ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2479
レビュー : 330
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062756938

感想・レビュー・書評

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  • このタイトルなら仕方ないんだけど
    そんな終わり方しなくてもいいのに。

    レース編みのお婆さん、最後は素敵な人だったな。

  • 小川さんの本は博士の愛した数式とこれで二冊目。とても読みやすいし、一つ一つ言葉をちゃんと選んで表現される方なんだろうなって思った。水彩画みたい。 この種類の読後感は久々。普段ミステリーとか新書しか読まないから、なんとか解釈をして納得しよう試みる。だけど、確たることはいえなくてもやっとする感じ。読み終わった後いろんな人やブラフマンに思いを馳せてぼーっとした。 ブラフマン、好きだー。

  • 各方面の芸術家が、一時の創作活動として利用する「創作者の家」で様々な芸術家を世話をする管理人と、傷を負った動物、「ブラフマン」と一緒に暮らす物語。主軸はブラフマンと管理人に当たっており、動物の正体は明かされていない。演奏家、碑文彫刻家、詩人・・その中で垣間見える、主人公の心境と動物の成長を綴ってあり、標題から分かる通り、最後にはブラフマンは死を迎える。結末は後味がよろしくないと感じるが、大きなカタルシスが残留し見事に昇華している。

  • 相変わらず象徴性は豊かなのだが、好きになる、嫌いになる、そのどちらも物語に感じなかった。報われぬ愛情がテーマか。人間とペットの関係性か。ああ、もうやめよう。ここにはブラフマンが確かにいたことを悼まなければ。

  • タイトルがとても好き。
    〈創作者の家〉を管理する僕の元にやってきたブラフマン。
    愛おしく穏やかに流れる二人の日々。それなのに、どうしてかそこにひっそりとした拭えぬ死の気配を感じてしまう。
    とにかく不穏なのだけれど、でもそれこそがこの小説のすべてだな、なんて思った。
    芸術家と僕によって粛々と淡々とすすめられる埋葬も、読み手には悲しむ余地を与えない。
    なにも創り出すことのできなかった僕だけが、ブラフマンの死を悼むことができるのかもしれない。

  • 題名から大体結末を予測できるから、ブラフマンが可愛らしくて、この先を見たくない気持ちで、なかなか読み進まなかった。描写や表現は素晴らしいけれど、物語自体の目指すところがよく分からないのと、好きじゃない種類のバッドエンドで気持ちが沈んだので星2つ。

  • じんわり沁みてとてもよかった。
    タイトルからしてわかっていたものの、悲しい最後。
    フランスの絵画のような繊細な描写とブラフマンを想う僕の心が美しく儚い。

  • 絶対的中立性を保ち、芸術家の世話をする主人公に個としてのキャラクターはない。くせもなく、どこまでも受動的。ゆえに純真であり無垢であり、無害である。
    "誰"でもないのが彼。そんな彼のもとにブラフマンは現れた。純真さや汚れなさ、ブラフマンはそんなものの象徴ではないか。ゆえにどこまでも可愛らしい。
    しかし彼は最後に自我を見せる。娘への憧れは性的衝動につながり、最後にはそれを自分のなかだけに押さえ込めなくなる。悋気となったそれは言葉になり娘に向けられる。
    この時、彼は自我を持った。なにかを望むという能動的なエネルギーを持ってしまった。個であることは雑味である。雑味がキャラクターを生む。そうなればもはや純真無垢ではいられない。彼はもう"誰でもない"誰かではいられない。
    その瞬間、ブラフマンは死んだ。
    真っ白なキャンバスになにかを描くとそこにはじめて存在が生まれる。0から1になる瞬間だ。それはほかのなんでもない絶対的な1である。だかそれは同時に0を失うことである。真っ白な汚れなきキャンバスはもうない。失われてしまった。永遠に。
    私たちは常に何かを描き続けている。それが私という人間をを作るからだ。
    でもそれは失う悲しさを伴うものである。心の中にブラフマンを感じるとき、我々にできるのは死に行く彼を悲しむことだけだろう。

  • 静かに進む物語。秋の夜に丁度良かった。

  • 再読。前に読んだときはカワウソのイメージだったブラフマンですが、読んでてけっこうでかいよな...?と思った瞬間カピバラでしか想像できなくなってしまいました。カピバラが泳ぐのかどうかは知りませんが。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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