グッドラックららばい (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062751063

作品紹介・あらすじ

「この作品が私の代表作になる予感がします」――平 安寿子

けちなモラルや常識なんて笑い飛ばせ!?どこにでもいる父・母・姉・妹4人が見つけた「新しい人生!」 あなたは誰に似ていますか?

プチ家出から何年も戻らない母、いいじゃないか、と言う“文鎮”こと父、ダメ男に貢いで飄々と生きる姉、そんな家族にいらだち、上昇志向を実現しようと邁進する妹……。他人の迷惑顧みず、「自分の気持ち」に素直に生きるタフな4人がここにいる。けちなモラルや常識なんて笑い飛ばす、新しい家族の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 人間の印象って見る人によって変わるなと思った。
    あと家族は個々の集合体だなって思ったけど、一緒にずっと暮らしていることが家族が家族たる愛着を生むのだろうと思った。

  • 好き嫌いは分かれるだろうけど、わたしはものすごく好きです。
    4人家族のそれぞれの価値観の違いにがくがく頷いてしまう。家族もまた個人の集まりなのだよなあ。その4人それぞれのキャラを引き立てる文章表現がまた絶妙で、ニヤリとしたり吹き出したりイラッときたり心配したりで、気がつけば読むのを中断できない。入り込んでしまう。近所のおばさんにでもなったような、付かず離れず眺めて、いろいろ噂したり心配したりお菜をおすそ分けしたりしたいww
    個人の集まりである集団が家族なのだと、それに対して美化もしないけれど卑下もしない。そのフラットな目線が素晴らしい。
    平安寿子さんが好きなひととは、友達になれそうな気がする。

  • 自分の1番したいことをするのが1番!と思える物語。人生の流れに身を任せるのも切り開くのも、成功も失敗もどれも間違っていないんだなぁと思える。何が正しいか、なんてことは周りが決めることではないんだと思った。

  • この物語には、多くのテーマが埋め込まれていると感じました。何を言いたいのか、は読み手によって変わると思います。
    私が印象的だったのは、物語の主人公の1人である鷹子の言葉でした。
    「世の中、難しく考えることはない。生命さえあれば、偶然ぽろりと落ちた土の上で咲けるのよ。」
    「うんと若かった二十代の頃のほうが、もっと先行き暗かった。これから先の世界がじぶんのためにあるなんて、到底思えなかった。」

    結婚して妻となり、子供が産まれて母となり、その後何になるのだろうか?家族での役割を取ったら自分に何が残るのだろうか?そんなことが頭をよぎる女性も少なくないような気がします。タンポポの綿毛のように、私達はどんな場所や環境でも偶然落ちた土の上で自分を咲かせることが出来る可能性を持っているとしたら。何かを目指そうとしなくても、何にもなれていないように感じても、知らない間にたくさんの花を咲かせてきたのかもしれない。そう思うと自分の生命がとても愛おしく大切に感じられました。

    鷹子の破天荒にもみえる人間臭く正直な生き方は、自分を二の次にして家族を大事にしてきた女性にとって、疑似体験のように清々しい気持ちになるかもしれません。
    夫や子供であっても自分以外の個々の存在であり、離れていても信頼するという鷹子の生き方は、こういう愛の形もあるのだということを教えてくれました。
    自分がしたいように生きることで、時に周りの人々に生きる力を与えることが出来る不思議。
    いつの間にか染み付いてしまった「こうあるべき」といった概念から解き放たれて、好きなように生きてもいいと背中を押してくれる。そんな考えさせられる一冊でした。

  • 家族で食卓を囲むことが少なくなった。

    「個食」と言われ、1人で食べる時が増え、中食(なかしょく…持ち帰り惣菜・弁当)産業が発達し、家庭の食卓に日本食、中華、イタリアン、フランス料理風とごちゃごちゃ並べられる時代だ。

    例えば、朝から肉まんと焼きそば、とりから揚げにポテトサラダなんて…。

    そんなゴタゴタ感の物語が『グッドラックららばい』。

    導入部、娘の高校卒業の式に出席した帰りに突然蒸発してしまった母がいる。式服姿にハンドバックひとつで。

    このことを知った家族、まじめでおとなしい父、我関せず手前勝手な姉、中学生だけど甘ったれでおこりんぼの妹が織り成す驚きと戸惑いは、笑わされる。ここは平安寿子の筆が冴える。

    さて、何年も帰ってこない母。母は何処へ行ったか、残された家族はどうしたか?

    それぞれが個性的にその後をたどるのだが、もうその個性が半端じゃない。共通しているのはみんな自分のことばかり、わががま勝手にふるまう。モラルなんてそっちのけ。

    日本の朝食は「味噌汁にご飯、のり、納豆、佃煮、漬物」か、せめて「トーストにコーヒーミルク、目玉焼きと生野菜」にしたいよ。そうしないと調和が取れないのではないか。そう、食卓が美しくないのだ!と言うはやすいが、それは浅慮。

    てんでばらばらの人生をたどって過ごす人達、でも家族、されど家族。ごちゃごちゃっとした経過をユーモアたっぷり、「知ったこっちゃない!」とうそぶく、ふてぶてしい作者平安寿子であった。

  • 読んでいてこれほど感情を高ぶらせた作品は初めてかもしれない。最初は夫の不甲斐なさに憤り、次は身勝手な妻に呆れ、我が道を行く子供たちに茫然。そして読み終わった今は、もう勝手にしろ(笑)と言った感じ。抜群に面白い。今年に入って平さんの作品を読み始めたがすっかりファンになってしまったようだ。
    あらすじ(背表紙より)
    プチ家出から何年も戻らない母、いいじゃないか、と言う“文鎮”こと父、ダメ男に貢いで飄々と生きる姉、そんな家族にいらだち、上昇志向を実現しようと邁進する妹…。他人の迷惑顧みず、「自分の気持ち」に素直に生きるタフな4人がここにいる。けちなモラルや常識なんて笑い飛ばす、新しい家族の物語。

  • This story is anything but ordinary family except that each family member lives their own life freely albeit others. Each of them has of course different personality and live through life in their own way. We live life as we like it but usually with a little bit it of other expectations. This book has brought new family picture.

  • 読み始めはなかなか話が展開せず、読みにくく、一度は読むのをやめた。少ししてから気を取り直してもう一度読み始めてみたら、だんだんにおもしろくなってきた。
    家族のそれぞれの生き方や、性格、それぞれの家族の生活の一場面一場面が描かれていて、物語としてそれぞれの登場人物のお話としてもおもしろかった。
    最後の場面、旅館の女将が家を出てきたところは、この主人公の母親のたどった物語の再演になっていくのだろう。

  • 素っ頓狂な環境設定の下で繰り広げられる、ある一家の人生の物語。蒸発したでも離婚したでもなく、確固として存在している母が良いアクセントになってます。裏では結構えげつないことが行われているんだけど(こと男女関係においては)、泥臭さはほとんど感じられない。母がいないっていう特殊な環境を除けば、だいたいの家族ってこんな感じなんでしょうね、きっと。概念上、家族ってひとくくりにされてるけど、実際にはあまり他の家族のことなんか知らなくて、でも他人よりはお互いのことを干渉したり、気になったりして。そんなことを考えながら読める小説でした。

  • 普通では考えられない事や女性の嫌な部分が淡々と描かれているようで、あまりいい気はしませんでした。
    でも読み進めるうちに、思いのまま生きる女性たちが清々しく思えた。(共感はしませんが)
    頷ける部分もあったりで、興味深い一冊でした。

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