煙か土か食い物 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 556
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749367

感想・レビュー・書評

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  • 夏川四郎はサンディエゴに滞在している腕利き医師。
    ある日、母親が事件に巻き込まれたとの連絡を受け、故郷へと舞い戻る。
    連続主婦殴打生き埋め事件の被害者となった母親。
    どうにか見つけ出してやろうと四郎は動き出す…。

    *****

    前半の印象。
    何か小説の”ラップ”みたい…。
    いや、カタカナがおりこまれているということだけではなく、息継ぎ早の文章、まるで急流の動き。
    スピードを感じた。

    推理モノ…というわけでもない??
    けっこう”謎の答え”はスパッ、と答えだけ提示される感覚。

    メインともいえる、四郎の家庭事情はけっこうヘヴィー。
    でも、暗くはならない。
    影はさすけれど。
    えぐい…と感じる表現も多少はあるものの、最後の方で一気に読ませ、少しほろりとさせられてしまった。
    ひとつの希望、それを支えにして、ひとは生きる。

    初めて読んだ、舞城さんの作品。
    前に購入だけしている本もそろそろ開かなきゃだ。

  • 一つ一つの文章が、一息で読み切れそうな口語体で構成されてて、テンポが良かった。
    多分、作者を隠されて文章だけ読んでも正解することができる。それくらい個性的な文章だった。あと、スムーズに読み進めていく中で、ちらほらと「良いなぁ」と思う表現がさりげなく混ぜ込まれてある。口語体中心で、方言や物騒で下品な言葉がバンバン出てくるけど、不意に現れるその美しい表現が文章にメリハリを与えていると感じた。

    内容は、僕は家族についてだと思いました。作品のテーマだのなんだのは、読み手が好き勝手に受け取ればいい話であって、とりあえず僕は家族愛だと。

    僕自身は三人兄弟で真ん中、言ってしまえば、人数は少ないながら二郎のポジションにいることになる。次男っていうのは一般的にも少し不遇な立場なのかなと考えている。一人目はもちろん初めての子どもだから当然可愛がる。二人目は言っちゃ悪いけど、こ慣れ感が出ちゃうと思う。可愛がられる。それは可愛がられるけど、やっぱりちょっと違うのかなと感じる。三人目は最後の子だから可愛くてしょうがないよね。

    まぁ、大体これが兄弟についてのおおまかな意見です。二郎は反発して反発して、親からの愛情を感じる機会が少なかった。かと言って、丸雄と母が二郎を愛して無かったということはなくて、愛してるのに、上手く行かない家族を見てるのは辛かったです。
    ただ、クライマックスで丸雄が発した言葉を聞いて、僕も四郎と一緒で丸雄を許そうという気になりました。

    気が付いたら僕もまた、四郎で二郎で一郎で三郎で丸雄だったんですかね。
    よく分かりません。


    しかし、ミステリーとしては特に驚きはなかったかなという印象でした。
    強引すぎると思うようなこじつけ(四郎自身も言ってますけど)が多々あり、そんなの知らん!と言っちゃうかもしれないです。だから、ミステリーとして読むことはオススメしないです。

  • ルンババがこんなところで死ぬとは…

  • 評判が高いし、文章に勢いがあるとのレビューで期待したが、『ベルカ、吠えないのか?』の古川日出夫に感じたほどの驚きはない、内容はとっても幼稚な印象を受けた。これが新しいといえばそうなのかもしれないが、著者2冊目でその凄さがわかるのか?(西加奈子の経験から笑)

  • とりあえずタイトルの意味が謎だったけど、それは分かってみれば何てことはない話。ひたすら四男の独白形式でストーリーが進み、勢いに任せて書きまくりました的ニュアンスは十分に伝わってくるけど、それ即ち逸品を意味しない。やっぱり自分的には、練りこまれた長編作品をじっくり味わう、っていう読み方のほうが好きかも。トリック的にもそこまで絶品ってことはなかったし、これを読んで、もっともっとこの作者の作品を!とは思わなかったです。

  • 『阿修羅ガール』よりリーダブル、面白かった。思わせぶりな設定、こけおどしのトリック、人を食ったようなパロディーが横溢しているけど、3分の2くらいのところで居直って(?)、そんなもん関係ねぇーって終わりまで突き進む感じが潔い。タイトルのセンスにも惹かれる。

  • 言葉の散弾がつくる文体。執拗な反復。英語の持つ軽さ。ハリウッド映画を観ているようだ。くだらない言葉や感情を隠そうとせず書き連ねるのがリアル。これはある種の誠実さである。テーマは、暴力により徹底的に壊れてしまった家族の再生。外的な暴力にさらされることで家族の愛が確かめられる。加害者を殺してしまうこと、二郎が最後まで救われないのが残念。リアルではあるが、全ての混乱の原因を家族の愛の欠如に求めているようで、納得できなかった。

  • POPでファンクなミステリ。
    このノリについてこれればきっとあなたは舞城ファンになれるでしょう。

  • 中学三年生の考える「恰好いい俺」が、福井の冬みたいな怜悧な頭脳とサンディエゴの太陽みたいな暴力を振りかざして、ケレン味たっぷり血みどろ大サービスって感じの連続事件をすぱっと解決。不可解な点も多々あれど怒涛のラストのせいで読後感はやけにスッキリ、だって皆ハッピーエンドが好きなんだろ?オールイズグッドザットエンズウェル!ユーシー、マザーファッカーズ?

    そんな感じ。

  • 舞城さんのデビュー作。独特の文体、ストーリーはやっぱり凄い。
    でも、それだけという気もしないでもない。いや、凄いんだけど。

  • 僕はこの本をミステリとして読んだわけでして……だからたぶん評価はあまりたかくないわけですよ……まったくのアンフェアですしね?
    でも、結局のところミステリを読んだのかそうでないのかの判断が全くつかない。だから評価のしようがない。
    ただ一つ言えるのは、べらぼうに面白い。メフィスト賞の中で一番ね。
    きっと☆3が妥当。だってわけわかんないから。

  • 初舞城。始めのうちは、このスピード感溢れる文体(読点がほとんどない)に乗り切れず読みづらく思い、後半はそれ程気にならなくなった。この世界観がまるでジョジョのようでした!ただ残念な点は、まだ読んでいないレイモンド・チャンドラーの名作『ロング・グッドバイ』のネタバレが描いてあるということ。あ〜ぁ・・

  • 舞城初体験。熱のこもった小説だが、作者の考え方に共感できず、心の上を滑っていってしまった。

  • 4ページ以上も改行が無かったり、1ページ丸々読点が無かったり、
    かと思うと突然改行が続いたり、何だかテンポのよく分からない本。
    同じ人が全部書いたのか?って疑問を持つぐらい。
    テンション高くて、なんだか薬やってる人が書いてるみたいな。
    暴力シーンが多くて、北野武監督が映像化しそうな感じ。
    テンポで言うと、宮藤官九郎っぽいか。
    急展開が多いのもちょっと。
    なんでそいつが犯人だって気付いたのさ?そりゃ根拠が薄すぎるよ、みたいなね。
    細かいこと考えずに勢いで読む本だなぁ。

  • すべて四郎の独白形式で進んでいく物語。
    饒舌やなあ。。
    四郎さん、よく喋る喋る。
    改行がないことで、文字に捲し立てられてるような気すらしてくる。
    そして、最初は鼻につくなあと思ってた彼のナルシズムがだんだんかっこよくすら思えてくるのは不思議なことである。

    読みづらさは話の加速とともに気にならなくなった。
    真相に向かっていけばいくほど止まらなくなるほど面白い。
    が、拗らせすぎた愛に共感することは、ない。
    そしてバイオレンスが過ぎる。
    んなあほなーーー!てことがいっぱい。
    あと推理が多少乱暴なのではないかと。

  •  『好き好き大好き超愛してる』を読んで以来。饒舌だな…というのがストレートな感想。最初は読みにくかったが、慣れたらスイスイ読めた。
     文中で他の小説や文学の話が始まったりして、ひねくれてるなぁと思う。でも、やっていることはものすごく直截的で、直截的すぎてかえってひねくれて見える、そんな感じだろうか?

     家族愛、という言葉が浮かんだが、思えば以前読んだ『好き好き~』も、”愛”というものにストレートに切り込んだ小説だった(気がするが、正直あまり覚えてない)。身近にありながら曖昧とした”愛”という概念に対して、ひねくれた、直截な著者の語り方がベストマッチしているような気がした。終盤の疾走感が特に好き。

  • 【読了日】
     2014.07

    【タグ】
     小説 

    【経緯】
     脱「舞城」童貞のため

    ----------------------------------------------

    即物的なタイトルが冠された家族の情愛の物語。
    構成上やや稚拙なのではないかと思われる箇所もありましたが、読後には「おもしろいものを読んだ」という満足感がありました。
    方言で語られ、短い会話をつなぎあわせていくリアルな台詞の数々が、この作品に大きな魅力を与えているのは確かだと思います。
    よく言われる独特のスピード感やドライブ感については、そんなに強く印象に残ったわけではありませんでした。

  • 手術シーンにスピードがあった

  • 山場が多い
    ダーッと読める、疾走感、家族愛
    でも平均すれば普通でした

    ぶっ飛んだ主人公は好きですが、共感できない方向にぶっ飛んでいていまいち身がない
    それでも印象は強いので内容をさっぱり忘れることはない、気がします



    それからこうも言った。「生きてても虚しいわ。どんな偉いもんになってもどんなたくさんお金儲けても、人間死んだら煙か土か食い物や。

  • 舞城王太郎…名前は聞いていましたが
    初めて読みました。

    ページを丸々字で埋めつくすのか!というほどに改行が少ない。
    けれども、異常な疾走感があって
    スラスラ読めるのは、この独特な
    口語体のせいでしょうか?

    なんともテンション高めの文章とともに、スリリングでグロテスクな物語が展開します。

    この作品の主人公っぽく言うなら
    『実にクールな小説だ!マザーファッカー!』といったところでしょうか(笑)

  •  「現代文学」を代表する一人とも賞される舞城王太郎さん。中森明夫さんは、高橋源一郎著『「悪」と戦う』の「解説」の中で、舞城さんを「ライトノベル」と「純文学」とを融合させた存在だと評した。また、講談社の新刊案内では、本書について「ミステリーと純文学が完全に融合」した作品だと紹介する。何をもって「純文学」と称するかは異説あるところであろうが、つまるところ、本作はとても試験的な作品であり、周囲の論評のどれほどが、舞城さんの思惑どおりなのかはわからないけれど、しかし非常に興味深い一作であるには違いない。

     「メフィスト賞」受賞作ということで、たとえば西尾維新さんの作品なんかが思い出されるが、本作の主人公「奈津川四郎」にも若干の「戯言」臭さが感じられる。「いーちゃん」よりもよっぽど真っ直ぐではあるが。
     (これは勝手な深読みだが)その「戯言」めいたモノローグにも舞城さんの意図があるんじゃないかと勘ぐってしまう。その口調、その長さ、その視点……。どれを取っても、イロイロと「怪しい」……!?


    【目次】
    煙か土か食い物

  • リズム感好き。奈津川四郎。ハンソン。連続主婦殴打事件。大丸、丸雄、一郎、二郎、三郎。三角形の蔵。チャッチャッチャッチャッ。人間死んだら煙か土か食い物や。まさかの家族愛小説。

  • 舞城王太郎のデビュー作。「熊の場所」はかなり好きだったのだがこれは冗長な感じがしてイマイチだった。意識の流れ?みたいなとりとめもない連想ゲーム(妄想)に付き合わされている感じ。

  • 読了日20130703 「阿修羅ガール」「世界は密室でできている」に続いて舞城三作目。ジェットコースター的スピード感と中二病風な展開の底にはかなりオーソドックスな文学的主題がしっかりと流れている。終末に得られるカタストロフといい、むしろまとまり過ぎて物足りなくなるほどだ。いっそもっとぶっ壊れてもいいのに。多分、ゆっくりペースながらもいずれ全作読破する作家になりそうです。読むとはまります。

  • 初めて舞城王太郎を読んだ。
    最初はチャッチャッチャとか擬音語がうるさかったり、気になる部分は多かったけれどそれらが若者の感性をよく捉えていたし途中から物語に引き込まれて面白い!と思った。主となる主人公のモノローグ(精神)と「煙か土か食い物」(家系、家族との関係)というちょっと(現物)の間で答えを見つけていく小説なのか、、というか登場人物≠作者?の出す答えが余りどうとも思えなかった。しかし古典作品を巧く利用してたり血族の営みを巧く描いたりしてるところは息を呑んだ。結論、面白かった

  • 主婦連続殴打事件に巻き込まれた母親のために、急遽アメリカから帰ってきた四郎。事件を追ううちに、血で血を洗う、父と息子の暴力的な諍いが明らかになっていく…

    悲しくも慈愛に満ちた物語だ。
    しかし、どこか軽やか。
    そして暴力的かつ深遠な世界感。
    舞城ワールドにハマってしまいそう。

    ハンソン(懐かしい!)のCDを聴きながら、ダンテの神曲を読みふける四郎の、キャラクターが憎めない。

  • スピード感は凄いね

  • なるほど、確かにあまり見ない文でした。
    なんとなく、ライ麦畑に近いものを感じました、短絡的ですかね。

    好みが分かれそうな小説、自分はこの文体というか勢いが好きになれなかった。

  • 好みの問題でしょう。読点が少なく、セリフが入り乱れる場合の改行しないセリフの連続、文末のカタカナ英語。「スピード感」というより暴走気味。独特のリズムに引きこまれたのだけれど、推理が強引であり、まあミステリーというか・・そんなわけで★3つ。リズムに乗れないとそれまでです。

著者プロフィール

1973年、福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞しデビュー。03年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『淵の王』『深夜百太郎』『私はあなたの瞳の林檎』など著書多数。12年には『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦著)の25周年に際して『JORGE JOESTAR』を刊行。近年は小説に留まらず、『バイオーグ・トリニティ』(漫画・大暮維人)の原作、『月夜のグルメ』(漫画・奥西チエ)の原案、トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』の翻訳ほか、短編映画『BREAK』や長編アニメ『龍の歯医者』の脚本、短編アニメ『ハンマーヘッド』の原案、脚本、監督などをつとめている。

「2018年 『されど私の可愛い檸檬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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