リトル・バイ・リトル (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062752954

感想・レビュー・書評

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  • 悲劇のヒロイン的ふるまいをするわけでもなく、淡々と毎日を生きてくふみさんがすごく好きだなあとおもった

  • 高校生のときに図書館で何気なく読んで、数年後にふと思い出して購入した作品。一時期アホみたいに色んな作品を読んでた時期があったけど、他のものはほとんど覚えてないのに何故かこれは覚えてた。ずっと心に残ってたのかな。淡々と進む話がとても好きなので、これも何も考えずに読めて今でも時々読み返したくなります。

  • 少しずつ
    少しずつ

    歩いていこう。

  • 高校を卒業してからアルバイトをしながら生活する主人公。
    それを取り巻くどこか愛くるしい登場人物たち。
    この小説のあとがきを見てハッとしたのを覚えてます。
    詳しくは思いだせないけど、あとがきを見て初めてこの本のタイトルの意味に気付かされ、小説って奥が深いなーと感動しました。
    小説の内容はそこまで深いとは思わなかったのですが、この作品がもつ文章の柔らかさとか雰囲気がとっても好きです。

  •  表紙の写真と『リトル・バイ・リトル』というタイトルからなにか伝わってくる気がした。

     主人公の橘ふみは、父親の違う妹の面倒を見る。全く当たり前に。逃げた父や頼りない母に代わり、進学をやめ働くことにも一切ためらいが無い。
     今どきでもこんなコが居ると信じたい。疑ったりし斜に構えたりしないでそう信じたい。そう思わせるあまりにも滑らかなサラリとした書き方だ。野間文芸新人賞を獲った作品だというのもうなずける。

     『涙そうそう』のDVDをほぼ同時に見たが、こちらも全く血のつなっがっていない「妹」を兄は徹底的に面倒見る、終いには働きすぎで死んでしまうほど。
     やはり、こんな若者が居るだろうかなんていいたくは無い。現代でもきっと居るに違いないと信じたい。ヒット作となったのは、信じたいという願望が私だけのものではないからろう。

     私は120人のお年寄りのお世話をしている。と、言ったら言い過ぎである。実際はスッタッフのケアマネジャー4人が担当してくれている。でも責任者の私は、あくまで建前だけれども全部のお年寄りの家族構成からなにから全部把握していることになっている。
     殆んど全部のお年寄りの「子」は「団塊」の世代だ。この団塊の世代たち、120家族のうち半分は親の介護から「逃げ」ている。自ら手を煩わすことはもちろんのこと、親のことを考えたり、判断したりすることからさえ逃げている。兄弟どうして押し付けあっている。本当に見苦しい。逃げている団塊世代の尻拭いが私の仕事だと言っても言い過ぎじゃない。情けない話ですが。

     「親の居ない子供」、「定職につかずアルバイトなんかしてるコ」、「きちんとした大学を出ていない」、「大きな会社に勤めていない」、「パラサイトシングル」などの数々の偏見を世に定着させたのも彼ら「団塊」世代だともいえる。

     自分達は戦後から高度成長にかけて「親に面倒」をかけて大学まで出してもらって、大人になってからは「親の面倒」からは逃避した世代だ。そして会社の中ではほぼ例外なく学歴と会社とにパラサイトしている。手厳しすぎる見方かもしれないが、あまりにも多くの実例を私は見てきた。

     橘ふみや『涙そうそう』の兄ぃ兄ぃは、団塊世代が生み出した偏見のフィルターにかければ、「真っ当じゃない子」にほかならない。
     だけど、これほど真っ当な子たちが他にいるか。これほど健気な若者がいるだろうか。恥ずかしくないのか、団塊たち!そう言いたくなってしまう。作品の中でもこの子たちの親はやはり大人であるくせに、例外なく無責任か頼りないかのどちらかだ。

     橘ふみと彼氏はおそらくお互い初めて同士の彼と彼女だ。二度も二人っきりになるのだけれど、毎回何もしないで寝入ってしまう。それほのこの子たちは疲れている。
     兄ぃ兄ぃは、全く疲れ知らずで挫折にもめげず猛烈に稼ぐ。最後の最後まで妹には辛さを隠して。だが最後には。

     本当に健気で真っ当な若者達である。
     こんな子たちが物語の中だけではなくて現実にも居てほしいものだ。思わずそう願ってしまう。

     ある方のレビューが気になって、読んでみる気になった一冊でした。

  • 初めて読んだのは中学生のとき。読書はめったにしない子だったけどこの本は図書館で何回か貸りて読んでました。初めて好きになった恋愛小説。

  • 漠然とした不安を抱えている主人公と、周という登場人物とが織り成す小説は、読んでいて胸がぽかぽかしてくるような、そんな温かい作品でした。島本理生さんらしい作品だと思います。これを読むと、また「ナラタージュ」が読みたくなりました。
    ほんとうに温かい、ほんわかする一冊でした。

  • 大好きです。一番最初に読んだ島本理生さんの作品です。

  • 1番癒される本。
    ほんまになにげない日常を切り取っただけで
    だからこそなんか安心できるんかなぁ、と
    言葉の使い方や主人公の考え方が好き。

  • 1度読んだことあったんだけど、文庫になってたので買ってしまった。

    『一千一秒の~』と比べると、文章とかがだいぶ幼い。
    けど、なんとなく響くものがあります。
    主人公が持っている、切なさ、強さ、やさしさ。
    そういうバランスが、たぶん好きなんだよね。

    単行本が本屋でバイトしてた頃に出ていて、この表紙とタイトルが印象的でした。
    (2006.01)

著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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