半落ち (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 8171
レビュー : 971
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062751940

作品紹介・あらすじ

「妻を殺しました」。現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの二日間の行動だけは頑として語ろうとしない。梶が完全に"落ち"ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは-。日本中が震えた、ベストセラー作家の代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 出版されたときからキャッチコピーがずっと気になっていたけれど、読む機会がなかった本です。

    出版は2002年のことなので、御存知ない方も多いかと思います。
    「妻を殺しました。自首したのは現職の警察官だった。しかし、殺害から自首までの2日間につき男は黙秘した」
    一体どんな真相が隠されているのか、前からすごく気になっていました。

    W県警本部捜査官の志木は、警察官でありながら、嘱託殺人で、アルツハイマー病の妻を殺害した梶の自殺を思いとどまらせている人物を探そうとします。

    「空白の二日間」東洋新聞のスクープ記事を、W県警とw地裁が結託し実際は歌舞伎町に行っていた梶の行動を死に場所を求めて県内を彷徨い歩いていたということにすり替えてしまいました。

    梶は1通の封書を待っています。
    梶は、歌舞伎町で一体誰に会ったのか。
    誰のために生きて罪を償うつもりなのか。
    それとも、51歳の誕生日がきたら死ぬつもりなのか。

    最後の最後まで、謎は全くわかりませんでしたが、非常に納得できるラストでした。

  • 人望ある警察官が、アルツハイマーに苦しむ妻の殺害を自首してきた。
    事件は嘱託殺人だとはっきりしている。
    ただし、殺害から自首までの2日間は語ろうとはせず、その謎を追うことになる。
    職業の異なる6人の視点でひとつの事件を辿っていき、最後に行き着いた真相にうるっときた。
    それぞれの話は自身の事情や権力者からの圧力などで重苦しいが、心理描写もくどくなくて読みやすい。
    読み進めていくと何となく真相も分かってきたけど、自首した警察官が何故自殺を思いとどまったのかの理由はとても感動できた。
    後味の良い素敵な作品だった。

  • 自分は生きていてはいけない人間だ。
    心はとっくに死線を超えていた。
    だが、体はどうだ。心とは無関係に生き続けている。

    P353 14項引用

    ✼感想✼
    友人に勧められて読み始めた作品。
    警察や検察、裁判官などの裏の部分が全面に
    出てくるので読んでて、実際の司法もこのような
    現場なのだと思うと凄く辛く生きづらいような
    正義なんてものはないように思えました。
    最後まで読み終わった後はなるほどと
    思えるような終わり方でした。
    誰かを思う気持ちって時に人を強くすることがあると
    改めて感じさせられる作品でした。

  • 半落ち 横山秀夫さん

    1.購読動機
    クライマーズハイ。真相。第三の時効。そして64と歩んできました。
    記者さんがゆえ、被疑者、マスコミ、そして所轄の描写の臨場感にただ心動かされ、ファンになりました。

    2.本書あらすじ
    現職警部が妻を殺害します。
    理由は、妻からの嘱託殺人です。
    きっかけは妻のアルツハイマーによる心身の衰退です。
    事件発生から自首までに空白の2日間があります。

    この二日間に対して、被疑者警部は口を割りません。そう、タイトルの「半落ち」です。

    完落ち、完全自白に向けて、物語が展開するも、、、

    3.本書の見どころ
    ひとつの事件を、刑事、検察、マスコミ、弁護士、裁判官、そして拘置場の立場で描写していることです。

    細やかな描写です。
    それぞれの立場だからこそ事件との葛藤は似て非なるものなのですから。

    その表現が一人の作者横山さんから生みだされていることがこの作品の深さなのでは、、、と考えるのです。

    ミステリー好き。でも、どろどろは嫌。少しだけホロリとしたい。そんな人に手にとって欲しい一冊です。

    フィクションの世界にノンフィクションの空気を作り、人間としての尊厳とは何か?を突きつける横山ワールドへ是非。

    #読書好きな人と繋がりたい

  • (2020.9.6記)
    この本に関する直木賞選考でのK氏とH氏の言動はいただけない。
    それ以来、K氏とH氏の著作は読む気がしない。

  • 昔から買っていて積読し続けていた本作。
    友人より勧められて今さらながら読了。

    ふんふん、「半落ち」ってそういう意味ね(笑)
    言い得て妙、なかなかタイトルが良いですね。

    本作、なかなかの良作でした。
    やっぱり話題になるだけのことはありますね。

    物語の主軸なるのは「空白の二日間」ですね。
    正直、最初から最後までずーーーっとそれ一本で引っ張られるんですが…
    そこを飽きさせずに読めるストーリー展開になっていると思います。

    警察、弁護士等々、それぞれの登場人物たちがて梶を助けようとしますが…なかなか間一髪のところで上手くいきません。
    そこらへんの痒い感じのストーリー展開が絶妙かと。

    そして、引っ張り倒した上でも納得ができるオチに持って行けているのもさすがです。
    ここまでやっちゃうとちょっとオチ弱にもなりそうなもんですが…

    そういう意味ではある種「完落ち」ですね(やかましい)

    梶さんの51歳まで生きようとする理由、純粋にとても感動的でした。

    物語上はあくまでも「他人のため」という形では描かれていましたけど、本質的なところで行くとそこって半々なんじゃないかなぁと。
    「他人のため」他の子供に命を繋ぎたいが半分、そしてそれによって自分が生きている価値を感じられる、つまり「自分のため」が半分。

    やっぱり人間って、他者の為になっているという事象を通して、初めて自分の生きている意味を感じることができるっていうふしがあると思うんですけどね…個人的には。

    奥さんも子供も亡くなり、家族も親族も居なくなってしまった世界…本作を読んで少し想像させられました。
    それって、本当にスゴく孤独な世界だよなぁと。

    家族以外の趣味とか楽しめるものはあるけど、でもやっぱりそれは家族というベースあるからこそなのかなと。
    その上だからこそ楽しめているのかなぁとも思いました。

    あと、コレは映画めちゃハマりそうですね。
    小説だからこそ良さが出るっていう作品でも無い気がしますし。

    見てみるかなぁ、映画も…(´∀`)

    <印象に残った言葉>
    ・取り調べは一冊の本だ。被害者はその本の主人公なのだ。彼らは実に様々なストーリーを持っている。しかし、本の中の主人公は本の中きら出ることはできない。こちらが本を開くことによって、初めて何かを語れるのだ。彼らは、こちらに向かって涙を求めてくることがある。怒りを焚きつけてくることもある。彼らは語りたがっている。自分の物語を読んでほしいと願っている。(P30)

    ・黙秘するつもりなどありません。しかし、その件についてはどうか、そっとしておいていただけないでしょうか(P390)

    ・検事さん、あなたは誰のために生きているんですか-?(P118)

    ・梶さんはそれがよくわかっていたんだと思います。だから奥さんを殺したんです。自分の手を汚して(P304)

    ・家ではいつもそう言っているんです。僕にはお父さんが二人いる、って(P356)


    <内容(「Amazon」より)>
    「妻を殺しました」。現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの2日間の行動だけは頑として語ろうとしない。梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは――。日本中が震えた、ベストセラー作家の代表作。2003年このミステリーがすごい! 2002年週刊文春ミステリーベスト10 第1位。(講談社文庫)


    日本中が震えたベストセラー待望の文庫化

    妻を殺し、それでも生きる。心の奥に想いを秘めて――

    「妻を殺しました」。現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの2日間の行動だけは頑として語ろうとしない。梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは――。日本中が震えた、ベストセラー作家の代表作。

  • アルツハイマーの妻を扼殺し自首した梶警部。梶を取調べる志木は県警トップの供述捏造に抗い取調官を解任される。検察官の佐瀬は警察の供述書捏造を警務部長に抗議するが検察の不祥事と県警の裏取引きにより挫折する。県警と警察の裏取引きを見抜いた東洋新聞の中尾も刑事部長と裏取引きをしてしまうが、本社の意向で特ダネを出さざるを得なくなる。弁護士の植村は梶被告の弁護人になるチャンスを得たが空白の二日間の真相は聞き出せなかった。判事の藤林も裏取引きがあった事を確証していたが立場上から究明出来ない。刑務官の古賀は自殺すると思われる梶受刑者に接しながら残り一年で退官する自身の半生を省みる。様々な登場人物がこの事件に関わりどれもこれもうまく行かないのが、横山さんらしい重厚で深い作品でした。最後は志木の私的捜査で解明されたのが救いか。


  • 「半落ち」の映画を観たときに、原作の本を読んだ方がよく分かるって口コミに書いてあったので、こちらを読んでみた。

    本も本で、登場人物が多くて大変だったけど、それぞれの心情の描写が丁寧で理解しやすかった。ただ、どんどんフォーカスされる人物が変わっていくので、一人一人に感情移入をしっかり出来るかと言われると、そうでもなかった。映画の役者さんの表情とかを脳内を補完していくことで、面白く読み進められたのだと思う。

    もし映画観てなかったらこの本読むの結構つらかっただろうなぁ。横山秀夫さんの本読むのクライマーズ・ハイに続き二作目だけど、今のところあんまり好きになれない。

    映画で最も心に残ったセリフが、梶の義妹役の樹木希林が法廷で放った言葉である。小説にはその言葉が登場しなくて、映画オリジナルなのか!って驚いた。ここだけでも見る価値があると思うので、この本が心に残った人はぜひ映画も観てほしい。

  • 映像化した小説と紹介してされてたので買って一冊。

    いろんな人の視線でリレー形式に物語が進んで行くちょっと変わった進行の本だった。
    事件をいろんな人の立場で語るみたいなのは今まであったが、リレー形式で進むのは初めて読んだかも

    なぞの2日間が「そんな事を黙ってたの」と正直思った。
    でもよく考えたら、頑なに黙秘するのが正解だとわかった。

    殺人はダメな事だが、この犯人のやったことは良い事だったのか、ダメだったのかわからない

    なにか考えさせられた小説でした。

  • ずーっと前に映画を見た。原作は買ったものの、読まなかった。ふと読みたくなった。刑事、検事、新聞記者、弁護士、裁判官、看守。それぞれの立場からの梶への思いが綴られていく。深い、深いなあ。裏も表もあからさまに、アルツハイマーの妻殺しの事件がひもとかれていく。互いに、はじめの思いとは裏腹に梶を守っていく心情が痛い。

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著者プロフィール

国際商科大学商学部卒業。1979年上毛新聞社に入社。1991年、『ルパンの消息』が第9回サントリーミステリー大賞佳作を受賞。1998年、『陰の季節』で第5回松本清張賞を受賞、小説家デビュー。代表作に『半落ち』『クライマーズ・ハイ』『64』などがある。

「2015年 『漫画でよめる! 語り継がれる戦争の記憶 戦火の約束』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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