源氏物語 巻二 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062756495

作品紹介・あらすじ

現代語で読める、華麗なる王朝絵巻「瀬戸内源氏」。巻二では、最愛の女・藤壷の宮への許されぬ、しかし消すことのできない恋と、不義の皇子の誕生、年上の愛人・六条の御息所の生霊による正妻・葵の上の死、朧月夜との危険な情事…。語り継がれる場面とドラマが次々と展開。

感想・レビュー・書評

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  • 源氏物語初心者の私にとって、瀬戸内寂聴さんの『源氏のしおり』は、とても興味深い上に面白くて好きで、今回は、「恋愛の手順」。

    なんでも平安時代の姫君にアタックするには、まず、その周りを固めている女房たちをなんとかしなければいけないのだが、それ以前に、顔や姿をみだりに見せてはならないので、男たちは、女房たちの口コミだけを頼りに、どうしようかなと考えなければならないのは、なんとも悩ましく、姫君の立場からしたら、私はこの人が良いですといった自己主張が出来ないそうで、「なんで?」とは思ったが(少年愛は当たり前だったのに)、これは、政略結婚の意味合いが最も強かったからだと言われれば、どうしようもない。

    しかし、それでも強かな女性のこと、もしかしたら、そんな仕組みに於いても、それぞれに見合った幸せを掴んだのかもしれないし、反対に、とんでもない悲劇に見舞われたのだろうと思うと、社会制度がもたらした、人生の限界のようなものを窺わせて、私からしたら、なんとももどかしい思いに駆られてしまう。

    ちなみに、当時の「結婚」のシステムも興味深く、男と女が結ばれた翌朝、男はまだ暗い内に姿を見られないように帰り(後朝の別れ)、家に着いたら、すぐさま手紙を書いて届けるのが礼儀であり(後朝の文)、その後三日間は必ず欠かさず通わないと、女は、男に気に入られなかったのだと、屈辱を受け、悶死するほどプライドを傷つけられるとのこと。

    しかし、当時の一夫多妻制度に、これは男女それぞれにとって辛いのではと思い、もしも、複数の妻を持ちたいのであれば、少なくとも三日間は逢瀬を重ねた妻以外の妻たちがやり切れない思いをするということになるのだろうし、男は男で、どんな間隔で展開するのかは分からないが、妻が増えれば増えるほど、それぞれに等しい愛を注がなければならない訳であって、だから、一人でいいんだってばと、私は思うのですがね。でも、その時代に生きていればそうした考え方に囚われるのだろうか?

    そして、それを光源氏に照らし合わせてみると、「○の上」とのそれが本文からは分かりづらいけど、一応、一夫多妻には、まだなっていないのかな。
    そもそも、あっちこっちと、まめな割には、三日間通い続けていない気がするし(そんなことない?)、要するに遊びまくっているということか。

    巻一では、17才までの源氏の人生を描いていたが、巻二では、18才から25才までになる。
    しかも、当時の年齢は、今よりも大人びた概念であったから、さすがにちょっとは落ち着きを見せるでしょうね。もう本当にお願いしますよ。


    「末摘花(すえつむばな)」
    一度関わりを持ったら、どんな女もすっかり忘れてしまうことが、お出来にならない御性分の、源氏が、次にご興味を示したのは、「常陸の宮の姫君」で、どうしましょう。増える一方でございますね。
    ところが、この姫君のあまりに恥ずかしがる性格が災いしたのか、全く手応えが無かったことに、源氏が、殊の外がっかりした様子に、これまでとは異なる意外性があったものの、最終的に、ああいう終わり方になったのは、自分から興味を持っておいて、酷い奴だなとは思ったが、紫式部がこうしたストーリーも書けるといった意味合いに納得するものもあったし、今後、再登場するようなので、その時の彼女を是非楽しみにしたい。

    「紅葉賀(もみじのが)」
    陰での遊びとは裏腹に、「青海波」の舞のあまりの素晴らしさに、人々は源氏の前世を知りたかったそうだが、私には、おそらくピュアな心を持った好色魔という、至極厄介な存在だったのではないかと勘ぐってしまう中、ついに、「藤壺の宮」が・・・。
    そして、それに喜ぶ帝の様子に、彼はいったい何を思っていたのだろうか? しかも、彼なんか物ともしないくらいの、想像出来ない狂おしさを抱えているのは藤壺の宮自身であり、これ以降の彼女の誰にも言えない、その思いの葛藤は、とても胸に迫るものがあったが、それは、このような物語の展開をしてみせる、紫式部の凄さでもあるというところに、平安時代の小説の完成度の高さを気付かされて、あくまでフィクションとして楽しむには良いのだろうけど、そんな最中に、源氏はたいそう年をとった典侍(ないしのすけ)の女と一夜を共にするのが、また私には理解できず、しかも、彼の知らないところで、彼の友人「頭の中将」も彼女と会っていた中、ついに頭の中将が源氏のその逢瀬の中に侵入し、悔い改めさせるのかと思ったら、何故か、お互いの服を脱がせようとして、服がビリビリになってしまうという・・・怪しい関係だと思う以前に、平安時代にこういう嗜好を取り入れているのが、私にはなんだか新鮮だった。

    「花宴(はなのえん)」
    藤壺の中宮の入内によって、更に会うことが叶わなくなった源氏は、それでも諦めきれずに訪ねるが、閉まっていたので、弘徽殿の細殿に行ったら、そこで遭遇した、謎の女性といきなり・・・もう、末期症状ですか、あなたは。どうしちゃったの、一体?
    そして彼は、その女性の素姓をどうしても知りたくなり、その後、酔った振りをして(こういうところは頭が働くんだよね)、再度訪れた時にそれは判明したものの、これが後にとんでもない展開になるとは、この時の彼は予想もしなかったでしょうね。

    「葵(あおい)」
    以前から、源氏と、ちょくちょく逢瀬を重ねていた「六条の御息所」であったが、彼女の姫君が、伊勢の斎宮に決まったことをきっかけに、このまま中途半端な関係が続くのならば、いっその事、共に伊勢に下ってしまおうかと考える中、「弘徽殿の大后」の娘、「女三の宮」の賀茂の祭見物に、源氏が御奉仕なさることを知ると、それを見に行きたくなってしまう、この女の性に心惹かれる中、源氏の正妻である、「葵の上」も身籠もった体ではあるが、それを見に行った偶然が災いしたことで、六条の御息所はプライドをズタズタにされ傷ついてしまうのだが、私からしたら、こんな子供じみた事が平安の世でも起こるのだなといった驚きがあり、それは祭の熱狂した雰囲気がそうさせただけなのかもしれないが、結局は、これが伏線となり、この後に衝撃的な展開が訪れる訳だが・・・これで二度目ですかね、こうしたスピリチュアルな要素は。しかし、こうやって当たり前のように提示されると、強ち、当時の人達の中では信じられていたのだろうと思うし、また、その描写が生々しくてリアルですよね。しかも、その中に女の情念や無念さや切なさが込められていると思うと、決して怖いとは思わず、却って、泣けるものがあるし、結果、葵の上がああなってしまったのを見ると、「なんでこういうことするんだろうね?」って、これは源氏に対しての疑問です。
    それから、「西の対の姫君」にしたこともね。

    「賢木(さかき)」
    桐壷院の崩御で、弘徽殿の大后が幅を利かせるようになり、源氏への圧が強まる中、いよいよ藤壺の中宮の精神状態が限界を迎えるが、そこでの必死な思いと葛藤の中で導き出した、彼女の決断は、当時の情勢からしたら衝撃的なことだと思い、ここでの彼女の気持ちとしては、当然、東宮のことが最優先されるだろうとは思われるのだが、私にはそれだけでは無い点に、とても痛々しく胸を裂かれるような苦しみがあるのだろうと感じる中での、この歌は、とても感動的に私の目には映るのであった。

    『ありし世のなごりだになき浦島に
          立ち寄る波のめづらしきかな』

    (昔の頃の名残さえ
    とどめていない
    わびしいわたしの住居に
    立ち寄ってくれる
    人があるのが珍しい)

    「花散里(はなちるさと)」
    ここで初登場する、麗景殿の女御の娘、「花散里(三の君)」は、実は以前から逢瀬を持たれていたとのことで、それには思わず、ナレーターの女房も、

    『どんな女に対してもお心の休まる暇がなくてご苦労なことです』

    と素敵な皮肉を仰られる程の、諦めっぷりを発揮しており・・・って、結局この八年間、あんた何やってたの? はぁーっ(-_-;)


    「賢木」の中では触れなかったが、そこでの、あるしくじりによって、いよいよ弘徽殿の大后からの攻撃が本格的になると予想される、光源氏。

    さて、巻三では、どんな展開が待っているのでしょうね。というか、いっその事、思いきり攻撃されまくった方がいいんじゃないのと思ってしまう私。

    • たださん
      akikobbさん

      ナレーターの女房、私には、「家政婦は見た」の、いけない秘密を覗き見しているような感覚が面白くて、しかも、それを上品に仰...
      akikobbさん

      ナレーターの女房、私には、「家政婦は見た」の、いけない秘密を覗き見しているような感覚が面白くて、しかも、それを上品に仰られるので、より物語の中に入り込める感があり、なんだか、この女房の人生観も気になってきましたよ。

      ええ、よろしかったら是非。
      akikobbさんのレビュー、楽しみにしております(^^)
      2023/08/05
    • Macomi55さん
      たださん
      第二巻ですね。
      源氏は恋愛ゲームが大好きなんですね。
      末摘花なんて、ただ恥ずかしがっていただけなのに、それが「簡単に思い通りになら...
      たださん
      第二巻ですね。
      源氏は恋愛ゲームが大好きなんですね。
      末摘花なんて、ただ恥ずかしがっていただけなのに、それが「簡単に思い通りにならない女」と源氏に勘違いさせて、そのことこそが源氏を燃え上がらせたのですね。
      どんな綺麗な人でも葵の上みたいに苦労せずに手に入れられた女性には燃えられないんですね。
      なのに、死の間際になって、それが「艶めかしい」とか、ほんとにもう(T-T)。
      あと、一夫多妻制の話ですが、源氏クラスの遊んで暮らせるような階級の人たちだけだったのではないだろうか?私らクラスの一般庶民なんて一夫一妻が限度だったんじゃないだろうか?それが文献としてあまり残ってないだけなのではないの?と思うのですが、どうでしょうね?
      2023/08/05
    • たださん
      まこみさん
      コメントありがとうございます(^^)

      今回、一読では勘違いしていた点があったので、再読したら、改めて、ストーリーテリングの素晴...
      まこみさん
      コメントありがとうございます(^^)

      今回、一読では勘違いしていた点があったので、再読したら、改めて、ストーリーテリングの素晴らしさは感じましたが、源氏の心理状態は、平安時代のそれとはいえ、凄いですね。
      恋愛ゲーム・・・もう私には、理解できないことばかりで、困ってしまいました(^^;)

      そうですね!
      葵の上は確かに政略結婚だったから、それで源氏はあんなに無気力だったのですね、なるほど。もう、あの場面になったら、さすがの葵の上も、やっと優しい笑顔になりましたが、なんだかやるせないですね。

      一夫多妻制、そうかもしれませんよね。調べてみると、平安時代でも、一夫一婦制とか書かれていたりもしますが、この辺は、確かに文献が無いから、本書のような物語から考察したりもするのでしょうね。一般庶民の暮らしでは辛いのもそうだし、そもそも、そんな余裕はないんじゃないかと思いますし、一夫多妻制度は、どう考えても悲劇が生まれそうで、私だったら絶対に嫌ですね。独身の私が、さも分かったように語るのもなんですがね。
      2023/08/05
  • 面白くなってきましたね。
    この巻では大きな“別れ”が四つもあります。
    まずは正妻の葵の上。
    源氏との子を出産の時に、六条御息所の生霊に苦しめられて亡くなってしまいます。源氏は今まで葵の上に対してつれなかったくせに、亡くなる間際になって「いつものように強気でない自然な姿が艶めかしい」だとか思い、亡くなった後は本当に落ち込みます。そして、葵の親元の左大臣家の人々は「これで源氏と縁が切れてしまった」と言って嘆きます。
    次に六条御息所です。御息所は源氏より少し年上の聡明で趣味のいい女性でしたが、気位の高さや嫉妬深さなどが次第に源氏をとおざけてしまいます。そして、源氏の若い恋人や正妻に対して生霊を出してしまうほどの嫉妬をいだき、そんな自分が嫌になって、斎宮となった娘と共に伊勢にくだります。その御息所と最後にお別れのをするときも、本当に悲しくしっとりとした場面でした。「今までほっておいたくせに、調子のいいヤツ!」とこんなときこんな人に対して思いますが、源氏は“悲しいふり”をしているわけではなく、本当に心から残念に思っているのです。
    葵の上にしても、六条御息所にしても今まで当たり前のように居てくれた人が居なくなった時にその寂しさに気づくのですね。二人とも世間からみたら、美しいし、聡明だし、落ち度などどこにも無いのに、源氏は困難な恋にしか燃えられないたちだから、当たり前のように自分を求めてくる女性にはつれなくなってしまったのですね。人間とはそういうものなのでしょうが。
    そして、3番目の別れは重大です。父であった桐壺帝が亡くなったのです。これにより、宮廷の勢力図がガラリと変わってしまいました。弘キ殿(漢字難しい)女御と故桐壺帝との息子が帝に即位しましたが、まだ若いので、弘キ殿女御を初め、右大臣家のやりたい放題になり、源氏や藤壺の宮や頭の中将や左大臣にとっては生きづらい世の中になります。
    そして最後の大きな別れが、藤壺の宮です。藤壺の宮は故桐壺帝が自分が亡き後も東宮を後見できるようにと、中宮の位を与えられていました。が、東宮が実は桐壺帝との子ではなく、源氏の子であるという罪を自分の中にひた隠しに隠して(源氏は気づいてますが)、罪の意識に苛まれるのと、右大臣勢力の中で生きづらいのとで、出家してしまいます。義母である藤壺に誰よりも恋い慕い、過ちまで犯してしまった源氏はショックで、自分まで出家したい気持ちになります。
    今まで、若宮としてやりたい放題だった源氏を取り巻く環境がガラリと変わってしまった中で、新しく生まれた命があります。
    一人は藤壺の宮と桐壺帝の皇子とされるが実は源氏との子である東宮(後の冷泉帝)です。あまりにも源氏そっくりで、世間に事実がバレないかとヒヤヒヤします。右大臣家の世の中になり、後見人であったはずの中宮(藤壺)も出家してしまって、この後どうなるのでしょう。
    もう一人は夕霧。これは源氏と亡くなった葵の上との子です。これも「目元が東宮そっくり」と書かれています。ということは源氏にも似てるということですね。父が亡くなり、自分が二人の息子の父となった源氏。今後の物語が楽しみです。
    それから、新しい女性との関係も。
    一人は、若紫。巻一で、北山のお寺から連れてきた幼女。藤壺の姪にあたり、藤壺そっくりなので、二条院で親代わりとなって育てていた娘。ようやく、少し大人びてきたころ、事実上結婚します。まだ葵の上が亡くなって間もなかったのに、これはアカンでしょう。若紫もショックでした。でも源氏にとっては人が亡くなって悲しむのも人を恋することも全力というのか。容姿、能力、性格において欠点ゼロだというだけなら面白くも何ともないのだけれど、全力で振る舞うことによって、時に「末摘花」との失敗談があったり女の人を出家させるほどの悲しみを負わせてしまったり、嫉妬をかったりするから物語を面白くしてるのでしょうね。
    あと、朧月夜の姫君。宿敵弘キ殿の女御の妹であり。大胆にも右大臣邸で逢瀬を重ねていたら、右大臣に見つかってしまいました。これからどうなることでしょう。
    それから最後のほうにチラッと出てきた、麗景殿の女御の妹の三の君。これはこの後、花散里という重要な女性になるらしいです。
    気になる人物がいっぱいです。こんなに面白くなっているのに、まだ10巻中の2巻目です。まだまだ波乱万丈ですね。

    • Macomi55さん
      goya626さん
      それはそうでしょうね。原文を読まないと本当の良さは分からないでしょうね。
      私もそう思って、思うだけで月日が流れたので、そ...
      goya626さん
      それはそうでしょうね。原文を読まないと本当の良さは分からないでしょうね。
      私もそう思って、思うだけで月日が流れたので、その理想には見切りを付けて、現代語訳に手を出しました。でも結局、話の流れの面白さを掴むには現代語が手っ取り早いです。特にきれいなところだけ、いつか、原文に挑戦してもいいかなと思ってます。娘は「いつかは一生こない〜♪」って言ってますが^ ^。
      2022/12/22
    • Macomi55さん
      ブルーさん
      はい。桐壺帝が天皇の位を退いて、上皇になったときに、コキデンの女御はコキデンの太后になりました。さらにややこしいのは、後に、別の...
      ブルーさん
      はい。桐壺帝が天皇の位を退いて、上皇になったときに、コキデンの女御はコキデンの太后になりました。さらにややこしいのは、後に、別のコキデン女御が出てくるということです。たしか、冷泉帝の妻になる人で初めの頭の中将(この人も後から同じ名前の人が出てくる)の長女だったと思います。わたしコキデンの“キ”の漢字が出せないので、ずっとカタカナで書かせてもらいました。
      2023/03/18
    • Macomi55さん
      ブルーさん
      どうも私のこの時のレビューでは、コキデンの女御はもうコキデンの太后に確かなっていたのに、ごちゃまぜにして書いてしまっているようで...
      ブルーさん
      どうも私のこの時のレビューでは、コキデンの女御はもうコキデンの太后に確かなっていたのに、ごちゃまぜにして書いてしまっているようです。
      あと、後に“藤壺の宮”も別の同名の人がでてきてややこしいです、
      2023/03/18
  • ⑥末摘花
    末摘花とは紅花の異称。
    また新たな恋だ。
    今回は琴の音色にやられた源氏。
    けれど「源氏の君はおよそ、一度関わりを持ったらどんな女も、すっかり忘れてしまうということが、お出来にならない御性分なのでした」という。
    なんとまぁ罪作りな 笑
    ここで、同性同士でも和歌を読みあう風習があることに少し驚き。
    なにも知らなくて、男女間のことだとばかり思い込んでいたから。
    もう1つ、同じ車に相乗りして横笛を合奏しながら帰るほど、頭の中将とは仲がいい。
    無暗なことは言えない、気のおけない相手といったところか。
    末摘花の姿に驚く源氏の君。
    明るいところで見てみれば、胴長で、普賢菩薩の乗り物の象のような鼻(言い方!)をして、先の方が赤い。
    顔立ちは長く、色も青白くて、肩のあたりは痛そうなほどごつごつしている。
    唯一の取り柄は長く真っ直ぐな黒髪くらいだった。

    そうなると余計に可愛らしく思えてたまらないのが若紫。
    若紫の前で鼻の頭に紅を塗って戯れる。
    ……って、こういう感覚が良く分からないんだよなぁ。
    普通の感覚でいうと悪い悪戯なんだけど、
    まぁまぁお二人で仲睦まじく…な感じを描きたかったんだろうか?
    とにかく、一旦末摘花とはここまでに。


    ⑦紅葉賀
    朱雀院への行幸の予行練習。
    冒頭、頭の中将と源氏の君を比べる文章があるのだが、
    「源氏の君と並んでは、やはり咲き誇った桜のかたわらの、深山木のようにしか見え」ないと、きらびやかな源氏の君。
    段々慣れてきたけれど、それにしても凄い。
    源氏の君は「世にまたとはないほどのすばらしさ」なのだという。
    その素晴らしさに帝は感涙するが、藤壺はあの夜のことがやましく思えて、複雑な心境に揺れ動く。
    久しぶりに登場した弘徽殿の女御は相変わらずのいやな女。
    この章で、藤壺が出産する。
    生まれた子は呆れるばかりに源氏の君の生き写しなのだが、帝は、美しいもの同士は似るものだと思っている。
    あらら~。

    後半は源氏の君、頭の中将、典侍の、ちょっとしたドタバタ劇。
    式部さん、たまにこういう章をぶっ込むよね。

    ただラストで藤壺の若宮と源氏の君を並べて
    「けれどもこのお二方は、あまりに似ていらっしゃるので、月と日が大空に並んで光り輝いているようだと、世間の人々も思っているのでした」
    と結ぶ。
    これは行く末の暗示?


    ⑦花宴
    桜の宴が催される。
    勿論、藤壺も参列。
    宴の席が盛大であるが為、弘徽殿の女御も引きこもるわけにもゆかず参列。
    源氏の君が兄の東宮に所望されて、ほんの少し雅楽の1つを舞って見せると、あまりの素晴らしさに左大臣も涙する。

    相関図を少し整理すると、
    今の帝は桐壺帝。
    桐壺帝と弘徽殿の女御の間に生まれたのが東宮であり、後の朱雀帝。
    桐壺帝と桐壺更衣の間に生まれたのが源氏の君。
    東宮は源氏の君の兄。
    弘徽殿の女御は源氏の君が持て囃されるのが面白くない。
    そして左大臣とは葵の上の父。
    葵の上と源氏の君は不仲だし、左大臣としては中々顔を出さない源氏の君が恨めしい。

    宴を終えた夜、藤壺とばったり会えないものかとうろうろする源氏の君が出会ったのは、藤壺ではなく朧月夜。
    そしてお酒の勢いで………あ~ぁ、またですか。
    源氏の君は、昨日の女性はだれだったのだろうと思い巡らせて、東宮に入内する右大臣の娘だったら可哀想なことをしたかもと考える。
    えぇ~っ、これ、いつかバチがあたるぞ。


    ⑧葵
    帝が桐壺帝から朱雀帝(元東宮)へ。
    帝が代替わりして、世の中が一新されたということだ。
    ますます藤壺に近付きにくくなる源氏の君。
    そして葵の上は懐妊。
    さて、賀茂の祭の日。
    この時は源氏の君ばかりではなく容姿の美しい上達部や御付きの者などがお通りに加わって立派な見物となった為、みながお忍びで祭見物にでかける。
    葵の上の悪阻は重かったけれど、少し気分がおさまっているので出掛けることに。
    そこで牛車の場所取りで揉めたのが六条御息所。
    彼女については「夕顔」の冒頭でも触れられていた。
    「原始の君が六条のあたりに住む恋人のところに、ひそかにお通いになられている頃のことでした」
    でもこの章では夕顔と出会い、直ぐに夕顔が死んでしまうものだから、六条御息所の元へ通っている場合ではなくなった。
    その後もあれよあれよと時は流れ…で、六条御息所は恨めしく思っていたというわけだ。
    そのうえ今回の牛車の件。
    人目を避けて粗末な風情で出掛けたものの、あとから来た葵の上の牛車に競り負けたうえ、身バレする。
    牛車も一部が壊れたりして散々だ。
    これは傷付くよね。
    プライドも粉々だし、遠くから静かに眺めることも許されないなんて。
    この一件は源氏の君の耳にも入り、御息所を訪ねるのだけれど、彼女は会おうとしない。
    こんな時でもやはり可愛らしいのは若紫。
    一層可愛らしく思えるのだろうな。

    伊勢に下るのも、都に留まるのも、世間の笑い者になりそうで、思い悩んで具合も悪くなる御息所。
    塞ぎ込む一方だ。
    そんな中、葵の上が誰のとも知れず生き霊に取り憑かれる。
    このシーン、ページをさいて丁寧に描かれていた。
    もしかしたら自分かもしれないと思う御息所は、そんな自分が浅ましくてならない。
    物の怪(葵の上)が源氏の君に申し上げたいことがあるというシーン。
    葵の上がみるみる六条御息所の姿となってゆくのが恐ろしい。
    御息所本人もまた、着物に祈祷の護摩に焚く芥子の匂いが染み込んでいることから、生き霊となっているのは自分なのだと分かる。
    若君を産み、葵の上は死んでしまった。
    若君(夕霧)の養育は葵の上の母が担うこととなる。

    ⑨賢木
    伊勢へ下ることを決意した六条御息所との最後の一時を過ごす源氏の君。
    章のタイトルは、源氏の君が歌を贈る際、榊の枝を差し出したことから。
    そして桐壺院が崩御。
    桐壺院の秘蔵っ子であった源氏の君にとっては、後ろ楯がなくなるということだ。
    桐壺院も分かっていて、自分の亡き後も源氏や東宮を重んじるよう朱雀帝に遺言する。
    桐壺院の崩御に伴い、藤壺は出家。
    源氏の君からの求愛に耐えられなかったのだ。
    朧月夜は尚侍に就任。
    朧月夜といえば朱雀帝に召し抱えられる前に源氏の君と関係してしまった右大臣の娘。
    懲りもせず関係を続けていた源氏の君に、とうとう罰が。
    弘徽殿女御にばれてしまう。
    そりゃぁ激怒するよね。。。

    ⑩花散里
    右大臣の勢力も強まり、心労が増えて世の中が嫌になった源氏の君は、心の安らぎを求めて静かに暮らす姉妹の元へ。
    「例の御性分なので、さすがにすっかり忘れておしまいにならず…」らしい 苦笑
    それにしてもなぁ。。。
    「こういうふうに、長い年月を経ても、一度でもお逢いになった女のことは、お忘れにならない御性質ですからかえって、それが多くの女たちにとっては、物思いの種になるのでした」
    ほんと、それ。
    それが情のもつれを呼んで、要らぬ哀しみに捕らわれる女性が多い。
    でもきっと、源氏は源氏で分かってるんだよね(と思いたい)。
    男女の恋の儚さとか、人の命の儚さとか。
    けれど産まれ持った美しい姿と、若さゆえ浮気な恋心、どの女性もそれぞれの個性が魅力的だと感じる心、情けを掛けてしまう性分が、
    己の人生を掻き乱す。
    「中には、そうした淡々とした仲を不足に思う人もいて、とかく心変わりして離れてゆくことがあっても、それもまた、ありがちな当然の世の習いだと、源氏の君は達観していらっしゃるのでした。
    さきほどの中川の垣根の女も、そうしたわけから、心変わりしていったひとりなのでした。」

    小休止的な章だったけれど、ここから源氏の人生はなだらかに下り坂なのかしら?
    内容を殆ど知らないので、想像でしかないのだけれど。

  •  やっと第二巻。有名な、というか自分がわりと覚えている女性たちがたくさん出てきて賑やかだった印象。
     藤壺の出家を受け茫然自失となる源氏を見て、出家ってどんなことなのだろうと疑問に思ったが、巻末の「源氏のしおり」、寂聴さんによる解説を読んで、少し理解が深まった。それだけでなく、出家を決意するに至るまでの藤壺の葛藤とその描き方や、出家後の藤壺が意外と強い女性に変貌していくことについての指摘もとても興味深く、寂聴さんのおかげで藤壺への認識が改まった。

     以下自分用メモ。

    ■末摘花(源氏十八歳)
    ・頭中将とのライバル関係が楽しい。夕顔の子を引き取る算段までしている源氏は密かに優越感を持っている。
    ・手引きする命婦が「浮気っぽく軽率な性分」と説明され妙に存在感がある。
    ・こんなに末摘花のことを見苦しい見苦しいと、この章は何のためにあるのかわからない。夕顔は良かった、空蝉は良かった、若紫かわいすぎ、かわいすぎて六条御息所のところ行く暇ないわと。なんやねん。

    ■紅葉賀
    ・藤壺、葵のそれぞれ。葵パパは源氏に甘いが、それでいいのか。
    ・若紫「それじゃあ私は夫を持っていたのね」って。ちゃんと説明しろよなー。
    ・十二月の予定だったのが二月に生まれた。やはり自分の子だと思う源氏。
    ・また頭中将との張り合い。六十歳近い源の典侍(ないしのすけ)をめぐって…。

    ■花宴
    ・朧月夜登場。弘徽殿の女御の娘で東宮に入内予定。ばったり源氏と出会う。

    ■葵(源氏二十二〜二十三歳)
    ・一巻では、藤壺懐妊について悩みながら若紫をかっさらったが、ここでは、葵の上の喪も明けぬうちに若紫と結婚してしまったよ、まったく。乳母などは、こんなにきちんと結婚の儀をしてくれるとは思っていなかったからありがたい恐れ多いと思っているようだが、人目につかぬよう憚りながらの儀式なんてままごと同然では。そういう甲斐甲斐しさにだまされるな〜!しかも若紫に夢中で他の女のところに行かないのを喪中のせいにしてて、最低。

    ■賢木(源氏二十三〜二十五歳)
    ・六条御息所と源氏。会いたい、会いたくないの逡巡に逡巡を重ねた末、会って、泣きながら別れるも(野の宮の別れ)、すぐ十四歳の娘のこともいいなと思ってる。なお、六条御息所はおばさんおばさんと思っていたが三十歳。
    ・桐壺院崩御。今の帝は弘徽殿の女御の子で右大臣系なので、そっちの権勢の時代になっちゃうなあという政治的なそわそわ。藤壺中宮も里帰り。
    ・朧月夜は尚侍(ないしのかみ。女御や更衣のような、帝の寵愛を受けることも多い地位の役職。)だが密通を続けている。「心からかたがた袖を濡らすかなあくと教ふる声につけても」我(朧月夜)から求めた恋ゆえに〜と訳されている。
    ・とかなんとかしつつも中宮への執心も続いていて、なんとか忍び込んで逢っている。藤壺は頼りたい気持ちもあるががんばって冷たくあしらう、その心が辛すぎてついに女房が駆け寄るほど御病気になったがそのとき源氏の君は服脱いだまま呆然としているってどういう状況だ。塗籠からいつ出てくるか問題などややコミカルだがその後もまた惑乱、拒絶、諦めるなど。それで紫の上の前でメソメソするという。
    ・何も手につかないので雲林院に逗留して仏道の勉強などする。紫の上や、賀茂の斎院になった朝顔の姫君に手紙。源氏は朝顔の君へ、昔が懐かしいなどと手紙を送るも、昔に私たちの間に何があったというのと返される。手紙のやりとりはあまりすげなくもなさらずにしてくれる。
    ・紫の上が気にかかるので戻ってくる。そしてお土産の紅葉を藤壺の中宮にもっていく(おい)。帝にも挨拶。帝は源氏と朧月夜の関係をなんとなく認めているという大らかさで、源氏とは故院の思い出や色恋や学問の話で盛り上がる。
    ・藤壺、御落飾。左大臣も辞職。いよいよ右大臣系が強くなる。頭中将は右大臣の四の君の婿ではあるがいまいち。源氏とは相変わらず風流に遊んだりして過ごす。
    ・朧月夜との逢瀬。この姫君は積極的というか、源氏と示しあって合う算段をつけているところが他の女性たちとは違うところだ。右大臣パパに見つかった時の堂々たる源氏の姿の描写は見事。
    「中には何とも言えず色っぽい様子で、臆面もなく横になっている男がいます。今になって、男はそっと顔をおし隠して、何とか身をかくそうととりつくろっています。」

    ■花散里(源氏二十五歳)
    ・花散里さんは、麗景殿の女御のおん妹君の三の君、という人物らしい。久々に思い出して訪ねる途中で通りかかった家が、さらに別の昔の女の家だったと思い出して歌を送るがもう別の男がいるっぽいので断念。去り際に、そういえば筑紫のなんとかいうあの人も素敵だったなと思い出すなど。花散里とは再会してまたゆるやかに関係が続いていく模様。源氏の付き合い方に合う人合わない人点描といった章。

    • akikobbさん
      たださん、こんばんは。コメントありがとうございます。

      いやほんと、ひとりの女性の話をするごとにぽろぽろぽろぽろ色んな女性の話が出てくるので...
      たださん、こんばんは。コメントありがとうございます。

      いやほんと、ひとりの女性の話をするごとにぽろぽろぽろぽろ色んな女性の話が出てくるのでもう追いつかない。語り手女房のツッコミが入ると安心します。(たださんもレビューで引用されていた、「どんな女に対してもお心の休まる暇がなくて御苦労なことです。」には笑いました。)
      物語的には重要な出来事もりだくさんで、読み応えありました。
      「若い頃の源氏ってアホやなあ」→若くなくなっていく源氏を楽しみに、読み進めていきます♪
      2023/12/19
    • たださん
      akikobbさん

      そうですよね。もしツッコミが無かったら、案外笑えない話になっていたのかもしれないな、なんて思いますが、源氏については、...
      akikobbさん

      そうですよね。もしツッコミが無かったら、案外笑えない話になっていたのかもしれないな、なんて思いますが、源氏については、後々の彼を見て、akikobbさんがどう感じるのか、気になるところです。

      それから、本書ほど、他の方のレビューを読んで、新鮮な気持ちにさせられるのもないのではと思うくらい、読んでいて楽しいです(^∇^)
      ありがとうございます♪

      巻三も色々あって、ある意味、面白いですよ(^^)
      2023/12/20
    • akikobbさん
      たださん、こんばんは。

      漫画『あさきゆめみし』にはなかった(と思う)のがまさにこの「ツッコミ」精神で、ちゃんとそういう視点もあったのか!と...
      たださん、こんばんは。

      漫画『あさきゆめみし』にはなかった(と思う)のがまさにこの「ツッコミ」精神で、ちゃんとそういう視点もあったのか!というところが、今回現代語訳を読んでみての一大発見です。

      「本書ほど他の方のレビューが新鮮なものはない」→わかる気がします!私も自分で読んでから他の方の感想を覗いてみると、この人はここが気になったのか、そういう捉え方もあるのか、と新鮮に感じることがありました。色んな読み方ができる…というのはどの本にも言えることですが、特に多様な気がしますよね。豊かな作品なのだなあと思います。
      自分自身も、時間をおいて読んだら感想が変わるかもしれません。
      2023/12/20
  • 恋愛小説なのだけれど、ストーリーに引き込まれてしまう。こんな作品を平安時代に読み聞かせられたら、さぞかし、高貴な方々も夢中になったことでしょう。でもさ、源氏さん、もう少しお仕事しても良いんじゃないのー。

  • 巻一の<若紫>で壮大な期待をもたせておいて、<末摘花>で少し外してくる帖の順がイイ。<紅葉賀>の描写の美しさ、<葵>の六条御息所の純粋な愛と生き霊になる恐ろしさ、、引き込まれる。

  • しかしよくもまあこれだけあちこちお手を出しになられること。一夫多妻とは言っても、よくもまあ同時にそれだけの人と関係をもつことができたもの。私なんかは、結婚して20年近く、他に好きかなあと思える人は1人いたかなあ?というくらい。年上が好きなのかなあと思っていたら、幼い子を自分の思い通りに育てようとしたり。いつ見つかってもおかしくないような状態のところに夜這いに行ったり。まあとにかくご盛んなこと。でも、顔もはっきりわからないままでお付き合いをするとか、ちょっとびっくりすることもある。寂聴さんのしおりを読むと、まわりの女房たちが世話を焼いて、娘を売り込むようなところがあったようだから、まあ「だまされた」と思うこともたびたびあったのかもしれない。ただこれは貴族の世界だけのことなんだろうか。一般人まで同じようだったのだろうか。2冊目まで読み進んで、困っているのは、同じ人物が幾通りもの呼び方をされるため、だれがだれだかこんがらがってしまうこと。そのたびに登場人物相関図を見るのだけれど、探すのに時間がかかってしようがない。

  • 巻一に引き続き、素敵な現代語で綴られた源氏物語だった。
    末摘花〜花散里の六帖が納められている。恋愛小説であるが、少々オカルトめいた話が含まれるところにエンタメ性を感じる。
    平安時代の恋愛は不自由な点が多かっただろうと思うが、典型的な恋愛の始め方があるというのは少し羨ましくもある。

  • 末摘花,紅葉賀,花宴,葵,賢木,花散里の6帖が収録.普段使う形容詞と動詞の組合せと,本書で使われる組合せに齟齬があり,感覚的な違和感が常につきまとう.言語は,時間とともに変化するので,平安時代と現代とで言葉の使い方が異なるのは当然.中高時代の古文の訳を直感的に行えなかった訳がここにある.それにしても,私が読むと,光源氏が完全なる自己中心的人間で,屑に感じるのだが,何故多くの女官達は盲目的になびくのか理解できない.

  • 2024.02.24

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著者プロフィール

1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒業。63年『夏の終り』で女流文学賞、92年『花に問え』で谷崎純一郎賞、11年『風景』で泉鏡花賞を受賞。2006年、文化勲章を受章。2021年11月、逝去。

「2022年 『瀬戸内寂聴 初期自選エッセイ 美麗ケース入りセット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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