新版 名探偵なんか怖くない (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062754590

作品紹介・あらすじ

三億円事件で殺人が!? 4大探偵の推理合戦! 「三億円事件を再現してお見せしよう」真犯人逮捕のために大富豪が入念に計画した推理ゲーム。クイーン、ポワロ、メグレ、明智といった往年の名探偵たちは抜群の能力を競い合う。だがクリスマス・イヴに予想もしなかった殺人事件が! 驚天動地のトリックが圧巻の西村ミステリー。綾辻行人氏との特別対談も収録。(講談社文庫)

感想・レビュー・書評

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  • 「西村京太郎」の長篇ミステリ作品『新版 名探偵なんか怖くない』を読みました。
    『新装版 天使の傷痕』、『殺しの双曲線』に続き、「西村京太郎」の作品です。

    -----story-------------
    三億円事件で殺人が!? 
    4大探偵の推理合戦! 
    「三億円事件を再現してお見せしよう」真犯人逮捕のために大富豪が入念に計画した推理ゲーム。
    「クイーン」、「ポワロ」、「メグレ」、「明智」といった往年の名探偵たちは抜群の能力を競い合う。
    だがクリスマス・イヴに予想もしなかった殺人事件が! 
    驚天動地のトリックが圧巻の西村ミステリー。
    「綾辻行人」氏との特別対談も収録。(講談社文庫)
    -----------------------

    1971年(昭和46年)に発表された作品… 既存のミステリ作家が創造した東西の名探偵が参集する趣向の「名探偵シリーズ」4部作の第1作にあたる作品です。

     ■名探偵たち
     ■奇妙な提案
     ■第二の三億円事件
     ■クリスマス・イヴ
     ■容疑者たちの会話
     ■行き詰り
     ■読者への挑戦
     ■終りよければ全てがいいか
     ■老いたる探偵からの手紙
     ■[対談]名探偵、トリック、そして本格ミステリー 西村京太郎 綾辻行人

    日本の老富豪「佐藤大造」は、アメリカの「エラリー・クイーン」、イギリスの「エルキュール・ポワロ」、フランスの「ジュール・メグレ」、そして「明智小五郎」を自費で呼び集め、世界に名だたる名探偵である彼らに、一つの挑戦をつきつける。それはあの3億円事件を実際に再現し、模倣犯の行動の軌跡を追うことで、本当の3億円事件の実態にも迫ってもらおうというものだった… 4人の名探偵はこれを承諾する、、、

    彼らの前で、「佐藤」の部下である「神崎五郎」が、この途方もない計画を進行する… 彼は、条件に合った、「村越克彦」という若者を見出し、「村越」は「佐藤」がお膳立てした計画のまま、「佐藤」が用意した3億円を奪う。

    マンションを購入し、自動車を購入する「村越」… だがそれは、4人の名探偵の推理した通りだった、、、

    次に「村越」は、モデル「金城ゆり子」のガールハントに成功するが、しかしそれも名探偵の推理通りだった… そして、計画にないはずの殺人事件が発生し、3億円のうち、残った2億5千万円ほども灰となってしまう。

    果たして殺人犯は誰か? 懐旧に浸る、老いた名探偵たちの推理は一度は外れるものの……。


    登場人物や物語の中で紹介されるエピソードが相当マニアックでしたね… 登場する4人の名探偵の活躍を知る本格ミステリファンには堪らない作品ですね、、、

    犯人の意外性も愉しめますが、老富豪「佐藤大造」の計略が明らかになるエンディングも印象的で良かったです… 読みやすい筆致だし、本格ミステリのマニアからビギナーまで幅広く愉しめる作品だと思いました。



    以下、主な登場人物です。

    「三島」
     本作前半での語り手的な人物。30歳。
     英語・仏語に堪能なミステリマニアで、1週間前に佐藤に秘書として雇われた。
     エラリー、メグレ、ポワロを個別に出迎えた。

    「佐藤 大造」
     複数の企業のトップの座にある富豪。62歳。体は壮健。
     3億円事件が未解決なのに業を煮やし、「一市民の立場から、同事件の解決を目指し、
     それゆえ事件の再現と名探偵4人の参集をお膳立てした」と語る人物。
     ニューシブヤマンション(物語後半の舞台)のオーナーでもあり、
     村越監視のため、5階を名探偵たちに提供した。

    「神崎 五郎」
     佐藤が指示を下す、この計画の進行役。
     3億円事件を再現させるため、暗躍する。

    「村越 克彦」
     再現される3億円事件の「犯人」役となる青年。徳島出身。

    「金城 ゆり子」
     沖縄出身の美人ファッションモデル。20歳。
     3億円強奪に成功した村越にハントされて、
     彼とニューシブヤマンション506号室で同棲を始める。
     佐藤の計画や村越の犯行についてはまったく知らない。

    「吉牟田 晋吉」
     物語中盤の殺人事件から登場し、語り手的な存在となる。
     渋谷署の刑事で、50歳ぐらいのベテラン刑事。
     『化人幻戯』事件の時に明智と知り合った。

    「坂西 栄一」
     井崎製紙の役員。
     ニューシブヤマンション605号室(6階)の住人で、
     同好のカメラ仲間2人とともに、自室でヌードの撮影会を楽しんでいた。


    <4人の名探偵>

    「エラリー・クイーン」
     アメリカを代表する名探偵。
     本作では1905年生まれであり、65歳となっているが、年齢より若々しい。
     身長180センチ以上で鼻眼鏡を使用している。ハードボイルド小説には批判的。

    「ジュール・メグレ」
     フランスを代表する名探偵だが、ベルギー人の血が混じっている。
     本作では警察を退職しており、最終階級は警部となっている。
     1932年に警察に入った。事件に当たる際は、メモを取る。
     身長180センチ、体重は80キロ以上。3人の外国人探偵の中では、一番の後輩に当たる。
     夫人同伴で来日したが、夫人は別行動で京都に向かった。

    「エルキュール・ポワロ」
     イギリスを代表する名探偵だが、ベルギー人。
     本作では「エルキュール・ポワロ」と表記される。
     3人の外国人探偵の中では、一番の先輩に当たる。
     メグレには一目で好感を持った。
     クイーンには批判的である(ただし、その頭脳や功績には敬意を払っている)。
     クイーンに限らず、「アメリカ人はすぐに口笛を吹くし、金を見せびらかす」と反感を持っている。
     マッチ棒で動物や魚の形を作るクセがある。

    「明智小五郎」
     日本を代表する名探偵。
     「人前に出なくなって久しい」と語られ、65歳になっている。
     しかし、その目の光は衰えていない。
     『化人幻戯』事件の後、妻の文代を亡くし、一線から身を引いた。
     七回忌も終わっている。

  • 翻訳モノを読んでるみたいだった。
    登場人物はもちろんだけども、言い回しとか推理の仕方とか、ちょっと見下す感じとか。3億円の事件の犯人を暴くべく、世界中の名探偵を集めた。
    犯人像に似ている人を見つけて、3億円を盗ませる、という何ともグローバルな感じの、よくわからない方法で犯人の行動を炙り出し、犯人を捕まえようとするモノ。
    小説だから出来る、豪華共演。老いは悲しいかもしれないって読んでいて思ってしまっていたけど、これ?っていう結末からもうひとつある結末のその先も海外ミステリみたいで楽しめた。
    結局どうなるかわからないところも、でもこうなるだろうなあって思えるところも好き。

  • すごい知識が無ければ書けないんだろうな。最後のどんでん返し読んでもピンとこないダメダメ読者笑

  • 三億円事件を解決するためという名目で、大富豪が計画した推理ゲームに呼ばれた名探偵たち。クイーン、ポワロ、メグレ、明智という錚々たるメンバーを前にして起こった殺人事件と、あまりに予想もしなかった三億円の行方。犯人は誰か、というのはもちろんですが。なぜこんなことをしたのか、が目からウロコなミステリです。
    名探偵の共演が豪華すぎる! 老齢に差し掛かっても推理力健在、さすがは名探偵。ミステリ好きには実に楽しい設定なのですが。あんな作品やこんな作品の真相がさらっとばらされてしまっているところがあるのは……いいのかしらこれ? ミステリファンならそれくらい読んでいて常識でしょ? ってことかな(ちなみに私はだいたい読んでいましたが)。
    犯人も動機も分かりそうで分からず、見抜けなかった騙された、だったのですが。さらに深層の真相が……うわあ、そういうことだったのか! そんな目論見があっただなんて。まさしく完敗。

  • 2+

  • ジュースへ誘導するトリックは無理があると思う。皆でコーラを飲む展開になるとは限らないわけだし。名探偵の過去作のネタばらしがあちこちにあるので、その部分は読み飛ばす必要がある。

  • 大富豪の佐藤大造は、かつての「三億円事件」を再現させて、エラリイ・クイーン、エルキュール・ポワロ、メグレ警部、明智小五郎に推理させるのですが、予期しない事態に発展します。

    他作家の探偵を拝借し代表作のネタバレするのはあまり感心しませんが、そのお陰でキャラの書き分けや、一旦解決させておいて三億円事件再現の裏に隠された真相を浮かび上がらせる誘導が効いています。「読者への挑戦」まで用意されており、ユニークながらも本格的な推理が楽しめます。
    尚、巻末の綾辻行人との対談も必読です。

  • 面白かったです。

  • 私が産まれる以前に刊行された作品ですが、古臭い感じが無く、とても読み易いです。꒰ ´͈ω`͈꒱
    名探偵たちをもっとよく知りたい!と思える、面白い作品です。

  • うーん…?
    こんな事件の誘いで名探偵がわざわざ集まるか…?
    と、思ってしまった私は読者として失格なのだろう。

    スーパーかっこよくいて欲しい名探偵たちが、あまりステキに描かれていないな…と感じてしまった。

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著者プロフィール

一九三〇(昭和五)年、東京生れ。鉄道ミステリ、トラベルミステリの立役者で、二〇二二年に亡くなるまで六〇〇冊以上の書籍が刊行されている。オール讀物推理小説新人賞、江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞など、数多くの賞を受賞。

「2022年 『十津川警部と七枚の切符』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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