クラインの壺 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.81
  • (223)
  • (313)
  • (319)
  • (25)
  • (8)
本棚登録 : 1886
感想 : 292
  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062750172

作品紹介・あらすじ

200万円でゲームブックの原作を、謎の企業イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。美少女・梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の世界に入り込む。不世出のミステリー作家・岡嶋二人の最終作かつ超名作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 楽しい読書でした。

    多くの人が、一度は考える世界観だ。
    自分は何か未来的な技術により、バーチャルの世界で生きていて、本当はカプセルの中で眠っているのかもしれない。大きな実験が行われていて、目の前にいる家族すら、作られた記憶の一つで、自分の視界の外では存在しないこともあり得るんじゃないか。的なもの。

    作者は井上泉と徳山諄一のコンビ。「岡島二人」というペンネームである。
    出版された当時にこの設定ができることに感心もするし、夢の世界や空想の世界、バーチャルに関する想像力が先鋭的であったことが伺える。書いていて2人は楽しかっただろうなぁ、と思う。

    K1とK2の描写に関しては専門性は一切排除して、誰でも容易に理解できる簡単な説明になっていることも好感。そもそも専門家でもない作者が、現代でも実在しないコンピュータの外郭のみを描いたのだから、描写も何もなかったのだろう。

    今の時代の読者には、仕掛けも、オチも、数パターン想像できてしまうだろうし、概ね予想と違わない結末が待っているだろう。

    主人公の結末は本の中で一応の区切りを迎えるが、一体それは内側なのか、外側なのか。
    奇妙な物語は幕を閉じた。

    読了。

  • ここは世界の内側か、それとも外側か―?

    初版は1989年。まだまだVR(バーチャルリアリティ)とはほど遠い年代に出版された作品であることにまず感動を覚えます。
    “VR元年”と呼ばれる今、この作品はさほど新鮮に映らないかもしれません。しかしVRの「よりリアルに」を追求した先にある世界を、この作品は覗かせてくれます。
    湧き上がる好奇心とスリル、その先は…?技術の進歩をネガティブに捉えるのも後ろ向きかもしれませんが、個人的には体験したくない世界でした。

    VRは今後ますます進化していくはずです。
    だからこそ“元年”のうちに読んでおいて良かったと思えた、SFミステリ。

  • むちゃむちゃ面白い!
    ノンストップで読めてグイグイ引き込まれる!
    今でこそあり得そうな話だが、これが書かれたのが30年前なんて信じられない!
    文章も古くさくなく、最近の本って感じ。

  • ドラクエIIIが最新だったらしい平成の始まり、1989年に描かれたVRゲームサスペンスのあまりにリアルな世界に没入し、その精巧な仮想現実を追体験した。
    壺の底を覗き込んで、何者かから逃げ続ける主人公の袋小路ぶりを知ってしまったとき、スリルは最高潮に達したのだった。‬

  • 発表から約30年が経っているが色褪せず、というか今読んだ方が面白いのかもしれない。
    結局イプシロンの正体とは?どこからが仮想世界なのか?など考えだすと深みにはまっていく。
    頁数からいくとやや長めだと思うが、どんどん加速するストーリーと軽快な語り口であっという間に読める。

  • 岡嶋二人名義の最後の作品。ゲーム作者の上杉はアドベンチャーゲームの原作公募に作品を提出し、イプシロンプロジェクトの原作に採用された。
    ゲームのテスト版をプレイするうちに怪しいことになっていく。

    まさにクラインの壺という名前がふさわしい。

  • 31年前に書かれたお話だとは思えない。どきどき、ぞわぞわ、しました。

  • 出版された当時の時代背景のもとで読みたかった、どう感じるんだろ?
    今だととてもあり得る未来だと感じるため、ぞわぞわとした怖さも伴った。
    逆に技術がすすんでいていない遥か昔だと現実と夢が地続きだったのかな、なんて色んな時代背景下での感覚を考えさせられる本でした。
    なのに圧倒的に読みやすい。井上夢人すごいな。

  • 驚くほど読みやすい。先が気になり思わず一気読みしてしまいました。

  • ※2005/9/16のblogより転載

     自分の作ったゲームシナリオ「ブレイン・シンドローム」がゲームの企画に採用されることになり、新たなヴァーチャルリアリティシステムのプロジェクトに関わる事になった主人公は、テストプレイ中に謎の声を耳にする。
     上杉彰彦はゲーム開発会社イプシロンの秘密の研究所で体感ゲームシステム「クライン2」を実体験するが、何者かによる作為的な事象に、このプロジェクトに潜む謎と謀略を危惧し始める。そんな時、一緒にモニターとしてゲームをプレイしていた高石梨沙が突然失踪してしまう。
     溢れる不信感、何が現実で何が虚構なのか・・・・・・
     最後まで現実世界を把握出来ないままに・・・・・・

     最近は殺人系以外のミステリも読む事も多くなってきたけど、このクラインの壷は展開といいバックボーンといい、非常に読み易く且つ読み応えがある一冊でした。
     読み終えてふと考えた「俺って気を失った事あったっけなぁ・・・??」と。
     自分自身に置き換えてみても、少しガクブルしてしまったよ。
     それにしてもこの作品って、もう十数年も前のものなのよね。岡嶋二人先生(井上夢人先生)の先見性っていうの!?創造性の高さにはただただ驚かされますね。脱帽です。

全292件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岡嶋二人の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
宮部みゆき
伊坂幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印

クラインの壺 (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×