仇敵 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 220
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062752848

作品紹介・あらすじ

◆2015年7月スタート日本テレビ系ドラマ「花咲舞が黙ってない」ドラマ化エピソード収録作 主演:杏◆

元エリートの矜恃――男は再び立ち上がる!

幹部行員の裏金工作を追及した恋窪商太郎は、謂れなき罪を着せられメガバンクを辞職。エリートから地方銀行の庶務行員となるが、人生の豊かさを知る。だが、元ライバルからの電話が再び運命を揺るがす――。不正を知った男(ライバル)は謎の死を迎え、恋窪は“仇敵”への復讐を誓う。乱歩賞作家、渾身の連作ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 恋窪の優しい人柄と松木の後輩感!
    もともとエリート銀行員だった恋窪は、罪を着せられ地方の庶務行員として働いている。
    銀行員の松木はそのことを知っていて、恋窪のことを信頼し、たびたび相談しにやってきた。

    庶務行員と銀行員の間柄の2人。同じ会社だが部署は違い、共通点は多くない。
    しかし松木は仕事で行き詰まると恋窪にアドバイスを求めてきた。それに恋窪は答え、時には共に問題を解決に導いてきたのであった。
    上司と部下のような掛け合いは、穏やかでとても面白い。

    『仇敵』には、ミステリー要素も大きく絡んで来る。

    人が死んだり、暴力表現があったりなど、こんなのすぐ警察沙汰になるだろうと思われる描写も少なくない。

    穏やかな掛け合いとダークな世界観のミスマッチング。この小説では良い味となっている。

  • 子どもの頃、大好きだった本。
    『わらしべ長者』、『長靴をはいた猫』、『小公女』。

    相手の求める物を提供することで、思ってもみなかったほどの見返りが与えられ自分も幸せになる。また、恩人である主人のことを思い、先回りして智恵と勇気で最良の結果を手に入れ、自分の目標も達成する。辛く苦しい毎日の中にも、理解者や支えてくれる人のおかげで自分を見失うことなく、最愛の父親が戻ってくるのを信じ、厳しい生活に耐えることができた。
    どれもハッピーエンドのサクセスストーリーで、平凡な日々を送っていた子どもの心をくすぐるものだった。
    そうそう、『セロ弾きのゴーシュ』も。
    思わぬ人のおかげで、思わぬことが自分の成長を促してくれるというのも、好きだった。

    本書を読んでいて、思い出したいくつかのおはなし。
    妙にわくわくするのは、そのためか?
    信頼、成長、戦略、義憤。そして、復讐。
    サラリーマンのおとぎ話ともいえるエンターテイメント。

    恋窪商太郎は、メガバンクをわけあって辞職し、地方銀行の庶務行員となって毎日過ごしている。ふとしたきっかけから恋窪のもとへ、若手社員の松木が意見を求めてやって来るようになった。松木と恋窪の間には、本来の立場を越えて、師弟関係のようなものが形成されていく。
    やはり、能ある鷹は爪を隠してはおけないものなのかも・・・。
    松木も恋窪の助けを借りながら、融資の担当として見る目を養い成長していく。

    また、恋窪は以前勤めていた銀行で自分を追いやり、また、自分の派閥に属する恋窪のかつてのライバルを保身のために追い詰めた黒幕への反撃に転じる。

    この辺りは、池井戸さんが得意とするところ。
    企業のクレジットファイルの中の情報を読み解き、敵の企みを見抜く恋窪の視点や思考方法は興味深く、謎解きのおもしろさを堪能できる。

    以前勤めていたときの信頼できる部下や、取引企業の尊敬できる役員など、水戸黄門的な登場人物の配置も勤め人のロマンと思えば、うらやましいかも。

    恋窪さんと松木くん。
    なかなか魅力的なキャラクターだと思いますが、
    池井戸さん、シリーズ化はどうでしょう?
    (もしかして、シリーズ出てます?)

  • 池井戸潤の仇敵を読みました。

    主人公の恋窪商太郎はメガバンクの辣腕銀行員でしたが、不正を暴こうとした相手の策略でいわれなき罪をかぶせられ、地方銀行の庶務行員として静かな人生を送っています。

    ところが、突然元同僚の桜井から電話を受けたその日、桜井が自殺に見せかけて殺害されてしまいます。
    恋窪は桜井の仇を討つために、一度敗北した相手の不正を再度暴こうとするのでした。
    8つの短編で恋窪が相手の不正を暴いていく経過が描かれていきます。

  • 物足りない(笑)
    池井戸さん得意の金融ミステリー&鉄板の復讐モノ
    しかし、それが故に物足りないです。

    短編連作形式の長編金融ミステリー。短編それぞれでまとまりながらも、ストーリ全体で巨悪に挑んでいく物語。
    構成としては「7つの会議」と同じような構成です。

    ストーリとしては、エリート行員の恋窪は、いわれなき罪を着せられ、メガバンクを追われます。そして今では、武蔵小杉にある地方銀行の庶務行員となって静かに日々を送っています。
    ここで必殺仕事人よろしく、庶務行員として庶務作業をひょうひょうとこなす一方で、後輩の松木にはエリート銀行員のキレッキレのアドバイスをあたえ、さらには、前の職場の部下の河野と一緒に、自分自身を退職させたメガバンクの裏に潜む悪に挑んでいきます。
    悪人たちにどう対峙していくのか?
    ハードボイルドのシーンもあり、最後は安定の終わり方。

    物足りないのは、短編の完成度がイマイチで、全体の長編ミステリーがブチブチ切れる感じになってしまうところ。
    さらに、悪者たちを追いつめるところが、あまりにあっさりなところ。もっと、恋窪自信が追いつめられながらも、這い上がって這い上がって、最後はこれでもか!ってぐらいにコテンパンに悪者をやっつけて欲しかったのですが、あまりにあっさり終わってしまいます(笑)

    他の池井戸作品を知っている方は皆さんそう思うのでは?

    本作を通じて「庶務行員」という職位があるのをはじめて知りました。さらには、銀行の仕組みも勉強になります。

  • とても読みやすいので、一気に読めてしまった。ということは名作なのだろうけど、いつも程のスケールやドラマ性が無かったのが残念です。銀行員も命懸けなのはやだな。

  • エリート銀行員から濡れ衣を着せられ地方銀行の庶務行員になってしまった男が主人公。銀行内で起こる不正・事件がテーマの連作短編集。バレないように巧妙に不正を働き利益を得ている銀行役員とそっち系の人間。その秘密を知り過ぎた、もしくは調べ始めた人間は殺される。その秘密に主人公が迫っていくんだけど、どの作品もラストが急にシンプル、あっさりになり、どう相手を追い詰めたのか描かれてなくて、ちょっとモヤモヤ。それと面白いけど内容が濃く難しいので、どんな話だったのか??と考えると難しすぎて残らなかったりする。。私だけかな。

  • 理不尽なことは世の中にたくさんあって、
    特に銀行の中にはたくさんあるらしい。


    池井戸さんの銀行モノを片っ端から読んでいるせいか
    どれがどれだか分からなくなってきているけど
    この「仇敵」はそのなかでも印象深い。

    (タイトルが内容を連想させやすいというのもあるけれど)

    銀行が、こんなに危険な職場だとは知らなかったー。

  • 私は、経済について、疎いのだが、池井戸潤の金融ミステリーは、凄く読みやすく、解り易い。

    この「仇敵」は、8話の短編が、大きな長編への流れに変わる。
    エリート銀行マン恋窪商太郎が、卑劣な策謀の結果、辞職せずにはならなかった。
    小さな銀行の庶務行員になるが、元の銀行のライバルでもあった友人の桜井の変死から、自分を陥れた不正の根本を、専門知識を苦慮し、追い詰めて行く。
    少し、ハードボイルド的な所が出てくるが、恋窪は、いつも、殴られているところが、ちょっと、悔しい。
    殴られ損と言うか、入院までするのに、やはり、庶務行員のままと言うのも、なんだか、悔しいようなするのは、私だけであろうか?
    命をかけて、闘っているのに、、、、
    小説だから、少し、ハッピーエンドな所もあればいいのにと、思ってしまった。

  • 半沢直樹、花咲舞と個性的な名前の主人公が登場する池井戸潤の銀行小説シリーズ。本作の主人公は恋窪商太郎。かつて大手銀行のエリートだったが、派閥争いによる不正事件に巻き込まれ、銀行を退職。地方銀行の庶務行員として再就職する。庶務行員とは、制服を着て銀行の受付で客の苦情とかをさばくガードマンみたいな人のことだ。もしも半沢直樹が大和田常務に敗れ銀行を追い出されると…、というイメージ。

    庶務行員なのに、銀行マンとしての豊富な知識と経験を持つ恋窪は、彼を慕う若手銀行マン松木と組んで、人知れず銀行内のトラブルを解決する。そんな恋窪の活躍を描いた連作短編集。さらに短編が積み重なり、やがて恋窪が過去に巻き込まれた不正事件に迫るというスリリングな展開。これぞ池井戸エンタメ小説。

    ところで銀行マン同士の争いなのに、殴り合いやら殺人やら、武闘系ないざこざが多い。ホワイトカラーたちがそこまでやるか。ここまでくれば、銀行内の大ボスとのラスト対決も警察を巻き込んだ銃撃戦くらいを期待したが、そこは意外にあっさり。同じく金融ミステリーの松本清張「眼の壁」のラストくらいぶっ飛んでほしかった。

  • あらぬ不祥事の疑いをかけられてメガバンクを追われ、地銀の庶務行員として働く恋窪が、ある事件をきっかけにメガバンクの不祥事を暴いていこうとするお話。
    人当たりは柔らかいけれど、気概は半沢直樹!
    恋窪の周りで起きる殺人事件に、伝票やクレジットファイルなどから証拠を拾い集めていく恋窪のバンカーとしての力や勘の鋭さは、さながら証拠をしらみつぶしに探す刑事みたい。銀行ものとしても、ミステリとしても、とても面白くあっという間に読めた。恋窪を慕う若手行員松木くんの成長もすがすがしい。
    大活躍した恋窪は、それでも庶務行員として駐車場で車の誘導をして過ごすのだろうなぁ。
    最後でメガバンクの大物を徹底的にたたきのめすシーンがあったら爽快感はもっとあったかも。

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著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、11年『下町ロケット』で直木賞、20年、野間出版文化賞を受賞。ドラマ化された「半沢直樹」シリーズ、「花咲舞」シリーズなどで人気を博す。著書に『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『民王』『ようこそ、わが家へ』『アキラとあきら』『ノーサイド・ゲーム』など多数。

「2021年 『民王 シベリアの陰謀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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