- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062749985
感想・レビュー・書評
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主人公の妻の気持ちや心の裡が描かれていないのがもどかしい。きっと彼女だって揺れていたはず。その時点で女性読者は物語から弾き出されてしまう。しかし、ストーリーやプロットで読ませ、そして必ず、何らかの感情を読者から引き出す。そういう意味で「技」のある小説家だと思う。
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誰にでも後悔している過去がある。過去をやり直すことはできないけど、捉え方次第で、それが今の自分の教訓になるのではないかと考えられると思わせた作品
男性目線で感情が書かれていて、面白かった -
2019.10.15
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ドラマ観るのが億劫で本を読んだ。
人間って誰しも後悔してるから、過去に戻ったり、違う世界にぶっ飛んだりする話好きだよね。
なんかこの話もその使い古された設定の中にいるような気がして刺さらなかった。もう1回読み直すべきな気がしてきた。 -
流星ワゴン、ドラマを観たかったのに観れなかったので。鞆の浦に旅行したとき、ロケ地になっていたと聞いて読んでみたかった作品。読み進むうちに心が痛くなる。不幸な交通事故で亡くなった親子。将来がなくなった8歳の健太君と橋本さん。38歳の主人公と、同じ歳の父チュウさん。不思議な出会い。父子のすれ違った思いが、徐々に繋がっていく。壊れてしまった僕の家庭。やり直しは出来ないが、一からのスタートは出来る。希望の光が見えて再生を予感出来る。今ある生をいかに生きるかを考える。
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父子関係の機微がとても細やかに表現されていて、まさに身につまさた。
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あの時、こうしていれば…
あの時、あんなことを言わなければ…
人生の分岐点はいつも過ぎ去ってから苦々しい後悔とともに思い出されるもの。そんな過去の分岐点に戻れたとしたら?僕はどのような行動をするだろう?愛する人に何と言葉をかけるのだろう?
交通事故で死んだ親子の乗るワゴン車『オデッセイ』に拾われて過去の分岐点へと人生やり直しの旅に出た僕は、何故か今の自分と同じ歳の父親に出会う。
過去に戻っても現実は変えられないけれど、父と子が、夫と妻が、すれ違ってきた思いを通い合わせようと、相手をしっかり見つめるならば、たとえ不器用でもそこから未来は少しずつ変わっていくのではないだろうか?過去へリープしてやり直して単純に現実を変えるストーリーではなく、あくまで変わるのは現実の自分の心だけ…あれ?こんな物語他にもあったような気がするけれど(「コーヒーが冷めないうちに」だったかな?でも「流星ワゴン」が先に出たんですよね。)、とにかくそういううまく行き過ぎない結末がリアルで納得がいきました。生きていればこそやり直しが出来るんですよね。ワゴン車の橋本さんと健太くん親子にはやり直しが出来ない点が切なすぎます。ユニクロのフリース、私も買ってこようかな。家族といられる一瞬一瞬の時間を大切にしたいと思いました。 -
時には、空を眺めてみよう。
流れ星が見つかるかも。 -
この夏は読んだことない作家キャンペーンを続けている。
この著者と本も何年も気にはなっていたが読めていなかった。
設定としてリアルな現実とフワフワした非現実が交互にくるのは面白い。
読み終わった後は父親ともっとよく話をしなければなあと思う。
気になったのは各キャラクターの心理描写が単純に思えてしまったこと。
なので物語に深みが出ない。
メロドラマのような妻とのやりとり。
息子との薄い関係。
そこが残念に思えた。。 -
重松清の小説はお腹いっぱいだと感じ、遠ざかっていたタイミングでドラマを見て、重松清なのにSF要素あり!?
西島秀俊もカッコいいし、何より香川照之演じる親父が良い味出してて、原作も読んでみたくなり久々に手を出した作品。
本もドラマもどちらもオススメできる作品のひとつ。 -
ドラマも見ずに、本の厚さになんとなく尻込みして、ずっと積読でしたが、いよいよ読んで見ました。
重松さんの描写や表現が好きで、電車の中で読んでも泣くことがあるくらいなのですが、この話は…どんどん読めたけど、切ない部分も沢山あったけど、泣けなかった。。
同じ男親子でも、「とんび」の方がグイグイきた。
崩壊の原因が、ちょっと時代?を意識して狙った感があるからかな。
ドラマは上手くまとまってるのか気になって観たくなりました。 -
良かったです!!親子愛の感動作でした。途中から胸いっぱいで苦しいぐらい(涙)おすすめです。
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『流星ワゴン』重松清
主人公と同じような年齢になり、父になり、重なる部分もあり、引き込まれながら読みました。
自分が流星ワゴンに出会っていたら、どんな過去をやり直していたのだろう。自分にとっての流星ワゴンは何だったんだろう。
そんなことを考えます。
立ち直って頑張れている自分を褒めてもいいのかなと思いました。これからも自分を信じて頑張っていけます。
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なかなか重いテーマで強烈な印象の残るお話でした。ポイントは人生の分岐点はそのときにはそれがわからないということ。過去や人生は変えられなくても、死にたいとまで思っていた主人公のものの見方が最後には大きく変わる。特に行き詰まったとき、見方を変えるというのは大切。
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重松清の言葉選びがとても好き
ただ少しだけ中だるみがあって残念 -
男性の作者さんの作品で
こんなに心を動かされたのは初めてです。
切ない!
けど希望も見える。
今まで重松清さんの描写が苦手だったのですが
いやらしくなく、気持ち悪くもなく読めました。
(私が大人になっただけかもしれないですが)
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こころ温まる話で、すぐ読み終わった。流星ワゴンにあえて、主人公もよかったし、やはり、小さな事に気づいていない人が多く、それに気づければ、人間関係もうまくいくのではないかなと感じた。
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結構、前に読みましたが、今でも真夜中になると、駅前にもしかしたらあの親子が登場するのではと密かに想像していたのを今でも覚えています。
大人版のファンタジー小説のように感じました。
所々、気持ちが落ち込むような感じになりますが、読み進めるうちに本の世界観に引き込まれ、スラスラと読むことができました。後半はほろりと涙が出るくらい感動しました。
ハッピーエンドというわけではありませんが、自分とどう向き合っていくか?どうやって自分らしく考え、生きていくのか考えさせられました。
女性よりも男性の方がグッとくるのはないかと思いました。 -
2019.3.28
グイグイ読まされた。
14年前に文庫化されたみたいだけど、
その当時読んでもそんなに響かなかっただろう。
今読めてよかった。
読後、妻を愛しく感じ、優しくしたくなった。
暗くて辛いはずなのに、明るい気持ちになれた
良い本でした。
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解説にもあるけれど、これは上手くいってない三組の父子の物語。
不器用なだけで誰が悪い訳でもない。
そんなもやもやとする現実感が上手いし、時空を超えるワゴンというファンタジーをかますことで、現実的過ぎない雰囲気になってると思う。
前に読んだ『ブランケット・キャッツ』はなんだか辛い印象が残ったけど、これなら大丈夫。
解説 / 斎藤 美奈子
カバー写真 / 高橋 和海
カバーデザイン / 鈴木成一デザイン室 -
人生には色々な分岐点があって、日々選択して生きている。それがすごく重要な分岐だったことに気付くのは後になってから、とりわけ不幸せな後になってから。周りの大切な人・大切なものを、精一杯大切にしなきゃと思った。
でも分岐を間違えて、最低最悪の結果となっても、ルールは、勝ち負けは自分で決めちゃえば良い。物事は捉え方次第で勝者にもなれるんだなと、勇気付けられた。 -
後悔の場面を適切なタイミングでやり直せたら、と思った経験は誰にでもあるのではないか。でも、戻っても良い方に向かう行動はなかなか出来ないだろうとも思う。この物語では、それでも分岐点の場面を知らないよりはましだという。知れば、今後の人生における覚悟ができるから。逃げずに腹をくくって今に精一杯立ち向かうことが、充実した人生を送ることになるんだと教えてくれる。主人公の中年男の一雄が、現実に戻り覚悟を決めて人生を踏み出す場面が心地よい。ところで、幻に導かれて過去に戻り、やり直しの人生を経験するという構造が、重松の「なぎさの媚薬シリーズ」と同じと気づいた。調べてみると、「流星ワゴン」の方が先に書かれていた。この流星ワゴンからあのシリーズが生まれたのかもしれない。実際、なぎさシリーズに似た場面も出てくる。
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すでに起こった事実とその事実が起こる分岐点となった時点にタイムスリップすることによって確認し、自覚する旅。旅の引率者は、すでにこの世にない父子。
分岐点に立ち戻っても、起こった事実は変えられないという現実を前に、主人公はどうするのか? -
一時期、よく重松作品読んでたな。
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ずるい。面白かったけど、ずるい。過去に戻って未来を変えられる期待を抱かせてそれでもなにも変わらないけど前に進む、とか都合良すぎる。父親との邂逅とか、ずるい。案内役の親子も不思議すぎるし、悲しいし、ずるい。でも一気に読んでしまった。面白かった。
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なんともマンガチックで、懐かしい響きを持ったタイトルである。この「ワゴン」とは、幽霊父子が運転するワゴンカーであり、ワインカラーのオデッセイのことでなのである。そしてこのオデッセイこそ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でいうデロリアンであり、一種のタイムマシンなのであった。
病床の父親とは、ほば絶縁状態。妻はテレクラに狂い、一人息子は受験に失敗し家庭内暴力に走る。そして会社が傾き、リストラの対象になる。・・・こんな最悪の家庭環境に追い込まれたとき、あなたならどうするだろうか?
主人公のカズは、もう人生なんてどうでもよくなり、いっそ死んでしまいたい気持で一杯になる。そして目の前に止まったワインカラーのオデッセイに乗ってしまうのだ。これがこのお話の始まりである。
前述した通り、このワゴンカーはタイムマシンであり、家族が破綻する以前の過去へと疾走して行く。どういう訳か自分と同年期の父親も、一緒にタイムトラべラーになっているのだ。
それから、悲惨な自分の現在(未来)を変えようと、何度か過去を改竄しようと試みる。だがどうやっても、過去は絶対に変えられない。
この小説でのタイムトラべルとは、過去の自分の体に、現在(未来)の自分の意識だけが憑りつくという方式であり、決して過去の自分に遭遇することはないようだ。そして現在(未来)に戻るつど、過去の自分にはそのときの記憶も、記録も全く残らない仕組みになっている。ただ稀にそれとなく、体験感覚が揺り戻されることがあるようだが、それが『デジャヴ』と呼ばれている現象らしい。
いわゆる「リプレイ」ものなのだが、絶対に過去は変えられないため、パラレルワールドの存在もない。
またかなり違和感を感じるのが、同時にタイムトラべラーとなる父親チュウさんの年齢である。息子のカズと同い年であるはずがないのだが、チュウさんは幽霊に近い存在と考えて、タイムトラべルと関連付けないほうがよいだろう。このお話はタイムトラべルと、幽霊を重ね合わせた物語なのだから・・・。
なにせ466頁もあるブ厚い文庫本だが、ストーリーの中味は非常にシンプルで、どこにでも居そうな三組の「父と息子」を描いている。まずはオデッセイを運転する幽霊の橋本さん父子、そして主人公のカズとチュウさん、もう1組はカズと息子の広樹である。
そしてこれだけの長編にも拘わらず、女性達はほとんど存在感がなく、父と息子の関係だけに終始しているのだ。この辺りの描き方は、女性読者には少し抵抗があるかもしれない。そこにこの作者の、父親に対する強烈な思い入れを感じた。
さて私自身の父親は42才で鬼籍に入っている。出来ることなら、私もタイムマシンに乗って、若かりし頃の父と一献傾けたいものである。
父子の愛憎とタイムトラベルという筋立ては、浅田次郎の『地下鉄(メトロ)に乗って』と良く似た展開である。ただ浅田次郎のように切ないエンディングではなかった。だからと言って、決してハッピーエンドとも言えない。
過去にこだわらず、「未来に向かって力強く生きてこそ、幸福への扉が開かれる」と言いたいのだろうか。