文庫版 今昔続百鬼 雲 〈多々良先生行状記〉 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (770ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062754200

作品紹介・あらすじ

あなた――妖怪お好きですか?
私、大好きなんですよ

「あなた――妖怪お好きですか」。その男は真顔で尋ねる。これぞ多々良勝五郎(たたらかつごろう)大先生。人の迷惑顧みず、怪異求めて六十余州を西東。河童に噛み殺された男、物忌みの村を徘徊する怪人、絶対負けない賭博師、即身仏の神隠し……。センセイの行くところ、およそ信じがたい出来事ばかり待つ。して、その顛末は?

感想・レビュー・書評

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  • さすが我が道を行く妖怪研究家の多々良センセイ。

    沼上くんとのある意味ナイスコンビの珍道中はとにかく肩の力を抜いて楽しめた。

    噛み合わない会話も自分中心の世界も…イラッとクスッと、第三者的にはとても楽しめる人物だ。
    何かに熱くなれる、熱く語る人って、なんだかうらやましくもある。
    鋭い考察力を持つ二人のクッション的な存在の富美ちゃんが良かった。

    最終話はかなりのピンチにもかかわらず、笑いしか出ないのもこの多々良センセイのキャラの成せる技か。
    思いがけない人物の登場で最後はうれしさと共にピシっとひきしまった感じがして良かった。

  • 妖怪や伝説を求めて行き当たりばったりの珍道中、貧乏旅
    何もしてないのに事件に巻き込まれて
    何もせずに解決するという、すごい新しいミステリー
    とってもおもしろかった

    多々良センセイのキャラが強烈すぎて、
    大変な事件や状況に巻き込まれているにも関わらず
    大したことじゃないように感じてしまう不思議
    自由人すぎる多々良センセイに振り回される沼上さん
    でもその沼上さんも割と変人だと思います

    この2人の珍道中をもっと見てみたいです
    続編希望!

  • 高尚なギャグ?
    壮大な駄洒落?
    超馬鹿馬鹿しい話?
    ...うーん、どう評価したものか悩む笑

    戦後の日本、まだまだ貧しい時にも丸々と太り、妖怪と聞けば猪突猛進してしまう妖怪研究家の多々良勝五郎センセイと、センセイに振り回されっぱなしの気の毒な伝説蒐集家の沼上蓮次のお話。4話集録。

    この二人、本当に馬鹿なのである。フィールドワークが大事とばかりに妖怪、伝説の話を求めてあちこちに出かけるのだが、杜撰な計画ゆえに資金は尽き、食料は尽き、道にも迷い、やっとこさ目的の村に着いたかと思えばそこで殺人事件に巻き込まれ、あげくの果てに殺されかけ...ととにかく騒がしい。そんな大変な目に遭いながらも多々良センセイは妖怪の話ばかり...本当に馬鹿だなぁと思ってたら事件が解決しちゃうのである。え、何が起きたの? とぽかーんと読者も置いてけぼりに。あまりのしょーもなさに笑っていいのかどうか迷ってしまう笑

    しょーもないといったけどそれぞれの話は深く掘り下げているし、伝説や言い伝えに起きがちな言葉の変様、言葉の派生などはよく本質を捉えているなぁと感心する。鳥山石燕の「画図百鬼夜行」をもとに謎解きをしていく形になる。

    第1話 資産家の村人の相続問題と岸涯小僧がテーマ
    第2話 魔物除けを行う風習がある村と一つ目の妖怪泥田坊がテーマ
    第3話 廃村になりかけの村と博打と両手に目がついている手の目がテーマ
    第4話 即身仏信仰と古庫裏婆がテーマ

  • や、やっと読破出来たー!!!
    多々良先生クセが強過ぎるんだよ本当に!!!

    京極堂シリーズスピンオフ、読破2つ目は多々良先生と沼上君を主人公に据えたお話。
    いや多々良先生本編に出てきた時も登場シーンは少ないもののとにかくインパクト抜群だったのでこれはなかなかのキャラクターだなと思っていたのですが……これは想像以上だった……。

    まず短編という気がしない。
    4つの話が収録されている短編集のはずなのに最早長編を読んだかのような達成感(まぁこれは京極堂シリーズあるあるなのかもだけれど)。
    そして多々良先生のキャラクターが強すぎて何だかこう続けて読んでると胸焼けがしてくるというかお腹がいっぱいになってくるというか……。
    だってもう多々良先生本当にどうしてそれで生きていけるの!?今までどうやって生きてきたの!?!?と思わせるほどに凄いんだもの。
    確かに行動力は凄いしあれだけの知識を頭の中に入れているのは賢い人なんだろうなぁと思うけども、その反動のようにそれ以外の部分が駄目すぎるよ……沼上君の苦労が察して余りありすぎるよ。
    それだけに最後の話であの人が出てきた時に少しほっとしたのは彼なら多々良先生を上手く御せるだろうという信頼ですかね。

    ただ2人とも生命力は半端じゃなく強いな、と。
    悪運が強いとも言うのでしょうか、あれだけ毎回事件に首突っ込みまくって何やかんや無事に帰れてるなんてもうそれだけで凄すぎるでしょ。
    関口先生とかこの前の「僕」とかは本当に巻き込まれ体質だなぁと思いながら読んでいたけれど、多々良先生の場合は事件に巻き込まれたと言うよりも「自ら事件に猪突猛進して飛び込んで行った」がしっくりくるなぁと思いました。
    でもじゃあ榎木津タイプかと言われると榎木津とも違うんですよね……また違うパターンの面倒くささがあって……。
    とりあえずこの2人出会っても絶対に会話が成り立たないだろうなぁとは思ったけど。
    そしてこの2人と普通に会話する京極堂はなんなんだ……猛獣使いか何かなのか。

    あと沼上君。
    私本編で読んだ時に彼結構若いんだと勘違いしてたんだけど、思ったより年齢上だったんですね。
    何か学生みたいなイメージがあったんだけど……。

  • センセイと沼上さんのコンビがナントモ凸凹で興味がつきない。どちらかというと沼上さんに肩入れしそう。
    無茶な行動でそれなりに正しい方向に進んでしまうセンセイに翻弄される沼上さん・・・。話の本筋が面白いのはもちろん、二人の関係性も捨て置けません。

    個人的には最後の即身仏の話がなんとも。

  • 変わり者、本文の言葉を借りるなら、お馬鹿の妖怪珍道中。寸詰まりの菊池寛で笑ってしまった。馬鹿さ加減が突き抜け過ぎていて楽しく、民俗学的には興味深く、総じてとても面白く読めました。

  • 多々良先生、だいぶ破天荒ですね。好きです

  •  一年1京極夏彦で大体この著者の本で年を越す。
     京極堂が活躍する流れを本編とするとスピンオフに当たる作品。
     …ではあるが、軽妙なテンポは根本的に本編と異なる。
     あの時代の弥次喜多道中ってな感じで、妖怪研究のフィールドワークに日本中を見聞き回る。
     その過程でとんでもない事件に巻き込まれるのだが、妖怪バカの多々良センセイはどんな場所どんな時にも妖怪の謎究明のことしか考えていない。
     妖怪についての考察を述べまくる過程で、事件の方が勝手に解決してしまうという物凄いミステリ。
     ミステリとして凄いのです。

  • なんでこんなに面白いんだろうね……。京極先生の本、こってりラーメンチャーシューマシマシなのに気がつけば10杯食ってるみたいな謎の食べやすさがある。

  • 【2023年104冊目】
    全身妖怪研究家の多々良先生と、同じく妖怪馬鹿と言える沼上さんの珍道中4遍。冒険小説と謳ってますが珍道中小説の方があっている気がする。

    行く先々で事件に巻き込まれ、それを多々良先生が華麗に解決ーー!するわけではなく、なんやかんやの偶然が重なって真相が明らかになる建付け。

    多々良先生のおかしな言動には沼上さんが逐一ツッコミを入れてくれるので、テンポよく、面白おかしく読めます。最後にはお馴染み黒衣のあの人も出てきたので嬉しかったです。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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