おおげさがきらい (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 84
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062756365

作品紹介・あらすじ

初文庫化エッセイ集1
懐かしい友、思い出の街。生き生きと描かれる人生の感動

苦労をしても殊更にそれを言わず、何事にもおおげさを嫌った母。その母の考えで小学校(旧制)を卒業後、すぐ兜町で株の仕事を始めた。そこで覚えた人生の色々は、その後の作家生活に役立つことになるが(「『ろくでなし』の詩と真実」)。他、鹿児島・伊豆・長崎旅行のことなどを描いた随筆46編を収録。初文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 時代とその当時の作者の年齢のせいか、時代の雰囲気も作者の書き振りもみな全体的におおらか。

    晩年から最晩年にかけて書かれた『銀座日記』と比べると俗世への嫌気もまだそこまで出てこない(鬼平がヒットする前で大御所でなかったのもあるだろうが)

    こんな時代の日本(東京)なら1日くらい体験してみたい気がした

  • 何回めに読んでるのか、どこまで読んだか、いつも曖昧のままにぱらぱらと読み進めても、どこから読んでも面白い

    ひとつの時代、ひとりのひとの人となりを知ることの豊かさと

    これを読むと、あぁ人が生きてるって愛おしい
    今の時代だって私は大好きだ、という気持ちになりました。

  • 「気がすむまで遊んでいていいよ。こんな世の中になっちまったのじゃア、何をしていいか、ふんぎりもつくまい」。終戦後復員した著者がぶらぶら遊んでいると母が200円をくれたという。離婚して、大学の購買部で働きながら、暮らしを支えていた母。この著者のエッセイには、この母が所々に出てくる。

    映画館で隣の若い女がくちゃくちゃとガムを噛む。「「よろこび」も「悲しみ」も、今の時代に於いては、すべて自分人地のものとなったのであろうか」「封建的だと言われた時代に他人の自由を尊重する意思が若者たちの間にあって、自由主義を謳歌する現代に、この人間のわがままがのし歩いている」とある。

    「肉体の力が衰えることは悲しいが、よく考えてみると、日々のあけくれを味わうことについては、二十台、三十台の時よりも、グッと興味も深められている」

  • 鬼平シリーズの合間に読むと、池波先生の日記を盗み読みしたような気分に。

  • 池波正太郎のエッセイは数多く読んだが、まだあったのか、という思いで手にした。解説には未収録のエッセイが250数編あるという。これからも刊行されるのであろう。本書では37・8歳前後のものだ。若いがしぶい。晩年のしぶさはすでにあった。年のころが今の自分と変わらない。こういうしっかりしたというか地に足がついたものの見方・考え方をしてるのだろうかと振り返りつつ、ページをめくった。

  • エッセイ。初文庫化らしいですが、まだ読破できてません。

  • 池波正太郎氏のエッセイの中で、未収録だったものを集めたシリーズ、なのだそうだ。この本は昭和30年代に書かれたエッセイを主に収められている。
    …物価なんかはかなり違うし、登場してくる芸能人(ちょうど芝居の脚本やなんかを書いていた時代らしいので、舞台や映画などの俳優の名前がたびたび出てくる)も今では「お元気なのかしら?」っていう人が多いのだけれど。私の親の世代が読むと懐かしく思うのだろうなぁ。

  • 病棟の談話室に残されていた一冊
    森茉莉の読みづらいエッセイを読み終わった直後だったので、その文書力の違いと読みやすさに安堵
    30〜40代にかけて書かれたそれは、「男の作法」などのエッセイとは異なる若々しさが漂っていて一気読みしてしまえた

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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