時生 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062751667

作品紹介・あらすじ

「あの子に訊きたい。生まれてきてよかった?」
悩む妻に夫が語る、過去からの伝言

不治の病を患う息子に最期のときが訪れつつあるとき、宮本拓実は妻に、20年以上前に出会った少年との想い出を語りはじめる。どうしようもない若者だった拓実は、「トキオ」と名乗る少年と共に、謎を残して消えた恋人・千鶴の行方を追った――。過去、現在、未来が交錯するベストセラー作家の集大成作品。

感想・レビュー・書評

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  • 決して悪い話じゃないし、つまらない
    訳でも無いです!

    最近の著者の物語が素晴らしすぎて、
    なんていうか凄すぎて、
    物足りなさを感じてしまいました。

    ラスト一言とか良かったけど、
    何故、花やしき?とか。

    作品を読む順番の影響だなと思いました。

  •  透明な囲いの中の青年は、寝息をたてているかもしれなかったが、周りに配置された生命維持装置の音によってかき消され、いつの間にか担当医師がそばに来ていた。

    「残念ながら、今後、意識が戻る見込みは極めて薄いといわざるをえません」

     宮本夫妻にとって残酷な宣言を行った。

    「でも、全然見込みがないわけではないんですね」宮本は確認した。あいつに声をかけてやりたいんです。最後に一言だけ」

     後は医師たちに任せ、集中治療室の前から離れた。息子が寝たきりになったのは三年前だが、夫婦の戦いは、彼(トキオ)の誕生が決定された時から、今日の苦悩は約束されていた。息子の病名は、グレゴリウス症候群だ。

     結婚前、彼女から私は病の遺伝子を持っていると告げられた。それでも一緒になる決意をした。宮本は悩み考えた。自分の胸に引っかかっている正体を探していた。
     やがて彼の耳にある青年の声が蘇った。
     明日だけが未来じゃない----------。

     2002年七月に「トキオ」を「時生」と改題した作品です。

     宮本拓実(主人公)❘妻麗子
     麗子はキャリアであるが故に、気を付けていたが妊娠した。妻は当初堕胎を考えていた。
    拓実は、産んでほしいと麗子に頼んだ。その子はきっと、産まれたがっている。「名前はトキオだ」妻「前から決めていたの?」
     トキオの病が発症した。

     拓実は妻に「じつは話しておきたいことがある。時生のことだ」「ずっと昔、俺はあいつに会ってるんだ」
     麗子「どういう意味?」
     拓実「今から二十年以上前だ。俺は二十三だった」「あいつは時間を超えて、俺に会いに来たんだよ」

     物語は漸く動き出した。
    過去を変えることは出来ない。しかしタイムパラドックスの問題はクリアしている。

    著者らしい不思議な物語。
    ファンタジーミステリ小説です。TOKIOは空を飛ぶ~♪
     読書は楽しい

  • 2002年初版。フォローさせて頂いている方の紹介で読みました。東野圭吾さんの作品は好きです。イメージとしては、ガリレオシリーズや加賀恭一郎シリーズなどの推理小説があるのですが、この作品はある一線を画しています。どうにもならない若き日の父を懸命に勇気づけながら、人間として成長させていく子供。その姿に涙します。著者の懐の深さ・守備範囲の広さを改めて感じさせてくれる作品です。

  • 『時生』東野圭吾さん

    1.購読動機
    ナミヤ雑貨店の奇蹟。
    こちらを購読する過程で、時生も是非という声が
    ツイッターの読書繋がりの方に多かったためです。
    半年前に読みたい本に登録しました。
    そして、5月18日から23日にかけて約1週間かけて読了しました。

    2.どんな印象の本なのか?
    え?どうなるの?ハラハラ、ドキドキしたい。
    え?そうなんだ、、、
    そして、読了後に、静かに余韻を楽しみたい。
    また、欲張りだけれど、涙を流してすっきりしたい。
    そんな人向けです。

    また、高校生、大学生で、これからの人生、何を軸に? と少しモヤモヤしている方にもオススメかもしれません。
    それは、主人公が皆さんの年代に近しいからです。

    3.本書から感じとることができたこと
    東野圭吾さん。
    やっぱり、ミステリーという単純な枠でくくるのは違うよね、、、とその認識を確固たるものにする小説です。

    「人間、未来を感じとれれば幸せを感じることができる。
    未来って明日だけではないんだ。
    未来は心の中にあるんだ。」

    時生。
    彼という人物、またこの物語によって、僕たちが、今の2020年にぶつかっている困難な環境にする認識の持ち方を教えてくれるような気がします。

    ①人のせいにしない。
    ②受けいれる。
    ③自分の人生は己で決めていく。
    ④そして、何よりも、生かされていること、命あることに感謝する。
    ⑤その命は、未来を、そう、僕たちの心の中に光りを照らすものだということ。

    #読書好きな人と繋がりたい

  • トキオくんは過去を変えたのかしら?
    彼が関わった事で現在がある訳で、彼が関わらなければ彼自身生まれてない訳で...
    お話は面白く楽しく読めました‼︎

    拓実さんがお母様のことを最後に理解出来て良かった。
    拓実さんがお父様のことを知れて良かった。
    麗子さんを救って拓実さんと結ばれて良かった。
    でも、そうならなければ現在はなかった...
    トキオくんは新しい旅に出る。お話グルグル廻って行くのかしら⁉︎

    ウルっとさせられるお話でした。

  • 長さを感じさせない筆力はさすが。テンポよくリズミカルに物事は運ぶ。ところどころ人情味あふれる場面で思わず落涙。生命の扱いがなんとなく軽いなと思うところがあるけれども、それをいってはまとまらないSF物語。

  • 面白く サクサク読めました。
    涙を流す所まではいきませんでしたが・・・。

    大阪の地名がいっぱいでてきます。
    難波から谷町9丁目、上本町、鶴橋ときて最後は今里!!
    私の職場は今里で、毎日鶴橋、上本町は通っている。。

    そういうこともあり、とても面白くあっという間に読み終えました。

    ただ、一番最後の場面での私の思いとしては、トキオの旅は続くのではなく終わったように思いました。

    やっぱり 人生 人のせいにばかりするのではなく、足を地につけ しっかりと公開しないように生きないといけないと思いました。

  • 記録

  • 自分の子供が若い頃の自分に会いに来る話。
    タイムトラベラー作品で文庫本にしては厚めですが読みやすかったです。
    若い頃の主人公はどうしようもない若者で、イライラしちゃう言動が有りますが、話が終盤になるにつれて精神的に大人になっていきます。
    主人公がトキオから言われた『生まれてきてよかったと思ってる』の意味が分かるのは20年後。
    読み終わってからまた最初の方を読み返すと新たな発見が有って面白い作品でした。

  •  息子が不治の病でお別れの間際。という重い始まりであるが、物語のほとんどがアドベンチャー的に進んでゆく。先を読みたくて時間を忘れてしまう物語。終盤、謎が次々と明らかになる。その過程が面白い。

     若かりし頃の自分(拓実)に、謎の人物が登場する。二人で失踪した彼女(千鶴)を探しに旅に出る。大坂で知り合った竹美とジェシーも合流して彼女を探し出そうと足を延ばす。

     職を転々とし、すぐに頭に血が上り暴力をふるう。行き先の見えない彼であったが、彼の本質には輝くものがある。と様々な人達が協力してくれる。世の中は悪いところではない。と思えた。そしてチャンスはどこかにあると希望がわいた。

     息子は短い命ではあったが、拓実にかけがえのないことを沢山教えてくれた。

     短い時間であっても、誰かの人生にかけがえのないものを与えてくれる人は必ずいる。
     自分自身、沢山の人達から少しずつ生きるヒントを与えてきてもらった気がする。


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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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