煙か土か食い物 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3171
レビュー : 558
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749367

作品紹介・あらすじ

腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが?ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー!故郷に戻った四郎を待つ血と暴力に彩られた凄絶なドラマ。破格の物語世界とスピード感あふれる文体で著者が衝撃デビューを飾った第19回メフィスト賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!
    出だしからいかにも眠れない人の頭の中らしく、しっちゃかめっちゃかうるさいのだけど、喧しさは不快ではないし、つるっと滑ったりもしない。すごく忙しく動き回ってるけど、バスケットボール選手の足元のように、キュッキュとシューズが機敏に滑り止める感じで危なっかしさはない。うまい。湿っぽいのもシリアスなのも嫌いだけどだからといっておちゃらけすぎちゃうのは違うよね、というギリギリ路線の提示、デビュー作からこのブレなさはすごい。
    名前がふざけてるから(ごめん)もっとチャラい人だと思って敬遠していたけど、私的にこの人は本当に作家だと思う。

  • 疾走感のみで書かれた文章。四郎の家族取り戻し計画。
    自殺志願でスピード狂の車に同乗させられてドライブするみたいな暴力を逆撫でして悪酔いする運命。本の体裁のために改行されているが本当は同行の上に何層にも重ねられて書かれているのかもしれない、そういった密度と濃度。物語は文体で支えられ、ミステリは瘡蓋として存在する。「読んだ」ことよりも「読んでいる」瞬間で成立する感情。生まれたばかりの小説を焼き捨てるような冒涜と恍惚。
    臨死体験でレイモンド・カーヴァーに会うっていうのはおもしろい発想だし、タイトルもすごくいいよ。

  • 男!男!男!男!男!暴力!暴力!暴力!暴力!暴力!疾走する文体に彩られためくるめくバイオレンス冒険譚。この作品の何がすごいかと聞かれればそのバランス感覚と言うことができるだろう。苛烈な暴力描写は軽快な文章によって緩和され、しかしその軽快な文章もまたライトノベルのような薄さや甘さを帯びることはなく独特のビートを刻み続ける。ミステリーとも冒険モノとしても読むことができるかもしれないが、この小説の根底にあるのはどうしようもない「愛」だと思う。そんな不器用なテーマを暴力でくるんで血で煮詰めてチャッチャッチャッチャッとミステリーをまぶしたような、そんな作品。4兄弟と父親を中心にしたキャラクターの個性もブッ飛んでいるし、絶え間なく登場する福井弁の響きも心地よい。早くも2019年度最強の良書に出会ってしまったかもしれない...

  •  面白いです!
     文章が軽快なロックを聴いているみたいに、グイグイと入ってくるので、スラップスティック的な印象を与えるけど、内容はかなりヘヴィーでシリアス。
     ちょっとグロい表現もあるので、そういうの苦手な人は避けた方がいいかも(映画化されたら間違いなくR指定されるだろうな)。
     推理小説としては、「おいおい」と突っ込みを入れたくなる箇所も正直あるし、不安定な印象も受ける。
     それと作者の個人的趣味嗜好を押し出している箇所(レイモンド・カーヴァや町田康に対する記述など)はやはり素人臭いというか、ちょっと遊び過ぎという気がしないでもない。
     その点が少し残念だったので星4つなんだけど、一読の価値はある非常に面白い作品だとお勧めできます。

  • 甘えと依存と逆恨み、あと逆恨みじゃない普通の恨みで
    ぐっちゃぐっちゃドロッドロの家庭がまず存在し
    それがなんだかよくわからない
    連続主婦殴打事件にまき込まれるという
    ミステリのようでミステリでない
    ちょっとミステリ風の小説だ
    次男はゆがんだ形の愛を父親に向けていて
    父を殺したくもあり、父に殺されたくもあり
    ひょっとしたら母を邪魔に思ってるかもしれない暴力的変態
    つまりなんらかの承認、あるいは証明を欲しているが
    主人公である四男は
    そんなもんなくても愛によって人は自由だと直感しているらしい
    それはだからファザコンとマザコンの戦争なんだな
    とてもおもしろい
    ただ、主人公のトラウマにあたる「煙か土か食い物」
    ってやつの扱いがなんだか
    とってつけたファッショントラウマみたいでアレだ
    くるってる

  • 羊象ライオンが羊熊ライオンになるとこがあってどっちなのよ。そしてドラえもん回収した?
    溺れるナイフの菅田将暉調(方言)に当て嵌めて読んだマザーファッカーー!!Yeah

  • 私にとって初めての舞城王太郎作品

    初めの数ページを読んだとき、なにこの文章?ふざけてんの?って思った記憶がある
    こんだけ癖強い作家なのに芥川賞候補に選ばれてたんだから驚き、そら物議を醸しちゃうよね

    慣れない内は拒否反応出る人もたくさんいると思うけれど、
    一度ハマってしまうと止まらないんだな、これが
    口ずさみたくなるような疾走感にラップのような歯切れの良さ
    内容は暴力とエログロまっしぐらだけどそれも好みだ
    こんな純文学も面白い
    正にエンターテイメントだなあ

    「人間は死んだらどうせ煙か土か食い物なんや」

  • 夏川四郎はサンディエゴに滞在している腕利き医師。
    ある日、母親が事件に巻き込まれたとの連絡を受け、故郷へと舞い戻る。
    連続主婦殴打生き埋め事件の被害者となった母親。
    どうにか見つけ出してやろうと四郎は動き出す…。

    *****

    前半の印象。
    何か小説の”ラップ”みたい…。
    いや、カタカナがおりこまれているということだけではなく、息継ぎ早の文章、まるで急流の動き。
    スピードを感じた。

    推理モノ…というわけでもない??
    けっこう”謎の答え”はスパッ、と答えだけ提示される感覚。

    メインともいえる、四郎の家庭事情はけっこうヘヴィー。
    でも、暗くはならない。
    影はさすけれど。
    えぐい…と感じる表現も多少はあるものの、最後の方で一気に読ませ、少しほろりとさせられてしまった。
    ひとつの希望、それを支えにして、ひとは生きる。

    初めて読んだ、舞城さんの作品。
    前に購入だけしている本もそろそろ開かなきゃだ。

  • 舞城王太郎は、ミステリーの「ミクスチャーロック」だ!
    ミステリーを読んでいながら、まるでラップのリリックを読まされているような疾走感。それでいて重厚で、感情移入できる緻密なストーリー。

    これが、噂のMaijoか。

  • デビュー作は大化けする前の熱量が感じられていいんだよねえ、なんて余裕かまして読み進めていたら、華麗なる蝶への脱皮のごとき大化けを目の前で見せつけられてしまった感じです。いやあ、参りました、舞城さん…。
    舞城さんの頭のよさを持て余してる孤高な感じがほんと好きなんだけど、デビュー作からその魅力はいかんなく発揮されていて嬉しくなる。正視にたえないほどの暴力が描かれるのに、読み終わると不思議とこの世界が少しだけ優しくて悪くないものに思えてしまうマジック。
    しかし、ラスト近くのハンソン『MMM BOP』は反則でしょ?泣きそうになったよ?そして、福井のおばはんの臨死体験に突如あらわれるレイモンド・カーヴァーは結局なんだったのか!

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著者プロフィール

1973年、福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞しデビュー。03年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『淵の王』『深夜百太郎』『私はあなたの瞳の林檎』など著書多数。12年には『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦著)の25周年に際して『JORGE JOESTAR』を刊行。近年は小説に留まらず、『バイオーグ・トリニティ』(漫画・大暮維人)の原作、『月夜のグルメ』(漫画・奥西チエ)の原案、トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』の翻訳ほか、短編映画『BREAK』や長編アニメ『龍の歯医者』の脚本、短編アニメ『ハンマーヘッド』の原案、脚本、監督などをつとめている。

「2018年 『されど私の可愛い檸檬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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