殺人方程式 〈切断された死体の問題〉

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749916

作品紹介・あらすじ

首なし死体に翼が!?
鮎川哲也氏も絶賛した傑作本格!

新興宗教団体の教主が殺された。儀式のために籠もっていた神殿から姿を消し、頭部と左腕を切断された死体となって発見されたのだ。厳重な監視の目をかいくぐり、いかにして不可能犯罪は行われたのか。2ヵ月前、前教主が遂げた奇怪な死との関連は? 真っ向勝負で読者に挑戦する、本格ミステリの会心作!

感想・レビュー・書評

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  • 新興宗教団体の教主・貴伝名(きでな)剛三が殺された。儀式のために籠もっていた神殿から姿を消した彼は、川を挟んだ向かいのマンションの屋上で、頭部と左腕を切断された死体となって発見。厳重な監視の中で、いかにして不可能犯罪は実行されたのか?!

    ただでさえ不可解すぎる死体移動に加え、二か月前に起こった前教主・光子の死の謎!剛三が絞殺したはずの光子の死体はなぜ隣のM市で電車に轢かれたのか?!問われる謎も怪しい人物も次々と現れて殺人方程式は難解さを増していく。ぼくは完全に綾辻先生の手の上で踊らされていただけだった(笑) 答えを間違えたどころか、当てはめる公式すら違ってた!という衝撃が楽しい。

    関係者たちの視点から少しずつ明かされていく手がかり。なにげない描写に忍ばせる伏線や違和感。こういう情報の出し方が綾辻先生は絶妙だと感じる。視点の中心になるのは刑事・明日香井 叶(あすかい きょう)。天文学者に憧れてたはずが、結婚相手のお願いで刑事となり、今は事件のホシを追っかけているという字面だけだとコミカルだけど悲哀があるキャラ。明日香井が事件の真相へと至る過程もサプライズがあって面白い。

    トリックもよく考えられていて、「そんなトリックありかよ?!」みたいな感じじゃないのがよかった。読者によっては真相に辿り着けそうではある。個人的にはトリックよりも、なぜこの事件が起こったのかという部分に一番惹かれた。
    「ま、そんなもんさ、“事件”っていうのは。前から考えてるんだがね、この世の中には、絶対的な意味での“必然”なんてものはない。そもそも人類の存在自体が、大いなる偶然の産物なんだ。どんな必然も、多くの偶然の上に成立する。」
    解説の乾くるみ先生がわかりやすく事件の構造を解きほぐしてくれていて目から鱗だった(解説はネタバレがあるので後に読んでね)。これを知ったことで面白さやドラマ性が俄然深まったのがすごい。あと、なんでこんなトリックなんだよって部分もしっかり補完されていて、さすがプロ作家の一言だった。


    p.276
    「お手柄と云ってほしいな。他人の罪を暴くなんて、どんな方法を使おうが価値は一緒さ」

  • これはすばらしい!連続するいくつかの事件がすべて関わり合い、因果があり、死体の切断にもロジックがあります。
    そして明かされる真犯人と意外な犯人。すべての伏線を回収して締めます。さすが綾辻行人です。

  • そんなバカな、というトリックは勿論沢山あるんですが、これもまたそんな感じで。
    まぁそもそもミステリのトリックはどれもそうだと言ってしまえばそれまでなんですが。

  • 後出しで重要人物やら新事実やらを出してこないので読者にフェアな推理小説だと思います。
    挑戦してみましたがトリックの全ては破れませんでした。解がわかるとスッキリします。

  • まさかの展開にまさかの犯人!
    布石は打ってあるが、推理しきれませんでした。

  • 20年ぶりの再読。前回はカッパノベルス版、今回は講談社文庫版。新興宗教の教祖が頭部と左腕を切断され、不可能状況で殺害された。探偵役は双子の明日香井兄弟。
    北村薫先生は、ミステリは再読に耐えるとおっしゃる。初読で純粋に謎解きを楽しみ、再読では作者がどのように工夫して謎を構築しているかを楽しむという。とは言え、それは上級者の楽しみ方で、大抵の場合、初読の内容を忘れている。ところが、本書は、その大掛かりなトリックが印象的で、初読から20年経ってもしっかり覚えていた。なぜ左腕も切断したのか、は、このトリックの肝の一つ。学生時代、コタツの中で、おー、と興奮したことを思い出した。

  • そういえば、なにかで取り上げられてたな、この小説のプロット。
    さすが綾辻氏。



  • 疲れた時はミステリ。

    今回もやっぱり一切推理できないまま読み進めてたけど、「こういうことありそうだな」と思ってたことが映美の過去にあって、ああってなった。

  • 大元の大胆なトリックは予想できるけれども、細部の辻褄合わせが緻密。プロローグとエピローグの繋がりが読後感を良くする。
    数式が難しい!次を早く読みたい。
    それから解説は毎回乾さんで。

  • 割とトリックがとんでもだったように感じた。久しぶりに推理小説を読んだからそう感じただけで、推理小説ってこんなもんだったっけ?犯人もわかりやすく早くから怪しい雰囲気出てたし、入れ替わってもばれない警察やばいなとか思うところはあるけど、まぁこんなものか。最初の殺人との二段階のネタ明かしは関心した。

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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