世界は密室でできている。 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1566
レビュー : 243
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062750677

作品紹介・あらすじ

十五歳の僕と十四歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこから始まる。地元の高校に進学し大学受験-そんな十代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。

感想・レビュー・書評

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  • ここに言う密室とは、家庭のメタファーみたいなもんである
    核家族化の進んだ現代において
    それは確かに、世間の目から遮断された、密室内の営みと言えるんだ
    そしてそれゆえに、しばしば不健康なものとして
    立場の弱い子供たちを束縛する
    家庭の束縛と、タテマエ社会の自由とのあいだで板挟みにされ
    精神のつじつまが合わせられなくなってくると彼らは
    密室という茶番に反抗して無軌道に走ったり
    あまりにちっぽけな世界の支配者をわざと無視したり
    自分自身が別のところにつくった密室で、暴君になってしまったりする
    甚だしきに至っては
    家族関係にまつわる鬱屈を誰かにわかってほしいあまりに
    自己表現として、密室殺人を演出してしまったりするわけだ
    だけど俺らはそうはならずに、理想の愛を追い求めていこうな、ってのが
    まあこの作者のいつものアレなんだが
    もちろん僕だってその見解には大賛成なのさ
    しかしそれでもやはり
    母の死の巻き添えにされ、間一髪助け出された胎児の「今」が
    いちばん不幸であったとは、本人以外の誰にも断定できないのである
    誰もがルンババ12のような天才ではありえないし
    そのルンババだって
    奈津川一族にはまったく手も足も出ないまま敗れてしまうのだから

  • 煙と土に比べると、文体は割とソフト。青春小説としての着地だが......感情揺さぶられずに読み終わってしまった。とはいえ、エネルギーもスピードもあるのだから、この"愛"が響く人は多いと思う。ただ、E.Hの模倣はあまり感心できない。

  • これも青春。

  • この疾走感は舞城さん以外ではなかなか味わえない。好き嫌いははっきり別れるだろうが、他の作品よりはわかりやすい内容だと思う。密室トリックをルンババが解決したりと、ミステリー的要素はあるが、その辺は結局のところは割とどうでも良くて、由紀夫とルンババの新青春エンタだった。
    「言うな言うな。言うな地蔵」にうけた。素晴らしき意味判らない言葉のチョイス。

  • どうして舞城節の虜になっちゃうかっていうと、例えが抜群に気持ちいいからだと思う。って書いたけどぱっと思いつかないからパラっとめくってみたけどそれでも見つからなかった。前どっかで見たのが「大人だってトトロにガバっと抱きついてがおーってしたい時もある」ってのがあって、単に「ストレスを発散させたい時もある」って書くのと比べたら感覚に訴える土着力がトトロのほうが高いのは歴然でそれが持続して読書中飛びっぱなしだから読んでいる間は一種のアッパーになってる。リーディングハイ。あと発見したのが限りなく映画的な動きが見えたりする。椿の抱いている赤ちゃんに近づくシーンでは”ゆっくり近づいたが、しかしそれはもう走る必要が無いため、ツバキさんが赤ちゃんに注いでいる親密なる視線を壊さないようにわずかながらでも猶予を与えてあげる配慮のような気がする。本能的にここで追い付くことは決定的に何かを壊してしまう気が僕はした”
    ありありと情景が浮かぶし、映像を見てこの感覚を得るようにもありえそう。これは説明の過多ともとられそうで、文章と文章の行間を読みたい派であれば拒絶対象でおれもそのきらいはあるんだけど、舞城王太郎のは屈服したくなる。それはより感覚を味わいたいってのがあると思う。物語のフルスロットルはいわずもがな「プギャーイッヒ」なんて赤ちゃんの鳴き声を表すのはこの人しかいない。

  • まあたまにはこんなのもありかな。"僕"西村友紀夫と名探偵"ルンババ"こと番場潤二郎の10代の冒険?

  • ゲーム実況で有名なReivnさんがオススメされていたので読んだ、初舞城作品。

    最初は、舞城 王太郎さんの流れ込むような勢いのある文体に面食らったものの、慣れれば一気に最後まで読み進めることができた。読後感がさわやかな青春小説。

    主人公と友人のルンババは、密室で発生する事件に巻き込まれ続ける。
    密室の謎を解き明かそうと躍起になったり、密室は密室のままにしておいたり、自分の暮らしている世界に介在する密室に憤りを感じたりしながら、駆け抜けるように日々を過ごしていく。

  • 初めて読む舞城王太郎。
    もっと読みにくい難解な文章を想定していたのですがするすると読めるしテンポも小気味良くて最後まで持続したテンションで読み終えた。
    名探偵のルンババの印象は薄く、主人公の方がより魅力的に感じた。不思議。

    余談。
    あらすじに書いてあった登場人物の名前が「ルンババ」だったのでファンタジーっぽい世界観なのかと。。。全然違いましたね(笑)

  • 序盤の下ネタと変なテンションの文に少し嫌気がさしたけれど
    主人公が成長するにつれ落ち着いたので安心。
    文体に変化をつけて内面の成長を表現するのも一人称視点ならではかもしれない。
    変なトリックといい、クライマックスといい、この作者のセンスはすごい。
    最後まで読んでよかった。

  • メフィスト系がラノベと呼ばれるのはセリフの多さと感じるけど、改行せず言葉の応酬に驚かされました。ミステリーなんて言うから敬遠してたけど良い意味でサラッと読めた。

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著者プロフィール

1973年、福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞しデビュー。03年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『淵の王』『深夜百太郎』『私はあなたの瞳の林檎』など著書多数。12年には『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦著)の25周年に際して『JORGE JOESTAR』を刊行。近年は小説に留まらず、『バイオーグ・トリニティ』(漫画・大暮維人)の原作、『月夜のグルメ』(漫画・奥西チエ)の原案、トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』の翻訳ほか、短編映画『BREAK』や長編アニメ『龍の歯医者』の脚本、短編アニメ『ハンマーヘッド』の原案、脚本、監督などをつとめている。

「2018年 『されど私の可愛い檸檬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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