アフターダーク (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.16
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本棚登録 : 12382
レビュー : 1081
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062755191

作品紹介・あらすじ

時計の針が深夜零時を指すほんの少し前、都会にあるファミレスで熱心に本を読んでいる女性がいた。フード付きパーカにブルージーンズという姿の彼女のもとに、ひとりの男性が近づいて声をかける。そして、同じ時刻、ある視線が、もう一人の若い女性をとらえる-。新しい小説世界に向かう、村上春樹の長編。

感想・レビュー・書評

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  • 「真夜中には真夜中の時間の流れ方があるんだ」

    真夜中をテーマに村上春樹が綴る光と影の世界。
    光の二面性、光が当たれば必ず影ができるということについて、そもそも光が当たらない闇が影なのであって、影というのものは存在するのだろうか。
    おそらくエリとマリは表裏一体。真夜中というのは不思議なもので、光と影が反転する時間帯。すなわち影の方が動きを見せる、影がこの世界を支配する。
    朝を迎えるためにこのややこしい一夜があるのなら、そんな夜もいいかなと思える。

  • 登場人物を常に客観的にみる視野が存在する世界での進行。

    言葉遊びと言うか、語彙力と言うか、文章の運び方や言葉選びに面白さを感じた。

    スラスラ読めて面白かったが、難しい内容と言うこともまた事実

  • 2019/07/17

  • 秋の夜みたいに優しい小説だった。
    現実と幻想が入り混じっていて個人的にすごく好み。

    飲食店や曲名が具体的で現実に引き戻されるけど、なんだか現実にも起きそうな気がしてきて心地いい。

    一晩で全てが解決するわけではないけど、夜を繰り返すことによって少しずつ何かが変わっていくような気がする。

    眠れなくなった夜に読みたい。

  • 覗き見的視点

  • 光と影、表と裏。
    光の当たるものには必ず影がある、表には必ず裏がある。
    登場人物それぞれのエピソードがこの明暗を示していて頭から離れなくなる。
    深い夜の時間は影が生きている。ゴタゴタした一夜を過ごしたあとにもまた新しい朝が来る。毎日をこんな風に過ごすのは勘弁してほしい。でもたまには長い夜に考えを巡らせるのもいいのかなって思う、そんな本でした。

  • 10年ほど前に春樹の長編を集中的に読んで、唯一読み漏らしていたもの。
    2時間程度で読めた。
    wikiでは長編にカテゴライズされているが、春樹においては中編くらいと言いたいところ。
    春樹自身も肩慣らし、あるいは実験のつもりで書いたんじゃないかな。

    連想したのは、ロブ=グリエ、マルグリット・デュラス。
    そして、デヴィッド・リンチ、デヴィッド・クローネンバーグ。
    なぜって、1、カメラ・アイにこだわる手法はヌーヴォー・ロマンと共通するから。
    そして、2、暴力の質がリンチの唐突さ(とりわけ「ブルーベルベット」)やクローネンバーグのフェティッシュさに通じるからだ。

    カメラ・アイの効果としては、「僕」に限定しないことで別視点を同時進行できること。
    そして、眠り姫に対する窃視症的な文体……川上未映子が「村上さんの小説では氷の中に閉じ込められて眠る女性というイメージが頻発しますね」という指摘は、もっともだ。
    さらには、自分が知らないところで、ある人が誰かを見ている……視点を替えれば、他者が自分を見ているかもしれない、という感覚。

    ところであらすじだけ抜き出すと、マリと高橋の一夜のボーイミーツガールと読まれてしまう可能性もあるが、そういう筋の裏に、たっぷりと高橋の怪しさがが描きこまれているのが、また春樹のエグさだ。
    はっきりいって暴力の象徴そのものである白川は、高橋と同一人物なんだろう。
    同一人物で言いすぎなら、精神における双子。
    あるいは高橋が抑圧している(からこそ本人も無自覚)別人格が別人生を送っていたらという仮定の存在。
    白川が中国人娼婦に「わかりやすい」暴行を加えるのに対し、たぶん高橋はエリに「わかりにくい」暴力を加える……薬で朦朧としているエリを「アルファヴィル」に連れ込み、性交することで相手が決定的に損なわれるかもしれないと気づいていながらも「知的好奇心」ゆえに寝る=損ねる。
    さらにはそれを悪いことと自覚しているかどうかわからないまま、妹のマリにまで「知的好奇心」を抱き始める。
    無自覚の悪魔というか。誰もが悪になりうる・悪をなしうるというか。
    セックスが往々にして相手を損なうという感覚は「風の歌を聴け」にも散見されるし、「ノルウェイの森」は全編そのテーマと言えるし、「ねじまき鳥クロニクル」あたりでは性と国家のシステム的な暴力に注目を始めるし、やはり毎度同じテーマを視点をずらしながら掘り下げているという感じ。

    あと面白いなーと思ったのは、元女子プロレスラーのカオル。
    「海辺のカフカ」のトラックドライバー星野青年と同じく、無駄に知的じゃないし無駄にスノッブじゃないし無駄に示唆的な言葉を吐いたりしない、非春樹的人物。
    またコオロギという女性が使う関西弁が妙に偽物っぽくて、いい味になっている。
    こういう人物が「1Q84」や「騎士団長殺し」にも出てくれば、登場人物全員春樹の分身、というスノビズムから逃れられたんじゃないかなー。

    最後に。姉妹が抱き合って、という妹が姉に抱きついて眠っている、彼女らは家に護られている、という絵は、このうえなく甘美だ。

    「多崎つくる」と同じく、大絶賛はできないけれど、どこか引っかかる作品だ。

  • 久しぶりに本を読んだ。
    何を読めばいいかわからないけど人間味のある話が
    読みたくてとりあえず有名な村上春樹著者ので
    重たそうなアフターダークっていう
    題名が目についたから買ってみました。

    悲しい話だった、けど自分が一度は感じたことがある
    ようなことを上手く言葉にしてくれている感じで
    読みやすかったし、そうだな、そうかもしれないと思った。孤独でしんどくなったら読みたい本。

    ゆっくり歩いてたくさん水を飲むのだ。

  • またまた河合隼雄推薦の書
    眠る姉、夜更かしする妹。

    夜の行動や意識はまるで無意識の世界にいるような不確かさがある。(だいたいお酒呑んだ後だしね)

    ヨフカシのもとに巻き起こる色々。それに対処していくことによって世界とヨフカシの心に小さな変化がある。
    それと連動してネムルに襲いかかる「何か」からの脅威にも変化が、、、

    世界にはびこるあらゆる悪意に対処するとき、
    直接自ら手を下せないことばかり。
    それどころか、まったく認識すらできていない。

    だから、
    風の歌を聴いて、ゆっくり歩き、たくさん水を飲む、
    雪かきをする。

  • 夜、へんな時間まで起きていると、とりとめもなく考えこんだり、落ち込んだりすることがある。そして夜明けを迎えると具体的に解決したわけではないけれど、何か解決するような、新しいことが始まるような気がすることがある。そういったことを美しく書き込んだ小説に感じた。相変わらず人物は皆魅力的。そしてFive Spot After Darkは私も好きな曲

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。2019年8月7日発売の『文学界』でロングインタビュー「暗闇の中のランタンのように」掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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