ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.51
  • (160)
  • (261)
  • (458)
  • (64)
  • (14)
本棚登録 : 2479
レビュー : 330
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062756938

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • なんとも不思議な雰囲気の小説。ネコのようなイタチのような正体不明の動物ブラフマンと主人公の僕との交流を描く。小動物を飼っている人であれば、自分に懐いてくる存在の愛おしさがわかるだろうが、この物語の大半はブラフマンのかわいさ推しである。タイトルから推測される通りブラフマンとの別れが待っているが、意外と悲しさの描写がない。登場人物には名前がなく淡々とした印象。
    主人公僕が娘に抱く叶わぬ恋心があるが、破滅への願望が透けて見える。その結果として最愛のブラフマンとの別れを招いてしまう。淡々とした描き口の中にじんわりとした母性本能と寂寥感を感じられる小説。

  • 娘に対する叶わぬ恋をブラフマンが永遠なものにしたのか。

  • ブラフマンとは何か?ヒンドゥー教の超越的な宇宙心理を名前に持つ生き物は、結局具体的な生物としては示されない。名前の由来となった「謎」そのものだ。しかしそれは「僕」の生活に変化を与え、なんとなくせわしない毎日にそっと彩りを与えるような「愛すべき」存在だったのだ。

    そのことは、ブラフマンに出会った時から感じていたのだが、改めてはっきり認識したのはその埋葬のときだった。ホルン奏者のホルンの音が遠く響くとき、森の静謐を改めて感じつつ、もうこれ以上心配しなくても「僕」はずっとそばにいると伝えるときだ。

    「僕」が好きな娘からは冷たくされていることにうすうす気づきつつ、それが恋ごころの妨げにはならない、ということとどこまでも心配なブラフマンを守ってあげるという気持ちが崩れるとき、何が変わるのだろうか。小川洋子はそこは示していない。水面に小石が落ちた時の水紋が静かに広がっているように読者にさざ波をおこしたところで物語は終わるのだ。

  • ブラフマンと、僕が過ごした一夏の物語。
    ブラフマンがとてもいとおしくなります。
    どんな動物かは想像するしかありませんが、かわいい。わたしもブラフマンを撫でたい。
    日射しや風景が日本っぽくない、と思っていましたが、解説で、南仏のイメージなのだと知りました。
    タイトルから感じてはいましたが、ラストが寂しいです。

  • 「いいえ、お安いご用です。いつでも助っ人に参ります」そう言うように、腕の中で、ブラフマンはフンと鼻を鳴らした。

    きれいな本。ブラフマンについて事細かに描かれているのに輪郭がボヤっとした印象を持つ。ブラフマンは一言も話さないが、その表情や動作から、僕が想像するセリフがかわいくて、せつなくて、静かに涙する作品。

  • はじめは犬に興味が持てなかったのだが、最後にはこの作品がいかに美しくまとまった芸術作品であるかを理解した。読了後は心に静けさが漂う。
    ところで、ここのコメントを読んでいると、人によっては犬ではなく、猫だったりカワウソだったりカピバラだったりしてとても面白い。

  • 小川洋子さんの独特な世界観。芸術家が集まる「創作者の家」に舞い込んできた猫の仕草の描写が写実的。芸術家に比べて、商店の娘が異様に描かれている。

  • 小川洋子の長編が好きなんだと気付いた
    まず設定からして好き

  • タイトルから先が読めてしまうのが悲しげな空気になってしまう。
    ちょっとした楽しみの日常が突然変わってしまう。今、過ごしている当たり前の日々が貴重であることを思うのでした。

  • ブラフマンかわええ。

全330件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)のその他の作品

小川洋子の作品

ツイートする