ハゲタカ(下) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062753531

感想・レビュー・書評

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  • 元三葉銀行、えびす屋社長の芝野氏は、上巻からずっと気骨のある優秀なバンカー兼プロ経営者として描かれていたのが、終盤に突如として、船場時代の渾名が「ミスター・ギロチン」で、融通の利かない、要領の悪い男として、飯島常務から酷評を受けていた点が明かされる場面は、なかなかショッキングだった。得体の知れない外資金融マンに比べて「この人だけはまともだ」と散々思い込まされていただけに。

    結局ミカドホテルがどうなったのか、MBO(っぽい策)が実行されたのか、よく分からない、など、若干とっ散らかった感あるが、総じてスリリングで、緊張感溢れる金融交渉の場面は面白かった。特に太陽製菓のビッドでの、用意周到かつ強気の交渉は小説と分かっていても見習いたいと思った。


  • 大森南朋主演のNHKドラマが好きで原作読んだのですが、専門的な難しいところは分からなくとも企業再生・買収の駆け引きや攻防戦はスリリングでエキサイティング。
    ミカドホテルの女社長がさらにドラマに華を添え引き立ててくれます。
    外資の日本企業買収は果たして情け容赦ないハゲタカなのか?

  • 小難しい専門書を読むよりも、小説の方が入門編としては興味を持って調べることが出来ます。
    鷲津には燃える焔を感じました。

    「お前は、正義のために死ねるか」

  • 上巻からの続きで一気に読めました。酷い放漫経営のオーナー会社、悲しい過去や軽いロマンス。登場人物ではリンが好きなキャラです。

  • 倒産寸前の企業の株を買い経営の権限を握る。その後、その企業が持っている返済不能な債務の返済の為に、資産の現金化やリストラなどの企業の改革を進める。という流れはわかったが、ハゲタカファンドのPLがどのような構成なのか理解できていない。誰か教えてくれ

  • わざとジャンルが偏らないように読んでいるというのに。
    あまりの面白さに一気読みしてしまった。

    単なる経済小説ではなく、周到な伏線がはってあるし、
    もう最後は完全にミステリーだ。

    バブル以降の日本の金融再編の事情をふんだんに盛り込み、なるほどそういうことだったのかと今更ながら納得できること多し。

    それにしても年利40%のファンドって。
    一般庶民には縁はありませんね。

    そして愛すべきキャラクター達は二作目でも、もちろん登場するんですよね??
    早く次ぎを読まねば。

  • ハゲタカとは 投資家のファンドをつのり、
    ハイリスクハイリターンの高率な利益を確保する。
    不良債権の買取 企業買収など 
    金融と企業の闇の中で暗躍するものたちのことである。

    鷲津政彦は、ジャズピアニストを目指していた。
    突然 ピアノが弾けなくなってしまった。
    船場で生まれ、もともと商才にたけていた 鷲津は
    ミューヨークの投資ファンドのパートナーになった。

    バブル崩壊の日本で、銀行の不良債権を買い叩く、
    銀行には表に出せない 不良債権が おおくあり、
    銀行は『バルクセール』をせざるを得なかった。
    それを ハゲタカは狙う。

    ニューヨークに勤務したことのある 三葉銀行 芝野は、
    そのバルクセールの担当者となった。
    (芝野は、ターンアラウンドマネージャーを希望していた)
    芝野は、初めてバルクセールのときに 鷲津と出会うが、
    鷲津の風貌は くたぶれた中年のおじさんにしか見えなかった。
    バルクセールを通じて 鷲津の実力を知る。
    情報収集力、戦術の立案力、交渉力、喧嘩力。
    その巧みさは 目を見張る。

    ターゲットは ゴルフ場 地方銀行 創業的製造業。
    その狙い方は大きな構想の中にある。
    まさに、日本を買う と気概に 満ちたもの。
    鷲津には、ある怨念があった。
    三葉銀行 飯島亮介は、頭取も知らない仕事の担当者であった。
    鷲津と飯島の見えないところでの暗闘。
    物語がミステリーとしても読みどころがある。

    デューデリジェンスの考え方が土地を基本にするのではなく
    その土地からどれだけお金を生み出すことができるのか?
    を基準におくところが なるほどと思う。
    本来のバンカーとは、なにかを問う。
    銀行の人に言えない不良債権、隠し口座、会社の私物化、
    ・・・膿が流れ出る。
    その膿を 吸血鬼のように 吸うことによって
    ハゲタカは 成長していく。

    アメリカの投資銀行 ゴールドバーグ・コールズの
    ファイナンシャル アドバイザー リン・ハットフードと
    鷲頭の会話が スノッブ である。
    その間合いがとても粋である。

    リンはいう
    『フェアーとかラブとは信じない。
    信じるものは パッションだけ』と。

    松平貴子というホテル ミカドグループの お嬢さんが、
    スイスのホテル大学に留学を決定するシーンから始まるが、
    彼女の その時々の決断は 
    びっくりするほどの意志の強さに 物語の伏線として
    貴重を形づくる。
    鷲野よりも貴子の生き方のほうが気になってしまう。

    一気に読みきって、
    確かに、日本人は大切なものをなくしてしまった
    とおもった。

  • 実際に銀行員になった後、何を強みにどんな色の行員になるべきか考えるいい機会になった。早く舞台に上がって、戦いたい

  • 「上」に続き楽しく読めた。

    やはり、PEや再生に関する教科書ちっくな専門書を見るよりも、ストーリー仕立ての小説の方が、時間に対するコスパが良いなと思う。単に楽しいからかもしれないが。


    あえて言えば、「上」ほどの面白さは感じなかった。
    また、上下を通した連動はもう少し強くあると面白かったとは思う。

    印象に残った箇所

    87
    「そこで我々は、倒産される前の段階から再生スポンサーとして名乗りをあげることで、倒産による企業の劣化を防ごうと考えているのです。」

    一般消費者の嗜好品を扱っているような企業は、イメージと信用が第一だ。それが、倒産によって一時的にでも出荷が止まれば、二度とその商品は市場に復帰できない可能性もある。

    →買収の際の綺麗な理由
    →これは買収のみならず、法的整理か私的整理かという粒度でも語ることができると思う

    200
    彼らは、徹底的に厳しいデューデリジェンスをし、さらに、既に太陽の現場の人間とミーティングを始めており、旧会社が残した負の遺産を切り捨てた後の現在の太陽の企業価値を把握していた。さらに、概算ではあったが、これから5年での成長への見込みも既に立て始めていた。

  • 上巻もそうだったが、複数の話が時系列的に同時進行していて、本巻では後半でつながっていく。

    しかしここに出てくる企業や銀行は、いずれもどうしようもない。現実はどうか分からないが、本巻に出ている菓子メーカーのモデルとされている企業は、ゴルフ場事業の失敗が引き金となって民事再生法の適用を受けている。したがってフィクションは入っていながら、実際との差は小さいのだろう。

    この巻でも企業買収などについての専門用語および解説が出てくるので大いに参考になる。

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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