照柿(上) (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 1175
レビュー : 100
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062752459

感想・レビュー・書評

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  • 単行本版は既読。高村薫作品で最も愛する1冊。
    もう何度読み返したことか。

    高村女史の作品は文庫本化にあたって大幅に改定されるんで
    未読だったこちらを読んでみた。
    冷血下巻の図書館順番待ち中でもあったので。
    元より読みやすくなっている気はする。特に違和感なし。

    いやー久しぶりに読むとあまりに官能的でびっくりするね。
    他作品には無い生臭さ。全編に汗の匂いがするような。
    合田雄一郎を愛してやまないのだけれど
    この作品の彼が人間臭くて一番好きなんだよね。

    さてと
    下巻に出てくるハズの秦野のとの手本引きのシーンは改定してるくだろうか。
    大好きな場面なんで弄っていて欲しくないんだけど。
    不安と期待を胸に下巻へと進む。

  • ■文章は晦渋ではない。一見そう見えるが。作者はあくまでわかりやすさを念頭に置いて書いている。ただし気持ちが入り過ぎている個所は重くてしつこい。結果作者の思いが伝わってきて自然、そんな文章にのめり込んでしまう。よって読書に疲れても、活字を追う目が紙面からもぎ離せない。記憶に残る濃密な読書体験を楽しめる。
    ■野田達夫の職場(熱処理棟)の描出は圧巻だ。こんな熱くて眩しくて、油ギトギトで怒りが満ち満ちているような世界を、よくもまぁ描き切ったものだ。読んでてこちらまで熱でくらッくらッしてくる。
    ■それと合田刑事とヤクザとの賭博の一騎打ちも。「もうやめてくれ!」と叫びだしたくなるような、胸やけがしてくるようなきッつい場面であった。
    ■前回は吾妻ペコ刑事が弁護士に対して行う取り調べがクライマックス。今回は、辻村刑事が合田刑事に対して行う取り調べで息詰まるやりとりが堪能できる。
    ■本庁一課の刑事、合田雄一郎が変調をきたす。絶えざるストレス、貴代子に残る未練、ある容疑者に対する執着、違法賭博への沈潜、そして美保子への偏愛にさいなまれて。合田は堕ちていく自分自身を支えきれない。
    ■合田の幼なじみ野田達夫が破裂する。熱処理棟の高温地獄、原因が特定できない不良品の頻出、ガス壊疽で急死した作業員、大阪で葬式をあげてきた父への複雑な思い、60時間以上に及ぶ不眠、そして美保子への偏愛にさいなまれて。16年間、平凡なサラリーマンとしておとなしく家族を養ってきた野田だったが、彼の血にはそもそも狂気が混じっていて、こうなることは本人も重々わかっていたのだ。
    ■そしてこの二人の男の人生を狂わす決定打として登場するのがファム・ファタール、美保子。しかし美保子の背景は、薄い。合田、野田の描出とくらべて少なすぎでバランスが悪い。この点、『マークスの山』の水沢マークスと同じような物足りなさを感じた。そして美保子の最後。彼女に対してどうしてこんな仕打ちが必要だったのか、作者の真意が理解できない。駅のなだらかな階段から落ちてあの重症、というのも牽強付会で、なにか作者の美保子に対する悪意(合田が彼女にのぼせ上がってしまったことへの激烈な嫉妬)というを感じてしまった。

  • とある事情で最新刊を読みたいと思ったので。

    何も解決していない気がした。
    というか、どれが事件なのかわからない。
    ホステス殺害事件なのか、
    女の電車への飛び込みなのか、
    合田刑事の旧友父の死なのか、
    旧友父の女の路面電車への飛び込みなのか
    それとも、旧友に偶然会ったことなのか。
    問いの無いところに解は無い。

    (下巻へ続く)

  • ホステス殺害事件を追う合田雄一郎は、電車飛び込み事故に遭遇、轢死した女とホームで掴み合っていた男の妻・佐野美保子に一目惚れする。だが美保子は、幼なじみの野田達夫と逢引きを続ける関係だった。葡萄のような女の瞳は、合田を嫉妬に狂わせ、野田を猜疑に悩ませる。

  • 単行本との違いを読みたいために。

  •  昔々、テレビドラマでやってたのを見たけど、何がなんだか分かんなくて途中で放り出した記憶……(´ェ`)ン-…

     原作を読んでみたら、それも当然だと思った( ´ ▽ ` )ノ
     とにかくめんどくさいキャラばっかり( ´ ▽ ` )ノ
     合田という潜在的同性愛者がそれを自覚せず(もしくは自覚してるのに頑として自己肯定せず)、悶々と悩み続ける話( ´ ▽ ` )ノ
     相手は幼なじみの工員であり、元義兄の検事であり……その両者もまた、合田と同じ潜在的同性愛者( ´ ▽ ` )ノ
     そこに、一目惚れした謎の女だの義兄と双子の元妻だの、間に挟まってくるから、ほんとにややこしい(>_<)
     同性愛を認めたくないがゆえに、ムリに自己設定した三角関係(>_<)
     偽りの恋心・欲情だから、彼女らをどうしたいのか・彼女らにどうしてほしいのか、合田ら自身にもわからない(>_<)

     こりゃ、筋だけなぞって映像化しても面白くはならないや( ´ ▽ ` )ノ
     基本、心理劇だからね( ´ ▽ ` )ノ
     幼なじみが殴り合ったら、それでモヤモヤが解消されてすべてチャラ、ってのがこの手の話の常道なんだけど、本作ではそうならない(>_<)
     一筋縄ではいかないキャラクターぞろい( ´ ▽ ` )ノ
     リアルと言えばリアル、変といえば変( ´ ▽ ` )ノ
     そこが一番の読みどころなんだけどね( ´ ▽ ` )ノ

     溶鉱炉のリアルさもまた異常( ´ ▽ ` )ノ
     警察組織を微に入り細に入り描きこんだミステリーは星の数ほどあるけど、工場仕事をこれだけ緻密に描写した作品は他にないのではなかろうか?( ´ ▽ ` )ノ
     ここまでやると、もうなんの話だか分かんなくなるくらい( ´ ▽ ` )ノ
     仕事に取り憑かれてるって点では、合田も幼なじみもまったくの同類だね( ´ ▽ ` )ノ

     肝心のホステス殺しは彼らの心理描写の陰に隠れてしまいがちだけど、こっちもこっちで興味深い展開( ´ ▽ ` )ノ

     下巻の展開が楽しみ( ´ ▽ ` )ノ
    「マークス」みたいなことにならないといいけど( ´ ▽ ` )ノ


     しかし、合田に「ごうだ」ってルビが付けられると、どうしても「ゴーダくん」、さらには(おなじ業田良家作の)「執念のデカ」をついつい連想しちゃって困るな……(´ェ`)ン-…

    2018/01/01

  • 2人の主人公、達夫と雄一郎が30代のはずなのに親父臭い。2人が再会してそれぞれの目線で相手を見るようになって、ああ、若いんだと感じた。
    それにしても、お互い草臥れていて、僻みっぽくて、なんだかセコイ。

    この作家さん初めてで、読んでる最中は絶対男性だと思ったけど、wikiってみたら女性⁈しかも大学はICU⁇
    一体どういう人生歩んできたんだろう?

  • 高村作品、なかなか入り込めない

  • 高村氏の小説を読むのはレディジョーカー、マークスの山に続き3作目です。
    中年の男性同士の嫉妬や感情の絡みがテーマでしょうか。一見ミステリー風ですが、ドロドロの人間関係が描かれ、濃厚で壮絶で苦しいです。普遍的でありながら目を背けたくなる箇所を容赦なく突いてきます。
    後半は夢中で読み、あっという間に読みきりました。誰にとってもやるせなく、切ないです。
    万人には薦められないですが、深い痛みや挫折を経験したことのある人には共感できる部分があると思います。ずっしりと重いです。

  • 久々の高村ワールド。
    白いスニーカーがトレードの合田、どこかクールな彼が嫉妬に苦しむところも面白い。
    タイトルの「照柿」は色なのですね。
    臙脂色などの描写も非常に印象的です。
    早く下巻が読みたい!

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著者プロフィール

高村 薫(たかむら かおる)
1953年大阪市東住吉区生まれ、現在大阪府吹田市在住。国際基督教大学教養学部人文学科(フランス文学専攻)卒業。外資系商社の勤務を経て、作家活動に入る。
1990年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞、1993年『マークスの山』で直木三十五賞、1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞、2016年刊行の『土の記』では大佛次郎賞、野間文芸賞、毎日芸術賞をそれぞれ受賞し、新たな代表作となった。
『レディ・ジョーカー』を境として、重厚な社会派ミステリーから純文学に転向。織田作之助賞選考委員を務める。

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