サイレント・アイズ 下 (講談社文庫 く 52-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (618ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062751445

感想・レビュー・書評

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  • (上巻の感想からの続き)
    物語の終盤で形成されるアグネス・ランピオンを中心にしたファミリーの歴々のそれぞれが重ねた人生の悲哀、喜びなどを描くことに専念した方が、ミステリ性・エンタテインメント性は落ちるものの物語の深みはかなり上がっただろう。
    今回最も印象に残ったのはアグネスの再婚相手となるポール・ダマスカスのエピソードで、ポリオで全身麻痺に侵された妻との死別するシーンはかなり胸を打った。
    またジュニアがいなくなってから語られるアグネス・ファミリーのその後がこの小説で一番醍醐味を感じた。
    最後の最後で数々の奇跡がバーソロミューに対し、実を結ぶ巧さもクーンツならではだと思う。だからこそジュニア・パートが宙に浮くような印象を強く受けるのだ。

    余談だが物語中でジュニアの独白で語られるアクション映画・小説の鉄則が面白かった。
    暴走列車が尼僧を乗せたバスと激突したときにカメラないしペンが追うのは尼僧の生死ではなく、あくまでも暴走する列車の行方であるということ。これがエンタテインメントの鉄則であり、小説作法なのだと改めて認識した次第。

    やはり西洋人の作家だなあと感じたのはジュニアが寝言で知りもしないバーソロミューの名を連呼することに対する答えを論理的に用意していたというところ。恐らく日本のホラー作家ならば説明のつかない超常現象めいたことを種にするだろうが、クーンツはしっかりとその理由についても論理的に用意していたのが興味深かった。

    正直な話、今回は物語がどのような展開を見せるのかが全然検討がつかなく、これがページを繰る手を止まらせないといったようないい方向に向かえば文句なしなのだが、迷走する様を見せつけられているようにしか受け取れなく、何度も本を置こうと思った。
    1965年から2000年にかけてのバーソロミューの半生を描くサーガという趣向なのは解るけれども1,200ページ以上をかけて語るべき話でもなかったというのは確か。
    最後の最後でじわっとさせられるものがあったけれども終わりよければ全て良しとはいかず、やはりそれまでが非常にまどろこしかった。クーンツ特有の勿体振った小説作法がマイナスに出てしまった。

    最後に重箱の隅を1つ。
    ジュニアが看護される看護婦相手に連想を起こす映画『ナイン・ハーフ』は1986年の作品であり、連想をする1965年には上映もされていない。実はこの矛盾のために今回は結構白けてしまった。

  • 面白かったけど・・・
    それぞれ極端に個性的な登場人物がわんさかで 
    笑っちゃうほどの作り話だけど 楽しみました。 

  • 面白かった( ´ ▽ ` )ノ。
    悪は果てしなく悪、善は読んでて赤面するくらいの絶対的善( ´ ▽ ` )ノ。勝敗は最初から決まってる( ´ ▽ ` )ノ。
    ある意味ほぼ宗教書なんだけど、異教徒の我々も100%楽しませてくれちゃうとこが、クーンツのクーンツたるゆえん( ´ ▽ ` )ノ。
    善側の人たちが余りにも完全無欠すぎて、ちょっと悪側のジュニアに同情・共感してしまう自分が怖い(>_<)。悪事を犯すと下痢したりゲロしたり皮膚炎起こしたり、えらく人間的で(>_<)。
    しかし、どうせ架空だろうけど、ジュニアが心酔するゼッド先生の啓発本、なかなかに魅力的で、是非とも全集を読んでみたくなった( ´ ▽ ` )ノ。
    2015.1.8

  • 久しぶりに小説を読んで泣けた。主人公の少年の苦難のところは涙なしでは読めなかった。最後まで余韻を楽しませてくれる娯楽小説。

  • おっかえりー!

  • スリリングな読み心地の小説。サスペンスというのが一番近いかな? ホラーっぽいところやSFっぽいところもありますが。カテゴライズするのは難しいです。
    個々のキャラが魅力的で、それぞれの人生が関わっていくさまは読み応えたっぷり。一番凄いのは超ナルシストサイコパスのジュニア。彼は怖いなあ。へたな怪物よりも充分に怖い! ただし自分自身をやたらと美化するところは、少し笑えます。どんだけ自信あるんだ!
    ラストに向けてはさまざまな奇跡の物語。穏やかな余韻が残りました。

  •  まともな訳のクーンツだぁ!!
     前の「汚辱のゲーム」がやっぱり講談社から出てたので、これから続くのかな。いっそ、某A社から出てる「インテンシティ」や「生存者」もまともな訳で、出してほしいんだけど、版権が切れるのって何十年も先だろうから…(落涙)

     ともあれ、面白かった。
     も、終わるまで眠れないっ!! いやあ、こんなに集中して読んだのはトマス・ハリスの「レッドドラゴン」以来だわ。(もっとも、レッドドラゴンはあまりの怖さに、結末わかって安心しないと眠れないのが一番の理由だったんだけど)
     3組の家族の話が、平行してそれが絡みあって…。悪役はとことん悪役で、とにかくクーンツの面白いのを凝縮したって感じ。まぁ、あんまりホラー感はなかったけどね。
     読後はきっちり「人生っていいよね」って思わせていただけます。
     
     非常に映像的だったので、映画化するといいなと思うんだけど、子役で無理かなww 

  • 物語の終末というか、悪が死んでからやっと何が言いたかったのかわかってきました。
    ペイフォワードの変形版かな?好き嫌いがはっきり分かれる話だと思います。
    ディーンクーンツって敬虔なキリスト教徒なのかな?

  •  もたもた感なんて書いちゃったけど、冗談じゃない、来たーって叫びたくなるような下巻です。登場人物たちはそりゃあとんでもないし、物語の展開もね、意表をつかれっ放し。こんなに手を広げて大丈夫なのか、などという心配も老婆心に過ぎず、見事に収束させるアクロバットな大技には目が眩んでしまいました。

     量子論なんて言いながら一欠片も理論的でないのがいかにもクーンツでとっても素敵。「タイムライン」になれなくても良いのだ。

     ところで、9.11の後だったらこの小説は生まれてこなかったでしょうね。今のクーンツはどうなんだろう?講談社さん、次のは早くね。

  • '05-12-21読了

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