九十九十九 (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 858
レビュー : 108
  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062756242

感想・レビュー・書評

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  • 前話が次の話の中で作中作として消化されていく入れ子構造をとったとんでもなくメタメタな作品。
    一見すると意味の見えない行動、現象もその後の話の中で見立てとして回収され、意味のないものを全て消し去る勢いであらゆるものに意味付けがなされていく。
    作品内で自分が登場する小説を読まされる九十九十九は読者の視点を共有しながらも自身が虚構内の存在にすぎないためどっちつかずの宙ぶらりんな状態に放っておかれる。
    その不安定さをだんだんと九十九十九自身自覚していき、最終的にはその不安定な状態を積極的に肯定する形で作品は終わる。
    東浩紀の『ゲーム的リアリズムの誕生』で取り上げられていた通りの解釈だけに留まる作品とは思えないが、繰り返される物語と増殖するプレイヤー=九十九十九の部分は確かに一部分言い当てているように思える。
    最後の一文「その一瞬の永遠の中で、僕というアキレスは先を行く亀に追いつけない」がたまらなくかっこいい。

  • 元の探偵ものシリーズのトリビュートとのことですが、未読のままこちらを読んだ自分も問題なく楽しめました。
    (wikiの該当キャラの項目を先に読んでおいたほうが面白かったかも?)
    それを踏まえても、元小説のファンはこの内容で怒らなかったんだろうか?と心配になる^^;

    ●以下ネタバレ
    章の順番がめちゃくちゃなところからも、この小説がどういうものかがわかる訳ですが、色々時系列を気にして頭を回転させながら読んでも、ああ、そういうことなの・・・みたいなオチだから脱力すると同時にその疲労が全部悲しみに変わるストーリー構築なので再読する自信がまだ無い。

    つくもかわいそうすぎるやろ・・・

    ●以下ラストネタバレ
    ラストの「アキレスと亀」の引用は、時間をどんどん分割していくことによってはたからみたら永遠に静止しているように見える、ということを言っていると思う。
    つまりカーズ様よろしく「考えるのをやめた」のだから結局目覚めないんじゃ・・・という結論になってしまって悲しい。
    ていうか元々加藤さんちの地下室から出てないんじゃないかと思うんだけど・・セシルとセリカも本当はいないんじゃないかな。

    って考えると本当に悲しいのでちゃんと目覚めて現実と向き合う展開で終わってほしい訳ですがそうなるともう別の小説なので続かないんだろうなあ

  • 清涼院流水ってやっぱすごい。

  • あたまいたい りかいぶそくってか途中でほうきした

  • 2014年の1冊目。
    これまでに読んだことのないタイプの小説だったのでものすごい衝撃を受けました。
    面白いことは面白いのですが、粗筋が説明できない。それくらい難解。
    でも不思議な中毒性があるので、もう何回か読み直すかも…

  • 舞城王太郎の九十九十九は、やっぱり舞城王太郎の九十九十九でした。
    てか、加藤九十九十九って! 名字、別にあるのかよっ、みたいな。

    キャラも全然違うしね。

    あたしとしては、舞城王太郎の九十九十九の方が好きです。
    というのも、清涼院流水の九十九十九は、なんか人間味がない。
    で、それゆえにあまり魅力的とは思えないのだけど、舞城王太郎の九十九十九は、それとは違って、全然完璧でなく、悩んだり、迷ったり、困ったり、いろいろ「ふつー」だから。
    とはいえ、清涼院流水の九十九十九とは違う意味で、人間を逸脱している感は否めないけど(目玉の取り外しが出来たり…)。

    ストーリーの方は、ん〜…ぐちゃぐちゃ?
    九十九十九がいっぱい。
    舞城王太郎のこういうジャンルの本の書き方は、考える暇を与えないくせによく考えないとわかんない、っていう…。

    その複雑ぐあいは、もう、目次構成で一目瞭然です。
    1章→2章→3章→5章→4章→7章→6章。
    目次で章を入れ替えるって、初めて見た。
    びっくりです。
    単純に入れ替わってるだけだったら、まだ混乱しないけど、これは…この書き方は…そりゃ、何人もの人が「5章以降わからなかった」って言うわけだ…。
    興味がある人は直に読んでみて下さい。
    この複雑加減は、読まなきゃわからないのです。

    さて、長くなってきたので、最後に、この本の主題とはまったく関係ないところで一番おもしろかったとこ。
    それは、清涼院流水のJDCメンバー、それぞれの推理法に対する記述です。
    みんなそう思ってて、言わずにいたのに…みたいな。
    抜け駆けちっくです。
    …でもこれも、あたしがここで引用するより、直接読んだ方がおもしろいと思うので、JDCについて多少知っていて、興味がある方は、書店で流し読みでもしてください。

  • 一般論に「世界を変えたければまず自分が変わるべき」というのがありますね

    そりゃ、物事の順番として
    「まず自分が」というのがスジであろうと僕なんかも思う
    しかし、そうであるからといって、いったい誰が保証してくれるだろうか
    「自分が変われば世界も変わる」なんてことを?
    そうだ、自分を変えたからといって、それに合わすように
    世界のほうでもその形態を変えてくれるわけでは、必ずしも、ない
    特に、彼がこの世界における「異物」だったりなんかした場合にはね
    そして、世界の変わらないことを「自分の変わりかたが足りないからだ」
    「自分の変わりかたが間違っているからだ」
    などと思い詰めたあげく
    寛大さや誠実さや正直さなんかをかなぐり捨てて
    モンスターになっちゃったりする人も、まあ、いたりするわけだ

    そんなことになるぐらいなら、一生自分の殻にとじ込もって
    妄想の世界に生きたほうがマシかもしれない
    けれども、人は老いてゆくものであり
    老いは人を否応なしに凡庸な死へと追いやる
    だから、やっぱり
    アキレスは立ち止まることなく亀を追い越してゆくべきなんだ
    それがどんなに恐ろしいことでも
    後悔のないように、手遅れにならぬうちに

    平行世界モノに見せかけて、これは一種の夢オチであると思う
    主人公の「メタ探偵」ぶりは第一話から圧巻、なんだけど…

  • これはまた、あまりに難解で、何回読んでも(駄洒落じゃないよ)話の階層が把握できない、舞城ワールド全開の一冊でした。メタメタメタメタメタ構造、みたいな。第1話・第2話・第3話・第5話・第4話・第7話・第6話という目次の並びから、くらくらと眩暈。
    基本的には、各章が小説という形で次章の主人公=九十九十九に送られるっていうメタのマトリョーシカ的な構造になってるんだけど、章をまたいだタイムリープがあったり「創世記」と「ヨハネの黙示録」の見立てがメタ世界を繋いだり…と、まあとにかくなにがなにやら。
    でもカオス具合と世界観のでかさでは、『ディスコ探偵水曜日』が一枚上手かなあ。

  • ―――「苦しさを感じるなら、僕なんて愛さなくていいんだ」。
    聖書/『創世記』/『ヨハネの黙示録』の見立て連続殺人を主旋律に
    神/「清涼院流水」の喇叭が吹き荒れる舞台で踊りつづける
    超絶のメタ探偵・九十九十九の魂の旅が圧倒的文圧で語られる。


    舞城王太郎二作目若干表紙に惹かれたとこもあるけど
    ちなみに読み方は「つくもじゅうく」

    もうね、ハンパじゃない
    現実と小説と嘘と真実とメタが
    何層も何層も折り重なって
    読んでるうちに、脳みそを直接揺さぶられてる感覚をあじわえた

    でも エログロ含め、あらゆる意味で
    露骨な表現が多用されてるから
    そういうのに免疫というか耐性のない人にはオススメできない

  • 時系列めちゃくちゃだけど、一応どっかとどっかはつながってて整合性は保たれてる。

    嘘と気づけないならばそれは真実。
    ラストのゼノンのパラドックスの引用は渋い。
    まぁとにかく舞城氏は「書き出し」と「結び」がうますぎるので、どれだけ中身がぐちゃぐちゃしてても読めてしまうのが魅力かと。

  • 『苦しみがあるのなら、その愛情は諦めて、別の相手を探した方がいい。世界には他にも自分の愛情を注ぎたくなる人間がたくさんいる。』

    『知識には必ず限界がある。それはちゃんと知っておかないとね。自分が何でも知ってると思ったら、それこそ無知の表れ。』

    『誰かと争ってるからいろんなものが見えなくなるんだよ。意味もなく争うのは控えなさい。争うのは、その争いが誰かを育てるときだけ』

    『言いたい言葉を捜して選んで直して整えているのだ。』

    『頭がいいのとは違う。僕は知ってることと知らないことをちゃんと分けてるだけ。他の人の中には、知らないことも知ってるつもりになる人がいて、そういうに人が間違えたり勘違いしたりする』

    『どうしようもないことをどうにかしたいと思いすぎているのだ。』

    『解消された問題を、さらに解決しなきゃいけないことだってあるんだよ』

    『判んなかったら考えて欲しいの、私』
    『判んなかったら教えて欲しいよ僕は』

    『いろいろありがとう。お前が僕のためにやってくれたこと、たぶん僕は判ってる。全部判ってるかどうかは判んないけど、いろいろ判ってる。判んないところはこれから考えるよ』

    『愛してるよツトム。何があろうと。どんなことが起ころうと。あなたがどんなふうであっても。どんなことをしても』

  • 小説の中に小説が入り込む。意味がわからないのではない。"小説"における常識的な事が徹底的に覆されている。
    自分が出会った事の無い小説。

  • いつもの舞城作品と同じく、うねりにうねるドライブ感で600ページも一気に過ぎていく。
    この作品では小説内における登場人物の「自分」とは何かについて書かれているように思う。
    各章ごとにおいて主人公もその他の登場人物も違った役割を演じているし、それぞれの章が入れ子のようになっていて、彼らは死んではまた別の「自分」として生き返る。
    また、九十九十九そのものがほかの作家のキャラで、いわばこれは二次創作とも言える。
    そのような二次創作的な世界の中において、キャラクターはどのような役割を果たすのか、どのようにして境界線を越えて広がる小説内を生きるのか、そのことについて追及されているのではと思ったりもした。

  • 清涼院流水の流れで読んではみたものの
    舞城のすごさに圧倒された感がある。
    流水とはまったく違う。
    しかし、これはこれでありだわなあ・・・

  • わっけわかんない
    と思いつつもページをめくる手が止まらない
    純文学だけが文学だ!って人には受け入れられないだろうけど、こういうのもアリだと思う

  • ズルイ、グロイ、面白い。

    さすが舞城作品だな、と思ってしまいます。
    第一話から第二話にいくのには抵抗がありますが、なれてしまえばどんどん引き込まれてしまいます。

  • 物凄かった。舞城王太郎何者やねん。話の複雑さとか、気持ち悪さとか、頭を切り開いて解析したくなるようなクオリティだった(笑)
    複線と、駄洒落、アナグラムを駆使した謎解きが全編通して張り巡らされていて、かなり丁寧に読まないとついていけないと思う。大筋は、1話目の物語は2話の主人公の元に送られてきた小説の内容で、その小説は2話の主人公のことを書いてあるのだが、真実の部分と嘘の部分があり・・・って感じの繰り返しで話が進む。つくづく、こんなものよく書けるなーと思うわ。しかも?話目の主人公が、別の話にワープしたりとかもする。流石に手に余ったか着地点は曖昧な気もしたけど、かなりの衝撃作だった。
    衝撃といえば、見ただけで気絶する九十九十九の美しさの、ある一つの真相。これもショッキングでした。
    個人的にあんま好きじゃない性行為の描写はたくさんあり、中でもブ○○ンセ○クスのくだりは読むだけで苦痛だった。そういう難解性、悪趣味性に加え、清涼院流水の原作に対する冒涜ととらえられる可能性もある点で、読者を選びまくる作品だと思う。これは間違っても人に勧められん(笑)

  • 読み切ったところで、電車に置いてきた。
    ある意味思い出深い。

  •  個人的に好きなタイプでもないけれど、この世界観には圧倒された。
     主人公があまりにも美しくて目を見ると誰もが失神してしまうという名探偵。そんな解りやすい設定ながら、入れ子のような展開と心情描写の手法には舌を巻く。

  • 9月9日購入。9月14日読了。
    全7話構成であるが、それは「聖書」の「黙示録」「創世記」における「7つの封印」に基づく構成のされ方である。さらに第7話→第6話→第5話・・・第1話という作中作構造になっている。作中で、それは、前回の話が<清涼院流水>の小説として存在するという形で表現される。読み終えてみて、正直著者舞城氏の意図するものを正確に理解できたかというと、ノーである。しかしまあ彼が一番重視しているのはおそらくこの「メタ探偵」という装置を使っての従来の小説の構造の破壊、再構築という部分であろうから、このいわゆる舞城ワールドを体感できたというだけで僕は満足であった。相変わらずトリッキーな舞城氏であるが、その氏もどうやら清涼院流水作品に影響を受けているらしい。「コズミック」「ジョーカー」あたり、読んでみたい。

  • こんな人に薦められない小説ないなあと。

    小説読んでると、空気を掴むような話でさっぱり意味わかんないとかよくあるじゃないですか!
    でもこれはそんなんじゃなくて普通に話が難しすぎてよくわからない。1話の内容は実は二話の主人公のもとに届いた小説の内容で、実際その二話の主人公(1話の主人公と同一人物)が体験した過去とリンクしてるんだけど、そこには嘘と真実が混在しててどれが実際に起こったことかわからないです。で、その二話の内容も三話の主人公の元に届いた小説で…という風になっています。それぞれの話で創世記やヨハネの黙示録に見立てた殺人事件が起きるんだけどそれも嘘だったりホントだったり、そもそも見立てても元ネタ知らないからそれもよくわからない。それぞれの話で共通の人物(主人公の弟とか)も出てくるけど、それぞれの話で言ってること違うからどれが真実かもわからず。

    話自体はよく分からないだけど、そもそもこの話はその難しい構造を分からせようとしているんじゃない気がします。ただ遊びたかったんじゃないかと。
    実際に言いたいことはやっぱきっとそんで愛で、恋人に対する愛だとか、自分の子供に対する愛だとか、兄弟に対する愛だとか、育ての親に対する愛だとかそんなんな気がします。グロかったらりエロかったりするんだけど愛がにじみ出てるのです。それがまた心地よいです。

  • この人の本の大半には『分かりにくい』『えぐい』が当てはまりますが、これはまさにそれでしょう笑

    いやぁ〜舞城作品の中でも極めて分かりにくい!!!笑

    3回くらい読まないと理解できないかも。。

    でも嫌いじゃないよ、舞城作品のテンポは何故か好き

  • 舞城ワールド全開です。<br>
    世界と見立てと成長の物語。

  • 何がどうなってんだか、順序がどんどんわからなくなる。だけど、どんどん読んでしまう。こんなぶっ飛んだ話書けるのは舞城王太郎だけだと思う。

  • 面白いけど、進むにつれて混乱。
    何回か前に戻って確認してしまった。

著者プロフィール

1973年、福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞しデビュー。03年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『淵の王』『深夜百太郎』『私はあなたの瞳の林檎』など著書多数。12年には『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦著)の25周年に際して『JORGE JOESTAR』を刊行。近年は小説に留まらず、『バイオーグ・トリニティ』(漫画・大暮維人)の原作、『月夜のグルメ』(漫画・奥西チエ)の原案、トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』の翻訳ほか、短編映画『BREAK』や長編アニメ『龍の歯医者』の脚本、短編アニメ『ハンマーヘッド』の原案、脚本、監督などをつとめている。

「2018年 『されど私の可愛い檸檬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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