終戦のローレライ(1) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749664

作品紹介・あらすじ

昭和20年、日本が滅亡に瀕していた夏。崩壊したナチスドイツからもたらされた戦利潜水艦・伊507が、男たちの、国家の運命をねじ曲げてゆく。五島列島沖に沈む特殊兵器・ローレライとはなにか。終戦という歴史の分岐点を駆け抜けた魂の記録が、この国の現在を問い直す。第24回吉川英治文学新人賞受賞。【2005年3月公開 映画「ローレライ」原作】 (講談社文庫)

感想・レビュー・書評

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  • しまった。一巻しか買ってない。続きが気になって仕方がないです。
    船に乗り極秘任務に向かう途中の征人たちを、敵機の機銃掃射が襲います。目の前に恐怖を突きつけられたことで、彼は自分がどうしたいのか自問し『確かなものが欲しい。そのためなら死を受け入れてもいいと思える、確かななにかが……!』との思いに駆られます。
    でもこの考え何だか危ういなと思いました。これから何のために戦っていくのか、なぜ戦わなければならないのか、選び取る未来は誰のものなのか……大人の勝手な思惑がいろいろと見え隠れするなか、征人が自分で考えることで自分がどうすべきなのか見つけていってほしいです。それが自己犠牲の死でないことを願っています。
    そんな絶体絶命の彼らの前に潜水艦《伊507》が姿を現します。この場面圧巻でした。これから動き出す過酷な運命を背負って、この潜水戦艦はボロボロになるまで戦っていくのでしょう。
    あとはフリッツですね。冷静沈着などこか退廃的で冷めた感じの彼が、唯一声を荒げ衝動的に行動した場面、気になります。廃棄された“彼女”に叫ぶところです。「必ず迎えににくる!それまであきらめるな……!」彼女との関係、何か特別なものがありそうです。

  •  ようやく任務のため「伊507」に乗り込んだところで終了。せっかく8月なので戦争ものをたくさん読みたいのだが、終戦記念日までに読み終えられるだろうか。
     学校の授業で習ったときは、「お国のために」と言って死ねるなんて昔の人はすごいと思っていたが、戦争関連の本を読んで決してそんなことはなかったことを知った。疑問を感じながらも、従いたくもない命令に従っていただけだったんだと、胸が苦しくなる。
     冒頭からなかなかの描写があり、この重苦しい雰囲気がさらに増していくことを思うと気が滅入る。心して読まねば。

  • 15年以上前に購入して積んでいた本書
    当時苦手意識でもあったのか全く手つかずだったが、ここ10年間で艦これなどの影響で第2次世界大戦から太平洋戦争時代に抵抗感がなくなり非常に興味深く読めた。
    仮想戦記物と言えばいいのか、ローレライという当時としてはオーバーテクノロジーのようなモノを駆使して今後の物語が進んでいくのだと思われる。
    2巻目以降も気になるのでできる限り早めに続きを読んでみたい。

  • 太平洋戦争末期。
    ドイツから引き取られた謎の潜水艦。
    そしてその潜水艦が落して行った謎の兵器。
    この謎の兵器を回収するために、謎の潜水艦は発信する。
    本巻は長い小説のまだ序章。
    しかし、潜水艦が発進する際の戦闘シーンは壮絶。
    これからこの話はどう展開していくのだろう。
    まっとうな感覚を持っていると思われる新兵の征人はどう成長していくのだろう。
    次巻が楽しみである。

  • 面白かった! この作家さんの文章、高村薫さんに似てるような――。

    • hs19501112さん
      初めましてのコメントですm(_ _)m

      福井晴敏と高村薫の文体が似ている・・・

      常々自分もそう感じていました。同じ感覚を持つ方がいると...
      初めましてのコメントですm(_ _)m

      福井晴敏と高村薫の文体が似ている・・・

      常々自分もそう感じていました。同じ感覚を持つ方がいると知れて嬉しかったです。
      2023/10/25
  •  終戦記念日に1日遅れて読み終わった。長かった。福井晴敏は4作目だけれど、長いだけあってこれまでの冷徹鋭利な若者と熱血情緒の中年の組み合わせという構図より複雑になっている。ただ基本は同じ。やはり熱い、単純明快浪花節的に熱い。それが鼻について辟易する部分もあるけれど、それを差し引いてもたぶん秀作の部類にはいるだろう。
     「亡国のイージス」の続編として映画用に要請され、第二次大戦、潜水艦、女というテーマを与えられて書いた作品なのだそうだ。それだけでこんな超大スペクタクルを書き上げる力量も大したものだが、そう思って読めば海軍軍艦の艦長の生き方が背骨になっていて艦内の意外な反乱分子との虚々実々の駆け引きなど、類似点が多々ある。終末のタイムリミットへ追いつめられてゆく緊迫感も似ている。時代背景も舞台も異なるとはいえ、同じ著者が書くのだしそれはしようがないのだろう。
     潜水艦内の具体的描写の文字通り息詰まる現実感に対して、物語の中心をなす荒唐無稽なローレライシステムの非科学性はSFだと思えば許せるけれど、ただやはり文庫版4巻は長い。もう少しよけいな挿話を刈り込まないと緊張が持続しない。最後の4巻目にはいっての伊507がひとつにまとまってからの手に汗握る展開は圧倒的な迫力だし、どうまとめるんだろうと案じられた終結もなるほどうまいなあと思わせるだけに、よけいに前半部や後日譚の冗長さが惜しいと思う。

  • 導入部分が詳細。
    その分、ちょっとかったるくなるが、ページをめくる手が止まらない。

  • この巻ではローレライというなんだか、凄い兵器? を回収する人員が潜水艦に乗り込むまでを描いている。
    なんか、専門用語が出てきて読みにくい。

    • Dyq Dollarさん
      分かります笑。私もはじめはそう思いました。しかし、次巻から本当に面白くなってくるので、引き続き読んで頂けたら、と思います。
      分かります笑。私もはじめはそう思いました。しかし、次巻から本当に面白くなってくるので、引き続き読んで頂けたら、と思います。
      2015/11/20
  • ローレライとはなんなのか、背後に隠された事実が少しずつ明るみになる一方、肝心な部分は後半になるまで出てこないもどかしさはあるが、読ませる文章でぐいぐい進んでしまう、混成部隊による潜水艦メンバー一人一人も魅力的

  • 普段使わない漢字や、聞きなれない言葉が多い。そのため、実際の量よりも多く感じる。

    しかし、まだまだ続きが気になる点が多いため、次巻以降も読んでしまうだろう。

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著者プロフィール

1968年東京都墨田区生まれ。98年『Twelve Y.O.』で第44回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年刊行の2作目『亡国のイージス』で第2回大藪春彦賞、第18回日本冒険小説協会大賞、第53回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。2003年『終戦のローレライ』で第24回吉川英治文学新人賞、第21回日本冒険小説協会大賞を受賞。05年には原作を手がけた映画『ローレライ(原作:終戦のローレライ)』『戦国自衛隊1549(原案:半村良氏)』 『亡国のイージス』が相次いで公開され話題になる。他著に『川の深さは』『小説・震災後』『Op.ローズダスト』『機動戦士ガンダムUC』などがある。

「2015年 『人類資金(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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