クレヨン王国の十二か月 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062754606

感想・レビュー・書評

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  • こどもの頃、初めて読んだ青い鳥文庫がこの作品。
    なんだかんだでシリーズは半分近く持っているけれど、いちばん好きで何度も読んだのはやはり一冊目のこの作品。

    その完全版を古本屋さんで見つけ、
    「えー、こんなの出てたんだ!っていうか、青い鳥のはカットされてたんだ?!」
    と驚いて迷わずレジへ。
    その数日後、福永令三氏の訃報が…。
    すぐに読むつもりでそばに置いていたけれど、なんだかしんみりしてしまってなかなか開けなかったのをやっと読んだ。


    シルバー王妃の12個の悪い癖がなおるまで帰らないと家出してしまったゴールデン王様。
    一年以内にお城に戻らなければ、世界は色を失い滅びてしまう。
    12人(12色)のクレヨン大臣の相談を聞いてしまった人間の女の子ユカは王様を探す旅に出るシルバー王妃のお供をすることになる。

    シルバー王妃は12個の悪い癖を全く悪いとは思っておらず、反省するどころか反論する。
    「なんでもほしがるのは?」「フォードは自動車がほしいから自動車を作ったのよ」
    「お菓子しか食べないのは?」「ライオンだってリンゴは食べないわ」
    「意地っぱりなのは?」「自己主張が強いといってちょうだい」
    「うたがい深いのは?」「バカでない証拠」
    すべてこの調子。こども心にシルバー王妃の口の減らなさにあきれたものだ。

    12色がそれぞれ治めている12ヶ月の町を王様を探して旅するうちに、悪い癖のせいでトラブルに巻き込まれたり、人のフリ見て我がフリ・・・だったりで、少しずつ変わっていく王妃。
    こどものユカのほうがよほどしっかりしていて、大人の王妃が悪い癖をなおしていくのが、こどもの頃おもしろく感じた理由かもしれない。
    それぞれの町のイメージカラーでいっぱいの光景や歌われる歌などは、大人になった今読んでもとても楽しい。

    シルバー王妃の12の悪い癖は、自分にも身に覚えのあるものも少なくないのだけど、昔も今もまっっったく縁のないことがひとつ。
    「お化粧3時間」!


    読み終わってから積んでいる本の山に新刊で買った帯つきぴかぴかの同じ本を見つけた。
    見たとたん、買ったときの記憶がよみがえる。
    本屋さん新刊のコーナーでやはり「青い鳥のってカットされてたの?!完全版!これは買わなきゃー」と迷わずレジへ持って行ったんだった…。

    同じような経緯で重なって購入した本が入っている紙袋に古本屋さんで買ったほうを、そっと加えた。紙袋はそろそろいっぱいになる。
    これは、きっとこの先もなおらないわたしの悪い癖だなぁ……。
    (悪癖というよりトシのせい?というのは悲しくなるので考えずにいようっと)

    • 山本 あやさん
      クレヨン王国の十二か月

      九月猫さん、こんにちはー♡

      私もクレヨン王国読んでましたーー!!
      古い装丁バージョンも淡いクレヨンの世界で
      かわ...
      クレヨン王国の十二か月

      九月猫さん、こんにちはー♡

      私もクレヨン王国読んでましたーー!!
      古い装丁バージョンも淡いクレヨンの世界で
      かわいかったですよね~[*´▽`*]
      クレヨン王国の十二か月が大好きでした♡

      完全版ってファンにとってたまらないですよねっ。
      ほんとの完全版を原文で読むとなると大変だから
      なかなか難しいけど、日本語版でも童話シリーズも
      ちゃんと完全版で読みたいですよね~[*Ü*]

      クレヨンで絵を毎日描いてるので
      ますます読みたい熱がっ♡ステキなきっかけを
      九月猫さんにもらいましたーっ。
      私もぜひ少しずつまた揃えてみますーっ[*・ー・*]
      2013/03/16
    • 九月猫さん
      あやさん、こんにちはっ♪

      わぁ、あやさんも読んでたんですか『クレヨン王国』!
      そうそう!青い鳥文庫のほうの装丁もすごく
      ふんわりし...
      あやさん、こんにちはっ♪

      わぁ、あやさんも読んでたんですか『クレヨン王国』!
      そうそう!青い鳥文庫のほうの装丁もすごく
      ふんわりして可愛かったですよねぇ(*´∇`*)
      大人になってから買い足した作品は積んであるので
      堀り出して読みたいなー、持ってないのも揃えたいなーと思ってます♪

      完全版とか限定版とか・・・すっっごく弱いです(笑)
      お菓子でも「期間限定」って書いてると踊らされてる~と思いながらも
      つい買っちゃったり(;^_^A

      本当は原文で読めるといいんですけどねー、翻訳モノ。
      訳でぜんぜん雰囲気違ってきますものね。
      『星の王子さま』が版権切れでいろんな方の訳が出たときは
      たぶん全て買ったのですけど、
      『オズ』も完訳版や江國さんバージョンなんてあるんですね!
      そちらもチェックしなきゃっ。

      わたしのほうこそ、あやさんにステキな情報をいただいて、
      いろいろ読みたい熱があがりまくりですっ☆
      2013/03/16

  • 大晦日の夜に始まるファンタジー。
    主人公ユカのクレヨン王国を巡る物語。

    児童書向けのファンタジーは戒めや教訓めいたものが随所に含まれるが、時にド直球で人間臭さ満点なところがあるね。とても好ましい。

    想像するということの大切さ、尊さを感じさせてくれるのは大事ですね。

    世の子供達が、スマホだけでなく本を読むことを切に願っています。

  • なんで削ってしまったのかととても残念に思う。青い鳥文庫のものも十分に美しい世界だったがこちらの方がやはり色鮮やかに書かれているし、物語も力強い。初めて読む方は是非こちらを読んでもらいたい。

  • 児童文学のロングセラーである「クレヨン王国」シリーズの第一作で、出版にあたり原稿用紙100枚の分量が削られる前の初稿を文庫化したものです。

    12色のクレヨンをプレゼントされたユカという少女は、その夜クレヨンたちが動き出し、カメレオン総理からゴールデン国王の失踪という事件が告げられているシーンを目撃してしまいます。ゴールデン国王は、シルバー王女が12の悪い癖をあらためないかぎり城にはもどらないと宣言し、ゆくえをくらませてしまいました。国王が不在のままでは、世界は色をうしなってしまうといいます。ユカは、彼女の部屋に現われたシルバー王女とともに、王様のあとを追うことになります。

    わたくし自身は、原作の小説は読んだことがなく、アニメ版の『夢のクレヨン王国』しか知らなかったのですが、原作はアニメ版と大きくちがった内容だったので驚きました。シルバー王女もアニメのキャラクターで脳内再生されてしまうので、性格の齟齬にちょっと戸惑いながらも、子どもも大人も惹きつける作品の魅力にひたることができました。

  • 初読みの作家さん。小学生の頃読んだのかもしれないが記憶にない。昔、アニメをみて懐かしい!と思って手に取りました。十二か月をクレヨンの色に例えて、冒険するお話☆小学生だったら余計に楽しめたかも。個人的には好きです、こういう大人も読める童話って☆全巻揃えてみたいかもと思いましたがえらい冊数あるみたいでちょっと考え中f^_^;わがまま気ままなシルバー王妃がわりと好きです。

  • クレヨン王国シリーズは日本が誇る一大ファンタジーシリーズ。
    (個人的には佐藤さとるのコロボックルと他の追随を許さない双璧だと思う)
    小学生の頃から大好きで大好きで、大人になった今でも新刊を見かけるとつい買ってしまう私。
    (最も好きなのはやっぱり「月のたまご」)



    シリーズで最初に読んだのはやっぱりこれ。
    王妃の悪い癖を直してもらいたくて家出したゴールデン国王を追ってシルバー王妃とユカちゃんがクレヨン王国を旅する話。
    人形の町で出る料理に憧れてみたり、走り貝で海と空を交互に走る様子を思い浮かべてみたり。
    青い鳥文庫収録時削られた部分も復活して、大人が読んでもワクワクする文字通り色鮮やかな夢と冒険のつまった物語。
    約100枚の復活部分に「あ、ここ前はなかった!」とわかってしまう辺り、当時からものすごく読み込んでたんだなぁなんて。
    シルバー王妃はシリーズ通してのレギュラーだけど、この十二か月の旅の彼女がやっぱり一番魅力的!
    三木由記子さんの絵が画集を買ってしまうほど大好きだった私はイラストが違うのがちょっと寂しかったのだけれど、まえがきを読んでこの挿絵でなければならない理由があったのかと納得。



    文庫になって大人でも手に取りやすくなった今、もう一度クレヨン王国で冒険の旅をするのもいいのでは?
    1作だけと言わず、シリーズ全作文庫化希望!!

  • 小学生の時夢中で読んだクレヨン王国。こちらは一番有名なシリーズ第一作にあたるが未読であった。小さい頃って、本はぶ厚ければぶ厚いほどいいみたいな思想があって短いこれは選ばなかったんだよね。12の悪い癖を持つシルバー王妃と普通の少女ユカがゴールデン王を探して12カ月のクレヨン王国を旅する。名作ファンタジー。2013/359

  • 図書館で借りた。
    子供向け。

  • 今読むとさすがに古い。

  • 読み進めるほどに、猛省を促されるというか...この物語の根底をなすのは「人のふり見て我がふり直せ」なのでしょうが、過度に説教じみていないのでかえって目が開かれる思いです。これをただ、児童向け文学という括りで片付けてしまうのはもったいないですね。すっかり大人になったつもりでいた私には、ちょうど良いタイミングで出会えて良かった本でした。ところどころドライで綺麗事ばかりではないお話でしたが、ラストは涙があふれました。

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著者プロフィール

名古屋市生まれ。早稲田大学文学部国文科卒業後文筆活動に入る。1956年 オール読み物新人賞受賞。1963年 モービル児童文学賞受賞。1964年 『クレヨン王国の十二か月』で第5回講談社児童文学新人賞受賞。1968年から1988年まで、自然に親しむ心をもった児童を育てる目的で学習塾を開く。
2012年逝去。主な著書に『クレヨン王国』シリーズ47タイトル、『静かに冬の物語』(以上すべて講談社刊)などがある。2012年逝去。

「2016年 『クレヨン王国黒の銀行(新装版) クレヨン王国ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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