- Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062752961
作品紹介・あらすじ
火の山-とは富士山のこと。その富士山に寄り添いながら生きた有森家の変遷史。誕生と死、愛と結婚の型。戦中戦後を生きた人たちを描きながら、日本の近代を見つめ直した傑作長編小説。第51回野間文芸賞、第34回谷崎潤一郎賞受賞作。平成18年4月から放送のNHK連続テレビ小説『純情きらり』の原案。
感想・レビュー・書評
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大江健三郎や『楡家の人びと』を彷彿とさせる圧倒的創造(想像)力のクロニクル系大長編。
有森家の1人が、連綿と続く有森家の歴史・家族の事件を綴った手記を、更にその子供たちが読み進めていくという内容。
現代の会話ではどうやら誰が生き誰が亡くなっているか窺い知れるが、手記は著者の幼少期から丁寧に進んでいく部分が肝な気がする。
津島佑子の作話力に驚きを感じる一作。
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今Booklogで検索してびっくり。これが『純情きらり』の原作?下巻を読まないとそうは分からないんだろうな。『純情きらり』よりも現実的。
ある家族の様子を書ききったことはすごいと思うが、正直のめり込めない。下巻を読むべきかどうかためらっている。 -
まずは個人的な思い入れについて。
「火の山-山猿記」のハードカバーを本屋で見かけたのは10年くらい前。谷崎賞が冠せられているのと、分量、題名とトーマス・マンの「魔の山」を思わせるその堂々たる雰囲気にいつか読みたいと思っていた長編。
読みたいとは思いつつも、当時ハードカバーだったのでなかなか手を出しづらく、なんとなく手が伸びないうちにいつしか文庫となった。そしてその帯にあったのは、NHKのドラマ「純情きらり」の原案、という一文。
連続テレビ小説は好きでわりと見ていて「純情きらり」も例外ではない。「純情きらり」自体はなかなか面白くたぶん全部見たが、「火の山」はこういう物語性の強いものなんだろうか?という気持ちが残った。それで買いはしたもののなんとなくすぐ読むのを迷ってしまった。
長らく積読状態であったが、去年「ナラ・レポート」をたまたま読み、津島佑子に興味が湧いて、「火の山」に対する関心も変わり、今日ようやく読み終わった、というところである。最初の出会いから10年近くである。
読んでいる間、実に充実した時間を過ごした、という思いがした。長いのだが下巻は一日で読んでしまい、軽く疲れた。
富士山のイメージが随所に出てくる。雄大さ、噴火の際のエネルギーなど生命力の象徴として意図的に文章の中に登場させている、と著者の巧みさを読みとることも可能のように思うが、たくさん登場する人物の濃密な描かれ方に、作為的な仕掛け(語り口の多様さとか)も忘れてしまうようなそんな思いがした。笛子、杏子、桜子、勇太郎といった人物の描かれ方が、勇太郎による回想形式をとっている、というのはあるにしても、華美な表現には流されず、事実をしっかりと積み上げていくような書き方で、とてもどろどろとした手触りである-まさに生命そのもの-といった印象を受けた。
ドラマを見るのとはまた違うものだと思いながら、桜子が「~じゃんねえ」と言うところなんかは宮崎あおいの声を思い出しながら読んでいたような気がする。
いろいろ言いたいことはありそうだがなかなかまとまらない。少し余韻にひたっているという感じ。なかなか圧倒的な本だ。 -
上下巻にに分かれておりかなり長いですが、
その長さを感じないほど深く入り込んで読める作品でした。
とある一家の物語をこれほど見事に描ききっている作品は
そんなに多くはないのではないでしょうか。
貴重な一作だと思います。 -
一見長そうですがそうでもありません。誰か家系図と年表を書いてくれないものでしょうか。
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構造、家系図の複雑さにめげずにがんばって読んでみよう! たいへん面白い作品だから!
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太くて読みにくいかと思ったが、実は読みやすく、どんどん読み進めることが出来た。登場人物をひとりひとり丁寧に描いており、有森家を身近に感じることが出来た。
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『純情きらり』の原案。ドラマとは全然違うような、同じところもあるような。。。。飛ばし読みしつつ読了。
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津島 佑子 「純情きらり」原作