流星ワゴン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.82
  • (2159)
  • (2831)
  • (2954)
  • (282)
  • (39)
本棚登録 : 17725
レビュー : 2243
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749985

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 息子の家庭内暴力と無断外出を繰り返す妻、勤めていた会社からのリストラというストレスの中、「もう、死んでもいいかなぁ」と考えていた38歳の主人公の前に、一台のオデッセイが現れる。

    そのオデッセイに乗っていた8歳の男の子に促されて乗り込むと、運転していたのは、見ず知らずの男で助手席の男の子の父親だった。

    実はこの親子、五年前の家族旅行中に父親の運転ミスで事故死している親子だった。その親子は、主人公の人生の分かれ道となった場所へタイムスリップし、人生のやり直しをさせてくれる。

    やり直しした人生は、その後の人生をどう変えてくれるのか。


    主人公の人生のやり直しの中で、自分と同い年の父親と出会う。本当の人生では嫌いだった父親との関係や、家庭内暴力に至った息子との関係、車内の親子の関係など、父親と息子の関係について多く書かれてあって、父親としての自分に置き換えられたり、息子としての自分に置き換えられたりして、感情移入してどんどん読み進められた。

    人生で『やり直し』なんてできるわけがないけど、もしやり直せたら、今はどう変わっていただろうと考えることはある。でも、やり直したかった現実を変えてしまうと、今の自分はなくなってしまうし、仮にやり直せるのだとしたら、人生なんて真剣見が欠けて、そんなに楽しいものじゃなくなってしまうと思う。

    どんなに真っ黒でいびつな形をしたピースでも、自分の人生を完成させるための重要な1ピース。やり直したいと思うような過去も、人生というパズルを完成させたときには、きっと、あの出来事のお陰でという過去になるはず。

    また将来、やり直したいと思ってしまうような今にしないよう、人生を楽しんで、深く味わいっていこうと改めて感じた。

  • 連ドラ始まる前に読もうと思って間に合いました(笑)

    生きていれば“後悔”という念を避けては通れなくて、あの時に戻れたら…ということを考えてしまうこともあって
    私は今はそういう「あの時に戻りたい」とか思うことはなくなったけれど、「あの時の選択が違ったらどうなっていたのか」と考える瞬間はあって
    でもきっと、どこかに戻ってやり直せたとしても、進んでいく人間が自分である限り、結局は同じところにたどり着くんだろう、とも思う。
    要はしてしまった“後悔”をその先にどう活かしていくかっていう話。
    時間を戻すことは叶わないけれど、ひとつひとつの選択の積み重ねの先に待つ未来のことを思うその意識があれば、自ずとこれからの生き方は変わっていくのではないかって。
    そういう小説だと私は思った。
    ファンタジーだけど現実と繋がっていて、500ページ弱くらいはあるけど読みやすいからあっという間に終わってしまった。

    “父と息子”の物語なので、男の人のほうが感じることは多いのかもしれない。
    私は娘だし、解説の方(女性)も書いていたけれど、これからどう足掻いても自分は父親にはなれないので(笑)
    同性同士の親子、異性同士の親子、いろんな組み合わせがあるけれど、“父と息子”っていちばん意識し合うのに遠い関係なのかな、と想像したりした。
    同性同士でも“母と娘”とは明らかに違うと思うから。

    ドラマもどんな感じなのか観てみます。
    健太くんの「大、大、大好き(嫌い)!」という台詞が好きだから、ドラマにも出てくればいいなと思ったりしています。

  • 「フィクションだ」と受け流せる人がどれほどいるだろう? ほんの些細な誤解やすれ違いが家族の崩壊をもたらす。所々胸が抉られるような文章がある。誰もが抱える痛みや葛藤を、橋本親子と、同い年の朋輩として現れた父親「チュウさん」を通して描き出す。

    「大切な場所」を巡るワゴン。橋本が問いかける「知っていたら何かしたのか?」、酷く重い問いかけだ。いまだったらわかる。いまじゃないとわからない。失敗しても後悔してもそこからやり直せばいいじゃないか。そんな重松氏の優しくも力強いメッセージが心に響く。

  • あー

    なんていうか

    胸がいっぱい。

    あったかい。


    こういう形で誘われる涙は、最高。



    頑張れ、一雄。

    サイテーな現実を一歩ずつ一歩ずつ変えて、必ず広樹と美代子と一緒に花を手向けに行くんだよ。

  • 泣いてしまった。わたしはまだ結婚もしていないし自分の家庭を持たない、子どもであるが、それぞれのキャラクターに導かれて、自分ならどうだろう、と考えられた。家族とは、自分とは、どうなんだろう。
    色々と考えさせられることがあった。

    父に、読んでほしい、と初めて思った。
    2013.06.03


    (2013.06.25 追記)
    妹と母に勧めたところ、二人とも涙していた。特に、母は重なる部分があったらしく、胸がぎゅっとなったそう。勧めてよかった。

  • 娯楽小説、と一言でぶった斬ってしまえばそれまでなんでしょうけど。

    「死」と「生」の狭間の物語。
    人間が生まれて来る意味、死への恐怖、憧れ。
    生き物はみな、死ぬ確率100%なわけだけど
    普段、「死」は巧みに隠されていて、私たちはほとんど意識せずに過ごしている。
    だからこそ、隠されていた「死」が目前に迫った時、大いなる後悔にさいなまれる。

    今現在目の前にある現実が、どうしてこうなったのか、回避する方法があったのか、なかったのか。

    もし自分の「死」が迫っている事を知ることが出来たなら、
    その時に後押しをしてくれる小説だと思います。

    ハルキくんや伊坂くんみたいな、オサレな引用は皆無だし
    歴史の勉強にも、医学の勉強にもならないけれども

    今現在の、私の精神を少し救ってくれた本です。

    泣くことは、ストレス解消にとってもいいんですってね。

  • 話は「時をかける少女」お父さんバージョンみたいな感じなんですが、決定的に違うところは、どんなに過去に戻ってみても、未来が変わらないところ。どんなにやり直したいと思っても、そこには他者の考えや行動がついてくるわけで、自分の思ったとおりには行かないという現実。だからこそ人は今いる自分で頑張らなきゃいけないし、繰り返すことができないのだから、一瞬一瞬を大切にしなくてはいけない。
    主人公の和夫も息子の広樹は結局引きこもりだし、妻はテレクラであった男と肌を重ねている。でも主人公が過去の過ちを知ったことで、現在の自分の在り方を変えることができた。だからこれからの未来は過去を知らなかった自分とは違う道へと進んでいけるのかもしれない。とても明るい終わりで、そして考えさせられました。

  • 泣けた
    父になって読むと
    また泣けるはず(T-T)

  • どうしてこうSEX描写が多いんだろう。離婚間際の夫婦だからか、ねっちりしてるものが多くてちょっと好きじゃなかった。
    でも全体としては、父として、夫として、男として、今まで気づけなかったこと、知らなかったことに直面してショックを受けつつも、生きるということをもう一度考え直していく主人公がよかった。チュウさんも、やっぱり父親って感じで、厳しい中にもあったかさがある人って感じですき。
    生きてるとどーしようもないことや辛いことばっかりなこともあるけど、それでも命がある限りは生きていかなきゃいけない。
    自分でせっかくの命を断つなんて、ほんとうにもったいないことなんだよ。

    希望をもてるのは、未来を知らない者の特権。

  • それがどんな現実であれ、そこから始めるしかない。。。
    いくら否定しても消えないし、いくら願っても手に入らないし、でもそこで生きていくよりないのだから。現実を受け入れる勇気を、ほんのちょっとだけ。

全2243件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

重松 清(しげまつ きよし)。1963年、岡山県生まれの小説家。早稲田大学教育学部卒業。
出版社勤務を経て、フリーライターとして独立。ドラマ・映画のノベライズなどを手がけたのち、1991年『ビフォア・ラン』で小説家デビュー。
1999年『エイジ』で山本周五郎賞、2000年『ビタミンF』で直木賞、2002年『流星ワゴン』で「本の雑誌年間ベスト1」、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。
山本周五郎賞、講談社ノンフィクション賞選考委員を務める。2017年、早稲田大学文化構想学部客員教授に就任。
『とんび』、『青い鳥』、『流星ワゴン』をはじめ、多くの代表作がドラマ化、映画化されている。

流星ワゴン (講談社文庫)のその他の作品

流星ワゴン 単行本 流星ワゴン 重松清

重松清の作品

ツイートする