桜宵 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062753692

感想・レビュー・書評

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  • 2作目
    相変わらずビールと創作料理が美味しそう。
    今回は友人の香月さんも出てきて、あれ?この感じ、しろくまくんとグリちゃん?とニヤニヤしていたら、ラストがチラリと不気味だった。
    七緒さんの決断はどうだったのかな。これはそういうこと?
    前作より人の闇が深くて暗い。
    後半に向ってどんどん話が暗くなる。
    夕海さんはパーカーパインみたいだった。
    香菜里屋から出た話もあって、お店の話が好きなので、そこはちょっと残念。
    最後にこの後味の話なのは嫌な感じ。

    十五周年
    桜宵
    犬のお告げ
    旅人の真実
    約束

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    一度たずねてみてください。わたしがあなたに贈る最後のプレゼントを用意しておきました――。そう綴られた亡き妻の手紙だけを頼りに、ビアバー《香菜里屋》にやってきた神崎。マスター・工藤が語った、妻がプレゼントに込めた意味とは……。客から持ちかけられた謎の数々を解き明かす連作短編集の第2弾。(講談社文庫)

    淡々と話が進み、最後にはあ~そういうことね。
    短編集なのであっという間に種が明かされ軽く読める。
    残念なのは様々な料理が出てくるのだが、池波正太郎のように何と美味しそうなんだ~とまでは気持ちが入り込めなかった。文章で料理を描くって難しいのだろうが・・・。

  • 三軒茶屋の裏路地にあるビアバー「香菜里屋」シリーズ第二弾。

    前作にも増してマスターの作る創作料理がとてもおいしそうで、読んでいて舌鼓を打ちました。
    料理の音や匂いまでも精緻に再現されていて、五官をフルに刺激する表現力が素晴らしい。
    おなかがすいているときに読むもんじゃないですね~。

    連作短編集なのですが、前作よりも舌に残る苦さが印象的なお話ばかり。
    人間の嫌な部分を凝縮して見せつけられるので、読み進めるたびに胃もたれしていく気がしました。

    読みやすいのでさらさらと読んでいけるのですが、じわじわ露わになる人の悪意には恐怖をおぼえるほど。
    人と人との関係の中での容赦のないすれ違いが凄まじく、心を抉られました。

    表題作の「桜宵」も一見いい話ふうではありますが、よく考えると死者の置き土産はとんでもなく重く、その後の展開は推して知るべし、という感じです。

    (ラストに到着するのが目的なのかと思われる)ラストありきの強引な推理もあり、その辺がちょっとマイナス。
    でも人の心の機微を描かせたら一流だと思うし、推理以外の魅力もあるので読みごたえがありました。

  • 何度目かの再読。
    読む度に好きな話、心に残る箇所が変わる。
    だから何度でも読む。

  • 4+
    思い返せばブクログに読書記録を付けるようになって、そろそろ1年、その1冊目がシリーズ前作の「花の下にて春死なむ」だった。とても面白かったのだが、出てくる料理が皆うまそうで、食欲を異常に刺激するのに困らされた。だから続編を読む時はかなり覚悟が必要だなと思い、既に手元にあって読みたいけれど、まだ読めない、まだ今日じゃない、もうちょっと後から、腹が減っても困らない頃に、と先延ばしにし、その後のシリーズ3作を積みっぱなしに。気が付けばあれから200冊、もうそろそろ香菜里屋に行く頃合いか。

    案の定、読んでいると腹が減る。とにかく腹が減る。とてもおいしそうでよだれが出る。読書時間が主に夜なのでとても困る。よだれが出る。ビールが飲みたくなる。腹が減る。とても困る。挙げ句の果てに料理がしたくなる。ええい、もう何か作っちゃえ。で、食っちゃえ。もちろん話も面白い。

  • 北森鴻の連作ミステリ短篇集『桜宵 香菜里屋シリーズ2』を読みました。
    北森鴻の作品は、4月に読んだ『メイン・ディッシュ』以来なの約半年振りですね。

    -----story-------------
    今夜も《香菜里屋》で、ひとつ謎が明かされた。
    旨いビールに、しゃれた酒肴。
    そして何よりこの店には、事件を読み解く心がある。
    事件のきっかけは不意に訪れる。

    「桜宵」
    一度訪ねてみてください。わたしがあなたに贈る最後のプレゼントです。

    「犬のお告げ」
    《悪魔のリストランテ》と異名をとる、リストラ要員選びのホームパーティを開いているそうだ。

    「旅人の真実」
    あの金色のカクテルに固執するお客は、あれから来ましたか。

    「約束」
    たった一つの旅の思い出、それがこの店なんですよ。
    -----------------------

    2003年(平成15年)に刊行された作品…… 三軒茶屋の路地裏にあるビアバー《香菜里屋》のマスター・工藤哲也が、客が持ちかける相談事や謎を、解き明かす安楽椅子探偵もの、香菜里屋(かなりや)シリーズの第2作です。

     ■十五周年
     ■桜宵
     ■犬のお告げ
     ■旅人の真実
     ■約束
     ■解説 小梛治宣

    今夜もグラス片手に、謎解きに耳を傾けて…… 妻の死から一年、警察官の神崎守衛は、遺品の中から手紙を見つける、、、

    ビアバー《香菜里屋》のマスター工藤に託された、妻から夫への「最後のプレゼント」とは――。

    マスター工藤が振る舞う炊き込みご飯は、妻のそれと同じ味…… 感傷に浸るも、料理の名を聞き愕然とする――(表題作)。

    連作短篇の名手が紡ぐ、大人のミステリー!

    軽めで読みやすい連作短篇でしたね…… そんな5篇の中で特に印象に残ったのは、工藤の故郷・石巻の小料理屋・千石を舞台に描かれる『十五周年』と『約束』かな、、、

    『十五周年』は、タクシー運転手の日浦が、故郷・石巻の小料理屋・千石で起こった奇妙な15周年パーティーの真相、女将の目的を知る物語…… 日浦の過去と現在が交錯する構成が巧みで、人間の心の闇や嘘を描いた重厚な作品でした。

    『約束』は、工藤が、年末に《香菜里屋》を休んで故郷・花巻を訪れる物語…… 日浦夫婦の小料理屋・千石で働くことになった工藤は、10年ぶりに再会した恋人同士の不思議な関係に気付くのですが、幸福を分かち合うはずだった二人が別れたことにより歪んだ観念が生じるという展開が衝撃的な作品でした。

    それ以外では、タイトル作の『桜宵』が良かったかな、、、

    警察官の神崎が、亡き妻から残された手紙に導かれて《香菜里屋》を訪れる物語…… 妻が工藤に頼んで用意したプレゼントとは何なのか、神崎が知るときに胸が締め付けられるような感動がありましたねー 愛と罪と贖いをテーマにした感動的な作品でした。

    次も香菜里屋シリーズの作品を読んでみようかな。

  • 男女間で起こった謎、5話。一見ちょっと素敵な話だったのが、次の瞬間には全く別の様相を見せ、ビアバー・香菜里屋とマスターの工藤が醸し出す温かい雰囲気の中にヒヤッとした空気が生まれる。工藤の友人のバーマン・香月という気になる存在も登場。『十五周年』なぜ招待されたのか違和感のあるパーティーが実は…『桜宵』病死した妻が残した指示通り向かった香菜里屋で出された桜飯。妻の復讐なのか?『犬のお告げ』人事部長に招待されたホームパーティーで犬に噛まれると…『旅人の真実』恋人のために金色のカクテルを探し求めた男が殺害され…『約束』10年ぶりに再会した元恋人。あの頃のように一つの料理を分けあって…

  •  世田谷区・三軒茶屋のビアバー「香菜里屋」。客から持ちかけられた謎の数々をマスターの工藤哲也が解き明かす連作短編集の第2弾。「十五周年」「桜宵」「犬のお告げ」「旅人の真実」「約束」の5編を収載。
     たしか第1弾の『花の下にて春死なむ』も読んでます。が、本棚をいくら漁っても見当たらない。どうしたことか。観念して第2弾の本作から再読。短編の中に、ミステリーの、小説の旨味が凝縮された粒揃いの作品集。いやぁ、短編ミステリーって書くの相当大変でしょ。限られた長さの中に、謎や動機づけを入れ込まないといけませんし。登場人物の動向にも注意を払いつつ、起承転結を紡ぐハードルもある。しかも本作では、各短編の世界観がつながっていて、微妙に関連し合い、長編小説を読んだような読後感を味わえるんですから、なおさらです。さらに、「香菜里屋」で提供される絶品メニューの数々と、それを美味そうに堪能するお客の描写にこちらも思わず舌鼓。
     こんな短編ミステリー集には、なかなか出会えません。それだけに、2010年に著者が早世されたのが残念でなりません。隠れ家的な名店「香菜里屋」が実在したのなら、行きつけること請け合いです。

  • 一度たずねてみてください。わたしがあなたに贈る最後のプレゼントを用意しておきました――。そう綴られた亡き妻の手紙だけを頼りに、ビアバー《香菜里屋》にやってきた神崎。マスター・工藤が語った、妻がプレゼントに込めた意味とは……。客から持ちかけられた謎の数々を解き明かす連作短編集の第2弾。
    (2003年)
    — 目次 —
    十五周年
    桜宵
    犬のお告げ
    旅人の真実
    約束

  • いまいち

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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