- Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062755320
作品紹介・あらすじ
奇妙な童話、異形の死体 御手洗シリーズ本格長編!
記憶に障害を持つ男エゴン・マッカートが書いた物語。そこには、蜜柑の樹の上の国、ネジ式の関節を持つ妖精、人工筋肉で羽ばたく飛行機などが描かれていた。御手洗潔がそのファンタジーを読んだ時、エゴンの過去と物語に隠された驚愕の真実が浮かびあがる! 圧倒的スケールと複合的な謎の傑作長編ミステリー。
感想・レビュー・書評
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個室にいるのに壮大なスケール!!
こんな小説が好き!!!( ♡Д♡)
御手洗潔シリーズ第19弾!
19(°д° )!!
シリーズは約30作程あるらしいので、桁が違いますね…。
さすがです。
記憶がなくなる障害を持つエゴン。
彼が書いた童話『タンジール蜜柑共和国への帰還』
童話は、足が車輪の熊や右腕のない少女、妖精などが大きな木に住んでいる世界の話。
奇妙な世界観の物語から、エゴンの記憶に纏わるヒントが隠されている。
御手洗潔が真相を推理する——。
御手洗潔の推理、とても丁寧だと感じました。(`•∀•´)✧
友人のハインリッヒと共に、順序立てて考察を繰り広げ、あらゆる国で起きた事件や事故と照らし合わせ推理していく。
知識量が半端ないです( °-° )
作中でもハインリッヒが言っていましたが、一室にいるのに、世界中を旅した気分になります。
エゴンの記憶の障害は、映画『メメント』を彷彿とさせる症状。
ふとした瞬間〜翌日には記憶は消えてしまいます。
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人生とは記憶そのものなのです。友人も知人もできなければ、それは人生とはいえない(本文より)
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御手洗潔がエゴンに言った言葉です。
本人に対してなかなか厳しい事言う(^▽^;)
小林泰三の作品にも、記憶に纏わるSFが多々あり、ミステリ仕立てになっています。
このような脳内壮大な作品、めちゃめちゃ好みです♡
実は、シリーズ『占星術殺人事件』『斜め屋敷の犯罪』の2作のみの読了で、中を17作分すっ飛ばして『ネジ式ザゼツキー』を読みました。笑
なので御手洗潔の印象がかなり変わっていて…。
当初「空気の読めない自由気ままな探偵」なイメージでした。
ですが今回、一気に(私の中で)成長した御手洗潔は『先生』と呼ばれていて、脳科学を研究しています。
そしてなぜかスウェーデンに住んでいます(^▽^;)ナニガアッタ?笑
ハインリッヒという相棒もいて……(だれ?笑)
『ネジ式ザゼツキー』を読んで御手洗潔のイメージは一転!
『ドグラ・マグラ』の正木博士になりましたヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
おかしい?全然違うか笑笑
飛ばして読んでも、多少の細かな部分以外、本筋には全然問題ありません。
後読みで追いつけば良いのです(`•∀•´)✧
(開き直り)
解説で「双子的関係」と紹介していた『異邦の騎士』も是非読んでみたい!!
御手洗潔シリーズも追うぞ〜ヽ(´▽`)ノ!!
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17年ぶりの再読。
面白い。作中の『タンジール蜜柑共和国への帰還』という小説はそれだけでファンタジー小説として読んでも面白い。
そのファンタジーとしか思えない小説が現実に起きたことを綴ったものだと解き明かしするくだりは読んでいて感心してしまった。
今回は石岡のポジションが研究者のハインリッヒだが、彼とのやり取りも微笑ましかった。
海外での御手洗さんのほうが日本でいるより感情の吐露が素直な気がする。海外の水が合うんだなぁと思う。
やっぱり御手洗さん、好きだなぁ。 -
よく練られたプロット!
いきなりの難題があのような形で着地するとは。
島田作品の特徴としてあげられる冒頭のありえない謎を
解決するというスタイルの中でも私はこの作品が一番のお気に入り。
人間の脳みそって不思議。 -
記憶喪失の男、奇妙な童話、怪奇の事件、全部を合わせて解決に導く。分厚い本でもサクッとあっという間に読めました。御手洗シリーズをほぼ読んだことがなくても繋がりなく読める。
トリックよりも、雲を掴むような童話から、特定の人と事件を結びつけた鮮やかさと、その事件の奇怪さの衝撃が強い作品。30年の年月とヨーロッパとアフリカとアジアを簡単に飛び越える発想のすごさで、読んでて面白かった。ネジ式ザゼツキーという題名がおどろおどろしくていいなぁー -
冒頭、横書きに面食らい、作中作に目を回し、語り手の分散に振り回されながら、それでも最後まで一息で読みきらす手腕は豪快。肉体損傷の描写は得意ではないので、薄目で読んだ。作中で言及している音楽を聴きたくなる作品は良作と相場が決まっている。