煙か土か食い物 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.79
  • (457)
  • (446)
  • (622)
  • (67)
  • (12)
本棚登録 : 3156
レビュー : 555
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749367

作品紹介・あらすじ

腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが?ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー!故郷に戻った四郎を待つ血と暴力に彩られた凄絶なドラマ。破格の物語世界とスピード感あふれる文体で著者が衝撃デビューを飾った第19回メフィスト賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!
    出だしからいかにも眠れない人の頭の中らしく、しっちゃかめっちゃかうるさいのだけど、喧しさは不快ではないし、つるっと滑ったりもしない。すごく忙しく動き回ってるけど、バスケットボール選手の足元のように、キュッキュとシューズが機敏に滑り止める感じで危なっかしさはない。うまい。湿っぽいのもシリアスなのも嫌いだけどだからといっておちゃらけすぎちゃうのは違うよね、というギリギリ路線の提示、デビュー作からこのブレなさはすごい。
    名前がふざけてるから(ごめん)もっとチャラい人だと思って敬遠していたけど、私的にこの人は本当に作家だと思う。

  • 男!男!男!男!男!暴力!暴力!暴力!暴力!暴力!疾走する文体に彩られためくるめくバイオレンス冒険譚。この作品の何がすごいかと聞かれればそのバランス感覚と言うことができるだろう。苛烈な暴力描写は軽快な文章によって緩和され、しかしその軽快な文章もまたライトノベルのような薄さや甘さを帯びることはなく独特のビートを刻み続ける。ミステリーとも冒険モノとしても読むことができるかもしれないが、この小説の根底にあるのはどうしようもない「愛」だと思う。そんな不器用なテーマを暴力でくるんで血で煮詰めてチャッチャッチャッチャッとミステリーをまぶしたような、そんな作品。4兄弟と父親を中心にしたキャラクターの個性もブッ飛んでいるし、絶え間なく登場する福井弁の響きも心地よい。早くも2019年度最強の良書に出会ってしまったかもしれない...

  •  面白いです!
     文章が軽快なロックを聴いているみたいに、グイグイと入ってくるので、スラップスティック的な印象を与えるけど、内容はかなりヘヴィーでシリアス。
     ちょっとグロい表現もあるので、そういうの苦手な人は避けた方がいいかも(映画化されたら間違いなくR指定されるだろうな)。
     推理小説としては、「おいおい」と突っ込みを入れたくなる箇所も正直あるし、不安定な印象も受ける。
     それと作者の個人的趣味嗜好を押し出している箇所(レイモンド・カーヴァや町田康に対する記述など)はやはり素人臭いというか、ちょっと遊び過ぎという気がしないでもない。
     その点が少し残念だったので星4つなんだけど、一読の価値はある非常に面白い作品だとお勧めできます。

  • 甘えと依存と逆恨み、あと逆恨みじゃない普通の恨みで
    ぐっちゃぐっちゃドロッドロの家庭がまず存在し
    それがなんだかよくわからない
    連続主婦殴打事件にまき込まれるという
    ミステリのようでミステリでない
    ちょっとミステリ風の小説だ
    次男はゆがんだ形の愛を父親に向けていて
    父を殺したくもあり、父に殺されたくもあり
    ひょっとしたら母を邪魔に思ってるかもしれない暴力的変態
    つまりなんらかの承認、あるいは証明を欲しているが
    主人公である四男は
    そんなもんなくても愛によって人は自由だと直感しているらしい
    それはだからファザコンとマザコンの戦争なんだな
    とてもおもしろい
    ただ、主人公のトラウマにあたる「煙か土か食い物」
    ってやつの扱いがなんだか
    とってつけたファッショントラウマみたいでアレだ
    くるってる

  • 疾走感のみで書かれた文章。四郎の家族取り戻し計画。
    自殺志願でスピード狂の車に同乗させられてドライブするみたいな暴力を逆撫でして悪酔いする運命。本の体裁のために改行されているが本当は同行の上に何層にも重ねられて書かれているのかもしれない、そういった密度と濃度。物語は文体で支えられ、ミステリは瘡蓋として存在する。「読んだ」ことよりも「読んでいる」瞬間で成立する感情。生まれたばかりの小説を焼き捨てるような冒涜と恍惚。
    臨死体験でレイモンド・カーヴァーに会うっていうのはおもしろい発想だし、タイトルもすごくいいよ。

  • デビュー作は大化けする前の熱量が感じられていいんだよねえ、なんて余裕かまして読み進めていたら、華麗なる蝶への脱皮のごとき大化けを目の前で見せつけられてしまった感じです。いやあ、参りました、舞城さん…。
    舞城さんの頭のよさを持て余してる孤高な感じがほんと好きなんだけど、デビュー作からその魅力はいかんなく発揮されていて嬉しくなる。正視にたえないほどの暴力が描かれるのに、読み終わると不思議とこの世界が少しだけ優しくて悪くないものに思えてしまうマジック。
    しかし、ラスト近くのハンソン『MMM BOP』は反則でしょ?泣きそうになったよ?そして、福井のおばはんの臨死体験に突如あらわれるレイモンド・カーヴァーは結局なんだったのか!

  • 一つ一つの文章が、一息で読み切れそうな口語体で構成されてて、テンポが良かった。
    多分、作者を隠されて文章だけ読んでも正解することができる。それくらい個性的な文章だった。あと、スムーズに読み進めていく中で、ちらほらと「良いなぁ」と思う表現がさりげなく混ぜ込まれてある。口語体中心で、方言や物騒で下品な言葉がバンバン出てくるけど、不意に現れるその美しい表現が文章にメリハリを与えていると感じた。

    内容は、僕は家族についてだと思いました。作品のテーマだのなんだのは、読み手が好き勝手に受け取ればいい話であって、とりあえず僕は家族愛だと。

    僕自身は三人兄弟で真ん中、言ってしまえば、人数は少ないながら二郎のポジションにいることになる。次男っていうのは一般的にも少し不遇な立場なのかなと考えている。一人目はもちろん初めての子どもだから当然可愛がる。二人目は言っちゃ悪いけど、こ慣れ感が出ちゃうと思う。可愛がられる。それは可愛がられるけど、やっぱりちょっと違うのかなと感じる。三人目は最後の子だから可愛くてしょうがないよね。

    まぁ、大体これが兄弟についてのおおまかな意見です。二郎は反発して反発して、親からの愛情を感じる機会が少なかった。かと言って、丸雄と母が二郎を愛して無かったということはなくて、愛してるのに、上手く行かない家族を見てるのは辛かったです。
    ただ、クライマックスで丸雄が発した言葉を聞いて、僕も四郎と一緒で丸雄を許そうという気になりました。

    気が付いたら僕もまた、四郎で二郎で一郎で三郎で丸雄だったんですかね。
    よく分かりません。


    しかし、ミステリーとしては特に驚きはなかったかなという印象でした。
    強引すぎると思うようなこじつけ(四郎自身も言ってますけど)が多々あり、そんなの知らん!と言っちゃうかもしれないです。だから、ミステリーとして読むことはオススメしないです。

  • 『人生は混沌としていて文脈も主題もなく連続性すら時として失われてしまう。そこにはそもそも理由も原因も根拠もなく結果も帰結も結論もない。』

    『折に触れて読み返しては人生の鍵や鍵のふりしたものや何でもないが意味有り気な言葉を拾い挙げて心の隅に留めておくことにしている。こういうものがふとした場面でピカリと光って俺を導き俺を俺の窮地から救ってくれたり救ってくれたような気分にさせてくれたりするので重宝だ。』

    『秘密はあくまで秘密なのであって他人に教えないから秘密なのだ。』

    『何しろこのは《ド田舎》を三乗して七倍したくらいのド田舎だ。ちょっと頭のおかしい奴くらい掃いて捨ててもまだ売るほどいる。』

    『もう一度時計を見る。時計の針は「三時」って作品みたいにちっとも動かない。午前三時。』

    『目覚めてからも俺の心臓はドキドキしっぱなしだ。もっと正確に言えば俺の心臓は俺の肋骨を突き破って外に飛び出してルンバだかサンバでも踊りだしかねない勢いで暴れているのだ。』

    『一緒に家から逃げようさ、もう少し大人になったら』
    『どこに逃げるんじゃ阿呆。どうやって家族から逃げんるんじゃ』

    『生きてても虚しいわ。どんなに偉いもんになってもどんなたくさんお金儲けても、人間死んだら煙か土か食い物や。火に焼かれて煙になるか、地に埋められて土んなるか、下手したらケモノに食べられてしまうんやで』

    『人間の性欲というものは尽きることがない。看護婦をレイプしようとする八十歳のじいさんがいたり九十になっても巨大なエロ写真コレクションをベットの下に隠し持っているじいさんがいたり、種の保存のための原動力はいささか過剰に備え付けられているらしい。』

    『男の悲鳴。脇で怒声が聞こえる。「やめろコラ!」。いいえやめません。やめるつもりなどありません。血を見るまでは。』

    『動機があり能力があり資質があるならそこには実践がある。』

    『俺は俺の価値を上げなくてはならない。そのために俺はフルに考えフルに動きフルに働かなくてはならない。俺は俺にできる最大の仕事を果たさなくてはならない。俺は俺の到達できる最上の結果を目指さなくてはならない。』

    『俺は目を開く。正解!正解正解正解!まったく俺は正しすぎる。神のように正しい。』

    『文章のテクニックで到達できるのなんて文学賞とかベストセラーぐれえやぞ。人の心本当に掴もうと思うたら自分のことリアルに書くんや。自分の大事なもん惜しげもなく切り売りしてまうんや。血とか汗とか魂の切れ端とか、文章になすりつけてまうんや』

    『俺の言葉に感じるところがあるんだ。それこそさすがは俺の兄貴というべきところだ。さすがは一郎の弟。さすがは二郎の弟。さすがは奈津川兄弟の一人。頭はいいんだ。ガッツもある。人の言うことをちゃんと聞くこともできる。ちょっとくらい辛い台詞を聞くことができるし言うことができる。きつい台詞をまっすぐ目を見て受け止められるしまっすぐ目を見て言うこともできる。三郎は俺の兄貴。俺は三郎の弟。兄弟だから言えないことなんてないし聞きたくないこともない。俺はどんなことがあろうと三郎のことが好きなのだ。』

    『でも町田康は阿呆みたいだよー』
    『うーん。あれはわざとあんなふうに書いてるんであってやねー、「くっすん大黒」なんか、ドライブ感凄えと思うけどなー』

    『ファックファックファックファックファック。ファックオンリー。そればっかりだ。俺の性欲は処理させるためのもので、例えば愛の証であったり愛を確かめ合う手段だったりまして家族を作るためのものであったりしない。クソ、でも俺は本当は親密さがほしいんだ。全てを預けてしまえるような種類の親密さが。これまで持ってきて作ってきて溜め込んできたものを一度に全部投げ出してしまっても平気の余裕の楽勝の親密さがほしいんだ。』

    『揉んだり吸ったりするためだけのものじゃない女の胸。大きさなんて関係ないと思うような胸。ただ俺の頭を優しく埋めてくれさえすればいい。薄くたって厚くたっていい。暖かければいいんだ。俺はその胸に頭を載せてゆっくりと眠りたい。守られて眠りたい。』

    『いいんや、気にせんといて。百万回デートの約束があってもそのうち百回くらいはうまくいかんもんや』

    『人生にはいろんな出会いがあって、だけど長続きするのなんてたったの一つか二つ。いろんな苦しみや諍いを通り抜けることになるけれど一度背を向けたら彼らはあっという間に遠くに行ってしまう。本当に遠くに行ってしまうんだ。だから君は君が本当に大切に思う人たちをしっかりとつかまえておくんだよ。』

    『それでいいんだ。俺達は今日と明日と明後日とその後を生きていかなくてはならないのだ。昨日とか一昨日とかその前じゃなくて。』

    『人間は死んだらどうせ煙か土か食い物なんや』
    『どういう意味?』
    『燃やされて煙になるか、埋葬されて土になるか、下手したら動物に食われるんや』
    『それはあなたの考え?』
    『おばあちゃんが死ぬ前に言ったんや』
    『あなたはそれで苦しんでいるのね』
    『俺も他の奴もどうせ死んだら煙か土か食い物なんや。生きてるのなんて無駄や。生きてても死んでても変わらんわ。俺かって二郎かって丸雄かって生きてんほうがええんや』
    『ねえ奈津川さん。人間は死んだら誰かの思い出になるのよ。人間は死んでからも、生きていた証をいろんな形で残すのよ』
    『ううっ。…じゃあ生きてる意味があるんか…』
    『あるよ。あなたが知らないだけよ』

    『これがセラピーの本来のやり方でないことは知っている。このときの高谷真理は夫の友人としての俺に積極的に関わってきてくれたのだ。ルールが何だ。セオリーが何だ。アニュアルがどうしたっていうんだ。そんなものはくたばれ。高谷真理は自在にルールを破ることのできる本物のプロだった。そしてそのときの俺をバッチリ救ってくれた。そこで俺が求めていたものをしっかりと与えてくれた。俺がどうしても言葉にできなかった言葉を俺の代わりに言葉にしてくれた。』

    『彼女の声には何の躊躇いもない。「今すぐに友達に電話して交代してもらうわ。貸しがあるで大丈夫なんや。あんた、どこにいるんや今」「俺か?」。言われて見渡す。どこやここ。ミドルオブサムウェア。』

    『しかしそんなことはどうでもいい。過去に何があったかのかはどうでもいいんだ。大事なのは何がこれから起こるかなのだ。』

  • ルンババがこんなところで死ぬとは…

  • 夏川四郎はサンディエゴに滞在している腕利き医師。
    ある日、母親が事件に巻き込まれたとの連絡を受け、故郷へと舞い戻る。
    連続主婦殴打生き埋め事件の被害者となった母親。
    どうにか見つけ出してやろうと四郎は動き出す…。

    *****

    前半の印象。
    何か小説の”ラップ”みたい…。
    いや、カタカナがおりこまれているということだけではなく、息継ぎ早の文章、まるで急流の動き。
    スピードを感じた。

    推理モノ…というわけでもない??
    けっこう”謎の答え”はスパッ、と答えだけ提示される感覚。

    メインともいえる、四郎の家庭事情はけっこうヘヴィー。
    でも、暗くはならない。
    影はさすけれど。
    えぐい…と感じる表現も多少はあるものの、最後の方で一気に読ませ、少しほろりとさせられてしまった。
    ひとつの希望、それを支えにして、ひとは生きる。

    初めて読んだ、舞城さんの作品。
    前に購入だけしている本もそろそろ開かなきゃだ。

  • うむ、うむ、うむ。文章の切れ味は、凄いものがあります。これこそ舞城王太郎、という、独自さ。それはもう、ビシバシと感じますね。こう、圧倒的な個性は、バシバシ。そこはもう、素直に凄いと思いますね。これが俺の文章だし、ってのを、間違いなく感じました。デビュー作で、これか。いやあ、凄いなあ。

    一番近いかな?と思うのは、町田康の文章の感じ。それと、近いものを、感じる。即ちパンクな感じ?で、町田さんの文章が、ちょっと古い時代の、セックス・ピストルズ的、クラッシュ的パンクさ。ゆったりしたスピード感、だとすると。

    一方、舞城さんの文章は、最近のパンクっぽい気がする。なんか、ヒップホップ入っている感じ?電子音楽入ってる感じ?バッチバチのスピード感。町田さん、鈍行だがなんだか凄いスピード感ある。舞城さん、新幹線かリニアかコンコルドか、まじパネえスピード感、って感じ?あくまでも自分の受けた感じでは。

    ただ、ごめんなさい。内容としては、小説の面白さとしては、こう、ごめん。全然感じませんでした。話の面白さ、登場人物への感情移入、「この話の続きをなんとしても知りたい!」という欲求、などは、読んでいる間、ほぼほぼ皆無。「なんだかなあ~。まあ、どうなってもいいけど。どうにかなるんでしょ?きっとまあ」って思いばっかりでしたね。

    最悪の言い方してすみませんけれども「早く終わらねえかなあ。読み始めちゃったから、まあ、最後まで読むけど。はよー読み終えて、次の小説にとりかかりたいんだす」って思いながら、読んでました。ホンマすまん。まあ、ただ単に、今作品の舞城さんの作風は、自分にはトコトンあわんかった、というだけのことなんですが、、、とにかく、肌に合いませんでしたね。ごめんなさい。自分が悪い。でも、どうしようもない。俺にはあわんよコレ。という作品です。

    とにかく、読んでいて、文章には文体には、間違いなく「スゲエ」と思ったけど、内容には、一切心動かされなんだ。そういう作品でしたね。マジごめん。どーしよーもなかった。そう思っていた自分を、偽ることはできへんのや。すまんです。

    色んな謎解きとか、そこらへんも、まあ、全然どーでもよかったですね。なんか、全て「まあ、どうにかなるんでしょ?」としか読んでて思わなかったのは、ホンマにあかんよなあ。ビックリするほどに、感情移入できなかったなあ。

    あ、でもあれだ、女性連続殴打生き埋め犯人?の犯行動機、が、臨死体験をした人の「すげえハッピーな幸せな体験談」を聞きたかったから、という理由は、なんだかバチバチにイカれてて好きでした。あれ?犯行動機、って、そこですよね?違うのかな?自分は、そう理解しました。明らかに狂ってる犯行動機だと思うんですが、そこに、なんらかの自分の気持ちの快感、救いを見た犯人の気持ちは、なんというか、斬新、というかおもろい、というか、理解できる気がする。それを理解できる気がする、というと、なんか、自分もヤバい、って思っちゃうんですけれどもね。

    あと、タイトルは好きですね。「煙か土か食い物」「Smoke,Soil or Sacrifices」なんで「食い物」が「Sacrifices」なんだろうなあ。「food」じゃないの?なんで「犠牲」「捧げもの」なの?そこがイマイチ分からなかった。その訳の意味を、理解できませんでした。ごめんなさい。でも好きなタイトルです。

  • 終盤へ向かっていく文章の勢いが素晴らしい、カーレースのような乱暴な速度で展開していく。家族の形というのは、皆それぞれだけれど、愛が故の屈折を強く感じた。暴力や暴言は当然良くないが、目も体も本能には勝てない。

  • 初の舞城王太郎。おもしろかったー。
    改行のないスピード感と疾走感のある文章で、読んでいる方まで変なテンションになってくる。内容もぶっ飛んでいてバイオレンス度が高めだが、どこかさわやかささえ漂っている。
    こんな不思議な作品と出会えたこと自体がうれしい。

  • アマゾンレビューの「文圧に圧倒される」という言葉に興味を持ち読んだ。実際改行もなくびっしりと紙面を埋め尽くす文字の量に最初はビビるが、それを読ませる力があった。あっという間にラストまで駆け抜けてしまう。医療行為も暴力もセックスも家族の問題も過去の話も殺人も全てがスピーディです。

  • ずっと読んでみたかった作家。
    バイオレンスな文章だけど、面白い。

  •  ミステリーとしてはメチャクチャだけど、「小説」としては最高だった( ´ ▽ ` )ノ

     ドライブ感というかトリップ感というか、不眠症という設定を最大限に活かして、脳内の一部分だけが妙に研ぎ澄まされていたり、時間感覚が混乱してたり、視野が狭窄していたり、「異常感」の描写がべらぼうにうまい( ´ ▽ ` )ノ
     かの「タクシードライバー」のオマージュとも言えるし、作中でも触れられてる町田康にも似てる( ´ ▽ ` )ノ

     タイトルがまた秀逸だね( ´ ▽ ` )ノ
     ナンノコッチャ?、と惑わせておいて、説明されれば100%納得( ´ ▽ ` )ノ

     衒学的でスタイリッシュでオタッキッシュで、厨ニ病患者にはたまんないだろうね、こういうの( ´ ▽ ` )ノ

     他の作品も必ず読むよ( ´ ▽ ` )ノ

    2018/07/19

  • 評判が高いし、文章に勢いがあるとのレビューで期待したが、『ベルカ、吠えないのか?』の古川日出夫に感じたほどの驚きはない、内容はとっても幼稚な印象を受けた。これが新しいといえばそうなのかもしれないが、著者2冊目でその凄さがわかるのか?(西加奈子の経験から笑)

  • 家族愛。忘れられない言葉がところどころにある。暴力で隠されてる真ん中に純粋な愛を感じた。いつでも優しく寄り添ってくれる本。

  • 猟奇事件被害者母の復讐に奔走することを通じ主人公が家族関係への蟠りを解消する話だと思う。憎む父の命を救えて安堵し泣いたことやひどい不眠が最後に解けたことなどが分かり易い。カウンセリングで本心を話して号泣する場面・家族に復讐した二郎を許す語りが特に好き。
    憎しみつつも本当は凄く愛している家族が、死ぬと無価値に消えてしまうことを恐れていた。しかも主人公の人生には暴力が当たり前に存在していて死の気配は常に近かった。終盤、皆生きているし別に死んでも心に生かしていいんだと合点して家族(≒自分)を受容した流れがいい。

    スピード感があり、かけあいが面白くてどんどん読める。肯定感が薄かった故にか主人公が破天荒なのも面白い。政治に医療に官僚に詳しい著者が、いったい何をしてる人なのか気になる。

    雑感としては、脇役が可哀想だったw探偵もマリックも死ぬし、探偵もウサギもなぜ出した?wって感じ。事情があるにしても子どもを守れなかった、守ろうとしているようにも映らない母親はひどい奴だと思う。虐待の連鎖に遭った二郎がとても可哀想。
    あと、リアルならそんな田舎の中学校にこんな頭良い人間が多数偶然集結するはずないなぁと思った。

  • 舞城王太郎は、ミステリーの「ミクスチャーロック」だ!
    ミステリーを読んでいながら、まるでラップのリリックを読まされているような疾走感。それでいて重厚で、感情移入できる緻密なストーリー。

    これが、噂のMaijoか。

  • ミステリとしては星3つくらいだが、純文学としてはとても出来が良いと感じた。とにかく文章力が並外れている。読んでいて気持ちがいいテンポの良さ。不道徳的なシーンが多いので人によっては気分を害するかもしれない。だがそこがいい。
    読後、タイトルの意味に納得する。

  • もしラップ文学というジャンルがあれば、まさに第1号の金字塔的作品です。
    前半までは傑作の予感、中盤から精神錯乱気味な展開に意表を突かれるが、最後まで勢いで読ませる。
    ハチャメチャで面白い。

  • よみはじめ、アクの強い文章と物語が苦痛でしかなかったけれど、ノリはじめたらもうメロメロ
    四郎怒涛の救命シーンはアドレナリンがドバドバでて額に汗でも滲みそうだった

  • これは数年前読んでかなり衝撃を受けた型破りなミステリです。今読むとどうかなあ?と思って今回再読。やっぱり面白い!
    そして舞城王太郎、このデビュー作にして才能が爆発してます。天才だなあ、いや奇才という感じかな?
    ちなみに舞城さんは後に三島由紀夫賞なんかも受賞したりしてますね。
    ミステリの形式で書かれてるんだけど、本質は濃すぎる血筋を持った家族の物語ですね。
    そのあたり中上健次の世界にも通じるかな。暴力性というところも近いかも。それからトンデモ親父といっちゃてる息子4人のストーリーとして捉えるとカラマーゾフにもつながってくる。今は10章くらいのところを読んでるんですけど、次男の二郎の生き様はすごいなあ。その二郎と親父の葛藤がすごいんですよ。これはミステリの枠を超えてる小説です。バイオレンス大丈夫な方にかなりおすすめですよ。

  • 本当に圧倒的な文圧。
    でも、胸の奥にある熱いものが込み上がってくるような、がむしゃらな感じが素敵。
    ひどい父親だけど、ラストの展開で何か許しちゃうような。結局みんながみんなが憎しみあって愛し合ってるのかね。
    ムンババあぁー!

  • 文章が圧倒的な力でもってぐいぐい迫ってくる。荒唐無稽のギリギリを何の躊躇もなく攻め込んでくるのには、度肝を抜かれました。

  • 「煙か土か食い物」
    ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー!第19回メフィスト賞受賞作。


    この小説の特徴は、何と言っても破格のスピード感(妙なリズム)がダダ漏れな文体・文圧です。ヘイヘイヘイな意気揚々なリズム感が半端なく、これにやられて途中リタイアしてしまう読者もいると思います。冒頭は、以下。


    <blockquote>
    サンディエゴにはおよそ三百万人の市民が住んでいるが、そいつらがどういうわけだかいろんな怪我や病気を背負い込んでホッジ病院にやってくるから、ERにいる俺は馬車馬三頭分くらいハードに働いてそいつらを決められたところに追いやる。チャッチャッチャッ一丁上がり。チャッチャッチャッもう一丁。やることもリズムも板前の仕事に似ている。板前と違うのは奴らが切り開いたり切り刻んだりするだけのところを、俺達は最終的に全部元通り縫い合わせてしまうというところだ。
    </blockquote>


    はい。どうでしょうか。主人公"腕利きの救命外科医 奈津川四郎"がどんな奴かをさらっとリズムに乗って説明しているくだりですが、私はこのくだりから四郎=日本人っていう結びつきがイマイチ出来ませんでした。こういう文体は、アメリカ小説で見る事が多かったのが原因なのですが、加えて妙にぶっ飛んでいるんですよね。なんか物語に入りきれない。こんな文体が、ずっと続きますw


    ただ、この文体がつらつら続くだけだと、恐らく私はドロップアウトしていたこと間違いなしでしたが、展開にスピード感がある為、なんとか読んでいけました。


    連続主婦殴打生き埋め事件の被害者に母親が含まれたことから、復讐の為に独自で動く四郎。警察がホイホイ四郎に協力したり、帰省して直ぐに同級ルパンに遭遇したり、警察と検事に同級がいたりと色々強引な所もあるお陰で、どんどん進んでいきます。また、四郎に降りかかるアクシデントやイベントもバシバシ発生するため、怒涛のラップみたいになってます。


    1番不思議なのは、四郎の推理です。もはや思考のショートカットが凄い。天才の域に達しており、この強引な設定に対して首を捻る読者が出てきても仕方ないですね。と、この小説には色々強引に見える所がありますが、その強引さがスピード感溢れる作品の完成に一役買ってるのは間違いなし。


    スピード感に並び、目立つのは暴力性です。四郎の家族には愛より暴力があり、小説のいたるところに暴力があります。ただその暴力性は、家族愛と密接に絡んでおり、「人は死んでからも生きた証を色々な形で残す」「家族は生きてるうちに、そして死んでからも引き付け合う」など重要なテーマに触れていきます。特に、暴力しかないような二郎と丸雄、憎み毛嫌いしていた丸雄から見えた愛情等から人間の在り方を問う所は、冒頭のイメージだった"訳わからない感"を消し去るのには十分でした。


    暴力的でめちゃくちゃではあるが、実は人間、特に愛に付いて触れているぶっとんだ小説です。

  • スピード感があっていっきに読めた。

  • 9/8 読了。
    再読。舞城はただただ文章が上手くて抜群のドライブ感を武器にベッタベタで大文字の「愛」を書いてる人だなぁと改めて思った。

  • 文章がすごく特徴的で面白い。なんというか無茶な運転の車に乗せられて走っている感じの、、、変なんだけどリズムがあってついつい読み進めてしまいました。
    内容的には、私は「こういう話」などという予備知識もなく、ただ漠然と読んでいたのですが、その話がが続くんだ?という状態のままどんどんストーリーが進んでいった感じでした。私はいったい何の話だと思ってこの小説を読み始めたのでしょうか(笑)
    とにかくなかなかおもしろかったです。かなり個性的ですね!他の作品も読んでみたいです。

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著者プロフィール

1973年、福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞しデビュー。03年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『淵の王』『深夜百太郎』『私はあなたの瞳の林檎』など著書多数。12年には『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦著)の25周年に際して『JORGE JOESTAR』を刊行。近年は小説に留まらず、『バイオーグ・トリニティ』(漫画・大暮維人)の原作、『月夜のグルメ』(漫画・奥西チエ)の原案、トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』の翻訳ほか、短編映画『BREAK』や長編アニメ『龍の歯医者』の脚本、短編アニメ『ハンマーヘッド』の原案、脚本、監督などをつとめている。

「2018年 『されど私の可愛い檸檬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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