分冊文庫版 鉄鼠の檻 4

著者 :
制作 : 正木 晃  玄侑 宗久 
  • 講談社
3.84
  • (48)
  • (59)
  • (77)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 497
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062752091

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 箱根山連続僧侶殺人事件シリーズの最終巻。

    幼女性愛趣味、男色趣味、そして近親相姦と、バリエーション豊かすぎる人物たちが登場し、それぞれ己が「アブノーマル」であると苦悩したあげく、悲劇が起こるお話でした。

    何がノーマルで何がアブノーマルかは、自分の頭でこれが正しいという基準・枠を決めてしまって、その「檻」のなかに己を置こうとするから人はあがくことになるんだろうけれど、まぁ確かにこれは仕方のないことだよね。

    人や知的な思考を持てる動物は皆、自分で自分を目に見えない檻に入れてしまっているんだろうな。
    逆に檻に入っていることで楽になることもあるんだと思いました。
    規律があったほうが、決断すべき選択肢は狭まるからね。
    それは思考の範囲に枠をはめることになるし、案外それによって楽になることもある…と。

    まぁ、ある意味狭い檻(お寺)のなかでの鬱屈した人間関係と近親相姦のなれのはてが、今回の事件の核だったみたいです。

    長いわりには、内容はそれほどでもない。
    京極さんが禅宗についての自分の研究を小説という形でまとめておきたかったのかな?
    ……なんて感想は厳しいでしょうか?(笑)

    でも、禅の歴史については詳しくなれたよ。
    日本に存在する禅はすべて南宗禅の流れで、北宗禅は早くに断絶して日本には入って来ていないとするのが通説だとか。

    道教色の強い南宗禅は「頓悟禅(とんごぜん)」と呼ばれ、人は本来鏡のような心を持っていて、それが何かをきっかけに表に出てくるのを悟りとする。

    それに対して儒教色が強い北宗禅は「漸悟禅(ぜんごぜん)」と呼ばれ、一生かけて少しずつ原石を磨くように悟りに近づいていこうとするもの。

    奥が深いねぇ!

  • 常識を上書き出来ない人間って怖くて悲しくて切ないね。「姑獲鳥の夏」の久遠寺母娘もそうだったけど。

  • 不立文字の4文字で言葉を撥ねる禅。
    闘わずにして敗北している京極堂。
    空と海の間に存在する朱雀以外の神獣の意味―

    面白い。
    面白いけど難しい。
    禅と憑物とそれに纏わる過去が錯綜する様はもう一度読まないと理解できない。

    「拙僧が殺めたのだ」
    この言葉から始まり、この言葉で終わる不思議な話だった。

  • 色彩感がない世界の中での物語で最後のインパクトは大きい。京極堂シリーズの中で一番好き。

  • 巻末の解説にもありますが、禅の歴史、考え方など非常に興味深い記述が多く、ストーリーに加えて豊富な宗教感に惹きつけられ一気に読めました。

  • 禅宗についての溢れんばかりの蘊蓄に溺れそうでした。最後まで坊主さん達が誰がどの宗派でなんて事が分かりにくく、大筋は大体の想像通りでしたが、結局この長い話は何だったのかとぐるぐるした小説でした。

  • ついていけなくなってきた。面白かったような面白くなかったような。とりあえず、最後は綺麗に纏まってる。

  • ≪あらすじ≫
    「ああ云う場所はもう-これから先はなくなってしまうのだろうな」。京極堂は最後に独り言ちた。多くの仏弟子を次々に魔境へと拉し去った妄念の寺が紅蓮の炎に包まれたとき、燃え落ちていく憑物の意外な正体が明らかになる。世界ミステリ史上もっとも驚くべき動機と犯人像を呈示した傑作、ここに完結。
                                (BOOKデータベースより)
    ≪レビュー・感想≫
    やっと最終巻。解決編ですね。

    意外にも事件はあっさり解決し犯人も明らかになったけど、その犯行に至る動機が予想外過ぎてびっくりしました。
    宗教というか禅というか・・・そういう世界だからあり得るんだろうけど、
    その知識もこの本を読むまで全く皆無だった私には、よく理解が出来ませんでした。

    でも面白かった。
    複数の事件や謎がラストにはちゃんと一つに繋がっていく感じは読んでいてさすがだな。と思います。

    慈行や鈴子の事などもう少し掘り下げて欲しかったな・・・

  • なんとか年内に読み終えることができてよかった。
    年越したら忘れちゃいそうでした、色々と。


    相変わらず伏線やら設定やらが凝っていてすごいなぁ、と。
    色々不可解だった「死の真相」も、なるほどなあ、と最後は納得。
    しかし「禅」の世界は奥が深いんだなぁ、と驚きました。
    宗派?とかほんとにさーーっぱりわからないので、
    この辺はもう読んでていてもさっぱりわかりませんでした(笑)
    それでも面白く最後まで惹きつけられたのはさすがとしかいいようがないかな。


    しかし、3巻と4巻はなんでこんなに薄かったのですかね。
    まとめて3巻に出来なかったのかな、とか思いました。
    謎です。

  • もう畏くはない。
    京極堂は呟いた。

    「拙僧が−−殺めたのだ」

    もう暫く箱根にいようと、私は思った。

    夜の庭を見つめ、何もかも抛って帰りたくなっている関口君と飯窪女史の会話から始まり、漸く帰って来た富士見屋での会話。

    憑物落としを進める京極堂と邪魔するものは打ち砕くように手助けをする榎木津の息ぴったりぷりと、絶妙の合いの手を入れる関口君らのやりとりは圧巻。最後の最後で、走り回っていた鼠の伏線も回収された事に感嘆の息しか零れません。
    時が止まり、世界と隔絶された異界がまたひとつ解かれ、此れから先は個人が抱え込まなくちゃならなくなると紡ぐ京極堂。甘美な闇の世界がまた一つなくなる切なさが溢れます。

全34件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

分冊文庫版 鉄鼠の檻 4のその他の作品

京極夏彦の作品

分冊文庫版 鉄鼠の檻 4を本棚に登録しているひと

ツイートする