プラネタリウムのふたご (講談社文庫)

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レビュー : 297
  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062755252

作品紹介・あらすじ

だまされる才覚がひとにないと、この世はかさっかさの世界になってしまう。-星の見えない村のプラネタリウムで拾われ、彗星にちなんで名付けられたふたご。ひとりは手品師に、ひとりは星の語り部になった。おのおのの運命に従い彼らが果たした役割とは?こころの救済と絶望を巧まず描いた長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • ふたごは、ひょんなきっかけから生きる道を別ち、それぞれ動と静ともいうべき、真逆の人生を送った。
    立つ舞台は遠く違えど、ふたりは星を通じて繋がっていて、それぞれが自分の役割ないし幸福を見つけた。

    タットルがテンペルのふりをして、罪の重さに耐えかねて憔悴した栓ぬきに「ぼくはね、水になるんだ」と秘密の話を持ちかけるシーンが本当に好きすぎる。ここに至るまで、残酷な描写もあったけど、いしいしんじさんの使い選ぶ言葉は絶対にそこで不快感を感じさせなくて、どこか神話のようで、きれいで。

    テンペルサイド・タットルサイドの人生が描かれている間、私はそれぞれサーカスの一員または観客・村人になったような感覚に陥った。「だまされる才覚がひとにないと、この世はかさっかさの世界になってしまう」って一節が本文の中にあるけれど、小説を読む行為もある意味、だまされることだなあと。映画とか、創作作品もそう。
    だます才覚とだまされる才覚、そしてお互いがその態度を受け入れ許し合う空気ってのには双方にやさしさやしあわせが内包されているんだなあとか思ったり。どっちの才覚も大事にしたいなあと思いました。
    とにかく何が言いたいかっていうと、大事な本になりました。また読み返したい。

  • フォロワーさんからオススメして頂いた、初いしいしんじさん。

    「でも、それ以上に大切なのは、それがほんものの星かどうかより、たったいま誰かが自分のとなりにいて、自分とおなじものを見て喜んでいると、こころから信じられることだ。そんな相手が、この世にいてくれるってことだよ」

    泣き男が言ったこの台詞が、この小説の一番ぐっとくる部分だと思う。

    幼い頃に双子が見たプラネタリウムの星空は、双子にとっての暖かくて大切な思い出で、道は違えどしっかりと受け継いで人に伝えていく。お父さんと双子とプラネタリウムと、それを取り巻く人間模様の、優しさで溢れるお話でした。

  • こころが絶望した時に読みたくなる本。
    本物とまがい物、だまされることと信じること、この世とあの世、そして生と死。
    その狭間で生きるヒントをくれる、温かくて哀しい物語です。

  • 人からおすすめされて。
    ひらいてすぐ、文調や世界観が児童書っぽくて、なんだか懐かしい気持ちになりました。
    話を読み終わって、この物語に一貫したなにがしかの「おもいをとげる」ものがあったか、というと、そういったものはとくにないように思います。この物語に明確なゴールはありません。ただ、ふたごに終止符が打たれたという、それだけ。
    テンペルは手品師に、タットルは郵便配達夫とそれからとうさんの仕事のプラネタリウムの解説員になって、別々の道を歩むことになります。
    外を巡る者と地元に残る者、舞台に立つ華々しい仕事と「まあまあ」な仕事。それぞれ正反対だけど、人をだましてしあわせにする点は一緒。
    ふたごは別々の道になってからというもの、出会う人も事柄も、知識や思想も違うものを手に入れ、それぞれ大切なものを失いました。けれどふたごの根本は変わらなかったなと思いました。
    ふたごはとうさんと星空が愛しくて、とてもやさしくて、いたずらがすき。
    いつだって、「六本目の指」でふたごはつながっていて、同じ星空を思っていたのだろうなと。
    わたしは、サーカスの動物たちが哀れで、いい子で、かわいいです。
    人間も動物も、ゆがんだ世界でゆがんだ自分として順応して、けれど芯には太いものをもって生きている。
    決して、ハッピーエンドではないけれど、星空の下で強く地面を踏みしめる感触を味わうような、少しさみしくて、あったかい気持ちになりました。
    また年を重ねたとき、読み返したいなと思う作品です。

  • 全体通して美しくて、涙がこぼれる場面もありました。一部の描写が少しグロテスクに感じたのが(動物の吐息の表現など)、世界観の美しさと対称的でショックで強く印象に残っています。
    読了感は、切なくて悲しいけれど爽やかなものでした。

  • もう大満足。
    胸ときめくのは、タットルや泣き男が解説するプラネタリウムにテンペルの手品&サーカス。
    そして、波乱の鉄道王のパーティーや、熊騒動、山の危機のシーンなどなど、
    今まで読んだいしいさんの作品の中で、一番ワクワク!

    それでいて今回も感じる、生きていくことの残酷さや哀しさ、切なさ。
    それらがからまりながら最後にはほわりとしたあたたかさを置いていってくれる。

    いしいさんの話は合う合わないがはっきり分かれるところだとは思うけれど
    ぜひ いろんな人に薦めてたくなった。

  • 幼い頃、母に読み聞かせてもらった絵本を思い出した。
    挿絵なんてひとつもないのに
    幸せも悲しみもバランス良く配合されている、キラキラした温かさは
    読み聞かせられた物語を反芻しながら眠りについた、あの頃を思い出す。

    騙される才覚。
    味気ない毎日に、彩りを添えるもの。
    わたしは、きちんと磨き上げることが出来ているだろうか。

  • 読み始めたのは数ヶ月前だけど笑、あいだにいろいろ挟みつつ読み終えましたー

    栓ぬきが登場してからは早かったなぁ

    一冊を通して、一貫して、複数の視点の複数の出来事から"だまされる才覚"について描かれてる

    (手品をみて、しっかり騙されて楽しめる?とか、そういうこと。フィクションを楽しむこと。それをあなたの真実にできるかということ)

    たしかになぁと思います
    そしてわたしはその才覚ありすぎるなぁと笑
    おかげさまで楽しすぎるぜー!

    あと泣き男が言った「どんなにつらい、悲しいはなしのなかにも、光の粒が、救いのかけらが、ほんのわずかにせよ含まれているものなんだよ。それをけして見のがしちゃならない。」ってゆう言葉を忘れないでいたいと

    • すぴかさん

      はじめまして。

      辻村深月さんの「名前探しの放課後」
      のレビューをだーっと拝見していたところ
      "だまされる才能"の言葉にぶち当...

      はじめまして。

      辻村深月さんの「名前探しの放課後」
      のレビューをだーっと拝見していたところ
      "だまされる才能"の言葉にぶち当たり
      この方プラネタリウム読んでらっしゃる!!
      と、わきゃーっと興奮してしまいました。

      泣き男のその言葉、素敵ですよね!
      プラネタリウムのふたごに出てくる人たちの言葉はどれもすごいキラキラしていて全部大切にしたいくらいです。


      辻村深月さんの作品は"だまされる才能"があるととっても楽しめますよね(*・∨・*)

      私にも素晴らしい"だまされる才能"があります。(鈍感…とは言わない。)

      プラネタリウムのふたごで教わって、その才能を良い意味でフル活用しております(笑)



      登録したばかりでコメントの使い方があっているかよくわからないのですが、こちらに残させて頂きます。


      長文失礼しました。

      2012/07/30
    • hrnr0さん
      すぴかさんコメントありがとうございますー*
      お返事すごく遅くなりましたすみません、いかんせんブクログ使いこなせていなくて……!
      でもこうして...
      すぴかさんコメントありがとうございますー*
      お返事すごく遅くなりましたすみません、いかんせんブクログ使いこなせていなくて……!
      でもこうして本の話ができるのとても嬉しいです!ブクログさん万歳!

      “だまされる才覚”って、印象的だし、すごい汎用性のある言葉ですよね!あらゆる場面で実感するというか……便利に使わせてもらってます笑
      はい!素敵な言葉がたくさんありましたね*

      辻村作品、ラストの畳み掛けるような種明かしは、だまされる才覚本領発揮で楽しいですよねー+*'・゜゚

      お話できて嬉しかったです、
      ありがとうございました!*
      2012/10/17
  • 童話のような小説。
    悲しいのに温かい。悲しいから温かい。
    そんなお話です。

    プラネタリウムに置き去りにされた銀色の髪の双子、テンペルとタットルの物語。
    父親となって二人を育てる解説員の泣き男。
    郵便配達の仕事、熊の棲む森、村にやってきた手品師の一座。
    少し不思議で静謐な雰囲気が漂う世界に徐々に慣れていくにつれて、物語も動き出していく。

    テンペルの身に起きること、タットルの身に起きること、それぞれがドラマチックで、でも大げさでなくて、自然とひきつけられてしまいます。
    常に頭上に広がる夜空の星々に見守られているような、静かなぬくもりが感じられる不思議な感覚。

    読み終わって心が洗われるような思いにひたってしまい、
    そんな自分を新鮮に感じた一冊。

  • (ジャケットとタイトルにひとめぼれ)

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著者プロフィール

一九六六年大阪生まれ。作家。 現在、京都のミシマ社の「きんじよ」に在住。お酒好き。魚好き。 蓄音機好き。二〇一二年『ある一日』で織田作之助賞、二〇一六年『悪声』で第四回河 合隼雄物語賞を受賞。『ぶらんこ乗り』『麦ふみクーツェ』『ポーの 話』『 海と山のピアノ』(以上 、新潮社)『みずうみ』(河出文庫)など著作多数。

「2018年 『きんじよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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