文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3062
レビュー : 244
  • Amazon.co.jp ・本 (1226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062754996

感想・レビュー・書評

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  • 恐縮ながら、シリーズもここまでくると京極堂の衒学的な演説も少々読み苦しくなってきたのは事実だし、また、他作に比べて割と早い段階から真相の予断が可能な作品ではあるが、それ以上に、これまでのシリーズの中でもっとも“感情を動かされた”ことが印象的だった一作。

    読み進めていくうちに、「ああ、そういうことなのかな」と段々と想像がついてきて、そして終幕は果たしてそのように展開していくんだけど、その最後の情景の途中で、なんだかとても物哀しく切ない気分になった。

    これまでの京極堂シリーズにも、悲哀、といった類のテーマは込められていたこともあったとは思うが、正直私はそれを剥き出しの心根で感じたことは、今までなかった。
    しかし今作に至って、作中人物のあまりの哀しさをリアルに読み取ってしまった、というのは、私の内面に変化が起こったからなのだろうか?

  • まあ榎さんと関さんが2人で旅してるだけで最高だから……

  • 相変わらずの千ページ超の大長編。ただ、今回は死生観や儒教、しっぺい太郎などのウンチク話が全体の大部分を占めていたり、やたらと改行の多いページが続いたりと、密度的なことでいえばちょっとボリュームあるかな?くらいの内容。

    そして本シリーズの真骨頂である憑き物落としが始まるまでが長い長い。全部で1200ページ近くあるのに、それが始まるのは1000ページを超えてから。ウンチク話が多少(個人的に)興味深かったので、何とかテンション落ち切らずに読み切りましたが、思い返すとストーリー的に起伏のない間は結構辛かったかもしれないです。

    だけどやっぱり憑き物落としが始まると、取り憑かれたように読みふけってしまう吸引力がありますな。おぼろげに犯人が誰かと想像できたとしても、その真相はいかに?といった部分で大いに楽しめました。

    まさにレンガなみの分厚さを読み切った達成感と、読了直前の憑き物落としによるアゲアゲテンション効果で、★の数が1つ2つ多くなってるかもしれませんが、現段階での正直な評価なんで…

  • 優しいお話で、哀しくも良かったです。
    榎さん関口くんコンビで少しいつもと違った雰囲気。
    ラストといいとにかく関口くんへの愛が深まった。

  • 死とはそれを認識できる生者の精神世界であって「人は生と重ね合わせることでしか死を認識できない。死後の世界は生きる者の中にしかないし、それは即ち生きること、生きたことに対する敬意」時間と経費を大いに費やし、多くの他人をも巻き込んで催す葬儀とて、死者のためと思い疑わぬものの、実際には生者が自らのためにするもので「人は、亡き人の生に対し篤き敬意を払うことで自らの生の尊厳を保証する」儒仏混合ともいうべきか、魂が依り付く位牌と、魄すなわち肉体が寄り付く墓の二つを別に祀る日本の簡易複葬の成り立ちなど、死生観を学ぶ。しかし、我が敬愛する榎木津よ、いくら体調が芳しくないとはいえ何たる体たらく。自分への依頼が明確でないとばかりに、存在価値を示さぬとは。京極堂曰く「この世には不思議なことなど何もないのです」否、君だけは不思議の権化でなくてはならん。

  • ミステリとしての意外性や衝撃はいつもよりかなり少ないかな。
    読者も読んでる最中に気付ける部分が多いと思います。
    でも京極堂の講義が自分の興味があるところどんぴしゃだったのと、関口が前回よりは行動的で元気になったかな…?という点がシリーズファンとして嬉しくて大満足です。

  • 2015年9月20日読了。
    2015年142冊目。

  • 儒教と仏教と死生観が至る所で論じられている。
    色々と目からうろこ。
    実は読むのは2回目だけども、ただ驚かされた1回目とは違う視点でじっくり読めて面白かった。

  •  読み始めた時は、絶対に伯爵が犯人じゃなく、何か複雑でややこしいトリックとかあるんだろう、と思っていた。何故かそういう気にさせられてしまう小説だった。この世に不思議なことがなくて、怪奇現象なんてものがないとするなら、真相はひどく簡単なはずなのに、そんなことはない、という固定観念のもとに読むからそういうことになるんだろうな。
     死の概念とか葬送儀礼に昔から興味があったので、それ系の話がふんだんに出てくるこの小説は相当に楽しめた。まさか横溝さん出てくるとは思わなかった!!
     塗仏の宴に比べて読み進めるスピードが早かったのは、塗仏の宴に比べて登場人物が少なくて、舞台も狭かったからだろうと思う。私は人が多すぎる小説は苦手らしい。

  • 悲しくて寂しいお話でした。生きるとはどういうことなのか、とても考える作品です。終盤は悲しくて涙が止まりませんでした。シリーズの中で一番好きです。

著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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