流星ワゴン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 2246
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749985

感想・レビュー・書評

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  • 人生をやり直せるとしたら。
    たくさんの分岐点で、数え切れないほどの選択をしながら人は生きていく。
    そのどの分岐点に戻りたいと思うのだろうか。

    この物語には三組の親子が登場する。
    事故死した橋本とその息子・健太。
    主人公であるリストラされた僕と息子・広樹。
    そして何故か若返った僕の父・チュウさんと僕。
    親子だからといって、何でもわかりあえるものではない。
    親子だからこそ、きっと他人よりもわかりあうことが難しい面があると思う。
    他人ならば譲歩することだって出来る。
    他人ならばわかってもらおうと努力することだって厭わない。
    他人ならば許せないことがあれば離れればいい。
    だけど、親子には逃げ場がない。
    どこまでいっても親は親で、子供は子供のままだ。
    橋本の健太への切ない思い。
    実は不器用なだけで、僕への愛はたくさん持っていたチュウさん。
    そして、息子の広樹からも妻からも逃げてばかりいた僕。
    単純に、時間を戻れば人生をやり直せるわけではない。
    どんな選択をしても、結局はそのときに気持ちがしっかりとついていかなければ意味がないのだ。
    チュウさんが何故若返った姿で現れたのかは、はっきりとは書かれていない。
    けれど、たぶんちゃんとした親子として僕と関わりたかったのではないだろうか。
    過ぎてきた時間の中では叶わなかった交流を、こんな形になってしまったとしても、実現したかったのだと思う。
    現実は厳しい。
    父親になろうと無理をして自分も健太も死なせてしまった橋本。
    不器用すぎて息子に素直に向き合うことが出来なかった過去のチュウさん。
    そして、荒れる息子や不審な行動をする妻と向き合えずに見て見ないふりをする僕。
    一番身近で小さな人間関係は、家族だ。
    少なくてもそこでは素直に互いが見つめあい、わかりあう努力をし続けなければ・・・と思った。
    父と子の物語ではあるけれど、女性が読んでも感銘を受ける物語だと思う。

  • 3月16日

    「死んじゃってもいいかな」と思っていた男が
    5年前に交通事故で亡くなったはずの親子が乗るワゴンに連れられ
    過去へ戻り、知らなかった事実を知り、そしてやり直しを試みる話。

    何ヵ所か泣きました。
    たぶんどこも主人公とその父チュウさんの絡みの場面だったと思います。
    息子が死んでしまうかもしれないと分かった時の父親チュウさんの必死さが一番グっときました。
    「カズはわしの息子じゃ」この深い愛情が込められた台詞好きでした。

    主人公とその息子の親子関係
    主人公とその父親の親子関係
    そして橋本さんと健太くんの親子関係
    どの親子関係も複雑で明るいものではない

    親の愛はなぜ伝わりにくいのか、なぜ目を背けてしまうのか
    分かっていながらなぜ反感が生れてくるのか
    子供の気持ちになぜ分かった振りをするのか、なぜ自分が正しいと思うのか
    なぜ余計な言葉を足してしまうのか

    どの家庭にも普通に存在する
    そんな些細なすれ違いが
    大きな溝に変わらぬ前にと
    警告を鳴らす物語であったとも思う

    現実が変わるわけではない終末
    だけど読み終わった後
    少し前向きになれる余韻がある
    読み応えある長さと濃さだったと思います。

  • 血のつながりなんて関係なく、親子間の無償の愛は本当にすごいものだと思った。チュウさんのキャラクターも大好きだし、橋本さんの頼りないけど愛情溢れる人柄も心が暖まる。
    たとえ現実を変えることが出来なくても、過去の大切な場所に戻って、そこが大事な分かれ道だったことに気付き、後悔や思い残したことをこの主人公の様に自分なりに消化出来るのか私には自信が無いけれど、物語の様に過去に戻ることが出来ないからこそ、今生きている現実をちゃんと大切にしていこうと思った。

  • まず最初に言いたいのは、感動。

    父親が大嫌いな主人公は
    橋本親子のワゴン車に乗せられて
    やり直しの世界を経験する。
    そこには同い年の父親。

    見過ごしていた大切な時間を
    やり直しの世界で気がつく。


    家族の気持ちが複雑に絡み合って
    最低の現実で生きている主人公。

    やり直しの世界で経験したことは
    決して現実を変えられるものではなかったけれど、少しだけ周りの人達の心を動かすことができた。


    家族の絆がとても感じられる作品です。

  • 父と息子の物語。信じるとは未来があるから、未来がわからないからできること。現実はサイアクサイテーのように思えても、信じて行動すること大切さと、男の不器用さを描いてる本。
    読んでて千鳥が演じてるように思ってしまった。チュウさんなんて大吾ぴったり。

  • 初めての重松作品でしたが、読みごたえあり感動した。

  • この子のためだったら、なんでもするから、って思える親に、私はなるだろうか。
    自分の親は今までどんな瞬間に、そんな思いを持ったことがあるんだろうか。
    あの人が今の私だったら、私が今のあの人だったら。
    そんなことをよくよく考えるけど、これはとても疲れるし、誰かの共感を得られるものではない、から、どんどん疲れてしまう。
    くたびれてしまうんだよね。

  • 死にたがってる人、死んだ人、死にたくなかった人が一つに交わって展開する不思議な話。
    何一つ変わらないとも言えるし、全部が変わったとも言える、この後味の良さ。

  • 生きている限り、人生の分かれ道は日々訪れる。元はお腹の中にいた子だって、一緒に暮らしていたって、ほんの一部分しかわかってあげられない。それを忘れずに大切な人を気にかけていくことが大事なのだろう。

    親であり、子供でもある時代の難しさややるせなさを見事に描いている。

  • 親になると重層的になる、というのは常に実感している。
    重松氏の場合は父親、私の場合は次女を見ながらまず長女とが重なり、次に私が重なる。
    母親への想いは、本書にあるように8割が不満。笑笑
    寂しさ。
    でもそこから、娘への接し方を学ぶ。

    こういう時はこうすべき
    こういう時はこうしてはいけない
    そんなルールばかり伝えてきたのではないか
    本書を読み終えてふとそんな気になってしまった。

    そんなにルールを叩き込まなくても
    この子たちはもう大丈夫、
    あとは自由に呼吸のしやすい環境を
    作ってあげればいいのではないか。

    そんなふうに思った。
    この本に出会えて良かった。

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著者プロフィール

重松 清(しげまつ きよし)。1963年、岡山県生まれの小説家。早稲田大学教育学部卒業。
出版社勤務を経て、フリーライターとして独立。ドラマ・映画のノベライズなどを手がけたのち、1991年『ビフォア・ラン』で小説家デビュー。
1999年『エイジ』で山本周五郎賞、2000年『ビタミンF』で直木賞、2002年『流星ワゴン』で「本の雑誌年間ベスト1」、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。
山本周五郎賞、講談社ノンフィクション賞選考委員を務める。2017年、早稲田大学文化構想学部客員教授に就任。
『とんび』、『青い鳥』、『流星ワゴン』をはじめ、多くの代表作がドラマ化、映画化されている。

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