珍妃の井戸 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062750417

感想・レビュー・書評

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  • 独白メインで面食らったが、引き込まれて読んでしまった。
    解説を読むと、筆者の仕掛け、描写の巧みさがよくわかる。

  • めちゃくちゃ面白い/ 中国の歴史をベースにしたミステリ/ 七人の証言者から語られる物語から、珍妃というヒロインが徐々に像を結んでいく/ 同じ状況を語らせて、それぞれの嘘や都合が浮き彫りにいなっていく/ 構成も良いし題材も良い/ 最近読んだ中で一番面白かった

  • ユン・チアンの西太后秘録を読んだ後に読みました。西太后秘録に書かれている真相が個人的に正しい説だと思っているため、各々の証言はいかにもフィクションのようにしか思いませんでしたが、すらすらと読めたので面白かったです。

  • 愛という言葉を並べられるとなんだか空虚に感じることがある
    日本に正直あまり馴染みがない言葉だと思うけど最近はやたら町中に溢れている
    それになんとなく違和感を感じるのは私自身の実感のないところの言葉だからなのか、並べ立てられることの空虚さを感じているのかわからないけれど
    珍妃の最後の独白の真意を伝えるためにこの物語は編まれたのだろうか

    中国には私も変な偏見を持っている、と思う
    でもたくさんの豊かなものを持っていたから心が貧しい国から狙われて妬まれたという見方は目から鱗だった
    国同士の諍いはいろんな理由が並べられるがきっとそれもたくさんある理由のひとつだ

    途中まではそれぞれの言葉の真偽がどこにあるのか考えていたが最終に近づくにつれてそんなことは二の次になってしまった

    壮大な物語、でもほんとうのところは人のささやかで切実な心にあることに気付かせてくれる
    浅田さんの綴られる物語ははっとさせられることがたくさんある

  • 「蒼穹の昴」の続編、というよりスピンオフ的な話。
    珍妃は誰に殺されたのか?今、日本で巷を賑わすニュースと同様、人によって証言が二転三転。信実は藪の中なのか?
    最後の数ページに作者の言いたいことがあったと思う。
    自らの利益のため中国を食い散らかした洋人たち。彼らは哀しい人たちなんだと。世界では今も続いている…

  • プーシュンの証言派かな…

  • 義和団の騒乱の中、光緒帝の寵姫、珍妃が殺害された。
    英国から義和団事変の調査に来ている、ソールズベリ提督に、『蒼穹の昴』にも登場したあのミセス・チャンが罠を仕掛ける。
    提督は、ドイツのシュミット大佐、ロシアのペトロヴィッチ公爵、そして松平教授とともに、珍妃殺害の下手人を探すべく、七人の人物の証言を求める。
    次第に「当事者」たちに迫っていくのだが―。

    一つの事件を、七人の語り手が語り直す手法。
    一つの語りは、次の語り手により、覆される。
    誰もが、当事者である光緒帝さえもが、いや、当事者性ゆえに、「信頼できない語り手」になっていく。
    (いや、最後に最大の当事者、珍妃のモノローグまであり、光緒帝の語りと照応させられているため、作者としては光緒帝の物語を「真実」にしたいのかもしれないが。)
    私は、真犯人探しの企てが挫折することが、むしろ列強の北京進行の非道さが浮上してくる仕掛けだと考えたい。

    語りの巧みさ、技巧の高さは、いうまでもなく素晴らしいのだけれど、でもどうしても無理があるなあ、とも思える。
    それは『蒼穹の昴』でも感じたことだ。
    本作についていえば、調査団の長の立場にある人や、各国の貴顕たちが、時間と労力をかけて珍妃の一件にそこまで首を突っ込むとは考えにくい。
    それがたとえミセス・チャンの誘導があったにしても。
    珍妃を殺害するにあたっても、やはりメリットは西太后にもっともあると考えられるし。
    下手に中国史を知っていると、楽しみにくいのかな?

  • 『蒼穹の昴』続編。
    光緒帝が本妻をさしおいて唯一愛した側室の珍妃。
    史実としては、西太后が殺したとされる珍妃だが、その真犯人を探すべく列強各国の軍人や学者などが、関係者7名から当時の事情を聞くという筋書き。
    時代、権力闘争、列強各国からの侵略に翻弄された清国最後の皇宮とは。

  • 2013.9/12 蒼穹の昴」の続編ではあるものの、構成が全く異なり、まるでアガサクリスティでも読んでるかのような心持ちでした。人は立場が違うと同じことがこうも違って語られるのか…と思っていたら、光緒帝と珍妃と国を愛するがゆえの偽証だったのね…

  • 蒼穹の昴に引き続き読んでみた。珍妃を誰が
    殺したのか?ミステリー仕立てで仕上げた作品。
    蒼穹の昴と比べると、イマイチ。
    史実としては、西太后の命令のようです。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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