凍れる森 (講談社文庫)

制作 : 野口 百合子 
  • 講談社
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本棚登録 : 67
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062752190

感想・レビュー・書評

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  • ジョー・ピケットシリーズ12作目の「鷹の王」の評判がいい。第1作の「沈黙の森」は面白かったのだけれど、ご無沙汰していたので、第2作を読んだ。

    ワイオミング州の猟区管理官ジョー・ピケットは、地元の保安官や保安官補に反発しながら、良妻賢母の妻メアリーベス、娘シェリダンとルーシー、捨てられた子エイプリルを引き取って暮らしている。ジョーはエルクの大量殺戮場面に出くわした。犯人は役人だった。捕まえたと思ったら、逃げられ、そして殺されてしまった。そして別の役人も殺されてしまった。ちょうどその頃、「独立市民」という反政府的なグループが近辺にやって来て住み始めた。非常に高圧的な官僚、メリンダ・ストリックランドがやって来て、FBIと一緒に殺人事件の容疑者は独立市民の中にいるとして彼らを駆逐しようとしている。ジョーは何か胡散臭いものを感じて・・・

    うーむ。素晴らしい。空を見上げて、素晴らしいとソプラノで叫びたい。

    ひどい母親に捨てられ、ジョーの所に引き取られたエイプリルは幸せに暮らしていたのに、逃げた母親が戻ってきて、彼女を奪おうとする、というドキドキ。

    小説には、色々な敵役が出てきて物語に色彩を与える。怪人二十面相からショッカー、バルタン星人、モリアーティ、レクター博士などなど。例が古いとか言わないように。どの敵役にも心の底から憎むのとは違う感情を抱くけれど、このメリンダという役人には、心の底からぶちのめしてやりたいというドス黒い感情を抱く。そういうキャラを作れるというのがスゴイ。

    メアリーベスのちょっと嫌な感じのする母親や、一度容疑者になってしまう鷹匠のネイト・ロマノウスキーなどサブキャラがまたいい。北上次郎氏などが絶賛の第12作「鷹の王」ではこのネイトが主役級の活躍をしているらしい。特に評判になってる感じのしないこの第2作でもこれだけ面白かったのだから、今後も相当期待できる。

  • 前作に引き続き良質の冒険小説を堪能。面白かった。

  • 猟区管理官ジョー・ピケットシリーズ
    邦訳第二弾(三作目)
    主人公の
    「タフガイでは無いのに正義のカウボーイ」
    な感じはそのままに、今回の敵は
    行動からしてなかなかヤバい奴感があって
    良かった。
    何よりジョーとは対をなすダークヒーロー
    ネイトの登場も面白かった。

  • シリーズ邦訳3冊目。
    猟区管理官のジョーが、町の財産であるエルクを規定以上に狩猟した国有林管理官を捕まえたことを切っ掛けのようにして悲劇が町へ雪崩れ込む。
    「沈黙の森」から比べると、だいぶ仕事が板についてきて、敵も理解者も出てきました。
    今回は殺人事件と「沈黙…」で養女にした娘の親権問題の二本立て。それらが一つの問題となった時、やるせない結末を迎えます。
    ジョー・ピケットという男が、それぞれの物事にどうふるまうかは常に見所ですが、ジョーの側に感情移入して善悪を論じるのではなく、「取った行動の責任を取る」大切さを中心に据えて読むことで重さが増す作品でした。
    (でも養女に取るべき責任はなかったけど…。)

    養女の実母にも、やはり汲むべきところはあるというのが「公平」なんでしょうね。
    そこを思って少しゆらぐジョーと、ひたすら養女を取り返したいメアリーベスとの対照が心に残りました。

  • 人にもよるだろうが、前作よりひかれた。ネイト、エイプリルの登場人物が利いていた。タフガイでもないジョーが失敗しながらも必死に事件を解決していく姿に本を置けない。

  • 猟区管理官ジョー・ピケットシリーズ第2作目。エルク(鹿)の大量殺戮現場とその犯人の役人の死体に遭遇するところから話がはじまり、反政府活動集団や森林局役人、FBIやらが乗り込んできて大騒動となる。指揮をとる森林局女性役人のやりたい放題ぶりもすさまじいし、鷹匠のキャラも際立っていて500頁余りの作品の長さを全く感じないほどスラスラ進んだ。おもしろいが軽くはない内容でいい感じ。結末は全てうまく解決とはいかないが、おさまるところにおさまった印象で納得できる。メインの殺人事件の話とならんで、主人公の養子の子を取り戻す話も気が抜けない展開でひきつけられる。主人公とその家族の話も楽しみに読める。

  • 猟区管理官ジョー・ピケットシリーズ第2弾です。

    今回は冬まっただ中のまさに凍れる森が舞台です。

    例によって頼りないジョーは妻と3人の娘、そしてそりの合わない義母となんとか貧乏ながら平和な生活を送っています。

    そして、またもや初っぱなから逮捕した不法狩猟者(またもや厳密には違う)を逃がしてしまい、しかも何者かに殺害されるという大ボケをかましてくれます。

    前回の実績を差し引いても主人公らしからぬ低鱈苦(当て字)

    続いて巻き起こる、政府の役人襲撃事件、不法に滞在するヒッピー(厳密に…)、そして天敵とも言うべき政府のキャリアウーマン、親権問題と休む間もなくジョーをトラブルが苛み続けます。

    今回も一つのカタルシスが用意されていますが、やはり読者によって印象は異なることでしょう。

    正直今回の結末は、私にとって意外でした。

  • ジョー・ピケット・シリーズ2作目。
    重要な作品ですよ。
    原作の2作目は日本人に馴染みがない題材ということで飛ばして3作目が翻訳されたため、翻訳では2作目ということですが。
    そのせいもあって、幼い娘たち、育ってます。

    猟区管理官としてサンドストリング地区に3年半。
    ジョー・ピケットは、好きな仕事と家族を大事にする真面目な普通の男。
    妻のメアリーベスは、子どもたちの教育費のため、経理などを引き受ける仕事を始めています。
    長女のシェリダンが11歳、次女のルーシーは6歳に。
    1作めで親に捨てられた女の子エイプリルを引き取っています。
    姉妹のちょうど間の年齢で外見も似ているエイプリルを正式に養女に迎えたいと夫婦は考えていました。

    鷹匠のネイト・ロマノウスキ登場。
    街からかなり離れた山奥の小屋に独り住んでいる男。
    長身で腕が長く、金髪を後ろで結び、冷たいライムグリーンの目という、やたらカッコいい外見。
    ジョーの外見の描写はほとんどないのに、いきなり念入りに描かれていて、思わず読み直しちゃいましたよ(笑)
    ネイトをひと目見たときのインパクトを感じさせます。
    孤独だが腕が立ち、何やらきな臭い過去もありそうな危険な男。
    冤罪を晴らす役に立ったジョーのことをネイトは恩に着ることに。

    ジョーは巡回中、狩猟で違反をしていた役人を逮捕したところ、逃げられてしまい、しかもその男が何故か殺されてしまうという結果に。
    大失態を挽回すべく、調査に臨みますが‥?

    一方、国立公園の奥地に、独立市民を名乗るとある団体が勝手に砦のようなものを築き始めます。
    困惑するジョー。
    しかも、エイプリルの母親が現れて、急に娘を取り返そうとします。

    農務省森林局から派遣されたキャリアウーマンのストリックランドが、反社会的な団体と決めつけて攻撃準備を始め、事態はどんどん大ごとに。
    暴走を止めようと奔走するジョーだったが‥

    このあたりの住民は、豊富な狩猟チャンスを楽しみに、賃金が安く将来の見込みがない土地に住んでいるという。
    荘厳なまでに広大な自然を背景に、生々しい欲と愛のぶつかり合いを描きます。
    迫力があり、一気に読めました。
    続きもさらに楽しみになりました☆
    (ただ、作者名の表記が本によって異なるのは迷惑だわ~。探しづらい‥
    ちなみにC.J.は、チャールズ・ジェイムズの略だそうです。)

  • ワイオミングの猟区管理官ジョー・ピケットシリーズ二作目。彼は違法な猟を犯した者を逮捕するが、犯人に逃げられた挙げ句に何者かに殺されてしまう。公務員で嫌われ者だった被害者を誰が殺したのか。保安官やFBI捜査官に翻弄されながら、心ならずもジョーは殺害者を探す羽目になる。一方で前作で養女として引き取った娘の実の母親が戻ってきて、家族の問題でも苦悩する。
    殺人事件についても養女についても、国や法の硬直した体制の犠牲になるのは常に一市民であり、そのやりきれなさが伝わってくる。時にミスを犯し判断を誤りながらも、家族のため自分の誇りのためにあがくジョーを応援せずにはいられない。前作を上まわる面白さだった。

  • 猟区管理官 ジョー・ピケット シリーズ
    順不同で読み進めているので、既読の作品で取り上げられてきた重要なエピソードが語られている本巻は必読。

    でも、順に読まなければいけないというわけではなくて、ひとつひとつの作品がとても面白く、かつ時系列的にも整合性が取れて繋がっていくので、どこから読んでも面白いと思う。
    スピード感も、アクションも、そして役所仕事への怒りや主人公の苦悩などがてんこ盛りで面白かった。

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