マドンナ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 586
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062752633

作品紹介・あらすじ

40代が分別盛りなんて、誰が言った?見た目は中年、中身はいまだ少年……。直木賞作家がユーモアたっぷりに描く新オフィス小説集。四十にして、大いに惑う。

解説=酒井順子

人事異動で新しい部下がやってきた。入社4年目の彼女は、素直で有能、その上、まずいことに好みのタイプ。苦しい片思いが始まってしまった(表題作)ほか40代・課長達の毎日をユーモアとペーソス溢れる筆致で描く短編5編を収録。上司の事、お父さんの事、夫の事を知りたいあなたにもぴったりの1冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 「ガール」が働く女性側の話であるのに対して、
    この「マドンナ」は働く男性側の話
    まるで対のようであった

    男性は男性で、家のローンを抱え、子供の教育に頭を悩ませ、親を看取る心積もりもしなくてはならない
    (これらは、何も男性に限ったことではないが)

    会社では、上司と部下の狭間で気を使い、同期の行方も気になる
    いろんなものを背負わなくてはならなくなる40代の男性

    みんな大変なんだ、男性も女性も生きていくのは大変だ
    などと思いつつ、人事異動で自分の課に入ってきた女性社員に胸を躍らせ、寝ても覚めても心を奪われる春彦をみて
    あーあ、男って馬鹿だなと笑うしかなかった
                      「マドンナ」

    私的には、最後の「パティオ」が好きだな
    会社が再開発した港パーク、当初の思惑が外れすっかり寂れている
    その一角のパティオと呼ばれる中庭で、一人静かに読書する老人に故郷で妻に先立たれ一人暮らしをする自分の父親の姿を重ね合わせ、心を通い合わせていくという話

    昨年末に亡くなった父を思い出し、無性に父が恋しくなった

  • 奥田さんファンとしては物足りなくもあったけれど、やっぱり面白かった。
    「マドンナ」は奥さんとの会話にハラハラして、最後のオチにほっとした。男って勝手だなぁ〜と思いつつ笑

    「ダンス」は酔って息子の部屋に怒鳴り込む?ところが好き。真っ当なことを語りつつ、浅野のことまで混同して息子に言っちゃう酔っ払いぶりが好き。

    「総務は女房」は残念だけれど、会社を生きるサラリーマンとして仕方がないのかも。でも現代でもこういうことって、本当にあるのかなぁ。私は民間企業のことはよく知らないから分からない。

    「ボス」もね、オチは可愛らしくて良いよね。

    「パティオ」はやっぱり、おひょいさんが好きだし。

    ほんと、奥田さんの描く人物は魅力的。

  • 面白かった。
    ガールが面白かったからこれも期待していたけれど
    予想通り好みでした。
    こういう自分の知らない世界、見ぬ世界、
    でも興味ある世界に小説を読むと触れられたりなりきれた気分になる本好きですね。
    サラリーマンはまさにそれ。

    現代社会をよく理解されているなあ、と感心しました。
    (15年ほど前の作品ですが)
    また、それと同じく心情を捉えるのが上手です。
    サラリーマンの方の気持ちが手に取るようにわかりました。
    というか、サラリーマンの仕事がイメージできました。
    サラリーマンになるってどういうこと?っていうのが再認識できました。企業に活かされ、社会にもまれ、出世レースに参加し…。競争社会を実感しました。

    また、男の人も悩むんだなあと思いました。
    なんせ、男の人って私をはじめ女の人みたく悩みが少なそうだし悩みを悩みと認識しないというか。ポジティブなイメージがあるのです。
    でも、出てくる主人公はみんな何かに悩みを持つサラリーマン。
    まっとうな人生を歩みいい大学、いい企業に入った方。
    そんな人たちは出世、人間関係、組織といった彼らならではの悩みを抱えているんだなぁと。
    彼らは思慮深いので、私の周りにいる男の人とは一味違うなあと、新鮮でした。そんな彼らのような悩める男性に魅力を感じました。

    世のサラリーマンの方にいつもお疲れ様ですとこの場を借りて申し上げます。

  • まったくもって私の年代の話しで共感できる部分が多くありました。
    しかも、自分と同じように一線は越えない。リアルですね。
    こういう普通の世界でもありそうなわりかし平凡な話しなのに、面白く読むことが出来るのは、奥田さんの文章がすごいからなんでしょうね。
    女性の心情も結構こまやかに描かれていてすごいと思うんですが、女性からみても共感できるような内容なんでしょうか。そうだとしたらとんでもない表現力ですね。ほかの作品でも女性の描き方がこまやかで、奥田さんの特徴なんでしょうね。

  • 日本を支えているのは
    間違いなく、はたらくおじさま達であります。

    彼らをもっと好きになりたい方へ。
    ぜひ読んで、そして、わらってあげてください。
    そして、愛すべき勤労者達に優しくなって下さい。

  • 勧善懲悪。白黒つける。って言うのとは違う大人の折り合いの付け方。気持ちの落とし所。スッキリしない様で、する。
    そんな、中年男子?の気持ちが明るく描かれている快作。
    40代中盤から50代のサラリーマンにはツボなはず。
    「パティオ」が特によかった。

  • 遠いような近いような二つの空間でそれぞれ主人公が ゆったり揺れ動いたり畳み込むように慌てふためいたり。奥田英朗さんはやっぱりすごい!

  • 初版2000年頃の作品を集めたものなので、20年近く経過した今読むと、旧来のジェンダーバイアスがきつめだなぁと率直な感想。

    現実的にはまだこういうタイプの男女観は多数なのは百も承知ながら、あらまあという印象。

    纏う服装などで人物の輪郭を作り上げる技術は、さすが奥田さん。

  • 会社の女の子を狙ってみたり、子供に対して、部下に対しての対応など40代のお父さんが、ちょっとどきっとするような、チクリと痛い所を突かれてるような話ばかり。乗り越えないとダメな壁が次々と。でも最後には少し折れて丸くなってる所が少し許せたかな←妻目線(笑)

  • 短編からなる話。
    最後のおひょいさん、自分の父母たちが寂しくなかろうか、心配することがあるのだろう。近くなく。会社員としても、どの話もおもしろかった!

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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