珍妃の井戸 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062750417

作品紹介・あらすじ

列強諸国に蹂躙され荒廃した清朝最末期の北京。その混乱のさなか、紫禁城の奥深くでひとりの妃が無残に命を奪われた。皇帝の寵愛を一身に受けた美しい妃は、何故、誰に殺されたのか?犯人探しに乗り出した日英独露の高官が知った、あまりにも切ない真相とは-。『蒼穹の昴』に続く感動の中国宮廷ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • 蒼穹の昴では、中国名が難しくて誰が誰なのかこんがらがってたけれど、ここまで読んだら分かるようになってきた!

    珍妃を殺したのは誰だというミステリー小説なのかと思いきや、とても素敵なラブストーリーでした。みんなが証言することが全然違かったり、実際に会ってみた人物が噂と違ったりでどういうことだってなってたところでのラスト!全く想像出来なかった。皇帝と珍妃の深く揺るぎない愛に泣けた。歴史上の事実は別として、この物語の珍妃が大好きになりました。

    そして実際に珍妃が殺されたとされる井戸が中国にあるらしい…見てみたくなった!今まで全く興味のなかった中国史が面白いと感じるようになってきたぞ。

  • 蒼穹の昴の外伝!

    蒼穹の昴で登場した人々が義和団事件の最中に殺されたとされる珍妃の井戸事件の真相を語る!

    しかし、証言者達の証言は、ことごとく食い違う!?

    果たして珍妃を殺めた犯人は誰なのか?


    関連して、読む前に『蒼穹の昴』はさることながら、松岡圭祐さんの『黄砂の籠城』と『黄砂の進撃』を読むと登場人物達の相関図が立体的になります!


    【義和団事件について考えて思う事】
    あくまでも個人的な意見ではありますが、清国にアヘンを持ち込んだイギリスという国家、アジア諸国を植民地支配していた欧米諸国、世界に混乱と争いを巻き起こす耶蘇教の人々、そんな西洋文明に憧れる私達の国を思うと辟易とします・・・

  • 今回のこの巻はなんかサスペンス仕立てで、
    蒼穹の昴からの顛末もわかって面白かった!
    次は中原の虹の①巻へ!楽しみ楽しみ!

  • ほぼ一気読み。珍妃の死の謎やいかに?と、、、
    二転三転される証言に、登場人物たちと同じように気を揉まれつつ読み進めた。

    清代末期の激動を描いたシリーズの第二期という位置付けらしい本作を読み、続編への期待が高まった。

    ★4つ、8ポイント。
    2022.08.26.新


    ※中国史の知識はほぼ皆無(中学校の社会科レベル)だが、逆に予備知識が無いからこそ新鮮に物語の世界観を味わえている気がする。

    ※「蒼穹の昴」の続編だというから“春児”の活躍に期待したけれども、ほとんど出てこなかった(苦笑)

    ※(読解力が無いのかな…?)
    結局のところ、珍妃を殺したのは誰?
    連合国軍の兵士たち?
    ・・・・(恥)
       ↑
      ここが、いまいちスッキリしなかったのだけれど・・・他の読者達はちゃんと読み取れているのかしら?読解力不足の哀れな読書好きに、もしよかったらそれぞれの解釈をコメント欄ででも教えてくれる方がいたら嬉しいです。


    ※巻末解説者は今作を読んで芥川龍之介の「藪の中」を思い浮かべたらしいが、自分が頭に浮かんできたのは・・・
    20年以上前の洋画。メグ・ライアンとデンゼル・ワシントンの「戦火の勇気」だった。
    (そんなに有名な映画ではないのだけど…知ってる人はいるかな?)

  • 清王朝末期の義和団事件の混乱のさなか、第11代皇帝(光緒帝)の寵愛を一身に受けた美しい側室(珍妃)が、紫禁城内で無惨に命を奪われた。・・・「珍妃は西太后に殺された」という通説を翻し、日英独露の高官たちによる犯人捜しと真相の迫る、『蒼穹の昴』に続くミステリ仕立ての歴史ロマン。 “誰が珍妃を殺したのか?”・・・あまりにも切ない事の真相に触れたとき、時代に翻弄されて生きる人間の業の深さに、どうしようもない焦燥感に苛まれる、愛と感動の一篇。

  • 史実はどうあれ、久々に衝撃を受けた小説
    浅田次郎すげぇな…と読み終えた後ふと思ったくらい。
    清国最後の皇帝の時の時代背景。
    義和団の乱の時に井戸に投げ込まれて殺された(と言われている)けど
    実際どうなのかという、まぁあくまでも小説とはいえ
    読み進めて行くうちに謎がどんどん深まるし
    戦争に勝った勝者と敗者の解釈の違いだとか
    珍妃の美しさを改めて最後に知る感覚。
    ところで最後、後は読者に解釈宜しく的な感じだけど
    最後の最後まで非常に、本当に衝撃的だった。
    こんなのアリ?みたいな
    西太后はだいたいヒール役として描かれることが多いよねって思う

  • 一冊とは思えない密度の濃さだった。それぞれの登場人物の立場や強いキャラクター性もあり、読むのが止まらなかった。ミステリーの体裁ながらも、当時の情勢や、清国の悲しさも絡んで胸を打つ展開だった。文章なのに情景が浮かぶような、素晴らしい表現と思う。

  • 浅田次郎さんの長編歴史小説の傑作「蒼穹の昴」の次作。続編というよりもスピンオフ作品という位置付けです。評価の分かれそうな作品ですが、私は面白く読めました。

    舞台は義和団事件の2年後、列強諸国に蹂躙され荒廃した清朝最末期の北京。光緒帝の側室、珍妃が義和団事件の最中、何者かに殺されたという情報を英国の伯爵ソールズベリー提督が入手します。貴族にとって、宮廷の人間が殺害されたという事実は王権維持のためには許しがたいこと。ソールズベリーは日独露の貴族を招び、事件解明に乗り出します。小説は4人の貴族が聴取する7人の人物の証言が中心となっています。
    7人のうち5人は前作「蒼穹の昴」の主要人物。したがい、かなりクセのある人々です。しかも、7人がそれぞれ全く違う証言をします。珍妃を殺したのは誰なのか?解説にもある通り、この小説は「藪の中」(芥川龍之介)を彷彿させます。好き放題の勝手な証言、しかもある程度は納得できる証言が飛び出し、巻を措くこと能わずの読書でした。
    最後に珍妃殺害の真犯人が提示されますが、おっと、それ以上は言えません(笑)。
    個人的には、読了後にモヤモヤが残りました。たぶん、読書会に取り上げるのに格好な小説です。

    面白い小説でお勧め。ただし、文庫全4巻の「蒼穹の昴」で登場人物、清朝末期の事情を知らないと本書の面白さは味わえないかもしれません。また、謎解きを主題にしていますが、狭義のミステリーというよりも、中国伝奇歴史小説のジャンルに属すると思います。

    まずは「蒼穹の昴」をお読みください。こちらは超お勧めです。

  • 『蒼穹の昴』続編。
    光緒帝の寵妃“珍妃”殺害の犯人を追及するミステリー仕立て。

    当時現場に居合わせた人間達の証言を一つ一つ聴いていくものの、彼らの話す“真実”はどれもちぐはぐで、何かしら証言者自身の主観のこもった嘘が混ざっている。
    果たして、珍妃を殺したのは誰なのか。
    登場人物それぞれが見た“物語”を通して、「義和団事件」前後の中国の痛ましい姿をより深く抉り出している。

    全ての証言で“共通している事実”だけが、真実だった――
    すなわち、「豊潤な国を食い荒らす諸外国の非道な所業」と、「光緒帝夫婦の揺るぎない愛」である。

  • 蒼穹の昴の続編。
    光緒帝の寵愛を一身に受けていた側室の珍妃が井戸に突き落とされて殺された事件を、日英独露の高官たちが関係者の証言を元に追求していく、というストーリー。
    それぞれの証言が矛盾していて、誰の証言が本当なのか、誰が嘘をついているのか…史実はで西太后の命令で殺されたという説が有力らしいけど、この物語では別の見解が示唆してあって、ラストは切ない気持ちになった。蘭琴と春児のエピソードには胸が熱くなったな…。
    蒼穹のラストから少し時が経っていて、義和団って何…ってところからのスタートだったんですが、Wikipediaで調べたりしながら読みました。このシリーズはとても面白いけど時々歴史の話についていけなくなるから、大まかに中国の歴史を予習してから読んだ方が100倍楽しめると思います。
    蒼穹の昴を読んでから、宝塚の舞台を見て、ドラマも見ました。次は「中原の虹」を読みたい。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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