ハゲタカ(下) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062753531

感想・レビュー・書評

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  • ハゲタカとは 投資家のファンドをつのり、
    ハイリスクハイリターンの高率な利益を確保する。
    不良債権の買取 企業買収など 
    金融と企業の闇の中で暗躍するものたちのことである。

    鷲津政彦は、ジャズピアニストを目指していた。
    突然 ピアノが弾けなくなってしまった。
    船場で生まれ、もともと商才にたけていた 鷲津は
    ミューヨークの投資ファンドのパートナーになった。

    バブル崩壊の日本で、銀行の不良債権を買い叩く、
    銀行には表に出せない 不良債権が おおくあり、
    銀行は『バルクセール』をせざるを得なかった。
    それを ハゲタカは狙う。

    ニューヨークに勤務したことのある 三葉銀行 芝野は、
    そのバルクセールの担当者となった。
    (芝野は、ターンアラウンドマネージャーを希望していた)
    芝野は、初めてバルクセールのときに 鷲津と出会うが、
    鷲津の風貌は くたぶれた中年のおじさんにしか見えなかった。
    バルクセールを通じて 鷲津の実力を知る。
    情報収集力、戦術の立案力、交渉力、喧嘩力。
    その巧みさは 目を見張る。

    ターゲットは ゴルフ場 地方銀行 創業的製造業。
    その狙い方は大きな構想の中にある。
    まさに、日本を買う と気概に 満ちたもの。
    鷲津には、ある怨念があった。
    三葉銀行 飯島亮介は、頭取も知らない仕事の担当者であった。
    鷲津と飯島の見えないところでの暗闘。
    物語がミステリーとしても読みどころがある。

    デューデリジェンスの考え方が土地を基本にするのではなく
    その土地からどれだけお金を生み出すことができるのか?
    を基準におくところが なるほどと思う。
    本来のバンカーとは、なにかを問う。
    銀行の人に言えない不良債権、隠し口座、会社の私物化、
    ・・・膿が流れ出る。
    その膿を 吸血鬼のように 吸うことによって
    ハゲタカは 成長していく。

    アメリカの投資銀行 ゴールドバーグ・コールズの
    ファイナンシャル アドバイザー リン・ハットフードと
    鷲頭の会話が スノッブ である。
    その間合いがとても粋である。

    リンはいう
    『フェアーとかラブとは信じない。
    信じるものは パッションだけ』と。

    松平貴子というホテル ミカドグループの お嬢さんが、
    スイスのホテル大学に留学を決定するシーンから始まるが、
    彼女の その時々の決断は 
    びっくりするほどの意志の強さに 物語の伏線として
    貴重を形づくる。
    鷲野よりも貴子の生き方のほうが気になってしまう。

    一気に読みきって、
    確かに、日本人は大切なものをなくしてしまった
    とおもった。

  •  何か考えさせられるといった類の本ではないが、上巻に続きとても面白かった。
     著者は、大学で政治学科を専攻し、読売新聞記者を経てフリーライターになったとのことだが、よく経済をテーマにこんな小説が書けたものだ。
     事実を追ったら、並みの小説より面白い作品になった?
     
     下巻は2001年~2004年が舞台。鷲津率いるホライゾン・キャピタルが破たんした都市銀行を買う話、太陽製菓のスポンサー選定、地方銀行の破たんによって債権がファンドに売却されたミカドホテルの再生が描かれる。
     鷲津とリンの関係にリアリティが感じられないが、それ以外は私が経済に詳しくないこともあって、ドキドキしながら読んだ。
     
     著者の日本に対する不満が創作動機の一つであることは間違いないだろう。
     日本の問題点の指摘が何か所も出てくるが、なかでも顧客満足に対する点に大いに同感。
     『CSという発想はあるが、日本のそれはマニュアルを徹底すれば、本当に実現できると信じている愚かしさでしかなかった。本物のサービスとは、自分がして欲しいと思うことを、精一杯しようという姿勢からしか生まれない。』
     マニュアル遵奉主義者が多すぎるんだ。
     
     日光再生プランも面白い。奥日光全域をナショナルトラストの保護エリアに指定し、乗用車の乗り入れを禁止し、高級ホテルのみとして世界的な観光地にする。
     確かに、そんなスノッブなまちづくりは地域住民のだれも望んでいないかもしれないが、思い切った地域再生は投資家の力とプロデュースがないと進まない。星野リゾートによる一軒からの再生では道遠し。面白い発想だと思うな。

  • 何でハゲタカになったかっていうのはなんとなく分かっていたけど・・・。

  • 並行していた企業再生の話が一気に繋がっていくストーリーは、次はどんな風につながるのかと気になり一気に読めた。

  • これ、金融の専門家が読むとどういう感想になるのか気になるなあ。池井戸さんとかどう読むんだろう?

    何しろ「ああ、そう言うニュース見たなあ。」的な話がゴロゴロ出てくるんで何かわかった気になっちゃうんだけど、わかった気になって良いのかどうか非常に気になるところ。

    それとは別に人物設定とかは少々鼻白む感じのもある。元ジャズピアニストのハゲタカなんて詩人警官の某とかバイオリン弾く探偵の某とか狙ってんのかい!みたいな。結局古女房は二人ともお払い箱だし。

  • どうも最後のシーンは納得できない。
    テレビドラマの方が良かった。

  • 主人公が芝野だったらもう少し面白かったかもしれない。
    鷲津というキャラに感情移入できなかった。

    あと、自分の勉強不足かストーリーがわかりづらかった。

  • 厚い上下巻という長編だが、1つ1つのエピソードだけで同じ量がかけてしまいそうなのでもったいなかった。
    特に出だしと結びを飾るホテルの話はこの話だけで全編通すのかと思ったので、あっさり表側だけ語られていたのが残念だった。

  • 下巻に入り、話の動きが出て、ぐっと面白くなった。そして、ラストまで読んで、(あ、こういう話だったのか)と話が繋がった。鷲津さん、かっこいい。

    『ハゲタカ』の主要人物はみんな、自分で意思をもって、道を進んでいるところがかっこよくて憧れる。鷲津も貴子も芝野も、きちんと地に足ついてる感じがする。第一線で活躍するような人は、こういう人が多いんだろうな。

    ハゲタカの世界がなんとなくわかって面白かったから、続きも読もうかなと思った。

    ☆あらすじ☆
    企業再生が軌道に乗りはじめた頃、鷲津政彦は元 銀行員・芝野健夫、老舗ホテルオーナーの娘・松 平貴子と偶然出会う。二人と接触を重ねるたび に、鷲津の過去が明らかになっていく。そこに潜 むある事件とは?そしてニューヨークから日本に 戻った鷲津の真意が判明した瞬間、驚愕のクライ マックスが訪れる。

  • 日本に上陸した『ハゲタカ』
    「日本を買い取る」と豪語する鷲津。銀行員の芝野や、日光の名門ホテルの貴子もそれぞれの道を歩んでゆく。
    経済や会計の勉強になるし、面白い小説なのだが
    ラストが少し物足りなかった。

著者プロフィール

真山仁(まやま じん)
1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。読売新聞記者を経て、フリーランスとして独立。2004年、熾烈な企業買収の世界を赤裸々に描いた『ハゲタカ』(講談社文庫)でデビュー。これが代表作となり、ドラマ・映画化された。
「ハゲタカ」シリーズのほか、『虚像の砦』『そして、星の輝く夜がくる』(いずれも講談社文庫)、『売国』『コラプティオ』(いずれも文春文庫)、『黙示』『プライド』(いずれも新潮文庫)、『海は見えるか』(幻冬舎)、『当確師』(中央公論新社)、『標的』(文藝春秋)、『バラ色の未来』(光文社)、『オペレーションZ』(新潮社)がある。

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