半落ち (講談社文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062751940

感想・レビュー・書評

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  • 緊張感のある出だしから、緊迫したそれぞれの情景が面白かった。なんともオチは、いい話になっていて、じわっと感動。『人間五十年』という言葉に隠された真の思いには深さがあり複雑だった。それは凄絶な決断で、梶の気持ちを思うと泣ける。

  • (2020.9.6記)
    この本に関する直木賞選考でのK氏とH氏の言動はいただけない。
    それ以来、K氏とH氏の著作は読む気がしない。

  • アルツハイマーの妻を扼殺し自首した梶警部。梶を取調べる志木は県警トップの供述捏造に抗い取調官を解任される。検察官の佐瀬は警察の供述書捏造を警務部長に抗議するが検察の不祥事と県警の裏取引きにより挫折する。県警と警察の裏取引きを見抜いた東洋新聞の中尾も刑事部長と裏取引きをしてしまうが、本社の意向で特ダネを出さざるを得なくなる。弁護士の植村は梶被告の弁護人になるチャンスを得たが空白の二日間の真相は聞き出せなかった。判事の藤林も裏取引きがあった事を確証していたが立場上から究明出来ない。刑務官の古賀は自殺すると思われる梶受刑者に接しながら残り一年で退官する自身の半生を省みる。様々な登場人物がこの事件に関わりどれもこれもうまく行かないのが、横山さんらしい重厚で深い作品でした。最後は志木の私的捜査で解明されたのが救いか。

  •  悲しく切なすぎる物語だった。意外なラストに号泣。

     事件に関わる様々な人の視点から構成された作品で、色々な想いに心打たれた。

     人はどんなに苦しい状況でも、誰かの為にできること。その希望があれば、生きていける。そう深く学べた。

  • 今更ながら読了。ここまでハードルをあげて、愛人?隠し子?だったらただじゃおかない!と思いながら読んだが、最後の最後までわからず、そうだったのかぁ…
    ギリギリまで諦めてなかったんだ。すごいねという感じ。
    澄み切った目だとか、まだ死ねないだとか、死ぬつもりだとか、他人が想像して奔走し、その人の為に尽力出来ることが私的には信じがたい。真実を追求したいと言うことなら納得。

  • 最後の数ページに内容が凝縮されている。

  • アタシには珍しく警察、検察モノを手にしました
    よくある設定ですが、中々手に取って読むことが無かったのですが、読んでみました、ストーリーは俗っぽい野心満々の登場人物が勢揃いですが、そんな猛者連中も主人公を応援する、応援したくなる…そんな展開が中々良いです、最後の5ページが核心かなぁと思う

  • 尊厳死と安楽死、国家権力と正義、臓器提供。
    【尊厳死】人間が人間としての尊厳を保って死に臨むこと。
    【安楽死】患者が病気や治療による苦痛から解放されることを一番の目的とする。
    日本では多くがタブーとされ、認められていない。
    自分が自分でなくなってしまう。
    壊れていく恐怖。
    せめて意識がはっきりしている内に、自分の意思で最期を決めたい。
    人として生まれたからには、人として死にたいと願うのは至極当然の事。
    それが罪だと分かっていても、大切な人の最期の願いを叶えてあげたいと思うのは、哀しい事だけれど、それでも最上級の愛情ではないだろうか。

    組織の中で正義を貫き、真実に辿り着きたいという熱い想い。
    そのすぐ傍にある圧倒的な権力。
    最後の最後に明かされる空白の時間。

    何度読んでも面白くて感動する。
    無駄な冗長がなく、重厚で傑作。
    やっぱり好きです横山秀夫。

  • 映像化した小説と紹介してされてたので買って一冊。

    いろんな人の視線でリレー形式に物語が進んで行くちょっと変わった進行の本だった。
    事件をいろんな人の立場で語るみたいなのは今まであったが、リレー形式で進むのは初めて読んだかも

    なぞの2日間が「そんな事を黙ってたの」と正直思った。
    でもよく考えたら、頑なに黙秘するのが正解だとわかった。

    殺人はダメな事だが、この犯人のやったことは良い事だったのか、ダメだったのかわからない

    なにか考えさせられた小説でした。

  • 2022(R4)1.3-2.1

    令和4年最初の一冊。なかなか読み進められなかったが、後半は一気読みでした。

    嘱託殺人として妻を殺した元警察官が自首し、逮捕〜送検〜起訴〜判決〜刑務所に収監された。
    罪状も明らかで本人も全て認めている。手続きとしては何の問題もない事件なのだが、元警察官は殺害後の行動については、話すのを頑なに拒む。

    元警察官への取り調べの物語かと思ったら、あっという間に送検。今度は検事の視点で物語が進む。その後も裁判官や刑務官など、主に6人の視点から物語が進んでいく。
    何かオムニバスドラマを見ているような、連作短編を読んでいるような感じがした。

    元警察官との関わりを軸にしながら、「警察vs検察」や「警察vsマスコミ」といった構図の物語、弁護士や裁判官、刑務官の人生の物語が、それぞれ独立したかたちで語られる。
    これを良しとするかどうかで、この作品の受け止め方が変わってくる気がした。
    個人的には、前半の「〇〇vs●●」か、後半の「それぞれの人生物語」かどちらかを深く掘り下げた方がよかった気がした。
    終末は感動的だが、ちょっと無理矢理感が否めないかな?この終末の割には、元警察官の掘り下げ方が浅いような…。

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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