きのう、火星に行った。 (講談社文庫)

  • 講談社 (2005年3月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (168ページ) / ISBN・EAN: 9784062750226

作品紹介・あらすじ

みんな大切なことを忘れてしまう
「熱い」って気持ちいい。クールなおれが変わっていく、こんなはずじゃなかったのに――。

6年3組、山口拓馬。友だちはいらない、ヤル気もない。クールにきめていた。ところが突然、病気がちの弟・健児が7年ぶりに療養先から戻ってきて、生活が一変する。家ではハチャメチャな弟のペースに巻き込まれ、学校では体育大会のハードル選手にでくちゃんと選ばれる……。少年たちの成長に感動必至。

みんなの感想まとめ

心温まる成長物語が描かれており、主人公の山口拓馬はクールな日常から一変し、弟の健児や友人でくちゃんとの交流を通じて新たな感情に目覚めていきます。彼は、病気がちの弟が帰ってきたことで家庭の中での役割や責...

感想・レビュー・書評

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  • ◼️ 笹生陽子「きのう、火星に行った。」

    くさくさした日常からの、脱却。兄弟と、友だちと。火星がいいね。

    児童文学の笹生陽子さんは賞を取った「ぼくらのサイテーの夏」がいいイメージで記憶に残ってて、折あればまたと思っていた。出版された本としては初作品らしい。正直、星とか宇宙といったタイトルには惹かれてしまう笑

    小学6年生、山口拓馬は何事にも醒めていてやる気のない性格。教室で寝ている間、金持ちの息子で子分の多い木崎の企みにより、地域の連合体育大会ハードル走の代表にされてしまう。おまけに家では夢見がちで宇宙の好きな幼い弟・健児が病気療養から帰ってきて調子が狂う。そんな中、同じハードルの選手、大きくてトロい"でくちゃん"に練習に誘われるー。

    スナックのプレゼント抽選で当たったゴーグル、宇宙関係のビデオ、オオカミの話など弟・健児の興味の対象は多く口数が多い。兄の拓馬は、文句が多く、いつも何かにムカついていて遂に健児にひどい仕打ちをもしてしまう。

    児童文学だけに、後半は様々なことが上手い具合に流れ始める。心地よい成長の感覚。クライマックスでの血には巧みだなあと感心。タイトルの理由も絶妙だと思う。赤!

    健児やでくちゃんとの触れ合い、理解を進めるくだりがゆっくりと進行する。突飛で飛躍している発想と、めっちゃいい人の代表、でくちゃんの人柄。そして迎える成長へとジャンプするきっかけ。いきなり性格が変わった感じもするし、良い方向ばかりに流れてるかな、という感想はあるものの、微笑みを浮かべながら読み終われる。

    やはり著者の作品は好感を残す。他の作品も読んでみよう。

  • キャッチコピーの通り。

    大人になるにつれてみんな大切なことを忘れてしまうんですね。

    主人公は小学生だけど感情移入がしやすいというか、気持ちはよくわかる。

    「悪いけど、今俺は本気だ。」

    いつまでもそんなことを言える人でありたいと思いました。

    なんだか心が温まりました。

    ありがとう。

  • 冷笑屋さんな主人公が、天真爛漫な兄弟や同級生と接して成長していくお話。

    若者の一生懸命な姿には、やはり胸を打たれますね。熱くなるのってかっこいい。

    …けど、体育が大嫌いだった小中学生の私が読んだら、大人の理想像が詰め込まれてて説教くさいなぁ、と思うだろうな。
    ひねくれちゃう気持ち、頑張れない気持ち、よーく分かるよ。
    弟があまりにも良い子に描かれてるのも、何かなぁって。

  • 大人が読んでもグッとくる一冊。
    「人間ってさ、忘れることの得意な生きものなんだって。本気を出さずに、サボっていると、本気の出し方忘れちゃうって」や
    p.158〜159「…無視したほうが楽だから。」のくだりは、心に刻みたいと思った。

  • 表紙とタイトルとあらすじが結び付かなかった。天才気質で日々をつまらなく生活している拓馬が、病気持ちの弟の健児や友達のでくちゃんの影響を受けて、がんばることの意味を知っていく。生意気な拓馬が変わっていく姿が印象的。犬の死骸を前に健児が拓馬に言った「お兄ちゃんは人が死ぬ映画が好きなんでしょ?宇宙人と仲良くする話はつまらないんでしょ?だったら吐くなよ」はすごく、そうだなあと思いました。笹生さんの描く世界は優しくて、やっぱり好きです。

  • 表紙買いして読んだら、良作だった!
    小学生くらいが対象なんだと思うが、大人である自分も楽しめたし、子どもに読んで欲しいなと思える1冊だった。

    言葉が分かりやすくて読みやすかったし、主人公・拓馬視点で語られている表現が子供らしくてくすりと笑える。長子の気持ちをうまく描写しているなと思った。
    小学生の見ている風景が映像的にイメージできた。良い先生もいるし、悪い先生もいるし、それに子供ながらに腹を立てたりくだらなさを感じたりするのは自分にも経験があったので強く共感した。

    最後の章の「ときどき俺は思うんだ」以降の文章が1番伝えたいメッセージなんだろうな。はきはきと書いてくれるので子供が読んでも分かりやすいなと思い、好感。なんでもできても、やりたいことがなかったら意味が無い。本気にならなくなったら、いつしか本気のなり方を忘れる。とか。登場人物の子供たちのセリフに、ぐっとくるメッセージが隠れてる。でもその元も大人から聞いた受け売りだったりするから、結局はいい大人が近くにいることが大事なんだよなー。

  • やだわあ、こんなクールめかしたすかした小学生。
    なんに対しても冷めていて、生きているのもめんどくさい風情の子供は結構多いと思うし、自分もそういう時期ありました。
    でもですよ、彼なんにもしていないのになんでもできちゃうわけなんですよ。そういう同級生。全然一生懸命やっていないのになんでもさくさくできちゃう。しかもクラスで一番かわいい子に何故か好かれていて、ああそうですか、そういうことなのねふうんふうん。
    で、だんだんと熱くなっていって、そんな自分が好きになって行ってしまうわけですね。

    感動はしませんでした(キッパリ)でも少年漫画的には結構悪くないとは思いました。

  • 社会人になって初めて読み切った本
    お金をもらわず払ってもらう立場の小学生が主役の話
    本気を出して何かをやったこと、最近なかった気がする
    すれてる山口拓馬くんが弟やデクくんをきっかけに変わって行くのがいいね
    面白い!!!っていうよりは、読んでよかった本
    ハードルのところはちょっと胸が熱くなる
    山口拓馬は本気っていう一文、いいね

    2015.07.07

  •  日本語補習校で「廃棄予定」になってる本。たぶん僕がレビュー見て選んだ。結論から言うと、「すごくいい」です。最後の5ページなんてボロボロ泣けます。
     6年生の主人公は勉強も運動もできる器用な子どもなんですが、クールで、何をやるのもかったるい。病気で離れて暮らしてた年子の弟が戻って来て、その子どもっぽい言動にいらいらしながら、体育祭の練習やクラスでの出来事によって「熱く」変わっていくっていう話。
     たぶん今の日本って、こういう「クール」な子どもってのが標準で、「熱い」子どもってのは「ダサい」って思われてるんでしょうね。困った生徒を見てへらへら笑ってる先生に対して、全校生徒の前で「笑ってないで、ちゃんと自分の仕事しろよ」っていう「熱さ」、好き嫌いは分かれるんでしょうね。類型化されたヒール役や別居してた弟が急に帰ってくるっていうやや無理目の設定もあってか、レビューの評価もすごく高くはないです。
     「桐島、部活やめるってよ」や「野ブタ。をプロデュース」もそうなんですが、外面だけを取り繕うっていう日本の学校生活ってのはいつ頃から主流になったんだろう、ってよく思います。で、そういう風潮が小学生にまで下りて来てたのねってのを再確認させられた一冊ではありました。
     でも、子どもが読んでも案外刺さらないかととも思ったり。

  • 何をやってもつまらない。
    別にできないわけじゃない。
    やればある程度のことはできる。
    でもそれをやる意味がわからない。
    だって楽しくないから。
    やる気がないという状態。
    勉強もスポーツも日々の生活さえ、つまらない、楽しくないと感じることがあるかもしれない。
    きっとイライラするだろう。
    でも、それは拓馬のお父さんが言うように誰の所為でもない。
    忘れてはいけない。
    つまらないと思うのは自分の所為だということを。
    2時間程度でさらさらと読んでしまったこの本。
    思いの外、非常に素敵な本だった。

  • 勉強もスポーツもできるがなんとなく腐っているクールな小6山口拓馬が、友人や家族との関係の中で成長するお話。SFでもファンタジーでもなく、小学生の日常的事件。運動会とか、塾とか、意地悪な子とか、女子とか。小学生にとっては身近で、自分のことのように読めるんではないかと思います。日常的ではあるけれども突き抜ける爽快感はあって、こんな風に自分が、子供たちが、成長できたらいいと思う。うちの子供たちも楽しんでました。タイトルに書いてあるような暗喩的(というのか?)表現や、登場人物の心情や行動の理由がいちいち説明されていない、つまりは大人の小説の技法が使われており、うちの子供たちにとってはそこが目新しく、難しく、そこを読みとく謎解きのような楽しみかたもできました。

  • 小学生の男の子の話。
    2013/08/08

  • この作者の文章は、なんとなくリズミカルで読んでいるだけで楽しくなる気がします。僕も小学生の頃は冷静な格好良さに憧れたりもしたけれど、一生懸命何かをやり遂げようとする熱い格好良さも素敵だと思えました。
    爽やかな読後感でした。

  • これ、いい。推薦。

    クールで冷めているのって、カッコいいって思っている子は多いと思う。
    それが、弟とのバトルや、クラスメートとのバトルで少しづつ熱くかわっていく。
    最後に、主人公の拓馬がハードル競争で全力を出し切る姿は圧巻。

    熱いのもカッコいいんだよ、って言うのがわかる作品。

    2011/04/30

  • 読後感、よかった。

  • こないだぶんぶん文庫で借りてきた一冊。笹生陽子の小説は去年だったか、一昨年だったか、しばらく読んだが、これは知らなんだ。

    やる気ナッシングの小6、山口拓馬。席替えで、教室の窓際の一番うしろの席になって、居眠りしまくり。気がついたら、連合体育大会の個人走の部に出る選手に決まっていた。その日はとことんついていなかった。家に帰ると、部屋の中は段ボールの山、おまけにベッドにはおれじゃないやつが寝ている。拓馬が5歳の頃から、長いこと病気療養のため別に暮らしていた弟の健児が帰ってきたのだ。弟の言動がむかつく、むかつく、むかつく。

    おまけに、そのトンボの化けもの何なんだ。健児が家に帰ってきてから、ずーっとはめたままの「超時空ミラクルゴーグル」。懸賞ハガキで当てた、大切なものだ、「これをかけると行きたいとこならどこでも行ける」と弟は言うが、おしゃれのつもりか、バッカじゃないの。

    連合体育大会の説明会では、人気のなさそうなハードル走を希望したらすんなり通って、同じ学校の「でくちゃん」(デブででかくてぬぼーっとしていて、でくのぼうのようだからとそんな変なあだ名がついたという)と一緒になった。練習だとかめんどっちい。でくちゃんは「大会頑張ろうよ、ね? ふたりでさ」と言うけれど、なるべくやりたくない。朝練、昼練、放課後練、休日向けの自主トレ、とでくちゃんが書いてきた練習メニューに。、やってられるか、なんじゃこりゃと思い、塾が毎日あって、朝は低血圧で弱くてとすらすらウソをついて断った。でも、「じゃ、いっしょに練習できるの、お昼休みと日曜くらい?」と言うでくちゃんを断る勇気は、さすがになかった。

    同じクラスの谷田部に「山口、なんでもできるから」と言われて、拓馬はカチンときた。居眠りしてる間に自分を選手に推薦した木崎は、拓馬のことを「人よりできると思って手抜きばっかりしてるのがむかつく、どうせまじめにやりゃしないからインネンつけて楽しもう」とか言っていたのだと谷田部に聞かされて、いままでなんで木崎が絡んでくるのかわからなかったのが、わかってすっきりした。

    裏切ってやるぜ、木崎の期待。

    ▼ときどき、おれは思うんだ。
     なんでもできる人間が、この世で一番幸せだとはかぎらないんじゃないかって。なんでもできるということは、やりたいことができるというのと似ているようで、ぜんぜん違う種類のものじゃないかって。たとえば、両手にあり余るほどお金を持たせてもらっても、買いたいものがなにもなければ意味がないのとおんなじで、なにをやってもいいといわれて、実際なんでもできたとしても、やりたいことがなにもなければ、そんなの、やっぱり意味がない。わかっていたけど、わかっていないふりをしながら生きてきた。心にぴっちりふたをして、死んだふりして生きてきた。なぜって、それは自分にとって都合のよくないことだから。自分に都合のよくないことは、無視したほうが楽だから。(pp.158-159)

    ひたすらサボるのが自分の特技だと、クールにきめていた拓馬の変化。ハードル走の本選Bグループでゴールテープを一番で切ったでくちゃんが、「でくじゃないんだっ。違うんだっ。おれの名前は中上まもるっ。これから先も、死ぬまでずっと中上まもるだ。覚えとけっ」と吠えた言葉。答案用紙のすり替えをもちかけられていやだと断り、木崎の子分じゃなくなって、ひとりで行動するようになった谷田部。

    思春期の疾風怒濤のなかで、それぞれに変わっていく姿がよかった。

    (2/10了)

  • 話がトントン拍子にうまくいきすぎ?そうじゃなくて、人生を良い方向に変えるきっかけは、ほんのちょっと自分が変わるってこと。そういうことが明るく簡潔に描かれていて、とても好感の持てた本。
    短くて文章も簡単なので、読んで「明日から頑張ろう」って思った子供がいるんだろうな。元子供も含めてたくさんいるはず。

  • こういうガキンチョは必ずいますよね。わかるわかるという感じです。しかし、こいつはなんだかんだ言ってなんでもできるヤツだからなぁ。やる気になればすぐにどうにかできてしまう、っていうのは物語としてどうなのだろうとおもってしまう。

  • よかった。p.155「でくじゃないんだっ。違うんだっ。」あたりから目が潤んで仕方なかった。
    モノゴトに斜に向かいあちら側にいることは、少しもクールではない。かと言って、ただ一生懸命やっていればいい訳でもない。それでは独りよがりになりかねない。「評判」は気にしなくていいけど、「評価」は気にしなくてはいけない。だから作者は、最後に拓馬とでくちゃんを勝たせたのだと思う。
    大切なのは、想像力と、集中力と、信じる力。そしてスピード。

  • タイトルが気になったので買った。
    きのう火星に行った話

    作品の紹介
    6年3組、山口拓馬。友だちはいらない、ヤル気もない。クールにきめていた。ところが突然、病気がちの弟・健児が7年ぶりに療養先から戻ってきて、生活が一変する。家ではハチャメチャな弟のペースに巻き込まれ、学校では体育大会のハードル選手にでくちゃんと選ばれる…。少年たちの成長に感動必至。

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著者プロフィール

東京都生まれ。慶應義塾大学文学部人間科学専攻卒業。1995年『ジャンボジェットの飛ぶ街で』が講談社児童文学新人賞佳作となる。1996年『ぼくらのサイテーの夏』でデビュー。同作品で第30回日本児童文学者協会新人賞、第26回児童文芸新人賞を受賞。2003年『楽園のつくりかた』で第50回産経児童出版文化賞を受賞。その他の著作に『世界がぼくを笑っても』『バラ色の怪物』などがある。

「2015年 『楽園のつくりかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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