熊の場所 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 170
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062753319

作品紹介・あらすじ

猫殺しの少年「まー君」と僕はいかにして特別な友情を築いたのか(『熊の場所』)。おんぼろチャリで駅周辺を徘徊する性格破綻者はゴッサムシティのヒーローとは程遠かった(『バット男』)。ナイスバデイの苦学生であるわたしが恋人哲也のためにやったこと(『ピコーン!』)。舞城パワー炸裂の超高純度短編小説集。

感想・レビュー・書評

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  • ぼく・わたしの未来が詰まった現在進行形ポップ純文学短篇集。
    舞城王太郎従来のアクの強さは満載ながら、とてもまとまりのよい短篇集。なので、「これは素晴らしいなぁ、舞城王太郎を人に薦めるならこの本からと言いたいな」と思っていた。そしたら最終話の「ピコーン!」でいやいやいやいや、これ人に薦めたら駄目だ、となる。
    もう、舞城さんなんなの~(笑顔)、こんなの人に薦められないじゃん~(笑顔)。

    勢いに飲まれるキュートな最終話も素晴らしいが、1話・2話収録作もたいへんスマートで唸る。舞城王太郎は軽快ながらもある種の泥臭さがあり、そこが魅力でもあり時にくどくもあるのだが、この2作はそこのところを「書きすぎて」おらずテーマで非常にバランスよくまとめている印象を受けた。
    特に表題作にもなっている「熊の場所」は、一読したら何度も思い返す人もいるテーマではないだろうか。

    自分の感情と記憶の居場所を普遍的なものにする、それもまた物語の力だなぁと思う。

  • 「何が飛び出すか誰にもわからない、最強の純文学!」

    舞城王太郎作品の中でも、読みやすいものだと思う。表題作は必見の面白さ。
    舞城さんの文章は柔らかすぎて、擬音語も多いし、若者向けと聞くとなるほどというような文章なのだけど、感情の発想がぶち抜けてる。脳にずがーんとくる。一文で惚れる。離さない。

  • 熊の場所が好きすぎる!恐怖を感じて逃げたくなった時、いつも心の中で思い返す大切な短編。

  • 時々思い出す熊の場所。
    「恐怖を消し去るには、その源の場所に、すぐに戻らねばならない。」ほんとそのとおり。

  • 着眼点が流石にスゴイ。

    普通じゃない出来事に直面して、思わず「そこかよっ」って突っ込みたくなる感情を抱く博之だったり。

    まー君に殺されたい欲求を抱きつつも冷静な分析を行える沢チンだったり。

    説明のつきづらい感情を抱くそれぞれの主人公達なのに、何故か妙に自然にすっと受け入れられるのは、不思議な体験でした。きっとこの、へんてこな出来事に直面してもへんてこな感情を抱くのが、ありのままの人間なんじゃないかなーって感じました。そうだとして、そこに着眼点を見出したこの著者はスゴイなって思いました。

  • 『恐怖を消し去るには、その源の場所に、すぐに戻らねばならない。』

    『死に物狂いでやってて気迫が足りないくらいなら死んだ方がマシだろう。』

    『人生には正しいも間違っているもない。物差しは結局のところ自分の価値観しかないのだ。』

    『二人の無意味で不必要なすれ違いがこれで終わりますように。』

    『弱い方へ弱い方へ、ストレスの捌け口は見出されていくんだ。弱い方へ弱い方へ、不幸は流れ込んでいくんだ。』

    『目の前に自分の人生が手付かずのまま残っているのだ。』

    『今日は昨日ともその前とも違う別の日。わたしの決意の日。やると決めた日。』

    『わたしは言うと決めたことを言わなくてはならない。始めると決めたことを始めなくてはならない。かなえると決めたことをかなえるための努力をしなくてはならない。』

    『このようにしてわたしは哲也をどんどん失っていくのだ。そしてそれに慣れていくのだ。それに慣れていくことをわたしは受け入れていくのだ。』

  •  表題作『熊の場所』で、クラスメイトの「殺すぞ」に戦慄して、生命の危機すら意識しちゃう主人公。そう、殺すなんて言われたら、そうなるのが正常なんだよなぁ。

     冷や汗だか何だか、汗だくになって麻痺した頭抱えて疾走する彼に、怒涛の鮮やかさで見慣れた風景が流れ込む。 

     舞城王太郎の個性って、
     ぶっ飛んでる!!キレキレ!!
     ってそれだけなら他にもたくさんあるけど、そこにどうしようもなく人間的な、「普通」の感覚が共存するところじゃないかなぁ。

     大切な人の存在や、自分を奮い立てる哲学。悪意に毒を盛られる心。
     それが自覚できてなきゃ、残虐だったり超現実だったりの舞城より、日常の方がよほど狂ってる。 

  • 舞城王太郎の短編集。これで舞城作品は3つ目になるが1番面白い。
    彼(彼女)の作品は物語上をジェットコースタ―のように一気に駆け抜けていく。しかもそのコースがとにかくキワモノで、長編だと読み終わった後に心がヘトヘトになっている。
    だからこれぐらい短い話がちょうどいいのだ。一気に読み手を引き込み、そのままラストまで駆け抜けていく疾走感。読んでて本当に気持ちいい。
    短編を書かしたら、右にでるものはいないのではないだろうか?まぁ最初の熊の場所を読み終えたときはやっぱりこの作家は頭がいかれてると確信したけど。
    犬のお腹の中に小指って・・・

  •  短編が三編掲載されている。
     どれも面白いんだけど、あと一歩何かが足りない。
     その足りないものは何なのだろう……。
     たとえば「ビコーン」なんてとても軽快でリズム良く読めるんだけど、どうしても力技で物語に収拾を付けようとしている印象を受けてしまう。
     なんていうか、強引過ぎるのかな。
     思うに短編よりも長編の方が面白い作家なのかも知れない。
     ま、そうは言ってもこの短編集も満点ではないけれども、面白いことに変わりはない。

  • 不思議と引き込まれる相変わらずの舞城作品。表題作がよかった。恐怖を感じた場所に戻ることで恐怖を克服する。

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著者プロフィール

1973年福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞してデビュー。2003年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。他の著書に『熊の場所』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『キミトピア』など。

「2014年 『コールド・スナップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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