シルエット (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749268

感想・レビュー・書評

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  • 人を好きになる気持ちは、いつも同じじゃない。だからこそ人は傷付いても、また人を好きになることを繰り返す。

  • 私には私の理解の枠があって、誰かには誰かの理解の枠がある。それぞれの理解の輪を重ねれば、それは互いを受容することにつながるのだと思う。
    けれど「私」にも「冠くん」にもそれはできなかった。若さ故かと思いきや、タイミングの問題でしかないのかもしれない。
    「せっちゃん」は受け入れない。受け入れないが、「私」には「私」だけの理解の枠があることを知っていて、そのことは受け入れる。自分とは違うという、忘れがちに当たり前のことを、そういうものとして受け入れる。
    島本作品を読むと、いつも人と人との関わりのかなしさを思う。『シルエット』は、特に色濃く。

  • 「どうして簡単なことに今まで気づかなかったのか。おそろしく難しいと思ってたことはすごく簡単なことで解決したのに」

    冠くんの言葉を聞いて
    自分も何回そう思ったことか…

  • 話の流れよりも言葉の流れを体に感じる作品でした。情景描写による心理描写なんて簡単な言葉で済ませてしまうにはもったいないような幻想的な空間に魅入られてしまいました。

  • 重すぎず軽すぎず

  • こんな風に相手の事を想える。
    とても素敵なこと。
    文体や、間が、表現が綺麗で。
    晴れた日の波間に浮いているような気分で読み進めました。
    誰かの事を考えるって、想うって、とても素敵なこと。

  • どうしようもないことってあるんだなと思った。冠くんに気持ちを伝えて、愛し続けた女の子。この子の気持ちに応えられなかった冠くん。母親の話を聞いて、自分の不甲斐なさに気付いたけどもう遅かった。次の恋に進んでいた女の子も冠くんも、最後のもどかしさは言葉に出来ないな。

  • 「彼は雨のような人だった」という冒頭から始まる時、何みたいな人だったんだろうなと記憶を久々に取り出した気持ちがあった。
    せっちゃんが「あなた」と主人公を呼ぶたび、私のことをあなたと呼んだあの人がいちいち呼び起こされて、こうして記憶はその形のまま私に残っていて、なんでもないこんな小説を読んでる時にその事を自覚するんだなと非常に落胆

  • この人の話は、読むとなんとも言えない気持ちになる。

    いや、その考えはどうよって思うのに、
    その考えが自分自身の嫌なところとぴったり合ってたりして。
    だから結局、あーそうそうって思ってしまう。
    きっとこういう女が嫌いな人は多いのに。
    もう良い年なのに。


    『必要な栄養を与えられなければ人間は生きていけないのだ。』

  • もったいないなあ。
    15でこれを書いてはいけないよ。まだ深層心理からひねり出してないのに、完成度だけ高くなっている。普通に文学してしまっている。
    書かなければいけない、という切実な、どうしようもない自己表現の衝動が感じられないまま、形が整ってしまったかんじ。それがないと、続かない

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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