのは少しわかる。暖かな山奥の小屋にこもってパンを焼きながら、ウイスキーロックを傾けて降り積もる雪をぼんやりと眺めてみたい。僕とも鼠とも、これっきりでお別れだとは到底思えないんだよな。30歳。そこにたしかにあった時の流れのことを考えた。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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