動くとき、動くもの (講談社文庫 あ 89-4)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062752367

作品紹介・あらすじ

緑豊かな自然の中で、日々山が崩れ、河が荒れる-。祖母・幸田文が著した名作『崩れ』の地を再訪。そこで出会った人々と、寡黙だがかけがえのない「砂防」という営み。「山も川も、人の心も、動かぬものはありません。決別であり、同時にそこからの始まりでもあります」著者の目と心に映る景色を確かな筆致で綴る。

感想・レビュー・書評

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  • 晩年に日本各地の崩壊地を訪ね、死後にエッセイ集『崩れ』を刊行した幸田文の孫である著者が、四半世紀の時を経て、祖母の踏んだ地を訪れた感想をつづったエッセイです。

    著者のまなざしは、自然の力がひとの営みを凌駕する崇高さとともに、それぞれの地で人びと暮らしを守る防砂という仕事に取り組みつづけてきたひとにも向けられています。この国の自然の豊かさは、「歌枕」のようなかたちで語られることが多いのですが、本書ではじっさいに自然の威容を目にした著者の体験とそれを取り巻く人びとの姿を散文によってていねいにえがいており、詩的な表現によって喚起される瞬発的な感動とは異なる、静かで持続的な感銘が心のうちにひろがっていく感覚をあじわいました。

  • 幸田家一族の作品を読み続けていますw。青木奈緒さんの「動くとき、動くもの」(2002.11刊行、2005.11文庫化)を読みました。タイトルを見て何の本だろうといぶかしく思いつつ・・・。読了して、これは「すごい」と感嘆しました!崩れる山と向かいあい、あばれる川にいどみ、人々の暮らしを災害から守るための「砂防」のはなしを現地、現場を訪れその大切さを感じ、それにかかわる人たちの仕事に敬意を表する作品です!形は祖母幸田文の辿った道を孫が25年後に再訪する形ですが、青木奈緒さんの姿、形、心に深く感動しました!

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著者プロフィール

東京都生まれ。学習院大学文学部ドイツ文学科卒業、同大学院修士課程修了。翻訳・通訳などの仕事をしながら十二年間ドイツに滞在。帰国後、『ハリネズミの道』でエッセイストとしてデビュー。著書に『うさぎの聞き耳』『動くとき、動くもの』『幸田家のきもの』『幸田家のことば』『きものめぐり 誰が袖わが袖』、小説『風はこぶ』や絵本の翻訳『リトル・ポーラ・ベア』シリーズなど。編著に『幸田文 老いの身じたく』「幸田文 生きかた指南」ほか。NHK放送用語委員。曾祖父の幸田露伴、祖母の幸田文、母の青木玉とつづく幸田家四代の文筆家。

「2022年 『オーライ ウトーリ ひなた猫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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